ハウス栽培と炭酸ガス
MSN-Mainichi INTERACTIVE(12/22)の記事。炭酸ガスで花生き生き 新銘柄「CO2シクラメン」人気--県花き植木農協 /奈良。
色鮮やかで、贈答品としても使われる冬の花シクラメン。奈良は全国有数の産地だが、二酸化炭素を吸わせて育てる「CO2シクラメン」という新しい銘柄が、この冬、人気を集めている。鉢花のせりを行う県花き植木農業協同組合(田原本町)は「シクラメンでは全国でも初めての試みだと思う。花は色も良くて日持ちするようなので、特産として宣伝したい」と前向きだ。確かにCO2は植物の光合成の原料の一つだから、その濃度が高いと反応速度が速くなりそうな気はする。シクラメンに関しては、奈良県農業技術センター H12報告書など、結構古くから奈良県で検討していたようだ。シクラメンは通常、ホルモン剤を使って色や花の育ちを良くする。しかし、室内に置かれることが多い花であり、同農協に出荷する生産者グループが「できれば薬剤を使わずに、自然に育てられないか」と検討。バラやイチゴで実績のある、炭酸ガスを吸わせて花を活性化する方法を思いついた。
県農業試験場(橿原市)が昨年、試験栽培したところ出来が良く、今年から商品化に踏み切ったという。
橿原市常盤町の生産者、脇山徳治さん(49)は約1万5000鉢のうち2000鉢で試みた。午前5時から3時間と、午後4時から1時間、2台のファンヒーターでハウス内で炭酸ガスを発生させて育てた。
「シクラメンは、イチゴやバラのように(炭酸ガスで)実や花の数が増えるわけではないが、色は鮮やかに感じる。ホルモン剤は霧吹きで噴霧しなければならず、手間もかかるので、CO2が軌道に乗れば効率も上がる」と、脇山さんは期待する。
同農協の別所矩佳参事は「色のさえが良く、値崩れしていない。これからの売れ筋になる予感がしている」と話している。
イチゴについては、群馬県の例や、兵庫県の例が見つかる。前者では炭酸ガスボンベでのCO2供給だが、後者は灯油を燃やして炭酸ガスを発生させるようで、写真を見ると、まさに植物工場といった雰囲気だ。
他には、バラや、メロンでも炭酸ガスを導入したハウス栽培が一般化しているようだ。いずれのケースもCO2濃度は750ppmが大体の目安となっているようだ。現在の大気中のCO2濃度のほぼ2倍というのが興味深い。
検索して見つけた、寝太郎という炭酸ガス発生剤なるものも、結構古くから使われているようだ。ここのリンク先の新聞記事を見ると、ハウス栽培ではハウス内の空気組成が一日の中で変動し、特に夕方にはCO2濃度がかなり低下するので、不足分を補充することは効果が高いという考えのようだ。
もっとも、この製品、100gの炭酸ガス発生剤50袋を10アールのハウスにセットして、50日くらい持つというが、これが全部CO2だとしても CO2発生量は最大でもトータル 2500Lにしかならないから、ハウスの内容積5000m3とすると、全量を一気にガス化しても 500ppm程度にしかならないから、いくらCO2が重くて下に溜まるといっても、この効果は限りなく気のせいかもしれない。。
地球温暖化関係で、CO2濃度と光合成速度の検討なども当然なされているが、この場合には、CO2濃度の上昇と共に光合成速度は増加するが、当然だけど限界があって頭打ちになっている。CO2濃度を高くすれば良いというものではないのだ。ということで、750ppm は理に適っているようだ。
この辺の詳細な検討としては、光合成の反応速度論が難解だが参考になる。要するにCO2だけが豊富にあっても、それを炭酸同化するための光合成酵素が律速となってしまうということのようだが、大気中のCO2が徐々に増えれば、植物中の光合成酵素も徐々に増加して、相乗的に光合成能力が増加していく可能性もあるかもしれない。
シクラメンといえば、WBSのトレンドたまごで紹介されていた、エコシクラメンなんてのもある。こちらは酸素放出能が通常の2倍だそうで。。
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