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2005/04/28

チーム・マイナス6%

昨日、COOL BIZ の発表資料の中にあった、「チーム・マイナス6%」というロゴは何だ?と書いたら、今日になって環境省からそれについての発表がでている。その資料、「チーム・マイナス6%」のキックオフについてによると、地球温暖化防止「国民運動」の愛称が「チーム・マイナス6%」ということらしい。このロゴマーク
チーム・マイナス6%
をいろいろな場面で使っていくらしい。

チーム・マイナス6%のホームページができている。ここでは地球温暖化防止のための活動に賛同する人に、チームへの参加登録を呼びかけている。ものは試しなので参加申込みをしてみると、会員No.とニックネームが記入されたデジタル会員証を作ってくれた。一応、このブログにも右側にバナーを置いてみた。早々に申し込んだので、会員No.は 863 だった。

国を挙げて地球温暖化防止に取り組もう、という趣旨にはもちろん賛同するのだけど、今回の「国民運動」で実際に呼びかけている具体的な行動は

  ● 冷房は28度に設定しよう(温度調節で減らそう)
  ● 蛇口はこまめにしめよう(水道の使い方で減らそう)
  ● アイドリングをなくそう(自動車の使い方で減らそう)
  ● エコ製品を選んで買おう(商品の選び方で減らそう)
  ● 過剰包装を断ろう(買い物とゴミで減らそう)
  ● コンセントをこまめに抜こう(電気の使い方で減らそう)

の6項目で、それぞれ効果があることは論を待たないだろうが、いかにも貧乏臭いというか、節約精神ばっかりだ。地球温暖化を防止するための行動なのか、それとも京都議定書の-6%という目標を達成するための行動なのか、という視点の違いなのかもしれないが、これだけでは、経済や生活が縮小するばかりという気がする。無駄をなくすのは正解だろうけど、もっと新たな行動指針があっても良いのではないか?

一方で、例えば自動車の使い方を見ても、何故かアイドリングストップについてしか言及していない。「自動車に乗るのは必要最小限に抑え、公共交通機関を利用しよう」なんていうことは全く主張していないところが、何とも中途半端というか、妙に志が低い感じがする。

そう言えば、以前安井先生は、エコプレミアムクラブを立ち上げていた。これは、環境負荷を下げることに価値を見出し、そこにお金をつぎ込めるような社会を目指そうという運動と認識していたのだが、何故か最近は全く更新されていない。

市民のための環境学ガイドの中で最近の地球温暖化関連記事としては、京都議定書いよいよ発効や、個人的二酸化炭素削減策などがあるが、従来のエコプレミアムという旗を降ろしちゃったんだろうか?

確かに、目の前に安い製品が溢れている状況で、多少地球環境に良い影響があるからと言って、わざわざ高い製品を買い続けるというのは相当に困難だろうと思うけど、経済と環境を両立させながらの軟着陸を目指すなら、基本的な方向としては間違っていないと思うけどなあ。でも、具体的にどうすればそういう社会を作り出せるのか、というのはとても難しい問題なのも確かだ。

京都議定書のマイナス6%を達成しても、それだけで地球温暖化が防止できるわけでもないが、地球温暖化のためというよりも、持続可能な社会を目指すためにも、一人一人の意識を変えていくことが大事なことは間違いない。持続可能性については、単なる節約運動で済む話ではないし、科学技術の進歩によって全ての問題がすっきりと解決するというような楽観論も有効な解決策とはならないだろう。この辺については、ESDさんの持続可能なチャンネルがじっくりと考え続けていて、とても勉強になる。

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2005/04/27

新省エネルックは COOL BIZ

NIKKEI NETのニュース(4/27)から。夏のビジネス軽装、愛称は「クール・ビズ」に

 電力消費を抑え地球温暖化防止につなげようと、環境省が公募したノーネクタイなど「夏のビジネス軽装」の愛称について、小池百合子環境相は27日、「COOL BIZ(クール・ビズ)」を選んだと発表した。

 涼しい、格好がいいという意味の「クール」にビジネスの「ビズ」を組み合わせた。小池環境相が、審査委員の漫画家弘兼憲史さんの人気作品「取締役 島耕作」の主人公にも「クール・ビズ」を着せるよう打診、弘兼さんも前向きという。

 この愛称は、半袖スーツのイメージが強い「省エネルック」に替わるもので、3200件の応募があり、選ばれたのは東京都立川市の田形秀明さんの作品。審査委員会では「エコ」のついた名称や「涼装」なども候補に残ったという。

 愛知万博(愛・地球博)で6月5日にファッションショーを開き、奥田碩・日本経団連会長や前阪神監督の星野仙一さんにモデルとして参加してもらう予定。小池環境相は「ただの省エネではなく、ビジネスに着られる安心感のあるものにしたい。言いにくい時は『クール』でいい」と話した。

ということで、少し前に募集しているのは知っていたが、改めて探してみたら環境省報道発表が見つかった。ふーん、著作権まで環境省に召し上げられ、国のキャンペーンで使われるのに、賞品は愛・地球博のイベントへの招待だけなのかな? それでも2週間で3200件も集まったのか。。

それにしても、実体のないスタイルに名前だけをつけてもなあ、という気がしないでもないが、COOL BIZ についての環境省報道発表によると、6/5に愛・地球博で開くファッションショーでお披露目するらしく、

夏のオフィスで「涼しく効率的に格好良く働くことができる」ことを普及させるため、コシノヒロコさん、菊池武夫さんの御協力を得て、クールスタイルコレクションを四方義朗さんの演出で開催いたします。また、海外からも有名ブランドが応援にかけつける予定です。モデルには、財界トップの方々をお迎えするとともに、それらの方の企業で活躍される若手社員が登場します。
ということらしい。Yahoo!ニュースには「クール ビズ」のイメージ図がいくつか載っているのだが、これって単なる長袖のスーツにノーネクタイというように見えるのだが、こんなんで涼しいのか??

よくよく環境省の発表を見ると「COOL BIZ(呼称:クール ビズ)」と書かれているから、新聞の「クール・ビズ」という表記は間違いじゃないのか? それと、ここに載っているロゴに書かれている「みんなで止めよう温暖化 チーム・マイナス6%」というのは何だろう? この標語も知らないぞ??

ちなみに以前の省エネルックの写真はこちら。羽田さんの印象が強いが、大平さんが首相の時だったのか。。(Wikipediaによると、大平さんは1978/12/7~1980/6/12、羽田さんは1994/4/28~1994/6/30の間に首相だったので、在任時期が15年程ずれている。実は、大平内閣時代に提唱されたのだが全然浸透しなかったらしい。それを羽田さんが掘り返して、トレードマークとして着ていたということらしい。)

省エネルギーセンターのホームページには、Smart Fashion Style Bookという特集があり、まじめに省エネファッションの検討をしているが、ネクタイをはずすだけで体感温度が2℃下がるらしい。最新のハイテク素材を使うことでも、大分違いそうだから、同じスーツスタイルでも工夫の余地はあるようだ。

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2005/04/26

235回目の献血

前回 3/18に続いて、39日ぶりの成分献血。いつものように相模大野献血ルームで、今日は血漿成分成分献血。

前回新たにおまけにラインナップされていた、電子体温計と万歩計はわずか1か月で消え去り、代わりに以前もらったことのある鮭ごはんセットが復活、さらに電動歯ブラシが新たに加わっている。 ということで、今回は電動歯ブラシをいただくことにした。

調べてみると、SUNSTARのガム・電動歯ブラシ(乾電池式) TZ-35という奴で、何と現在販売中のモデルで、定価は2980円(税抜き)もする。実勢価格は、価格.comでも 1000円している。。 今まで色々もらった中でも最高価格帯のおまけだな。血液不足の折だし、この手のおまけを声高に宣伝するのも、悪くないとは思うのだが。。

それとは別に神奈川県の血液センターのスタンプカードの方もスタンプが20個たまったということで、ミッフィーのタオルをくれた。

ところで、今日の献血ルームの様子だが、特に従来と違いもなく、まして全血献血を勧められることもなかった。また、外の看板なども特にいつもと変わらず、緊急事態という感じもしない。海外渡航歴に関する制限についても、今度から変わりますよ、みたいな案内も特になされていなかった。

もっとも、Yahoo!ニュース経由の共同(4/15)、血液在庫、ほぼ適正量に 4県ではまだ70%未満というニュースでは、

 日本赤十字社の血液センターが供給する輸血用血液の在庫が全国的に不足している問題で、厚生労働省は15日、赤血球の在庫が同日現在、全国平均で適正量(3日分の使用量)の99%に回復したと発表した。

