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2004/12/14

温室効果ガス12%増加?

NIKKEI NET(12/14)の記事。先進国の温暖化ガス排出量、02年は2番目の高水準

 日本など先進国27カ国が2002年に排出した温暖化ガスの総量が約138億3100万トンだったことが13日、地球温暖化防止条約事務局の集計で明らかになった。アルゼンチンで開かれている温暖化防止の第10回締約国会議に報告された。京都議定書の基準年である1990年に比べると全体では6.3%減ったが、同年以降では2番目に多い排出量。来年の同議定書の発効を目前に控え、削減の実効性が問われる形となった。

 報告では旧ソ連などを除いた先進国全体の2002年の排出量は90年比8.4%増。国別の増加率ではスペインやポルトガルが約40%増とトップ。日本は約12.1%増だった。ロシアやウクライナなどは経済活動が低迷し、約40%の減少となった。ドイツ・英国などが大幅に削減している欧州連合(EU)全体では2.5%減だった。議定書はこれらの国を含めた先進国に90年比5.2%減の削減義務を課しており、全体ではすでに目標を達成したことになる。ただ、国別では未達成国があり、日本などは一層の取り組み強化が求められそうだ。

12/6のブログで紹介した COP10が始まり、具体的な話し合いが始まっているようだ。最新の各国の温室効果ガスの排出量のトータルでは、意外なことに京都議定書の目標をクリアしているようだ。(京都議定書から離脱しているアメリカやオーストラリアの分も含めての数字。)

詳細データは、UNFCCCに載っており、細かなデータも全部見ることができる。各国の温室効果ガスの1990年比の増減は、増減比較グラフで見られる。スペインやポルトガルが +40%というのもすごいが、ラトビアやリトアニアの-60%というのもすごい。-20%以上の国は全て旧ソ連や東欧諸国だ。全体として削減目標を達成しているのは、これらの国々のおかげということになる。

ところで、日本はこのデータでは1990年比で+12.1%となっている。10/1のブログでは、2002年度の排出量が1990年の基準年比で +7.6%であった、というニュースを紹介したのだが、この違いは何だろう?

ということで、環境省のデータUNFCCCのデータを詳細に比べてみると、1990年の数値も2002年の数値も両者全く同一だということがわかる。で、この数値(1990:1187.2、2002:1330.8 Mton-CO2)を用いて、2002年の増減率を計算すれば、+12.1%となる。

じゃあ、環境省が発表した +7.6%という数値は何か? 実は、京都議定書の基準年は、CO2、CH4、N2Oについては1990年だが、HFCs、PFCs、SF6については1995年となっているのである。(京都議定書第3条第8項の規定により、HFCs等3種類の温室効果ガスに係る基準年は1995年とすることができる。)従って、京都議定書の基準年の温室効果ガス排出量は、1187.2ではなく 1236.9となり、これと比べると2002年の排出量は +7.6%となるわけだ。

京都議定書の定義がややこしいのが原因なのだろうが、新聞記事などで必ずしも厳密ではない表現を使うと、このような混乱が起こってしまうことになりそうだ。

国によっては、HFCs等についても1990年を基準年としているところもあるようなので、COP10で今回使われている増減の数値は、必ずしも公正な比較になっていないとも言える。そのHFCs等の排出量を見ると、日本は順調に削減されているのだが、国際的にはそれほど減っていないようで、アメリカはやや増えているし、デンマークなどは何故か15倍に増加している。

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