鉄・ビタミンを付加したコメとマイナスイオン米
MSN-Mainichi INTERACTIVE(1/24)の記事。雑記帳:あきたこまち主体の栄養機能食品から。
◇秋田県大潟村の米販売会社「大潟村あきたこまち生産者協会」(涌井徹社長)が、米にビタミンや鉄分などを加えた栄養機能食品を開発、2月20日から全国のスーパーなどで販売する。というもの。日刊工業新聞のニュース(1/26)では、◇あきたこまちや発芽玄米など計21種類。ビタミンB1、B6などを含ませた水分を米に吸収させるなどした。味などは通常米と変わらない。
◇同社は米を消費者に産直する仕組みにいち早く着手し、販路を確保した実績もある。健康ブームに乗り、米の消費拡大につながるか。
同社は商品の信頼性向上と市場開拓のため、03年に技術開発に着手し、鉄分やビタミンの栄養成分を水に溶かしてから、コメに吸水させる方法を確立した。栄養成分量が規格基準に満たない場合は、栄養成分をスプレー状にしてコメに吹き付け、コーティングする。とあり、価格は発芽玄米が1キロ1000円前後、無洗米が2キロ1200円前後とのこと。
残念ながら、大潟村あきたこまち生産者協会には、まだこの商品に関する情報は載っていないようだ。ここは、名前は「協会」だが、実は株式会社で、大潟村で生産したコメを中心に、その品質管理を徹底させると共に、新たな付加価値を付けることを狙っているようだ。ホームページを見ると、精米装置や分析装置に相当にお金を掛けていることが見て取れる。
ところで、ここで見つけたのが、マイナスイオンの発芽玄米とか、工場まるごとマイナスイオンというページ。工場の天井にマイナスイオン発生器を設置し、コメのタンクや水のタンクにもマイナスイオン供給棒を設置、マイナスイオン精米やマイナスイオン玄米が出来上がるようだ。電解水を使っているわけでもないし、単に棒をタンクに入れただけでは、まあ何も起こっていないと考えても良さそうだ。何故にこんなことになったのか。。
こちらには「マイナスイオン米について菅原明子さんよりご指導いただきました。」とある。 この人は、疑似科学批評でも取り上げられている、その方面では有名なマイナスイオン推進派疑似科学者3名のうちの一人。その菅原さんのHPの、今月出会ったオモロイ人々で、この大潟村あきたこまち生産者協会の社長さんが出てくる。なんと、マイナスイオンの設備投資に1億円も使ってしまったようだ。。。
多分、このお米は随分手を掛けて作っているようだし、品質管理もしっかりしているようだから、おいしいだろうし、いいお米なのだろうと思うのだけど、マイナスイオンをうたい文句にしなくたって十分に価値があるはずだ。もしもマイナスイオンを使っていなかったら買ってもいいかな、と思うのはひねくれすぎだろうか?
一方、今回のビタミンと鉄分を付与したコメはどうだろう? まあ、確かに別にサプリメントで摂るくらいなら、最初から一緒になっていても良いのかもしれないけれど、「栄養成分量が規格基準に満たない場合は、栄養成分をスプレー状にしてコメに吹き付け、コーティング」するというのは、やりすぎのような気がするなあ。(こうしないと、栄養機能食品として表示ができないのだろうけど。) 一般の消費者も、さすがにビタミンや鉄分を後から吹き付けたコメを、喜んで食べるだろうか? むしろ、その人工的な操作を嫌いそうな気がするけど。。 是非はともかく、みなさん「天然」が大好きみたいだからなあ。
そもそも玄米は白米と比べて鉄分やビタミン類が元々多いのだから、敢えて増やす必要があるのだろうか? そういう意味で、お米へ付加価値を付けることに熱心なのはいいけれど、マイナスイオンといい栄養機能成分の付加といい、狙い目が少しずつずれてしまっているようで残念な気がする。
なお、栄養機能食品については、厚生労働省の解説にあるように、ビタミンや鉄分といった成分を含んでいれば、各食品を個別に許可や届出することなく、栄養機能を表示することが許されているもの。
もっとも、楽天市場でみると、(普通の)マイナスイオン発芽玄米が 1kg 1,396円だから、ビタミンや鉄分で強化した今回のコメの方が安いみたいだ。(普通のおコメに比べれば高いけど)
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コメント
こんにちは。なかなか興味深かったです。「玄米は元々微量栄養素が多い」との指摘、もっともです。