 しかし、長崎(39%)、福島(54%)、三重(55%)、山形(64%)の4県では依然として災害時などに需要に応じられない恐れがある70%を下回っており、同省血液対策課は「地域差や季節による変動もあり、まだ気を引き締めて献血を推進する必要がある」としている。

とあり、どうやら一息ついている状態なのかも。このブログで 4/6に輸血血液が大幅不足として紹介した時は、3月末で赤血球の在庫が単純平均で77%だったので、それと比べると随分早く回復したみたいだ。

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2005/04/25

アメリカ航空機のライター禁止

CNN.co.jp(4/23)のニュースから。ライターの機内持ち込み禁止、5日間で14万個以上没収

ワシントン(CNN) 米政府は、商業用航空機内へのライター持ち込みを全面禁止するテロ対策を4月14日から開始したが、実施後の最初の5日間、429カ所の空港で計14万2709個を没収したことが21日分かった。米運輸安全局(TSA)が公表した。

うち約13万5000個は搭乗口へ向かう手荷物検査所で、残りは各航空会社の検査個所で発見した。

集めたライターは、TSAが契約した業者が有害廃棄物として処理する。TSAは、乗客から多数の苦情が寄せられたものの、措置は概ね成功しているとしている。

ライターのメーカー、ジッポー社は、持ち込み禁止の影響で売り上げが通常より2割から3割落ち込む可能性があると指摘。預託荷物の中にもライターを入れることを禁止することに関しては、1件も爆発事故など起きた例がないとして、強く反対している。

ライターの持ち込み禁止は2001年、パリからマイアミへ向かうアメリカン航空機で英国の男が、靴に仕掛けた爆弾にマッチで点火しようとした事件がきっかけとなった。TSAはマッチについても持ち込み禁止を検討しているが、現段階では検知が困難なことなどから許可している。

ということで、アメリカの安全対策はどんどんエスカレートしているようだ。1日平均で28500個も没収しているということは、手荷物検査所は、さぞかし混雑していることだろう。

このライター持込禁止の詳しいお知らせは、成田国際空港の新着情報に載っているが、「米国航空会社の航空機及びグアムやサイパンを含む米国の都市発着の航空機について、燃料(ガス、オイル)の有無にかかわらず、すべてのライターの持込を禁止」したようだ。さすがに、出発コンコース内の喫煙所にはライターを置いてあるそうだ。4/14のasahi.comニュースによると、ライターを手荷物一時預かりに預けて出る人もいるようだ。

アメリカのTSAのサイトに行ってみると、Prohibited Lighters and Matchesというリリースがあり、燃料を使用しない電気ヒーター型のライターも含めて持ち込み禁止ということだ。預け入れる手荷物にもライターを入れてはいけないということなので、タバコを吸う人はライターを出発空港で捨てるか預けるかして、到着空港で新たに購入するというような方法をとることになる。なかなか不便そうだ。

日本では影響は小さいのだろうが、アメリカの空港ではライターの廃棄物が大量に発生していそうだ。ジッポー社では売り上げが減ると言っているらしいが、強制的に廃棄させられるのだから、逆に売り上げが伸びるのではないだろうか? (Detroit Free Pressによると、Zippo社では売り上げが 20~30%も減少すると予想しているようだが。) でも、First Coast Newsによると、

Smokers who lose their lighters to airport screeners are scrambling to find ways to light up soon after their flights land. Some have sought out lighters or matches from airport kiosks, but many stores at airports no longer sell lighters because of the ban or earlier security concerns. As a result, demand is high for lighters or matches at airports.
ということで、アメリカの空港ではライターは滅多に売っていないようなので、到着してもタバコに火を付けるまでが相当に大変なようだ。1個のライターが平均 4.75g のブタンを含んでいるということで、集まるブタンの量も相当のようだ。

もしかしたら、出発客の持ってきたライターを有料で引き取り、到着客に安価に販売するようなライターのリサイクル商売というのが成り立つかもしれないな。。

なお、TSAの許可品目及び禁止品目という日本語資料は、翻訳がこなれていないので違和感も多いのだが、砕氷斧とか牛追い棒とか、何それ?というようなものまでリストアップされている。

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2005/04/22

「猛速度こそ我が人生」

「メタルカラーの時代」の文庫版シリーズの第10巻。このブログでは、第6巻「ロケットと深海艇の挑戦者」、第7巻「デジタル維新の一番走者」、第9巻『「壊れぬ技術」のメダリスト』を紹介している。

小学館文庫
 文庫版 メタルカラーの時代 10
 猛速度こそ我が人生
 山根 一眞 著 bk1amazon

タイトルからは、車や列車などの開発裏話かな、と思うのだが、実は結構スピードとは関係ない内容も扱っている。前半は、新幹線、ジャンボジェット、高速船関連なのだが、後半は、世界一の工作機械、世界一の炒り卵製造機、世界一の鋼板製造設備など一応はスピードに無理やり関連したものもあるのだが、他にも製鉄所のメンテナンスや超小型コンデンサなんてのも含まれている。

いつものように、山根さんのインタビューは非常にわかりやすい比喩が多く使われていて、難しい技術の概要をさらりとやさしく伝えてくれる。ただ、今回のシリーズでは、技術のすごさやその実現までの困難さの部分があまり語られてなかったような感じで、今一印象に残った内容が少ない。

一方、本書で初めて知ったのだが、マシニングセンタを作る松浦製作所の松浦さんは、人物的にとても魅力のある方のようで、さらに、この会社の歴史や成し遂げたことを考えると、ソニーやホンダなどと同列とまではいかなくとも、もっと日本で知名度が高くても良さそうなものだと思わされる。

興味が湧いたのは、新幹線の線路や架線を検査する「ドクター・イエロー」の話。時速200km以上の速度で走行しながら、線路や架線の異常の有無をチェックしてしまうというのは、ものすごい話だ。本書では具体的な内容にはあまり触れられていないのだが、実際にどういう原理や技術で測定しているのかを詳しく知りたくなる。

さらに本書では、新幹線に関しては、ドクター・イエローによる検査以外にも、多くの人の手や目を使った点検が日常的に行われていることも紹介されている。いかにも裏方作業なので、ほとんど知られていないが、あらためて新幹線の安全を支える努力の大きさを感じさせられる。新幹線技術を台湾や中国などに輸出するのもいいけど、安全技術やメンテナンスは、ハードだけでなくソフトの部分や、それ以上に「人」が重要そうだし、本当の意味での技術移転というのは、相当に大変そうだ。。

ところで、猛速度というテーマを扱うのだったら、やっぱりF1などのモーターレーシングの世界も扱って欲しかった。それこそ、エンジン、シャーシ、タイヤ、オイルや燃料、様々な電装部品など日本の様々なメーカーが貢献している分野は数多いはずだし。

それと、もう一点。山根さんは地球環境問題を考えて「環業革命」というのを提唱しているらしいのだが、だとするとこの手の対談でも、単にスピードを追求するのでなく、それは環境という観点からはどういう位置付けになるのかにも言及して欲しかった。様々なトレードオフの存在やライフサイクルという概念を、多くの人に広める役目も担ってくれるとうれしいのだが。 特に、新幹線や船に関しては、これ以上スピードを追求しても、果たしてエネルギー効率の面からはどうなんだろう? という疑問もあるし。。

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2005/04/21

ニコエン飲料

asahi.com(4/20)の記事。ニコチン減らす飲料を発売 エスエス製薬

 エスエス製薬は20日、たばこに含まれる有害物質のニコチンを少なくさせる効果があるとする成分を含んだ飲料「一服健茶」を、5月23日から全国のコンビニエンスストアで発売する、と発表した。

 同社によると、この成分は韓国のバイオベンチャーなどがリンゴ、レモンなどから抽出した天然エキス「ニコエン」で、体内のニコチンを無害にするのを促す作用が確認されているという。特定保健用食品の許可はとっておらず、普通の清涼飲料として販売する。340ミリリットルのペットボトル入りで168円(税込み)。初年度の販売目標は10億円。

前段では、たばこに含まれるニコチンを少なくさせる効果とあるが、後段では、体内のニコチンを無害にするのを促す作用、と書かれており、微妙に違う説明となっているけど、本当はどんなものだろう? 日経プレスリリースには、
 「一服健茶」は、韓国政府より公的な助成を受けた韓国リージェンバイオテック社と水原大学が共同で開発した注目のエキス「ニコエン」(りんご、セロリなど11種類の植物から抽出された天然エキス)を世界で初めて飲料に配合した、口当たりのよいスッキリ味の旨味緑茶です。
とだけ書かれていて、「ニコエン」という成分の効果については説明がないようだ。 ニコエン清涼飲料水「ニコーエンプラス」や、サンヨーデル ニコラップによると、開発した会社が同じ韓国だけど名前が違うのが気になるが、ともかくもニコエンというのは体内で有害なニコチンを無害なコチニンに転換して体外に排出させる効果を持っているとされているようだ。

