ミレニアム・エコシステム・アセスメント
MSN-Mainichi INTERACTIVEの(3/31)の記事。生態系評価報告書:生物種の絶滅速度「自然状態の1000倍」--国連が公表
国連は30日、世界初となる地球規模の生態系評価報告書(ミレニアム生態系評価)を公表した。地球上の生命を支える多くの生態系の機能が急激な開発の影響で著しく低下していると指摘、「このままでは持続可能な開発は不可能で、貧困や飢餓の撲滅といった人類の目標は達成できない」と警告している。今さら、驚くことは特にないのだが、改めて広範囲にわたる調査結果をまとめたということだろうか。生物種が絶滅する速度が自然な状態の1000倍の速さだというのはどうやって求めたのだろうか? 同じニュースを扱った NIKKEI NETの記事には報告書は、日本など95カ国、約1300人の科学者が約4年間かけてまとめた。過去20年で世界のマングローブの35%が失われ、サンゴ礁の20%が破壊されるなど人間の活動で生態系の大幅な劣化が続いていると分析。生物種が絶滅する速度は自然な状態の1000倍の速さに達し、今世紀中に鳥類の12%、ほ乳類の25%が絶滅する恐れがあるとした。
報告書は95カ国の1300人の専門家らがまとめた。「過去半世紀の間に人類史上、例を見ないほど急速かつ広範に生態系破壊が進んだ」と指摘、化学肥料の使用により、土壌中で生態系に影響している窒素成分は1960年に比べ2倍、リンは3倍に増えたという。とあり、1000倍の根拠は1000年間に絶滅した種の数で見積もっているようだ。1000年前や2000年前の生物種の数がほぼ推定できているということなのかな?種の絶滅ペースも加速し、1000年以上前までは1000年に1000種あたり0.1―1種が絶滅していたが、現在は100種前後。ほ乳類、鳥類、両生類の10―30%は絶滅の危機にある。
種の数が何十億年の歴史の中でどのように増減したかについては、専門家の間にも議論があるようだが、生物多様性関連の情報については、この資料を始めとして、千葉大学の群集生態学講座資料が勉強になりそうだ。
生物の絶滅に関するデータは、環境省の生物多様性センターの生物多様性情報システムがまとまっている。ここの数字だと、この30年の生物絶滅速度は 40000種/年となっており、現在未知のものを加えて全部で3000万種いるとして、この数字を使って単純に計算すると750年で全生物が絶滅することになる。まあ、生物種の数の推移を予測するのは、相当に大変そうだけど。。
今回の発表に先立って2月に国連が案を発表していたようで、Sankei ECONETにも関連記事が載っている。
今回の発表についての国連のニュースはUN-backed ecological report warns of potential new diseases and ‘dead zones’で読めるが、少し探してみた範囲では Millennium Project 関連だと思われるのだが、肝心の報告書が見当たらない。国連のニュースによると、
Although evidence remains incomplete, the report finds enough to warn that ongoing degradation of 15 of the 24 ecosystem services examined - including fresh water, capture fisheries, air and water regulation, and regulation of regional climate, natural hazards and pests - increases the likelihood of potentially abrupt changes that will seriously affect human well-being.とあり、調査した24の生態系のうち15において現在進行中の悪化が見られるということで、それらは、水や空気の汚染や気候変動などの他に、自然災害や
また、この国連のニュースではいわゆる自然破壊が進んでいるという警告よりも、生態系との共存を図らないと、結果として自分たちの将来だけでなく現在を生きる人々にも悪影響があるというニュアンスが強い。具体的には、森林の消滅がマラリアやコレラを始めとする感染症の蔓延に影響する懸念や、生態系の急激な変化は、結局最も貧しい人々の生活を直撃することを指摘している。生物多様性に関する危機感も、地域や分野によって随分異なっていることを知っておく必要がありそうだ。
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