レバ刺しで食中毒
YOMIURI ON-LINE(2/9)の記事。「レバ刺し」食中毒のおそれ、厚労省HPで注意促す
「レバ刺し」として食べられている生食用の牛の肝臓に、下痢や腹痛などを引き起こす食中毒菌カンピロバクターが存在することが、厚生労働省研究班の調査で分かった。ということで、厚生労働省のホームページに載ったのは、牛レバーよるカンピロバクター食中毒予防について(Q&A)。肝臓表面の洗浄だけでは除菌されないため、厚労省は、抵抗力の弱い高齢者や乳幼児が食べないように注意を促すことを、近く都道府県などに通知する。1問1答式の注意文書も、厚労省ホームページに載せる。
研究班は、全国9か所の食肉衛生検査所で、生食用に処理された牛の肝臓を調べた。その結果、胆のう内の胆汁で236検体のうち60検体(25・4%)、胆管内の胆汁142検体中31検体(21・8%)からカンピロバクターを検出。胆汁は肝臓でつくられるため、肝臓内部も汚染されていることが証明された。
カンピロバクターは消化管で増殖することから、従来は肝臓には存在せず、内臓を処理する際に肝臓表面に付着すると考えられていた。
研究班は「汚染は、消化管から胆のうへ、さらに肝臓の胆管へ移行すると考えられる。肝臓内部がカンピロバクターに汚染されていることなど、十分な情報提供が必要」と指摘。ただ、カンピロバクターは加熱すると死滅するため、厚労省は「レバーの内部までよく火を通せば、食中毒の危険はない」としている。
◆カンピロバクター=牛や豚、鶏などの消化管にいる細菌。食肉や飲料水を汚染し、少ない菌量でも発症するのが特徴。腹痛や下痢、発熱などを起こすが、重症化するケースは少ない。乾燥に極めて弱く、65度以上の加熱で死滅する。2003年の同菌による食中毒件数は491件(患者2642人)で、原因別では最も多かった。
読売新聞の記事では、レバ刺しが危険であるということを指摘しているのだが、厚労省のQ&Aには、実際にこのカンピロバクターによる食中毒の発生状況について、「2003年に発生したカンピロバクター食中毒のうち、原因食品として鶏肉が疑われるものが89件、牛生レバーが疑われるものが10件認められています。」とあり、鶏肉が結構多いようだ。そもそも、この食中毒の症状が、
症状については、下痢、腹痛、発熱、悪心、嘔吐、頭痛、悪寒、倦怠感などであり、他の感染型細菌性食中毒と酷似します。多くの患者は1週間で治癒し、通常、死亡例や重篤例はまれですが、若齢者・高齢者、その他抵抗力の弱い者は重症化の可能性が高いことに注意が必要です。また、潜伏時間が一般に2~5日間とやや長いことが特徴です。とあり、おなかをやや激しくこわしたという程度のようにも見えるし、意外と多数の人がこの食中毒になっているけど、気付かないだけだったというような気もしないではない。それにおなかこわしたら、何が悪かったのかを考えるだろうけど、5日も前に食べたレバ刺しに当たった、とは普通は考えないだろうなあ。。
カンピロバクター菌(campylobacter)については、こちらなどに書かれているように、とってもポピュラーな食中毒菌のようだ。カンピロバクターって?によると、やはり鶏肉がらみでの食中毒が多いらしいから、牛レバだけでなく、鶏刺し、鶏レバ刺しなんかを食べる人は用心するべきだろう。最近はやりの(?)ノロウィルスは貝類が原因のケースが多いようだが、症状はカンピロバクターとも似ている。ただしこちらの潜伏期間は24~72時間と短いようだ。
ということで、レバ刺しには従来からカンピロバクター菌による食中毒の可能性が潜んでいたが、それは、あくまでも調理の段階での二次汚染によるもので、きちんと管理された調理をすれば牛レバ自身は安全であると考えられていたようだ。しかし、今回これが間違いで、牛の肝臓内にはカンピロバクターが存在する可能性があるということらしい。
食中毒になる菌の数が100個程度とのこと。今回の調査では牛の肝臓のうちカンピロバクターを検出したのが11%で、検出された肝臓では 1g当たり数十個の菌が見つかっているから、普通に食べれば菌の数としては十分な量に達するようだ。ということは、牛レバ刺しを食べて食中毒になる確率は10%程度ということかな?
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コメント
うーん、今まで大丈夫だったから、といって
油断するのもよくないし、これから危ないぞ!
といって過剰に反応するのもよくないんでしょうね。
まあ、「風邪引いたからレバ刺し食べてスタミナ
付けるぞー」なんて行為は避けた方が賢明なんでしょうね。
投稿: エチゴヤ | 2005/02/09 22:37
エチゴヤさん、コメントありがとうございます。
別に厚労省が食中毒の危険性を指摘した途端に、今まで無害だったものが急に有害になったわけでもなし、今まで大丈夫だった人は、そんなに心配する必要もないような気もします。。たしかに、身体が弱っているときはやめたほうが無難のようですが。
それにしても、エチゴヤさんのブログ、イラストがすごいです!! こんなのは初めて見ました。
投稿: tf2 | 2005/02/09 23:48