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2005/01/28

シアル酸のど飴

NIKKEI NETのプレスリリース(1/27)で見かけた記事。クラレファミリー製品、14種のハーブやビタミンCを含む「シアル酸のど飴」を発売

おいしく食べて体も喜ぶ「シアル酸のど飴」新発売

 各種健康食品や化粧品などを販売しているクラレファミリー製品株式会社(本社:大阪市、社長: 高本義和、TEL:06-6348-9905)では、このほど牛乳由来の健康素材シアル酸をはじめ、プロポリス、緑茶エキス、シジュウムグァバ・ペパーミントなど14種のハーブ、ビタミンCを含む「シアル酸のど飴」を商品化し、2005年2月1日から新発売します。

 シアル酸は母乳(初乳)などの乳タンパクや、中華料理の高級素材である海燕(うみつばめ)の巣などに含まれる成分です。また、ヒトの細胞表面や唾液などにも存在しています。

 このシアル酸は、外敵とくっつきやすい性質を持っています。通常、外敵は細胞表面のシアル酸部分のアンテナにくっつき、そこから細胞内に侵入します。ところが、母乳などで外部から取り入れたシアル酸は、そのアンテナとそっくりのおとりアンテナを持っています。そのため、外敵はおとりアンテナとくっつき、そのまま体外に排出されるわけです。

 その作用を応用し製品化したものが、この「シアル酸のど飴」で、おいしく食べて体も喜ぶ健康のど飴です。風邪が気になる方、のどのイガイガが気になる方、のどをすっきりさせたい方などにお勧めいたします。

クラレのニュースリリースにも同じ記事が載っている。クラレファミリーという会社は、各種健康食品や化粧品を会員制で販売しているようだ。

ここのところ、健康食品関係で、次から次へと新たな「物質」が取り上げられている。恐らく多くの消費者はその物質がどんなものなのかなんて全く知らないけど、何度も見たり聞いたりするうちに、何となく良さそうに思うのだろう。今回は「シアル酸」だ。

シアル酸を調べてみると、脂質と血栓の医学に、シアル酸(sialic acid、主としてN-アセチルノイラミン酸)は酸性のアミノ糖であると書かれ、化学式も載っている。シアル酸という特定の化合物があるのではなく、グループの名称のようだ。

調べてみると、シアル酸研究会というものがあり、「まさに、シアル酸こそは21世紀を担う創薬科学の中心リード化合物となるでありましょう。」なんて書かれている。「シアル酸は生体内で、単体のほか、複合糖質の構成成分として、細胞膜表面のオリゴ糖の末端に存在して、重要な生物学的機能を担っている。」ということで、クラレのリリースの説明とも一致する。ただ、ここのサイトの情報はとても詳しいが、難解な文章が続きわかりにくい。とても真面目に取り扱っているとは言え、燕の巣(燕窩)の効能を楊貴妃が食べていた話と絡めている当たり、やや怪しい雰囲気もないではない。

ということで、健康食品業界が放っておくはずもない。燕の巣そのものや、海燕の巣入りコハク飴などのように、楊貴妃やシアル酸をキーワードにして宣伝しているようだ。結構高価なものだ。

ベビー用品のコンビも、コロカリアという燕窩素材を売っているが、ここには、ヒトの唾液、ローヤルゼリー、燕の唾液中のシアル酸の比較が載っていて、燕はヒトの1670倍、ミツバチの200倍ということらしい。これって燕の唾液中の濃度なのか、燕の巣の濃度なのかが不明確だな。それにしても、燕の唾液(だけ)にシアル酸がそんなに大量に含まれているのは何故なのだろう? コンビのプレスリリースには、

燕窩に非常に多く含まれている糖質の一種「シアル酸」は、インフルエンザウイルスを はじめとする様々なウイルスや菌と結合する事が多くの研究により知られています。 「コロカリア」もこのシアル酸の働きにより、ウイルスなどが生体に感染する前に、病原菌を吸着させ感染を防御する効果が期待できます。
と、クラレの説明と同様のメカニズムが書かれている。日本医師会のサイトでもインフルエンザQ&Aで、「インフルエンザウイルスがヒトに感染した場合は、鼻腔や咽頭粘膜表面の上皮細胞にあるシアル酸に吸着し、エンドサイトーシスにより細胞に取り込まれ」とあるから、この辺のメカニズムはそれなりに正しそうだ。

でも、この飴をなめることで、そんなに簡単にインフルエンザが予防できるものかどうか?? それなら、ワクチンなんか必要なくて、みんなにのど飴を舐めてもらうだけでいいだろうに。

でも「シアル酸」は確かにこれから流行するかもしれない。覚えておこう。

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コメント

確かにインフルエンザウイルスのレセプターはシアル酸なので飴にウイルスが吸着しなくはないですが、ちょうどウイルスが感染する時に運良くこの飴を舐めてないと意味がありません。結局は気休めかなと思います。

投稿: ある大学院生 | 2005/01/28 22:45

まあ確かに気休めでしょうね。でも、病は気からとも言うしなあ。

イメージとしては、日常的に多くのウイルスが漂っている空気を吸ったり吐いたりしているけど、通常は防御システムの働きで病気にならずに済んでいるのだろうと思っているのですけど。

だとすると、体が元気な時は、この飴を舐めなくても別に問題ないわけだし、逆に感染しやすい状態の時は、この飴で多少体内に入り込むウイルスを減らしても、焼け石に水かな、と思ったりもしてますが。。

投稿: tf2 | 2005/01/30 23:10

ウィルスを吸着するNアセチルノイラミン酸には型があります。トリインフルエンザウイルスがN何型H何型などといわれている由縁です。ツバメのNアセチルノイラミン酸はインフルエンザウィルスとの親和性が強いがその他のシアル酸にはそのような作用は報告されていないと思います。昨年TBSのスパスパ人間学で静岡県立大学の先生が紹介されたのはツバメのシアル酸でした。ウイルス感染予防のためにはいかに口の中に長く留めておくかがポイントだと思います。l

投稿: 昔の研究者 | 2006/01/31 17:20

昔の研究者さん、コメントありがとうございます。なるほど、ツバメのシアル酸であることに科学的な意味があるわけですね。

改めて読み返してみると、この記事はほぼ1年前のものなのですね。残念ながら、現時点ではシアル酸の知名度は今一のようですし、シアル酸のど飴も実物を見たり、口に入れたこともありません。

投稿: tf2 | 2006/01/31 20:15

燕の巣はあの世界三大美女の楊貴妃も飲んでいたとのことで有名な健康美容食品だそうです。

http://hongkong-bird-nest.50webs. com

投稿: sayaka_matsuno916@yahoo.co.jp | 2010/03/13 02:54

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