わたしは玄米菜食の人なのですが、もしお米に付加するとしたら、ベジタリアンに不足しがちなビタミンDとB12を何とかして欲しいです。かなり難しそうですが……。
投稿: 石倉由 | 2005/01/30 14:09
よく読むと
なんて書いてあります。玄米は普通の白いおコメよりもよく噛んで食べないと駄目なのだそうです。それにしても、わざわざ玄米食を心がけるような、食生活への関心の高い人たちでも、無理やりおコメに栄養成分を後付けするような「不自然」なものを望むんですか? 微妙なものですねぇ。。
投稿: tf2 | 2005/01/30 23:17
弊社の記事を無断転載しています。
使用許諾お取りになるか、即刻削除して下さい。
投稿: 日刊工業新聞社 | 2005/02/01 11:39
コメントありがとうございます。日刊工業新聞社さんのサイトは、他では得られない情報が載っているのでいつも読ませていただいてます。ただ、過去の記事が一切読めないのがとても残念に思います。
さて、「無断転載」というご指摘ですが、私としては著作権法で許される「引用」のつもりでした。文化庁のhttp://www.bunka.go.jp/8/2/VIII-2-C.html">著作権制度の概要によると、引用として許されるのは、
(1)他人の著作物を引用する「必然性」があること。
(2)かぎ括弧をつけるなど,「自分の著作物」と「引用部分」とが区別されていること。
(3)自分の著作物と引用する著作物との「主従関係」が明確であること(自分の著作物が主体)。
(4)「出所の明示」がなされていること。
の4つの要件を満たすことと考えられているようです。私の記事が、このうち(2)~(4)の条件を満たしていることには同意いただけるのではないかと思います。
問題は(1)だろうと思いますが、引用範囲の「必然性」を客観的に判断するのは極めて難しいことだろうと思われます。特に、この程度の長さの記事は、必要十分な情報がコンパクトに盛り込まれているという点で、全文を引用することが必要だと私は考えてます。しかしながら、本当に全文を引用する必然性があるのか? と問われると、そこには議論の余地があるだろうことは十分に予想されます。
ということで、この点で争うのも無益ですので、当該記事を一部修正いたしましたので、ご確認ください。なお、同様の案件で、悪徳商法?マニアックスでのhttp://beyond.2log.net/akutoku/archives/qa/pslg90601.html">新聞記事と著作権の議論なども参考になるかと思います。
投稿: tf2 | 2005/02/01 13:24
確か図書館での複製は、原本の半分以上はできないということになっていたと思います。そのように、引用の場合でも、やはり全文を引くのは公正な利用の範疇を超えてしまう可能性があると思います。
記事の半分以上にあたる情報は一部改変の上で間接話法で紹介する、というのも著作権侵害になってしまうのであればちょっとどうしようもなくなってしまいますけどね。
投稿: ESD | 2005/02/02 04:05
著作物といっても色々ありますから、俳句や短歌などは全文を引用することが認められるようです。(http://www.houtal.com/journal/netj/01_3_15.html">参考) まあ、私の引用の仕方に問題が全くないとは言いませんけど。
全文引用はまずくて、部分引用なら問題ないのだとすると、例えば、一つのニュースに関する各紙の記事から少しずつ情報を切り取って貼り合わせるという方法も考えられますが、単純に手間が掛かるのと、複数のニュースソースがないと使えないのが問題です。(本当にこの方法なら問題ないのだろうか?)
実は、単純にニュースにリンクを張るだけにした方が、著作権の問題もクリアできそうですし、ブログの記事もすっきりするので好ましいのですが、いかんせんリンク切れの問題があります。数ヵ月後に記事を見たときに、元のニュース記事が読めないと何がなんだかわからなくなります。できればそれは避けたい。ということで悩ましいものです。
*紙媒体の新聞を有料で購読していても、その新聞社の記事データベースへのアクセス権さえ与えられないのはちょっと悲しいと思うし、新聞社がネットをどういう位置づけで活用しようとしているのか、よくわからないです。
投稿: tf2 | 2005/02/02 20:08