甘味料「スプレンダ」
NIKKEI NET(2/17)の記事。米飲料2社、相次ぎ新炭酸飲料・消費刺激は不透明
伸び悩む炭酸系飲料の販売をてこ入れするため、米清涼飲料大手2社が相次ぎ北米で新商品を投入する。コカ・コーラは新たな甘味料を使ったコーラを売り出し、ペプシコはライム味の商品を発売する。昨年両社がカロリー半減を目玉に売り出した新商品は低調とみられ、消費刺激効果を疑問視する声もある。ということで、コーラなどの炭酸系飲料には最近ちっとも興味はないのだが、コークが新たな甘味料を採用するということで、「スプレンダ」を少し調べてみた。コカ・コーラは最近欧米でダイエット志向の消費者に人気が高まっている新甘味料「スプレンダ」を利用する。「ダイエット・コーク」シリーズの7番目の商品として、北米市場で今年前半に発売する予定だ。スプレンダは砂糖が原料だがカロリーはなく、自然な味わいを出せるという。
ペプシコは4月から5月をめどに「ペプシ」と「ダイエット・ペプシ」の双方にライム味の商品を加える見通しだ。コカ・コーラが昨年初めに発売して人気のあるライム味の「ダイエット・コーク」に対抗する。コカ・コーラは、近く通常のコーラにもライム味を加える予定だ。
まず、コカ・コーラの甘味料を調べてみると、通常のコカコーラが糖類(果糖ぶどう糖液糖、砂糖)で、カロリーは43kcal/100gとなっている。コカ・コーラC2は糖類(果糖ぶどう糖液糖、砂糖)と甘味料(スクラロース、アセスルファムK、アスパルテーム・L-フェニルアラニン化合物)の組み合わせで、カロリーが19kcal/100ml。ダイエット コカ・コーラは、甘味料(アスパルテーム・L-フェニルアラニン化合物、アセスルファムK、スクラロース)だけを使用していて、カロリーは0kcal/100mlとなっている。
さて、スプレンダ入りのコークについてのNEWS RELEASEによると、7番目のダイエットコークとのことだが、これは、Diet Coke, Caffeine Free Diet Coke, Diet Coke with Lime, Diet Coke with Lemon, Diet Cherry Coke, Diet Vanilla Coke に次ぐ新製品ということらしい。名前を見ただけで、無茶苦茶甘そうだなぁ。。そんなに甘いものにこだわらずにお茶でも飲んでりゃいいのに。。
Diet Coke Sweetend with Splenda will feature a blend of Splenda and acesulfame potassium (ace-k) for optimal taste.とある。 で、スプレンダとは何かというと、低糖質ダイエット向きの甘味料によると、スクラロースの商品名で、甘さが砂糖の600倍、アスパルテームの欠点である熱や酸に対する安定性もあるとのこと。日本では一般向けには販売されていないので、スプレンダを個人輸入するのが流行っているようだ。
スクラロースについては、横浜市衛生研究所の食品添加物データシートにまとまっているが、ショ糖の水酸基を塩素置換したもので、これにより体内で代謝されなくなるためにノンカロリーということのようだ。より詳しい内容としては日本食品化学研究振興財団の資料がある。
実はスクラロースは、ダイエット・コカ・コーラやコカ・コーラC2に既に採用されているのが、今回はその比率を大幅に引き上げるということで、同じノンカロリーでも、甘さの質が異なるということらしい。今度の新製品でも恐らく味の調整のために、スプレンダ単独ではなく、アセスルファムカリウムと共に使われるようだが、アセスルファムKについてはこちら。
笑bizによると、アメリカでは甘味料の包装色で種類が判別できるようだが、スクラロースが人気急上昇中で、黄色い袋が急増しているとのこと。(茶色:砂糖系、ピンク:サッカリン系、水色:アスパルテーム系、黄色:スクラロース系)
ステビア、エリスリトール、アスパルテーム、キシリトールなどなど、色んな甘味料があるが、全体を網羅したものとしては、三栄源エフ・エフ・アイの説明や、林原商事の糖の基礎知識などが勉強になる。
なお、L-フェニルアラニン化合物は、アスパルテーム由来でフェニルアラニンが含まれるために表示されているようだ。
| 固定リンク
コメント
情報に感謝。天然の糖らしい名前なのに有機塩素化合物なのですね。
投稿: シェーマ | 2005/02/18 23:35
シェーマさん、コメントありがとうございます。http://www.ecosci.jp/">生活環境化学の部屋は、その情報量の豊富さに驚かされますが、時々参考にさせていただいています。
スクラロースは発見も偶然だったようですが、確かに有機塩素化合物という点でも珍しいですね。そのおかげで、代謝されずにノンカロリーとなったというのも面白い所です。本文で紹介したhttp://www.ffcr.or.jp/zaidan/MHWinfo.nsf/0/06717d18e8757f2b4925672e0026538a?OpenDocument">日本食品化学研究振興財団の資料には、
とありますね。有機塩素化合物を含む食品添加剤や食材としてはどんなものがあるでしょうか? 不純物として含んでいる例はあるようですが。。投稿: tf2 | 2005/02/19 21:52
応答が遅れました。http://www.ecosci.jp/chem8/fit03.html#sucralose">甘味物質の秘密(分子表示にhttp://www.ecosci.jp/moldic/index.html#dl">Chimeが必要)に少し書き足しましたが,文献にあげてある「化学総説40 味とにおいの分子認識」にスクロースのハロゲン誘導体の話がかなり詳しく出ていました。付箋がついていて,かなり前にチェックしたようです(名前だけは聞いたような気がしていたのですが)。
食品添加物にわざわざ有機塩素化合物を使っているなんて今のところ調べた範囲ではありません。
単純に言えば,上記ページに書いたように有機塩素化合物は人間を含めて多くの生物が代謝できませんから人間も摂取してもカロリーにならないのでしょう。また代謝は水に溶けるようにして排泄する役目もありますが(PCBなどはそれができなくて蓄積),もともと水溶性なので流れ出てしまうということなのでしょう。
ただ大量に使われるとするとその先が心配です。化学物質に対する考え方は相変わらず今わかっている影響でしか規制できないというのをまた繰り返しているような気がします。杞憂ならいいのですけれど。
投稿: シェーマ | 2005/02/22 22:05
情報ありがとうございます。
使用量は相当に微量なようですから、大丈夫だろうとは思いますが、敢えてこういった新規化合物を使う必要があるのかどうかは確かに疑問です。
ただこのあたりの話になると、何にどんな価値を見出すかというような問題にもつながっているようですから、なかなか難しいですね。
投稿: tf2 | 2005/02/23 20:21