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2004/12/10

ハップマッププロジェクト?

Yahoo!ニュース経由の共同ニュース(12/10)体質の遺伝情報、ほぼ解読 国際ハップマップ計画

 体質の違いのもとになる遺伝情報を解明しようと、日米など5カ国が2002年10月から進めてきた「国際ハップマッププロジェクト」で、遺伝情報を記録したDNAの塩基配列のうち、目標の約60万カ所の解読が来年2月にも終わる見通しになった。日本の代表研究者、中村祐輔東京大医科学研究所教授らが10日、発表する。

 人の全遺伝情報を解読したヒトゲノム計画に次ぐ国際計画。病気のかかりやすさや薬の効き具合を左右する体質の遺伝的特質を示す「地図」を作るのが目的だ。最終的な地図は来年9月にも完成する予定で、体質に応じて病気の予防や投薬に当たるテーラーメード医療の基盤になると期待される。

 体質の違いは、塩基配列の1カ所の違い(一塩基多型)が関係していると考えられている。一塩基多型は、いくつかがセットになって親から子に受け継がれるため、セット単位で効率よく解析する手法で、約60万カ所の解読を進めてきた。

SNPsを利用したテーラーメード医療とかに関係する話のようだ。ハップマップという言葉が聞きなれないのと、ヒトの遺伝子は2~3万個の筈なのに、60万というのは多くないか?という疑問を感じて、わからないながらも調べてみた。正直言ってすごく難しい。 asahi.comにも記事が出ている。DNAの「測量図」づくりほぼ完成 個人別の治療へ一歩(DNA上の「測量図」、と言われても、よくわからない気がするのだが。。。)

まずは、ハップマッププロジェクトを調べてみると、理化学研究所のプレスリリースや、科学技術振興機構(JST)のプレス発表に、関連した解説が載っているが、ハップマップとはハプロタイプのマップのことで、個々のSNPをすべて解析するのではなくブロック単位で効率的に解析しようというプロジェクトらしい。(公式サイト(日本語)

さらに詳しい情報は、Natureのサイトに中村教授の解説記事が掲載されているが、専門的過ぎてさすがに理解するのが難しい。そもそもハプロタイプとは何かというところからの理解が必要のようだ。ざっと見てみたが、早大柳澤研の説明がなかなかわかりやすいみたいだ。他には、筑波大ユウバイオス倫理研究会のハップマップの説明や、国立医薬品食品研究所の解説などが参考になりそうだ。(が、理解できていない。。)

今回のハップマップは、個々のSNPと病気や体質との関係を直接結び付けるものではなく、そういったことと結び付けるためのとっかかりとなるデータベースということのようだ。一方で、過去に遡る解析にも使えるので、民族的なルーツを探ったりしていくのにも利用できるみたいだ。

この手の技術は前に進めていけば、必ず倫理的な問題にぶち当たる。しかし、倫理問題を考えるためにも、前提条件として、この技術では一体何がわかって、何ができ、何はわからなくて、何ができないのか? という基本的なことを理解する必要がありそうなのだが。

表面的にはここでのリンク先の説明で何となくわかるのだが、根本的な力不足を感じてしまう。やっぱり、お手軽な新書などの一般書ばかり読んでるし、しかもその土台の知識が何十年も前の高校の生物の授業の記憶だからなあ。。 これは一度、基礎から体系的な理解をする必要がありそうだ。。何かいい教科書か何かを探してみるか。

*冒頭の新聞記事のタイトル「体質の遺伝情報、ほぼ解読」はやや抵抗がある。「解読」を、そこに書いてある文字が読み取れた、という意味で使っているのだろうけど、そこに書かれている内容を理解して初めて「解読」と言えるような気がするのだが。。 (まあ、ヒトゲノムも解読しちゃったようだし、ここでは、遺伝情報を解読、と書いてあるから気になるのだとは思うけど。)
 