カネボウフーズのニコダスというガムに関するプレスリリースには、開発したのは韓国の延世大学となっており、大学も違っている。。(この商品は今は販売していないみたいだ)

ニコエンについては、DHCのニコエンが詳しく説明されているが、「ニコエン(NICO-N)」という名前は、メーカーによる造語で「Nicotine End」という意味を表すらしい。 いかにもニコチンを無害なものに転換する化学物質のように宣伝されているけど、天然11種の植物から抽出されるということは、これは様々な天然成分の混合物ということか。混合物に勝手にそれらしい名前をつけて売るというのは、結構まぎらわしいやり方だと思うけど。。

ところで、今日の新聞には喫煙者の半数、禁煙試みた経験 厚労省が報告(Sakei Web)


 習慣的にたばこを吸っている人の半数以上は禁煙を試みたことがあり、その回数は男性が平均4・6回、女性は3・6回に上ることが21日、厚生労働省の2003年国民健康・栄養調査の速報値で分かった。

 同日開かれた地域保健健康増進栄養部会で厚労省が報告。「やめたいけど、やめられない」人がいかに多いかを示した。
 調査は03年11月に無作為抽出した全国の4160世帯を対象に実施。たばこについて重点的に質問した。

 それまでの1カ月に毎日か時々たばこを吸っている「習慣的な喫煙者」は男性の46・8%、女性11・3%。このうち「禁煙を試みたことがある」人は男性が53・5%、女性は60・8%で、平均禁煙回数は男性4・6回、女性3・6回だった。

 「たばこをやめたい」という人は男性の4人に1人に当たる24・6%、女性は3人に1人の32・6%で、やめたい人の割合は男性は60代、女性は20代に高かった。

なんて記事が載っている。まあ、やめたいけどやめられなかった人に聞いたら、禁煙にトライした回数が多いのは当たり前だ。実は、禁煙(断煙)に成功した人にこそ、「何回目の禁煙で成功したのですか?」と聞くべきだと思うのだが。。 禁煙回数を横軸にとって、成功率を縦軸にプロットするとどんなグラフになるのかな?? 

長崎タバコ問題研究会というサイトのニコダスの紹介ページには、「ニコチンを早く排泄させるなら、ニコチンの血中濃度が早く下がる。そうすると、次のタバコが早く吸いたくなり、喫煙量が増える。」という指摘がされているが、確かにその通りだろう。しかも、禁煙を助けるのではなく、むしろ心理的には喫煙の継続を正当化する商品ということになる。(本当にニコチンの排出を促進する効果があればの話だが。。)

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2005/04/20

アメリカの調査:太り気味の方が長生き

Yahoo! 経由の共同の記事(4/20)太めの方が死亡少なかった 肥満大国の米で意外な結果

 【ワシントン19日共同】肥満が深刻な社会問題になっている米国で、最新データを基に体格と死亡数の関係を調べたところ、肥満まではいかない「太り過ぎ」に分類された人たちの方が、標準とされる集団より死亡数が少ないことが、米疾病対策センター(CDC)の分析で19日分かった。

 米政府は、肥満や太り過ぎが心臓病などさまざまな疾患の原因になるとして対策に懸命。意外な結果だが、CDCは「肥満が深刻な問題であることは変わらない」として、引き続き対策を進める考えを強調した。

どういう話なんだろう? 本家 CDCのPress Releaseによると、
The study found:

・There were 112,000 more deaths than expected in 2000 among obese individuals (BMI of 30 or higher).

・Underweight individuals (BMI of less than 18.5) had a higher risk of death with nearly 34,000 more deaths than expected.

・Most of the excess deaths among the underweight occurred in people age 70 or older. Among the obese, the increased risk of death was most pronounced among people younger than 70.

・Being overweight (BMI of 25-29.9) was not associated with excess mortality. The study found that 87,000 fewer deaths than expected were associated with being overweight.

と書かれているのだが、今一わからない。どうやら、疫学的および統計的な調査によって2000年のデータを調べた結果、体重による影響がないと仮定して予想した死亡者数に比べ、BMIが30以上の肥満グループは112,000人死亡者数が多く、18.5以下のやせ過ぎグループも34,000人多く死亡しているが、25~29.9の太り過ぎグループは逆に87,000人死亡者数が少なかったということのようだ。

これだけではよくわからないが、washington postseattle post intelligencerのニュース記事を読むと、少し背景が見えてくる。

そもそも同じアメリカのCDCが昨年、アメリカでは肥満により毎年400,000人が余計に死亡していると発表していたようだ。これは回避可能な死因の第2位にランクされるのだが、今回の112,000人というのは先のランキングで第8位に相当するようだ。

今回の調査は、それなりに信頼できる専門家が集まって行ったもので、これだけ肥満の影響が小さく見積もられた原因は明確ではないようだが、最新のデータを使ったので医療技術の進歩により肥満が死にまで至らずに済んだことなどが考えられているようだ。それにしても、疫学や統計学は前提や使用するデータを変えることで、こんな具合に全く違う結論へ導いてしまうことがあるわけで、結果の数字だけで議論するのは危険が伴うということだ。

アメリカ国内では、早速多くの議論が巻き起こっているようで、特に食品関連企業などから、従来の肥満キャンペーンは不当だったのだ、というような主張がされたり、逆にこれで肥満が正当化されることは将来への大きな問題だ、という意見などが掲載されている。

何故か、本家CDCのリリースが随分とあっさりしているのが印象的だ。従来の知見をくつがえし、食生活や食品産業に大きな影響を与えそうな結論なのだから、もう少しわかりやすい解説や考察があっても良いように思うのだが。

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2005/04/19

ダイヤモンドコーティング調理器具

NIKKEI NET(4/19)の新製品記事から。松下電器、釜内にダイヤ微粒子コーティングした炊飯器

 松下電器産業は、釜の内面にダイヤモンドをコーティングしたIH(電磁誘導加熱)炊飯器を6月1日に発売する。従来機より米粒にむらなく熱を伝えられ、ふっくらツヤのあるご飯に仕上がるという。容量の異なる2機種を発売し、両機種で月産1万台を目指す。

 新発売の「SR―SS10」=写真=は銅釜の内面に約1億個のダイヤモンド微粒子をコーティングした「旨火ダイヤモンド銅釜」を、業界で初めて採用した。ダイヤモンドは従来の釜に使うフッ素樹脂より熱を通しやすい。でんぷんの分解を早め、ご飯の甘みが増す。

 加熱部分の面積を従来機比2.5倍に拡大し、蒸気温度セ氏130度までの昇温時間を2分の1に短縮。すばやく加熱してご飯にツヤを出す。炊飯の予約時間を音声で案内する機能も搭載。炊飯容量は最大1リットルで店頭実勢価格は7万3000円前後の見込み。容量1.8リットルの「SR―SS18」(同7万6000円前後)も同時発売する。

ということで、微粒子の使用量を個数で数えるのは、初めて見たが、本当にダイヤモンド微粒子が効くんだろうか?

松下電器のニュースによると、ダイヤモンド微粒子を使った部分については、

業界初 熱伝導率の高いダイヤモンドで一粒一粒しっかり加熱する「旨火ダイヤモンド銅釜」

ステンレスをはるかに上回る発熱性と、ステンレスの13倍の熱伝導率を持つ銅を表面に加工した当社独自の銅釜の内面に、約1億個のダイヤモンドの微粒子をコーティングしました。

ダイヤモンドは、最も熱伝導率の高い物質であり、従来のフッ素樹脂の約7700倍の熱伝導率をもっています。この熱伝導率の高いダイヤモンド微粒子に熱が集中し、従来のフッ素樹脂の約2.5倍の数の微細な泡(熱のかたまり)を発生させます。この大量の泡が対流となり、米粒の間を通過することにより一粒一粒に均一に熱を伝えます。

という解説が載っている。掲載されている断面模式図によると、外側から順に、銅、ステンレス、アルミ、備長炭加工、ダイヤモンドフッ素、という5層構造となっているようだが、「ダイヤモンドフッ素」って何?という疑問と共に、備長炭加工って何だ?という疑問も出てくる。単なるグラファイト処理ではないの? 備長炭というのはいわゆる「炭」だろうから、備長炭で鍋の表面を機械的にスリスリするんだろうか? 変なの。。

さて、Nationalの商品一覧の説明のページでは、従来の釜とダイヤモンド銅釜でお湯を沸かしたときの違いが動画で説明されている。微細な気泡を多数発生しながら沸騰するということが特徴のようだ。一般的には表面積を大きくすれば突沸を防げるので、この場合も表面に微細な凹凸を作れば同じ効果が期待できそうだが、さすがに釜の内面をあまり粗くもできないだろうからなあ。

でも、このページの上のほうで説明されているように、ダイヤモンド微粒子に熱が集中してそこから沸騰するというのが本当だとしても、別にダイヤモンドでなくとも、周囲のフッ素樹脂に対して相対的に熱伝導性が良ければ熱が集中しそうだし、金属微粒子でも十分のような気もする。(金属よりダイヤモンドの方が無害という観点もあるのかな?)

