虹彩で病気診断?
NIKKEI NET(12/15)の記事。目の虹彩画像で病気の疑い判断・サイナップス
人工知能開発のサイナップス・コミュニケーションズ(東京、仁科浩明社長、03・5786・0950)は、旧ソ連のアルメニア共和国の国立研究機関のデータベースを活用し、200万画素程度の携帯電話用カメラで目の虹彩を撮影して疾病の疑いの有無を教える事業を来年末に始める。何だかなあ。。何故にアルメニア共和国? しかも、携帯のカメラで撮影した瞳の画像で疾病の診断なんかできるのだろうか? 今朝の日経新聞の朝刊の記事の見出しには「目の虹彩画像 病気を示す!?」とさすがの(?)日経もクエスチョンマークをつけているのだが。。虹彩は角膜と水晶体の間にある円盤状の薄い膜。疾病診断技術に取り組んできたアルメニアの人工知能開発センターが、疾病ごとに虹彩の状態が異なることに着目。相関関係をデータベースに構築した。この成果を使い、インターネットで情報を伝えるサイナップスの技術と組み合わせる。
利用者は携帯電話で所定のホームページに接続し、指示に従い携帯で撮影した虹彩の画像を送信する。サイナップスは斑点の有無や変形など虹彩の情報を分析、データベースと照合して内臓疾病などの可能性を指摘する。医療行為には踏み込まず、情報提供や食事・運動など健康法の紹介などにとどめる。料金など詳細は詰める。
サイナップス・コミュニケーションズを見ても、本件関連情報は見当たらない。一方、調べてみると、虹彩での病気の診断は、古来行われてきたことのようで、虹彩学(iridology)と呼ばれるようだ。確かに、病気に罹ると、場合によっては目に変化が現れるとは思うのだが、目の変化から健康状態を判断できるものだろうか? ここには、虹彩を使った診断が、古来行われてきたことが延々と書かれているが、確かにエジプトや中国で昔やられていたことの中には、現在でも通用する知見が沢山あるだろうが、だからといって、彼らが行っていたことが全て正しいわけではないのは自明だろう。
臓器の状態が耳、舌、皮膚、鼻に投影されるという事実は、未だ医学的には明確にはされませんでしたが、虹彩に関しては医学的に解明されています。医学的に解明されているとのことだが、虹彩が外部からエネルギーを取り入れるって、もしかして目から入る光エネルギーで人間は病気と戦うのか?? 何というか。。ちなみに、この虹彩学のサイトは、歴史も含めて結構詳細な記載がされているのだが、何故かアルメニアのことは全く出てこない。。例えば人体のある臓器に炎症ができた場合、それに対抗するため臓器はより多くのエネルギーが必要になります。この信号が脳から視神経を通して虹彩に伝達されます。信号を受けた虹彩では、より多くのエネルギーを外部から取り入れようとし、該当部位の組織が弛緩します。この弛緩した組織による変化が眼に表われることになります。
腫瘍ができた場合には、反対にエネルギーが入ってこないように人体は反応するようになります。腫瘍の場合は外部からエネルギーが入ってこられないようにするために、虹彩の該当部位の組織がより一層細かく凝集され、濃厚な色素ができます。このような色素や緻密な組織が虹彩に変化をもたらします。
こうした過程を経て臓器の状態が虹彩に表われるようになります。虹彩の変化の観察が、病気の診断に役立つことになります。このような診断方法を虹彩診断学と言います。
虹彩というと個人認証、バイオメトリックスへの応用は現実化しているようだ。沖電気の虹彩認証を読むと、虹彩のパターンは2歳頃に固定化した後は一生変化しないとある。まあ、個人認証と虹彩診断では見ている部分が違うのかもしれないが、本当に虹彩で病気の診断ができるなら、虹彩認証の商売をやっているメーカーが放っておくわけはないだろう。 (この記事の「虹彩認証技術のメリット」という画像を拡大すると、「iridology: 医学的に根拠なし」と書いてある。。)
今回の記事によると、医療行為に踏み込まず、あくまでも情報提供ということだから、もしかしたら、この会社も最初から全部承知の上でのシャレだったりするかもしれない。そうすると、アルメニア共和国なんてのも、実はイメージ戦略のためのキーワードと考えられなくもない。虹彩占いの親戚みたいなものだと最初から割り切ってしまえばいいのかもしれないが、これで安易に病気と診断されて、それを真に受ける人が出てくると困ったことにならないだろうか?
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コメント
虹彩診断はカナダでは普通に行われていますよ。
投稿: Koko | 2011/01/29 06:09