32000年前の微生物が蘇生
asahi.comの記事(2/24)。3万2千年ぶりに目覚めた 太古の微生物、NASA発表
アラスカの永久凍土の中で見つかった約3万2000年前の微生物が、氷がとけると活動を始めた。米航空宇宙局(NASA)のマーシャル宇宙飛行センターが23日、発表した。NASAによると微生物は新種で、太古の微生物が生きたまま封じ込められていたのは極めて珍しいという。どんな微生物なのか書かれていないが、大昔の微生物が突然現代に生き返るというのは、SFチックなイメージの膨らむ話である。NASAのサイトを探したのだが、該当する記事がみつからない。LIVE SCIENCEに、少し詳しい情報と問題の微生物の写真が掲載されている。微生物は、常に零下4度に保たれている永久凍土の中で00年に見つかった。約5年かけて分析したNASAの研究者によると、マンモスやサーベルタイガーと同じ時代の更新世の氷河期のものとみられる。永久凍土のサンプルを顕微鏡で詳しく観察すると、氷がとけた水の中を微生物が泳ぎ始めたのが確認された。
今回の件とは別に、欧州宇宙機関(ESA)は23日、火星の赤道付近に氷の海が存在していると発表している。NASAの研究者は「火星の氷の中にも、微生物が生きたまま封じ込められているかもしれない」とロイター通信に語った。
朝日の記事では「泳ぎ始めた」と書いてあるから、鞭毛とかがついたような生物をイメージしたのだが、写真を見るとそうでもない。どうやらバクテリアの一種のようで、学名は Carnobacterium pleistocenium と書かれている。Carnobacterium属とは乳酸菌の一種だ(参考:よつ葉マガジン 用語集)。この学名で調べてみると、NASAの研究者がこのバクテリアに関して書いた論文の要旨がみつかった。
アイスコアの微生物分析に書かれているように、ヒマラヤや北極の氷河のアイスコアからさまざまな生物が見つかっているようだが、今回のように生き返ったというのは初めてのことらしい。
大昔に地球上で生存していたけど、現在は存在しない生物が生き返るというのは面白い状況だ。(大掛かりな話としては例のマンモス再生計画みたいなのもあるけど。)今回のサンプルは汚染のないように厳重に管理されているのだろうが、考えてみれば、自然に氷が解けて生き返ることもありえない話ではないし、遺伝子プールという観点からは、なかなか興味深いものがありそうだ。
先のLIVE SCIENCEのニュースからリンクされていたWild Things: The Most Extreme Creaturesに書かれているように、微生物はとんでもないと思えるような環境中にも生息しているわけで、火星やエウロパなどに似たような微生物がいてもおかしくないという話も確かに否定できない。
もっとも、一旦凍った生物が温度が上がって解けたら動き出すってのは聞く話。とすると、別に数か月後であろうと何万年後であろうと同じことだという気もする。問題は如何に良い状態が長期間保存されているかということの方だろうか。。
ただし、たまに見聞きすることのある、金魚を液体窒素で凍らせるデモンストレーションは、水商売ウォッチング掲示板の金魚の蘇生スレッドで紹介されているように、表面だけを急速冷凍し、内部は普通に生きている状態ですぐに解凍したりするらしいので、あまり素直に信じ込まない方が良さそうだ。しかし、このツリーの生物の凍結生存で紹介されているように、それなりの条件を満たせば凍結されても死なない生物は結構いるんだそうだ。
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