それはともかく、最新のIH炊飯ジャーという奴は消費電力もすごい。5.5合炊(1L)で1200kWだ。一方、IHではない普通の炊飯ジャーは600W程度なので、何と2倍の消費電力である。炊き上がり時間がどの程度短縮されるか不明だが、いかにおいしいご飯を食べるためとは言え、毎日のように使うものだし、いくら何でも電気を使いすぎじゃないだろうか?

ところで、フッ素樹脂とダイヤモンドという組み合わせを調べてみたら、スイスダイヤモンドフライパンというのが見つかった。

鉱物の中でも最も硬度の高いダイヤモンド。そのダイヤモンド粒子をフッ素原子でつなげてコーティングする「ナノコンポジット技術」により、銅の5倍もの高い熱伝導率、金ベラも使用できる耐久性が実現しました。
ということで、目的は違うようだが、構造は良く似ていそうだ。本家のSwiss Diamondにも技術的な説明は見つからなかったが、USAのサイトでDiamond Reinforced Non-stick Cookwareの耐久性のグラフが見つかった。フライパンのフッ素樹脂コーティングは使用と共に摩耗して効果がなくなってしまうが、このスイスダイヤモンドコーティングは、ダイヤモンドの耐摩耗性が効果を発揮しているらしく、抜群の耐久性を示すようだ。(ここでのテストはフライパンをサンドペーパーで擦りながら、焦がしたミルクの拭き取りやすさの変化を調べている。実際の使用時には、フッ素樹脂の熱劣化という側面もありそうな気もするのだが。。)

これは結構欲しいかも、でも高いし、と思って探してみると、日本で 14,700円 の直径24cmのフライパンが向こうでは、$54.99 で売っている。これだけ違うと、個人輸入もしたくなるはずだ。。

ところで、ダイヤモンド微粒子1億個というのはどの程度の量なのだろう? ものすごーく少なそうだが。。 ダイヤモンドの比重は約 3.5なので、粒子径が 10μm~0.01μm(=10nm)の球と仮定して、その1億個の重量を求めると10μmの時に 0.2g、1μmの時に 0.2mg、0.1μmの時に 0.2μg、0.01μの時には 0.2ngとなる。(体積は粒径の3乗に比例する) いずれにしても、使用されているダイヤモンド量は本当に微々たるものだろう。。(ちなみに、0.2gが1カラット)

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2005/04/18

「テクノリテラシーとは何か」

日経新聞の書評欄で紹介されていたのを見て購入。サブタイトルは「巨大事故を読む技術」ということで、このブログで今までに紹介した、「科学技術はなぜ失敗するのか」(中野 不二男 著)とか、「安全と安心の科学」(村上 陽一郎 著)などと同系統の本ということになるし、失敗知識データベースにも関連する分野である。

講談社選書メチエ 323
 テクノリテラシーとは何か 巨大事故を読む技術
 齊藤 了文 著 bk1amazon

本書は、代表的な事故事例を、科学技術の成果物のライフサイクル上の位置に着目し、3つの段階に整理している。第1部の「人工物が生まれるとき」では、コメット空中分解事故、サリドマイド事件。第2部の「人工物の成熟期」では、ピント車追突事故、スリーマイル島原発事故、慈恵医大青戸病院医療事故、牛肉偽装、みずほ銀行システムトラブル。第3部の「人工物の衰退期」では、新幹線トンネル崩落事故、ボパール産業事故。というように、とても幅広い分野をカバーしている。

まず、著者の齊藤先生の略歴が目を惹く。理学部ならびに文学部卒業で専攻は工学の哲学と倫理。現在は関西大学社会学部教授である。著者の研究室のホームページには、著者の講義のための資料なども掲載されていて、本書で取り扱った事故以外にも多くの具体例が取り上げられており、結構参考になりそうだ。本書のタイトルでもある「テクノリテラシー」については、このホームページにも、

コンピュータの読み書き(使い方)を学ぶのが、コンピュータ・リテラシーと呼ばれる。それと類比的に、現代必要とされるのは、テクノロジーの読み書きの能力である。それが、テクノ・リテラシー(technological literacy)である。社会科学のバックボーンを持つ人が、科学的知見を一歩進めると、科学技術政策や科学評論や新製品の開発など様々な方向に展開できる。社会科学の専門家もテクノロジーの個々の分野の専門家も多くいるが、そのインターフェイスになれる人は少ないからだ。
と書かれているように、社会科学側から科学技術側へアプローチした形でまとめられている。例えば、Web上で、読売新聞の書評が見つかったが、確かに一般市民の立場から科学技術の関与した事故を見ると、本書のアプローチが新鮮な印象を与えるようだ。

工学の世界に長く身を置いてきた立場でこの本を読んでみると、本書で展開されている、個々の事例に対する著者の視点や考察には違和感はないし、極めて正統でバランスの取れたものだと感じられる。それぞれの事故については、それこそ失敗知識データベースのような形で様々に検討されてきた内容と大きく異なるものでもないのだが、さすがに社会学の立場から物事を見ているせいなのか、本書には随所に、従来とは微妙に違う視点や切り口からの考察があり、読んでいて新鮮味のあるところだ。

特に、フォードピントの欠陥に絡み、フォードが欠陥対策の検討に際してコストベネフィット解析を行ったことが陪審員の心証を害して懲罰的賠償となった件は、初めて知った内容だが、とても示唆に富む考察がされていて勉強になる。

関西大学のホームページ内に、本書に関する著者のコメントが掲載されている。ここに書かれている

テクノロジーとともに生きる社会では、人工物に媒介された倫理が必要になる。これは、子どもの頃から教えられていた規範やルールとは何か違っている。
ということが、この本の主張の一つの柱となっているのだが、これだけではピンと来ないかもしれない。ここで取り扱っているのは、いわゆる技術者倫理の問題なのだが、製造物責任、そして拡大製造物責任という近年の消費者保護の流れは、開発や製造を行う技術者の立場で考えると、従来の単純な倫理感では説明できない枠組みとなっているということを問題にしているようだ。

しかし、著者が敢えて論点として取り上げている、この倫理の問題については、少なくとも製造企業や技術者の立場では特に問題点という認識はされていないと思うし、それなりに議論され、既に落とし所なり、納得のいく考え方が確立しつつある問題のような気がしないでもない。本書は工学から遠い立場にいる人向けの本という位置づけなので、こういう結論となったのかもしれないし、あるいは僕が工学の立場にどっぷりと漬かりすぎていて、その微妙な感覚を理解できないだけかもしれないのだが。。

いずれにしても、従来の技術者倫理や安全学などとは一風変わった視点が味わえるという点で、技術者にもお勧めの本だと思う。

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2005/04/15

競走馬のクローン誕生

Sankei Web(4/15)の記事。優勝馬のクローンが誕生 伊で世界2例目とBBC

 英BBC放送(電子版)などによると、イタリア・クレモナのスパランツァーニ畜産研究所は14日、耐久レースに優勝した馬(アラブ種)の遺伝子をコピーしたクローン馬の生産に成功したと発表した。

 クローン馬は2003年5月に同研究所で生まれた雌に続いて世界で2例目だが、優勝馬のクローンは初めて。競馬界や馬術競技会にも影響を与えそうだ。

 ピエラズ2と命名されたクローン牡馬は2月25日生まれで、出生時の体重は42キロ。

 “親”のピエラズは去勢された牡馬で、1994年と96年に耐久レースで優勝。現在は米国で引退生活を送るが、去勢されたため子孫を残せず、フランスの研究機関が細胞を採取し保存していた。

 ピエラズ2はレースには参加しないが、種馬としてピエラズのような実力を持った子どもの誕生に貢献することが期待されている。

 耐久レースは10数キロの距離の持久力を争う競技で、特にアラブ首長国連邦などで人気という。

 同畜産研究所は03年5月、世界で初めてクローン雌馬のプロメテアを誕生させた。

10数キロを走る馬の長距離レースがあるというのも知らなかったが、いつの間にか馬のクローンが誕生していたようだ。探してみると、東奥日報に最初のクローン馬の詳しい話が載っている。また、デイリースポーツonlineにも関連の話が載っているが、競馬は血統をとても重要視しているために、クローンはいろいろと波紋を呼んでいるようだ。

