がんと食生活の関係2題
食生活と健康の関係は、日本だけでなく欧米でも注目の的のようで、Google News を見ていると、日本では何故か全く話題にならないけど、向こうでは結構大きな反響のある記事が時々載るようだ。
今週は、オリーブオイルで乳がんリスクが減少というニュースと、赤肉は発がんリスクを上昇というニュースがにぎわっている。
前者のオリーブオイルのニュースは、Technology Newsによると、地中海で乳がんが少ない理由はオリーブオイル中のオレイン酸に効果があるということがわかったようで、
Researchers from the Northwestern University Feinberg School of Medicine in Chicago conducted a series of tests to find what effect oleic acid, which is found in olive oil, had on breast cancer cell lines.オレイン酸が Her-2/neu という「がん遺伝子(oncogene)」を減少させるようだ。"the Mediterranean diet"という言葉が出てくるので、試しに「地中海ダイエット」を調べてみると、日本でもそれなりに知られているようだ。They discovered that oleic acid dramatically cut levels of Her-2/ neu -- a cancer-triggering gene called an oncogene. High levels of Her-2/neu appear in more than a fifth of breast cancer patients and are linked with highly aggressive tumors.
オリーブオイルと生活習慣病には、乳がんも含めて、その他色々なオリーブオイルの効果が紹介されている。地中海ダイエットの極意は十か条にあるようで、確かに通常の意味でのダイエットというよりは、健康的な食生活の勧めみたいなもので、悪くはなさそうだ。
もっとも、平均寿命世界マップを見ても、特に地中海地方が長生きには見えないので、これだけで長生きできるというものでもなさそうだ。また、乳がんの罹患率についても、固形癌の地域・人種差を見ると、日本は比較的低い方のようだから、オリーブオイルが日本人にとっても同じように効果的かどうかはわからないだろう。
後者の赤肉のニュースは、Local10.comによると、ハンバーガー、ステーキ等のいかにもアメリカ人が好きそうな肉類を多量に摂取する生活をしている人々は、直腸結腸がん(colorectal cancer)に罹るリスクが大幅に高いという調査研究を紹介している。
Researchers at the American Cancer Society surveyed about 150,000 people about their eating habits and health status. Study participants filled out questionnaires in 1982 and 1992, and researchers followed up on their health status until 2001.とあり、15万人について食生活と健康の調査を行った結果のようだ。赤肉を多く食べるグループ(ビーフ、ポーク、ラム、ベーコン等の肉を、男性の場合で 1日 3オンス(約 85g)、週に 9回以上食べる人達)は、それ以外の人達よりも直腸結腸がんになるリスクが30~40%高かったとのこと。(思ったよりも肉の摂取量が少ないような気がする。。)They found that people who ate a lot of red meat had a 30 to 40 percent higher risk of cancer of the rectum and lower colon than those who ate a little.
The researchers defined red meat as beef, pork and lamb, and processed meat included cold cuts and bacon. High consumption meant eating such food about nine times a week, with a serving size of about 3 ounces a day for men -- about the size of a large fast-food hamburger. The findings are published in Wednesday's issue of the Journal of the American Medical Association.
リスクを減らすには、ビーフをチキンや魚に変え、赤肉は週に2回程度まで減らすのが効果的であり、しかもこれらは肥満を抑制する効果もあるので、心臓病等の抑制にもなり、お勧めだと書かれている。まあ、アメリカ人の食生活が、もう少し質素で良質なものになることは、色々な意味で世界にとって好ましいことだと思える。(これで単に健康になるだけでなく、対外的な攻撃性も弱まってくれるともっといいのだが。。)
The Washington Timesにはもう少し詳しい調査結果が載っている。なお、アメリカでは直腸結腸がんはがんの中で3番目に多いらしい。もっとも、相当に異なる食生活をしているであろう日本でも、国立がんセンターによると、特に結腸がんが意外に多いので、そんなに単純な話ではないという気もする。
結局、ベースとなる食生活を始めとする生活習慣が大きく異なる他国の話をそのまま持ってきても、どんな結果となるのか一概には言えないだろうということか。その意味ではこのニュースが二つとも日本では一般紙で報道されていないのは、悪いことではないのかもしれない。
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コメント
日本でも肉食が増えた頃から大腸ガンが増えたという話は聞いたことがあります。
ただ、これだけ「発ガン性」を持つ可能性の高いものを無警戒に食べている一方で「化学物質」には異様に反応する人が多い現状を見ると、もう少し何とかしたいと思いますね。
投稿: ESD | 2005/01/13 00:47
健康志向は別に悪いことではないと思うけれど、皆さん一体何歳まで生きるつもりなのでしょう?
そんなに健康に長生きしようとするのなら、ついでに、数十年先の世界がどんな世界になりそうなのか、もっと想像力を働かせて欲しいですね。その結果、健康志向→持続性のある社会志向へとみんなが向かうといいのですけど。。
投稿: tf2 | 2005/01/14 01:14