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2005/03/22

ペコロジーボトルと3R

日刊工業新聞社ビジネスライン(3/22)でみつけた記事。

キリンビバレッジ、ペットボトル容器の環境対策を加速

 キリンビバレッジはペットボトル商品に対する需要の高まりを受け、以前から同ボトル容器の環境負荷低減を推進してきた。ペコロジーボトルはペットボトル容器としての使用時の強度を維持しつつ、軽量化を図った。2リットル容器で42グラムと国内最軽量を実現している。

 このため原料となるPET樹脂の使用量や製造時の二酸化炭素(CO2)排出量は従来に比べ1本当たり3分の1に削減できる特徴を持つ。また、手で簡単につぶせ、ラベルも簡単にはがせて分別回収を容易とした。

というもの。キリンビバレッジのサイトを探してみると、1/19のニュースリリースが見つかった。
 ペコロジーボトルは、使用時の強度は損なわずに、使用後にはラクにつぶせる、クラッシャブルボトルです。容器のつぶしやすさは、空容器を分別排出する際のお客様の負荷を軽減し、リサイクルの促進にもつながります。

 また、ボトルの重量は、当社で使用している2Lの現行容器に比べて、約2/3まで軽量化されており、日本に現存する2Lのペットボトルでは最も軽いものとなっています。容器の軽量化は、大幅な資源の節約を実現します。こうした観点から、新ボトルは、お客様の利便性だけでなく環境問題への貢献度も高く評価できるものです。

とある。内容積が同じままに同一素材で軽量化したんだから、ほぼ肉厚を2/3程度に薄くしたということか。昔、ヨーロッパの飲料用のアルミ缶を見た時に、その薄さと軽さに驚いた覚えがある。ペットボトルも確かに今の重さである必然性はないわけだ。しかも、これだけ量が増えると軽量化の寄与も相当に大きいだろう。ボトル自体の強度は弱くなっても、中に液体が入っていれば、そう簡単につぶれることはないのだから、確かに設計を見直す余地はあるのだろう。使用後に素手で簡単につぶせる様子は、こちらに載っている。実際に従来のものとどの程度違うのか、機会があったら是非一度体験してみよう。

他のボトルはどの程度の重量なのかを調べてみると、e-問屋で見つけたボトルは、確かに2Lボトルで62gであり、42gだと普通の1.5Lボトルよりも軽いわけだ。経産省の3Rの資料には、ガラス容器も含めて容器の軽量化の実例が載っている。

この手の軽量化の取り組みは3Rの中でも Reduce に該当し、下手なリサイクルを推進するよりもよっぽど効果的だろうから、どんどん進めて欲しいものだ。本当は、少々重くても丈夫なボトルを何度かリユースする方がもっと効果的だろうとは思うけど、それには社会システムの変化が求められる。リユースをしないのであれば、一回の使用に耐えられる最低限の強度を目指して軽量化する方向というのは一つの答えなのだろう。問題は最低限の強度の基準なのかもしれない。

ちなみに、冒頭の記事でCO2の排出量が従来の1/3に削減できるというのは、削減される量が1/3の間違いだろうと思われる。。

ところで、タイミングよく環境省の報道発表に3R推進キャンペーンの記事が載っているのだが、3Rを「さんあーる」ではなくて「スリーアール」と読むとは知らなかった。。 環境省だけでなく、経済産業省の3R政策でも「スリーアール」と書かれている。

ところが、EICネットの環境用語集は「サンアール」になっているし、東京都港区の今日から実践!「3R」でも「さんあーる」だし、科学技術振興機構のWebラーニングプラザの資料(環境-環境概論-持続可能型社会の実現)でも「さんあーる」と発音している。。。

「さん」と読むのは3K、3P、3S、3LDKなどに対して、「スリー」と読むのは3D、3M程度。どちらかというと「スリー」と読む方が少数派のような気がする。。

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コメント

容器選択はLCA誕生由来ともなったテーマでしたが、明らかにリターナブルシステムが優れる、のは今では明らかすぎる位、訳が分かってしまった分野ではあります。しかしそれにしては依然、明快でない評価もまた多い。本文で書かれていたような、ボトル樹脂重量はもちろん大きな因子なのですが、PETのブロー成型も樹脂の1/3-1/2位のエネルギーを要する(おまけにどんな形のリサイクルであろうと、ここの部分はムダにならざるをえない)、とか、やたら軽い製品を運ぶと、ボトル運搬の負荷がかかりそうだ、とか、やはりライフサイクルでの比較、もしくは定常量がグルグル循環していて、一部が捨てられそれを補充する形でバージンを入れる、とでもいうような形式での比較をしてもらわないと、はっきりしない気がします。どこぞで、安井先生は、USのやたら薄いミネラルウォーターのボトルは日本でしか吹けなくて、しかも品質上すぐ詰めないといけないので風が吹けば舞いそうな軽いボトルを飛行機で輸出しているらしい、という話をされていましたが、万一そんなことをするなら、なんの意味もなくなる。やはり、全体をこそみなければいけません。

投稿: ks | 2005/03/29 00:11

一般消費者が絡む問題は、理論的な帰結と同じところに落ち着くとは限りませんからねえ。それにしても、リターナブル化を推進しようとする動きがほとんど見られませんね。既存の業界団体は、どこも少なくとも短期的にはデメリットの方が大きいでしょうから、なかなか現状を変えるのは難しそうです。

アメリカの軽量ボトルを日本から空輸というのが本当だと笑い話のような話ですね。残念ながら少し検索してみましたが見つかりませんでした。でも、品質上すぐに詰めなくてはならないってのがよくわからないですね。少々コストをかけたとしても梱包方法を工夫して船便で運んだほうが安くないですかね?

投稿: tf2 | 2005/03/29 19:58

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