今回のニュースについてのイギリスの報道を見てみると、news.telegraphが詳しい。去勢されて、通常ならば血統を残せない筈の馬が、このクローンにより血筋が継続可能であるということが注目されているようだ。一方で、競馬の世界は大きなお金が動くので、色々とビジネスチャンスを狙って動いている企業があるようだ。(産経の記事中には、フランスの研究機関と書かれているが、Cryozootechは会社のようだ。ついでに訂正しとくと、Endurance horse racing の距離は 50マイル以上に及ぶようで、途中でピットストップがあるんだそうだ。)

なお、羊や牛のクローンは成功率が低かったり、寿命の問題があったりするが、今のところラバや馬のクローンは成功率も高く、健康に育っているということで、クローンが成功しやすい種ではないか、とも書かれている。

この記事にも書かれているが、優勝馬のクローンが果たして親と同じように優秀なのかどうかという問題もあるが、それにも増して、ある時点の優勝馬と、その馬や他の馬の血筋を掛け合わせて生み出した後年の馬はどちらが優秀なのか?という疑問もある。 何となくだけど、ブリーディングによって、過去よりは現在、現在よりは将来の方が、優秀な馬が誕生するという気がしないでもないのだが。。 もしもクローンが遺伝上の親と同等の力量を示してくれるのであれば、シンザンとハイセイコーとシンボリルドルフの直接対決、みたいなことが実現できて面白いのに。。

ちなみに、「クローン人間の倫理」読者の教室によると、現在までに誕生している哺乳類のクローンは、羊、マウス、牛、山羊、ウサギ、猫、豚、ラバ、馬ということで全部で9種類。一時、クローン人間が誕生したと騒いでいた人がいたが、正式には認められていないようだ。Amrit不老不死研究所に、関連ニュースがまとまっている。

そう言えば、2004/4/11のエントリーで、ペットのクローンビジネスを取り上げたが、あの時はネコのクローンに続いて犬のクローンも検討中なんて話だったが、その後どうなったのだろう? 久々に、Genetic Savings & Clone,Inc. に行ってみたら、日本語ページができている。ここには犬のクローンもは今年中に始めると書いてある。。

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2005/04/14

「スリープスマート」で快適な目覚め

exiciteニュース(4/14)経由のロイターニュース。最も眠りが浅いときに鳴る目覚まし時計

[ロンドン 13日 ロイター] 睡眠不足でフラフラしている米ロードアイランド州のブラウン大学の学生が、眠っている人間をその睡眠サイクルの最も浅いフェーズでやさしく起こしてくれる新型目覚まし時計を発明した。

不機嫌で疲れて起床する代わりに、この目覚ましは、最も元気に活力に満ちた状態で起きられる時にアラームが鳴るのだ。

13日付の科学誌「ニューサイエンティスト」によると、「スリープスマート」と呼ばれるこの目覚ましは、睡眠サイクルを測定し、目覚める前の最も睡眠が浅いフェーズまで待ってくれるという。
 (中略)
目覚ましはマイクロプロセッサと電極のついたヘッドバンドで、睡眠サイクルの各フェーズにおける各種の脳波を測定。脳は情報はワイヤレスで時計に送信される。

同誌によると「目覚めたい時間をセットすると、その前の最も眠りの浅い時にアラームが鳴る」そうだ。

ということで、NewScientist.comにニュースが載っている。
As you sleep you pass through a sequence of sleep states - light sleep, deep sleep and REM sleep - that repeats approximately every 90 minutes. The point in that cycle at which you wake can affect how you feel later, and may even have a greater impact than how long or little you have slept. Being roused during a light phase means you are more likely to wake up perky.
とあり、約90分間隔で繰り返している睡眠サイクル(ここでは深い睡眠、浅い睡眠、レム睡眠の3つに分類している)の中で、最も気持ちよく目覚められるタイミングで目覚ましを鳴らすということらしい。

で、この装置はその最適なタイミングを知るために、脳波測定ヘッドバンドを付けて眠ることになるらしい。この学生が作った会社、Axon Sleep Research Laboratoriesを見てみると、SleepSmartの絵が載っている。これだと、どれが電極かよくわからないが、ともかくこのヘッドバンドを付けて眠らなくてはいけないようだ。快適に目覚められる代わりに、中々寝付けなかったり、深い眠りに入れないというオチが待っていそうな予感。。

ちなみに、以前紹介した「時間の分子生物学」では睡眠サイクルは、レム睡眠とノンレム睡眠の二つに分類され、さらにノンレム睡眠は眠りの深さによって4つに分けられるとしている。(p.133~137) 脳波パターンの絵も載っているが、確かに浅い眠りの脳波は特徴的なので識別は比較的容易だろうと思う。むしろ問題は、指定した起床時間に対して、どのタイミングで起こすべきかを判断するロジックだろう。この商品の紹介には、

an intelligent alarm clock that monitors your sleep cycles as you sleep, waking you at the ideal moment from the optimal stage of sleep. This optimal moment might be several minutes prior to your set alarm time.
と、設定した時間の数分前に起こされるかのように書いてあるけど、90分の睡眠サイクルの中でベストタイミングで起こすとなると、最悪90分近く早く起こされる可能性もあるのではなかろうか? さすがに目標時間より1時間以上も早く起こされたら、いかに寝覚めが良くても、また寝てしまいそうだな。。 あるいは、人によっては脳波のパターンがうまく検出できずに、目覚ましが鳴らないという可能性はないのだろうか? 

*そういえば、「かくれんぼう」タイプ目覚まし時計なんてものも紹介されていたが、JR東日本のおこし太郎も人気らしいし、目覚まし時計に関しては世界各国で様々な工夫がされており、それだけニーズの大きい分野ということのようだ。

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2005/04/13

ジェノグラフィック・プロジェクト

NIKKEI NET(4/13)の記事。人類の「足跡」、DNAで解明へ・米科学団体など調査

 人類が起源の地とされるアフリカからどのように世界各地に移動したかを探る国際研究プロジェクトを始めると米科学教育団体のナショナルジオグラフィック協会とIBMが13日、発表した。先住民族や各地の希望者から数十万人規模のDNA(デオキシリボ核酸)を集めて分析する。地域をまたぐ遺伝的なつながりを洗い出し、人類の足跡を5年間で解明する。

 各国の研究チームが世界の先住民族からDNAを収集。IBMのデータ解析技術などを活用し、数百世代にわたって保存されてきた遺伝的な特徴を調べ、それぞれを突き合わせる。

 研究プロジェクトには希望すれば参加できる。専用キット(約100ドル)を購入して、ほおの内側を軽くこそいで送り返す。

 試料の分析結果は同協会のデータベースに登録。参加者はインターネットを通じて研究プロジェクトの進ちょく状況や自分の祖先がたどった移動ルートを知ることができる。個人情報保護のため、試料や遺伝情報は匿名で厳重に管理する。

先日、「DNAからみた日本人」という本を紹介したばかりだが、まさにこの本で紹介されていたような試みを、世界規模で大々的にやろうというプロジェクトのようだ。

日本語版の正式なリリースが、ナショナル ジオグラフィック 日本版および日本IBMから出ている。このプロジェクトは「ジェノグラフィック・プロジェクト」と名付けられており、フィールド・リサーチ(世界各国の先住民族のDNAサンプルを採取して解析する)、一般参加と周知キャンペーン(専用キットを購入した一般の人たちのDNAからルーツをさぐる)、ジェノグラフィック・レガシー・プロジェクト(専用キットの販売代金の一部を資金とした先住民族の教育および文化保護活動)の3本柱となっている。

現時点では日本語の情報はこれだけだが、本家のThe Genographic Projectのサイトは非常に力が入っている。今回のプロジェクトの解説やFAQに加えて、DNA解析の基礎知識人類のルーツに関する地図などがとても充実している。英語だけなので、ちょっと理解は大変そうだが、きれいな絵が沢山のっており、見るだけでも楽しめる。

一般の人が専用キットを購入して参加するプロジェクトについては、How to Participateに解説されており、キットはOnline Storeで購入できそうだ。

これによると、キットを購入すると、ランダムに生成したIDナンバーが付いてきて、以降はこのIDナンバーのみで追跡することで匿名性を確保しているようだ。DNAサンプルを返送後4~6週間で解析が終了し、このWebページにIDナンバーを入れることで自分の祖先についての情報が見られるようになるらしい。なお、単に自分の祖先についての情報を知りたいだけの場合には、このDNA情報はデータベースには記録されないようで、

If you'd like to contribute your own results to the project's global database you'll be asked to answer a dozen "phenotyping" questions that will help place your DNA in cultural context. This process is optional and completely anonymous, but it's also important.
とあり、希望した場合のみ、そのDNAサンプルの色々な背景(地理的、文化的などか?)を明確にするための質問に答えることで、データベースに(匿名のまま)登録されるようだ。

また、今回の解析で調べる部分は、

Samples will be analyzed for genetic "markers" found in mitochondrial DNA and on the Y chromosome. We will be performing two tests for the public participants:

Males: Y-DNA test. This test allows you to identify your deep ancestral geographic origins on your direct paternal line.

