ヴィッツの環境性能
nikkeibp.jpの環境ニュース(2/2)。トヨタ、独自の環境評価システムを活用し「ヴィッツ」改良
トヨタ自動車は、「ヴィッツ」をフルモデルチェンジし、1日、全国のネッツ店を通じて販売を開始した。というものだが、トヨタの最新の「総合環境評価システム」とはどんなものか? トヨタのサイトの、新型車技術広報資料によると、この Eco-VAS システムは、トヨタ社内での新型車開発プロセスのマネジメントシステムのことらしい。2代目となる「新型ヴィッツ」は、走行・安全性能といった基本性能に加え、居住性・機能性・品質などあらゆる面で徹底的に向上を図ったという。
開発に当たっては、トヨタ独自の総合環境評価システム「Eco-VAS(エコバス)」を初めて活用。開発初期段階からリサイクルまでのあらゆる面で環境負荷物質の低減目標を設定し、各段階での環境影響をバランスよく減少させた。また、ライフサイクルアセスメント(LCA)を実施し、走行段階だけでなく、生産から廃棄するまでの全段階で排出する二酸化炭素(CO2)や大気汚染物質の総量を低減した。
新型ヴィッツは2WD全車で国土交通省の低排出ガス車認定制度における「2005年基準排出ガス75%低減レベル」「2010年度燃費基準+5%」を達成するなど、クラストップレベルの環境性能を実現しているという(日経エコロジー編集/EMF)。
ヴィッツはトヨタ車の中でも最も排気量の小さなクラスだから、燃費も排ガスのクリーン度も相当に優れているのだろうと思いきや、ここに載っているLCAのグラフを見る限り、4年前の同クラス車と比べての改善は意外と小さい。(とは言え、ざっと見てCO2排出量は10%程度削減されているようだけど。。)
ビッツの紹介ページの環境仕様というところを見ると、LCAの内訳が、素材製造から廃棄までの各段階に分けて表示されている。これを見ると、各排出物共に走行時の排出量は減少しているのだが、製造時の排出量が増えているようだ。水銀、鉛、カドミウムや塩ビの使用量を相当に削減しているので、その影響が出たのだろうか? ちょっと気になる。(それにしても、塩ビの削減は本当に必要だったのか?)
今回は平成22年度の燃費基準を5%上回る性能とのことだが、国土交通省の燃費基準を見ると、基準値は車両重量別に決められており、ビッツの場合は、基準値が16.0km/l、実際の燃費が最高24.5km/lであり、実は50%以上も基準値を上回っている。ただ、自動車の燃費性能に関する公表のように、基準を5%クリアするとその表示が可能となるということらしい。実は結構多数の車種が既にクリアしており、これだけならそれほど自慢できるものでもないようだ。
F1ドライバーの佐藤琢磨選手がCMで「燃費こそ環境性能だ」と言っているホンダの場合は、環境レポートによると、2005年中に全ての車がクリアするようだ。 この調子だと、もっと高レベルの目標を設定したり、本当に高性能の車をきちんと評価するシステムが必要のように思われる。
低燃費カーといえばハイブリッド車が注目の的で、世界的な潮流となりそうだ。実際、プリウスなどはヴィッツよりもクラスが数段上のはずなのに、カタログ燃費は35.5km/lと圧倒的だ。ヴィッツの最高燃費24.5km/lはアイドリングストップ機能がついている1.0Lエンジン車のものであり、プリウスのエンジンは1.5Lなので、これだけ違うということは、減速時のエネルギー回収と、加速時等のモーターでの適切なアシストの効果ということか。。
プリウスのLCAについては、環境仕様で見ることができるが、これをヴィッツと比較しようとすると、絶対値が書かれていないのですぐには比べられない。しかし、両車の燃費やNOx等の排出量は公表されているので、換算しようと思えば比べられそうだ。トヨタさんも、こんな中途半端なことをせずに絶対値を公表すればよさそうなものだが、儲けの大きい大型車の環境性能が見劣りすることを恐れているのだろうか?? そういうこともあってか、トヨタもこれだけ環境への取り組みをアピールしていながら、各車の環境性能を一覧できるような表やグラフは全く存在しないようだ。
プリウスの環境性能やLCAについては、安井先生のサイトのエコプレミアムラボで、プリウス環境負荷はどのぐらい低いで考察されている。自身がプリウスのオーナーということもあり、さすがに非常に充実している。しかし、いつの間にかこのページはトップページからのリンクがなくなってしまっているようだ。
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