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コメント

大学生、大学院生向けの分子生物学テキストでは

細胞の分子生物学 第4版 (Newton Press)

がもっとも一般的な教科書です。厚い(約1700p)、高い(約2万)ですが、章を選んで読めば一般的な分子生物学の教科書としても使えます。生命科学に必要な基礎知識はほぼ網羅されています。

投稿: ある大学院生 | 2004/12/10 23:27

私が大学院生のとき、ようやくSNPsのデータベースが出来つつあったころです。不正確なものが大分混じっていて、「使えない」SNPsが3分の1ぐらいあったでしょうか。また、連鎖不平衡のデータは皆無でしたので、無駄もありました。「いくつかがセットになって親から子に受け継がれる」ため、理論上は一つの「セット」につき1個のSNPsを調べればいいのですが、どこからどこまでが「セット」であるのかわからないので、とりあえず全部調べたのです。今はもうそんな無駄はないでしょう。

連鎖不平衡とかハプロタイプとかいう話は、分子生物学よりも遺伝学になります。私は「ヒトの分子遺伝学」を愛用していました。分厚くて高いので、まずは、

形質マッピングホームページ
http://www.genstat.net/">http://www.genstat.net/

がお勧めです。その中の、

連鎖不平衡とは
http://www.genstat.net/ld.html">http://www.genstat.net/ld.html

にある、「小学校の1年生100名が横一列に手をつなぎ校庭の端から端へ走って移動するとする。最初のうちは列は完全につながっているが,あそこで転びあちらで手が離れ,最後には列はバラバラになるであろう。それでもなお,数人づつの手はつながっている場合が多い。」というたとえはよくできていると思います。「つながっている数人」が、「セット」です。誰から誰までの手がつながっているのかという情報があれば、その中のうち一人だけを調べれば無駄がでません。

投稿: NATROM | 2004/12/11 11:48

ありがとうございます。

ある大学院生さんがご紹介していただいたのは、http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4315517305/ref=ase_doyouthinkfor-22/250-7024871-8999416">この本(amazon)ですね。1681ページ! 下手な電話帳よりも厚そうです。。 さすがにこんな本を買っても豚に真珠になりそうです。

NATROMさんの使われたのは、http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4895922790/ref=ase_doyouthinkfor-22/250-7024871-8999416">この本(amazon)でしょうか? 値段も頁数も半分以下みたいですが、表紙はこっちの方がカラフルですね。。

って、そういう問題ではない?

ご紹介いただいたサイトも見てみました。手をつないだ子どもたちのたとえ話を読んだ後で、中村教授の書かれた解説を読んでみると、少しだけ理解が深まったみたいですが、まだ頭の中がクリアにならないようです。(理解力がないだけか??)

さすがに、このクラスの本を中身も見ずにネットで注文するのは怖いので、専門書の豊富な本屋さんや図書館で色々と見てみることにしましょう。

そういえば、MSN-Mainichi INTERACTIVEに、http://www.mainichi-msn.co.jp/kagaku/science/news/20041211ddm016040057000c.html">生命科学:用語を平易にネット解説 データベースを公開--国立情報学研という記事が載りました。

国立情報学研究所は、生命科学分野の用語を分かりやすく解説したデータベースを公開した。

 「青いバラ」「BSE(牛海綿状脳症)に感染しない牛」など、最近の日本発の研究を研究者自身が解説。登場する「ゲノム」や「遺伝子」などの専門用語を辞書で調べたり、さらに学びたい場合の検索機能を工夫した。随時更新して内容を充実させ、最終的には「探したい情報にたどり着け、誰にでも理解できる」ことを目指す。http://www.bioportal.jp

ということで、さっそく http://www.bioportal.jp">Jabion 日本語バイオポータルサイトを覗いてみましたが、少なくとも「用語辞書」は期待はずれですね。

投稿: tf2 | 2004/12/11 18:05

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