Females: Mitochondrial DNA (mtDNA). This tests the mtDNA of females to identify the ancestral migratory origins of your direct maternal line.

とあり、男性の場合にはY染色体、女性の場合にはミトコンドリアDNAについて調べるようで、それ以外の病気などに関係する部分には手を付けないらしい。

なかなか面白そうなプロジェクトだが、DNAを解析目的で他人に渡すという行為にどの程度のリスクを感じるかということがポイントかな? 全世界から均一にサンプルを入手したくても、民族とか宗教の影響を受けて、うまく集まらない可能性もあるだろうか?

ちなみに、アメリカやカナダ以外からの参加については、法律等により遺伝情報を持ったサンプルを国外に出せないような規制がされている国(例えば中国)以外は特に制限はなさそうだ。

なお、ナショナル ジオグラフィック 日本版のリリースの末尾に、「プロジェクトのスケジュールと分析内容、専用キットの入手方法などにつきまして、詳細が分かり次第、順次、情報を提供していく予定です。」と書かれており、今日の日経新聞の夕刊にも、「キットの購入方法など詳細は同協会ホームページに表示する。日本語で説明したサイトやキットの製作も検討しているという。」とあるので、キットの購入等を考えるのは、もう少し待った方が良いかもしれない。

スラッシュドットジャパンで議論されているが、かなり専門的なコメントも出ているようなので参考になりそうだ。 

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2005/04/12

ビタミンPとヘスペリジン

河北新報ニュース(4/11)で見つけた記事。半年服用で中性脂肪3割減 ビタミンPと糖の結合物質

 林原生物化学研究所(岡山市)は11日、ビタミンPの一種に糖を結合させた物質に、血液中の中性脂肪を減らす作用を確認したと発表した。現在も食品の原料に使われているが、動脈硬化予防に役立つとして医薬品などへの応用も検討する。

 ビタミンPは血管強化などの作用があるとされる。同研究所は糖と結合させて水溶性を高め、吸収しやすくした「糖転移ヘスペリジン」を開発した。成人男性25人で実験。500ミリグラムを6カ月間毎日摂取し、高脂血症の人は中性脂肪が平均3割減少。正常値の人はほとんど影響がなかった。

 肝臓細胞で調べると、この物質によって中性脂肪の分泌が制御されていた。
 かんきつ類の皮を原料にしており、副作用はないという。5月に東京で開かれる日本栄養・食糧学会で発表する。

ビタミンPってあまり聞かないが、どんなものだろう? 林原グループのプレスリリースに、詳細な説明が掲載されている。

ミカンなどに含まれているフラボノイドの一種であるヘスペリジンという物質がビタミンPと言われているそうだ。(ビタミンPの Pはpermeability(透過性)が由来らしい。 実際にはビタミンPはヘスペリジンとルチンの混合物のことみたいだ。) これは、水に溶けないので、グルコースを結合させて水溶性にしたのが、糖転移ヘスペリジンで、現在すでに食品分野で使われているらしい。(このリリースには、溶解度が100mlの水に200gまで改善とあるが、製造元の東洋精糖によると、20gのようだ。)

今回のポイントは、従来から血管強化等の健康効果が言われていた糖転移ヘスペリジンのヒトの健康への効果を定量的に明らかにしたということらしい。確かに実験結果を見る限り、これを摂取した被験者で血中中性脂肪が顕著に低下しているように見える。また、別の実験によって作用機序も明らかにできたと説明されている。

従来から健康食品として出回っているということで、例えば、江崎グリコのαGヘスペリジンによると、みかん加工品の添加剤などとして使われているようだし、素材豆知識によると、血管強化やコレステロール値の改善以外にも、抗アレルギー作用とか発がん抑制効果まで宣伝されている。他にも、骨粗鬆症に効くとか、リウマチに効くとか、探すと色々出てくるが、何にでも効果があるとなると、かえって怪しいような気もしてくる。

この林原の実験の被験者は、成人男性25名とのことだが、中性脂肪量で3つのグループに分けて評価している。グラフを見ると今回の効果は、高中性脂肪血症の11名の平均をプロットしているようだが、この程度のデータ数で本当に効果が確認できたと言えるのだろうか?

生データを見ないとわからないが、7か月目には中性脂肪量が元に戻っているけど、そんなに急に戻るのだろうか?(バラツキが相当に大きいのではないか?) もちろんこれは、医薬品の評価とは異なるレベルの実験なのだろうが、せめて二重盲検法を使用して、統計的な処理をして評価するという程度のことは行うべきなのだろうと思う。それと、中性脂肪が標準値を上回っている人にだけ減少させる効果があり、標準以下の人には何も影響がないというのも、提案されたメカニズムで説明できているのだろうか?

この効果が本物ならば、医薬品としても十分に使えそうなレベルのような気もしないではない。もっとも、医薬品とするのは色々と大変ということで、結局は健康食品や健康サプリメントのような形で使われるのだろうか? こうしてみると、医薬品と健康サプリメントとの境界は実に微妙だ。。 

いずれにしても、こうして一応のお墨付きが得られたということで、今後はヘスペリジンとビタミンPは今まで以上に注目される成分となりそうな予感。

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2005/04/11

ポテトチップスの塩のこだわり

日刊工業新聞社のビジネスラインで見つけた記事(4/11)。

カルビー/「球美の塩」「室戸深層海水塩」のポテトチップス

 カルビー(0120・55・8570)は11日、ポテトチップス「球美の塩」「室戸深層海水塩」を発売する。それぞれ沖縄県久米島沖の水深612mの海水、高知県室戸岬沖の水深374mの海水を汲み上げ、濃縮し、窯でじっくり煮詰めた「深層海水塩」のみを味付けに使用。各容量76g、価格はオープン。

 同製品は、塩だけのシンプルな味付けで仕上げた「日本の塩」シリーズの第2弾。日本全国各地の海水塩を吟味し、ポテトチップスと相性の良い銘柄を選んだ。(後略)

というものだが、塩にこだわった商品のようだ。残念なことに、カルビーのニュースリリースを見ても、今回採用した塩が従来の塩とどこがどう違うのかの説明は何も書かれていない。

今回の「球美の塩」と「室戸深層海水塩」は第二弾ということで、第一弾は「宗谷の塩」と「石垣の塩」ということらしいのだが、これを見てもそれぞれどんな特徴があるのかわからない。大した違いはなさそうだが、一応調べてみた。

球美の塩については、球美の水のサイトの球美の塩の説明だと、塩分濃度が84%、100g当たり、Na:33g、Mg:710mg、Ca:770mg、K:230mgとある。このサイトの説明に、「久米島の海洋深層水は、水深612mと日本一深いところから汲み上げており」と書かれているし、トップページにこのポテトチップスが紹介されているので、カルビーが採用しているのはこの塩に間違いなさそうだ。

室戸深層海水塩については、374mという水深からしても 室戸海洋深層水株式会社 の製品だと思うが、海水の組成は載っているものの、塩の組成は載っていない。こちらのサイトに深海の華という天然の塩の組成が載っていて、Na:34.56%、Mg:0.58%、K:0.19%、Ca:0.36%とある。球美の塩よりもMg、Ca、K共にが少なめのようだ。

宗谷の塩は楽天市場には「ミネラル含有量世界一」とあるのだが、メーカーの田上食品工業の情報によると、100g当たり、Mg:約3.45g、K:約1g、Ca:約1gとあり、さすがにギネス申請中だけあって、マグネシウム、カリウム、カルシウム含量がとんでもなく高い。だけど、これって「にがり」を含んだままの、海水を煮詰めただけのものみたいだな。。 こんなものをギネスが認定するのだろうか? それに、さすがにここまでミネラル分が多いと、それを知ってて使わないといろいろと問題も出てきそうだが。

一方、石垣の塩は石垣の塩の紹介によると100g当たり、Mg:170mg、K:93mg、Ca:1300mgとあり、上の塩に比べるとミネラルは随分控えめのようだ。(カルシウムだけが何故か突出しているが)

こうやって見てみると、同じように海水から作る塩だけど、思った以上に違いがあるものだ。もっともこの違いは、原料として使った海水の違いというよりは、海水から塩を作る条件の違いのような気がするのだが。。

さらに探していたらたどり着いたのが、その名も世界のお塩.comというサイト。このサイトで検索すれば、それぞれの塩の組成や特徴も一発で手に入いるようだ。国内だけでも66種類もの塩を取り扱っているそうだが、何事も奥が深いというか。。 

