省エネ自販機
NIKKEI NET(12/13)の記事。自販機、消費電力35%減・松下電器が開発
松下電器産業は世界で最も消費電力が少ない飲料用の自動販売機を開発した。空気中の熱を取り込む特殊な小型ポンプなどを活用し、既存自販機に比べて消費電力を35%抑えた。国内では飲料自販機が290万台稼働し、約130万世帯分に相当する電力を使っている。環境対応型の自販機として、来春にも製品化する。という記事。自動販売機では、持続可能なチャンネルで 自動販売機不買運動について書かれている。まあ、自動販売機を作るメーカーとしては、やっぱりこういう方向に精一杯頑張るしかないんだろうなあ、とつくづく思う。でも、それはそれとして、どんな理屈を付けようが、消費電力という観点からは、自販機および飲料を減らす方向がベストな選択であることは揺るがないだろう。何といっても、どうしてここに自販機があるんだ?というケースや、何もこんなに沢山自販機を並べなくてもいいだろうに、というケースが多すぎる。これまでの飲料自販機はヒーターで加温していた。松下は「ヒートポンプ」と呼ばれる小型圧縮機を使い、常温の空気が持つ熱エネルギーを活用して加温する仕組みを開発。冷却には従来と同様に専用の圧縮機を使うが、機構を改良して冷却効率を13%高めた。内部が三室に分かれた標準的な自販機の場合、年間の消費電力量は既存機種より35%少ない約900キロワット時となり、電力料金を年1万円程度減らせるという。7年間使用した場合の二酸化炭素(CO2)排出量も3076キログラムと同55%削減できる。また、圧縮機を小型化することで騒音の大きさを従来機種に比べて3割低下させ、室内でも設置しやすくした。2006年度に2万台の販売を目指す。
とは言え、少し現状を調べてみると、日本自動販売機工業会や、全国清涼飲料工業会のサイトで関連情報が公開されている。ざっと、まとめてみると国内の自動販売機は全部で約550万台、その内飲料用が約260万台。1台当たりの年間消費電力は約2600kWh、全部で約74億kWh。国内総電力消費量に対する割合は、0.7%程度で大したことはない、という主張のようだ。
もちろん、自販機の省エネの取り組みはいろいろなされているようで、富士電機リテイルシステムズによると、10年間で何と60%以上の省エネが達成されているようだ。中でも、知らなかったのがエコベンダー。一番暑くなる夏場の昼間に電気を止めちゃうというのだから、確かに逆転の発想だ。
一方、全国清涼飲料工業会の自販機の省エネルギー対策によると、この10年の消費電力の削減は約30%ということで、先の富士電機の数値とは随分違うようだが、今後も全体としての消費電力は順調に減っていくと予想しているようだ。
ところで、松下が自動販売機を作っているとは全く知らなかったのだが、松下のサイトで探しても、何故か自動販売機関係の情報は見つからない。日経の夕刊には、前述の記事の末尾に
国内の自販機市場(2003年)は富士電機ホールディングスが45%でトップ、松下は23%で二位。とある。トップの富士電機の富士時報 2004/01によると、まだまだ自販機の対環境性能の改良は続くようだけど、
2003年4月からは自動販売機が冷蔵庫やエアコンと同様に「エネルギーの使用の合理化に関する法律」(省エネルギー法)の特定機器に指定され、省エネルギーの達成目標値が規定される(省エネルギートップランナー方式)。2005年度には2000年度に比べて加重平均で約30%の電力消費量削減を達成するという目標値が設定された。ということが背景にあるようだ。他にも、グローバルクーリング・ジャパンという会社が、エコバルブなんて商品を展開していたりで、今後も省エネ競争が続きそうだ。もっとも、例えば 3割省エネを達成するのと、3割自販機の台数を減らすのは、どちらが簡単なのか、どちらがより社会に影響を与えるのか? は良く考える必要があるだろう。
それにしても、冒頭の日経の記事に出てくる数字がよくわからないものばかり。
・年間消費電力を35%削減して900kWh
削減前が1385kWhということは、何故か平均的な機種の約半分程度にすぎない??
・CO2排出量が7年で3076kg CO2原単位を0.38kg-CO2/kWhとすると
7年で3076kg-CO2ということは、1年平均で 1156kWhとなるけど、この数字は何だろう?
・CO2発生量を55%削減
で、どうして55%も減るんだろう??
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