なお、より科学的な情報は、財団法人ソルト・サイエンス研究財団がJT関連ということで充実しているようだ。塩・にがりの選び方とミネラルの生理作用によると、国内には食塩の規格がないので野放し状態だが、国際的な規格(CODEX)では、Mg、Ca、Kなどのミネラル分のトータルは3%未満となっているようだから、やっぱり注意が必要そうだ。

果たして普通の人がどの程度味の違いを見分けられるのだろう? 「宗谷の塩」ぐらいミネラルが多いとさすがに区別できそうだが、それでもポテトチップとして違いがわかるかどうかは?? 宗谷の塩や石垣の塩のポテトチップスは4月上旬までの期間限定販売らしいから、食べ比べをしようと思っても急がないと入手が難しいかもしれない。

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2005/04/08

「DNAから見た日本人」

別に日本人のルーツがどうのこうのという話には興味がないのだが、DNAから見るという話には魅かれなくもない。例のミトコンドリアイブの話のような解析を様々な集団に対して行った場合、過去の人類の移動や拡散の様子が見えてきそうな気がする。現在の技術でどこまでできるのかにも興味がある。

ちくま新書 525
 DNAから見た日本人
 斎藤 成也 著(bk1amazon

本書は、日本民族の由来に興味のある人を対象読者としているのだろうと思うのだが、いわゆるDNA解析とは何かという話と、人類の出自やその移動に関する従来の知見という話の両方が出てくるので、つぼにはまった人には最適な本かもしれない。しかし、新書1冊に収めるのはやはり相当に苦しいようで、一つ一つの項目が説明不足というか、興味がかきたてられる一方で、中途半端に終わっているような欲求不満も募る。

もっとも著者のホームページが比較的充実しているので、詳細を知りたいときは色々とこちらで勉強できそうだ。

本書では、DNAや遺伝子のことや、進化と遺伝の話、およびDNA解析の方法(中立進化や遺伝的浮動の話に力を入れているし、ハプロタイプをキーとした解析手法も紹介されている)などの基礎知識がコンパクトによくまとまっている。また、人類のルーツを探る部分では、ミトコンドリア、Y染色体、常染色体のそれぞれのDNA解析の結果を、総合的に検討していく様子が紹介されている。

面白かったのは、古代DNAとして、日本の縄文時代の人骨から取り出したDNAを解析した結果などが出てくるあたり。今やそんなこともできるようになっていることに驚かされる。そういえば、恐竜の化石や冷凍マンモスからDNAを取り出す計画もあるようだし、火葬された骨からのDNA鑑定なんてことも話題になった。DNAというのは想像以上にタフな奴のようだ。

なお、本書では DNAからみた人類の系統(分類)とは別に、骨の解析や言語学的な面からの解析も紹介されており、これはこれで色々と考えさせられる。民族の体形(身体や頭の大きさや形状など)は、遺伝的な変化とは別に、食生活やその他の生活習慣でも大きく変わるので、従来の骨からの追跡には限界があり、DNA解析の結果と合わせて再検討されているようだ。

一方で、人類のルーツが一つであれば、いつごろから言葉を使い始め、それがどのように分化していったのか、というような研究に、DNA解析の結果が影響を与えていくというのも面白い。こうやって総合的に見ていくというのは、ある意味で推理小説を読んでいるような趣きがないでもない。(素人がその推理に楽しく参加するには、本書はちょっと情報不足だと思うが。)

最終章は「日本人」が消えるとき、というテーマで、まあ当然の帰結ではあるが、今後ますます世界的な人類の遺伝的な均質化が起こり、少なくとも遺伝子レベルでは人種という分類に意味がなくなるであろう、ということを述べている。文化的にどうなるか、については色々と不確定な要素も多いだろうと思うが、よく言われる「狩猟民族」とか「農耕民族」というような分類が文化的な相違の原因となっているのだとすれば、遺伝的な均質化は文化的な均質化を少なからず誘引する可能性もあるのだろう。

なお、人類を民族に分類する際に、アフリカ人、西ユーラシア人、東ユーラシア人、北アメリカ人、南アメリカ人、サフール人という分け方をするのを初めて知った。サフール人とは、かつて陸続きでサフール大陸と呼ばれていた、オーストラリア・ニューギニアに分布する人たちのことらしい。

本書は内容も文体もかなり堅い本なのだが、この本に書いてあることをネタにして、うまくストーリー展開すれば結構楽しめるお話になると思うのだが。

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2005/04/07

ココログ15か月

ココログを始めて1年と3か月が経過。カウンターは、この1か月で15000程度とややペースダウンしたものの安定したアクセス状況と言えそうだ。

 1か月目:900
 2か月目:4500
 3か月目:11700
 4か月目:19000
 5か月目:32300
 6か月目:43500
 7か月目:54500
 8か月目:72000
 9か月目:87700
 10か月目:105400
 11か月目:125400
 12か月目:140600
 13か月目:163000
 14か月目:179300
 15か月目:194700

この1か月の、Ninjaツールの集計によるアクセス解析結果は、(あまり当てにならないけど)

(1)リンク元
 1位 bookmark (お気に入りに入れてくれた方) 全体の26%(前回1位)
 2位 http://search.yahoo.co.jp (ご存知ヤフーサーチ) 全体の10%(前回2位)
 3位 http://a.hatena.ne.jp 全体の2%(前回5位)
 4位 http://search.msn.co.jp(MSNサーチ) 全体の1%(前回3位)
 4位 http://www02.so-net.ne.jp/~hashi/kohtaro/(インチキ化学者の部屋 ) 全体の1%(初登場)

(2)検索キーワード
 1位 キャッサバ(初登場)
 2位 レーザーポインター(前回5位)
 3位 青色発光ダイオード(前回1位)
 4位 岩盤浴(前回3位)
 5位 世界人口(前回4位)
 6位 タピオカ(初登場)
 7位 ポリ乳酸(前回15位)
 8位 献血(前回24位)
 9位 アメリカ(前回8位)
10位 フィリピン(初登場)
11位 スプレンダ(前回26位)
12位 平石クリニック(前回14位)
13位 シアン(初登場)
14位 合計特殊出生率(前回7位)
15位 大豆ペプチド(前回20位)

3/10のキャッサバ菓子で大量死と、3/14のキャッサバ菓子事件の原因は農薬だった関連のアクセスが多かったようだ。この事件は日本では確かにほとんど報道されていなかったし、少しはお役に立てただろうか?

替わりに、先月2位に来ていたタカラのマメールは64位と下位に低迷。どうやらマメールの人気がなくなったのではなく、このサイトの検索エンジンでの表示順位が大きく低下したためらしい。検索エンジンの表示順位の変動は予想以上に激しいようだ。

検索と言えば、さすがにこのブログも記事が多くなって、自分でも以前書いた内容を探すのが大変になってきている。ということで、Googleの検索機能を付けてみた。右側のペインのやや下になるが、検索窓が付いたので、もしもこのサイトの中から何かを探したいときには使えるかもしれない。

Google といえば、最近グーグルツールバーをバージョンアップしてみた。これは、ツールバー 3(ベータ版)というもので、ベータ版ということでまだ実験段階のようだが、中でもマウスオーバー辞書機能が面白い。

従来の翻訳機能や翻訳サイトは、そのページのURLを指定したり、翻訳したいテキストを直接入力して、文章全体を翻訳してもらうものだったが、文法解釈が結構とんでもなかったり、単語の選択が違っていたりするものだから、却って読むのに苦労したりするのが実情。でも、この機能はブラウザで英単語上にマウスを置くだけで翻訳単語を表示してくれるので、相当に便利。

ただし、今のところ辞書が貧弱で、こちらが知りたいと思う単語については、グーグル君も知らないことが多いが、今後に期待だ。辞書さえ充実したら相当に使えると思う。今のところ、英語から日本語や他の様々な言語への翻訳はできるが、逆はできないようだ。相互に翻訳してくれるようになると、中国語サイトや韓国語サイト、はたまたドイツ語やフランス語などのサイトの閲覧もかなり面白くなりそうなのだが。。 他にもまだ試していないが、ウエブ上のフォームに入力した英語のスペルチェック機能もついているようだ。(参考

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2005/04/06

輸血血液が大幅不足

MSN-Mainichi INTERACTIVE(4/6)の記事。献血:輸血血液、大幅不足 「A」「O」は特に深刻--若者離れ…渡航者禁止も影響

 全国で輸血用血液が大幅に不足し、特にO型とA型は、治療への影響が懸念されるほど少なくなっていることが、日本赤十字社の調べで分かった。少子高齢化で献血者が年々減っているうえ、変異型(新型)クロイツフェルト・ヤコブ病(vCJD)に国内で初感染した男性の渡航歴から決まった英仏渡航者の献血禁止方針も原因とみられる。厚生労働省は献血推進本部を設置し、都道府県に対し、初めて対策本部設置を要請するなど血液確保に懸命だ。【玉木達也】

 日赤によると、今年3月31日現在、血液製剤(赤血球製剤)の適正在庫(前年度実績などを基にした1日平均供給量の3日分)率は、全国平均ですべての血液型が100%を下回った。70%を切ると、大きな手術や突発的な治療に必要な血液が足りなくなる恐れが出てくるが、O型は66%、A型は69%しかなく、B型とAB型はそれぞれ87%と85%だった。

 昨年3月31日の血液製剤の在庫状況は、O型が77%、A型が94%で100%を下回ったが、B型は127%、AB型は114%を確保していた。現在のようにすべてが100%を下回るのは「異例の事態」という。
 (中略)
 今年は3月7日にvCJDの国内初感染者の渡航歴から、80~96年に英仏両国に1日以上滞在した人の献血中止を決定。その後、急激な血液不足を避けるため、英国滞在者を先行し、一定期間後に仏国滞在者も禁止する2段階式に変更した。

 実際の禁止措置の開始は、献血時の問診表の改訂などの準備を終えてからで、早くとも来月だが、日赤は対象者の中には、既に「できない」ものと勘違いして献血を中止している人がいて、減少に拍車をかけているとみている。

 対象となる80~96年の英仏渡航者は延べ757万人に上るため、禁止措置が始まれば、さらに献血者が減るとみられる。(後略)

ということで、血液不足らしい。英国渡航者は今はまだ献血可能なのに、既に「できない」ものと勘違いして献血を中止している人がいたとしても、それが問題であるかのように読み取れるのだが、そういう問題なのだろうか?? (禁止されるまではどんどん献血してくれってことか?)

そもそも輸血用血液が減少している理由は何なのだろう? 在庫率は昨年比で表わすと、O型が -14%、A型が -27%、B型が -31%、AB型が -25%となる。1年でこれだけ減少したのを、少子高齢化で献血者が年々減少していることが原因と説明するのは無理だろうに。。 しかも3月の1点データでは vCJD の影響かどうかも判然としない。もう少し時系列に数字を追いかける必要がありそうだ。

厚生労働省の献血者及び献血量の推移には平成14年までの数字しか載っていないので、これでは最近の状況はわからない。むしろ、血液製剤調査機構の血液事業関係資料集 平成15年度版の方が、新しいし、細かな数字などはいろいろと充実している。これを見ると、少なくとも平成15年度までは献血者が特に減少している傾向は見られないのだが。。

毎日新聞の新聞記事には、ここで問題になっているのが赤血球製剤と書かれている。赤血球製剤は、血液及び血液製剤についてに書かれているように、輸血用の血液製剤で、いわゆる全血献血から作られる。(2004/9/9にこのブログで話題にした赤血球成分献血が行われれば別だが。)

延べ献血者数で見ると、成分献血者は全体の3割程度のようだが、多くの献血リピーターは肉体的な負担が少ないことと、短いインターバルで次の献血が可能になることから、大体成分献血を行っている。まあ、こういう人たちは黙っていてもまた献血に来てくれるから今回の呼びかけの対象外なのかな? それとも、次回献血に行くと400ml献血をお願いされちゃうのだろうか?(いつもは、「今回も成分献血をお願いできますか?」と聞かれるのだが。。)

ちなみに、今回の英国旅行者の献血制限については、厚生労働省が献血時の変異型クロイツフェルト・ヤコブ病対策についてというお知らせを出している。(これを読む限り、成分献血から全血献血への誘導を行うようなことはなさそうだ。) 英国旅行者の献血制限の影響は 5~10%と見積もっているようだから、冒頭の記事の血液製剤の在庫量の減少はやはり説明できそうもない。

この厚生労働省の資料では、輸血によるvCJD発症の潜在的なリスクと、血液不足による出血死の顕在的なリスクとのトレードオフに言及していて、なかなか興味深い。何故かマスコミ報道ではこの辺のニュアンスは伝わってこないのだが。。 どうせなら、もう少し詳細に検討してもらうと、リスクを考える具体例として面白いものになると思うのだが、中途半端で終わってしまっているのが残念である。

この件に関連しては、松永和紀のアグリ話でも取り上げられていて、英国滞在1カ月の献血線引きは非科学的では、この男性が日本国内の牛肉を食べて感染した可能性を否定することができないことを指摘した上で、もしもイギリスで感染したのだとしてもその滞在日数で線引きすることにも疑問を呈している。もっとも、今回の滞在1日で線引きするという最新の方針は、まあそれはそれでアホらしいほどに徹底していると言えるのかもしれない。

でもよくよく考えてみると、イギリスで輸血を必要とする人は当然イギリス国内で献血された血液を主として使用しているのだろうし、それでも現時点で大して問題になっていないとすると、日本のこの対応はやっぱり大げさすぎるのだろう。

2004/9/24に取り上げた献血経由のクロイツフェルト・ヤコブ病リスクによれば、確かに輸血患者の発症率はやや高いようだが、それでも献血や輸血は行われているようだし、血液感染のリスクは白血球が原因と考えられているようだから、白血球の除去という対策もあってよさそうだ。(血液事業報告によると、赤血球製剤には、白血球除去赤血球除去浮遊液というのがあるから、通常のものは白血球を除去していないのだろうか。)

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2005/04/05

高知県の宇宙酒計画

日経新聞4/5の朝刊に載っていた「高知から“宇宙酒”発信 ソユーズで旅した酵母を使用」という記事。

 高知県の日本酒メーカーが、ロシアのソユーズロケットで旅した酵母を使い日本酒を開発、2006年春に統一ブランド酒を発売する。高知の日本酒は一定の認知度はあるが、焼酎ブームに押され売り上げは減少気味。“宇宙酒”の開発・販売で、土佐の日本酒の販売促進を目指す。
 (中略)
 高知で醸造に使う酵母5-6種類を、ソユーズにのせて9月末に打ち上げる計画。費用は1200万円。酵母は約1週間の飛行で、宇宙線の影響を受け多少変化することが予想される。各メーカーは持ち帰った酵母と県産米を使い日本酒を醸造。「土佐宇宙酒」などの統一ブランドで販売する。(後略)
というなかなか面白いアイデアである。宇宙を旅した酵母が作るお酒だから何なのだ?という気もしないでもないが、ともかく話題性はある。調べてみると、こんな記事もあり、「高知宇宙利用推進研究会」というものもあるようだ。既にスケジュールも決まっていて、ソユーズで9/27に打ち上げられ、国際宇宙ステーションに置かれ、その後10/7に回収の予定とある。運ぶ品物は相当に小さくて軽いもののような気がするけど、1200万円は高いような、安いような。。

調べてみると、橋本大二郎高知県知事のブログ「だいちゃんぜよ」に 宇宙食はいかがですか(7月12日)宇宙酒はいかがですか(8月31日)初夢ではないけれど(1月2日)いうエントリがある。知事自身が

と言っても、これはただ単に、「宇宙飛行をした」酵母を使って、お酒を造るというだけのことなのですが、その後は、化学的な変化などを調べる、本格的な実験にも、手をあげようという話になっているそうです。  酵母が宇宙に行っただけで、いきなり“宇宙酒”と打ち出すと、「誇大広告だ」と文句を言う方も出そうですが、とても夢のある楽しい話だと思いました。
とか
ただ、今回の計画は、フリーズ・ドライの酵母を、2週間ほど宇宙にあげるだけのものですので、いわば宇宙メダカと同様、宇宙旅行をしたという箔をつける程度ですが、次の本格的な実験に向けた第一弾としては、夢のある企画だと思いました。
と随分控えめに書かれているが、日経記事にあるように、少しは「濃い」宇宙線を浴びることで遺伝子に変異が発生する可能性もあるだろう。それに、夢があるし、なかなか面白いアイデアだと思う。何で高知県なんだ?という疑問もあるが、まあ早い者勝ちでもいいだろう。もっとも、その突然変異がおいしい日本酒を造ることにつながるかどうかとなると、はなはだ怪しいのであるが。。

ちなみに、一体宇宙ステーションでの宇宙線はどの程度のレベルなのかを調べてみると、資料によって数値が色々と異なっていたりするのだが、よぼう医学ライブラリーによると、まず我々が日常的に自然界から受ける放射線量が年間トータルで 2.4ミリシーベルト(宇宙から 0.38、大地から 0.46、体内に 0.23、空気中のラドンから 1.3)とされている。さらに、日本からアメリカまでの飛行機旅行1回で0.038ミリシーベルトとある。浜松医療センターの放射線概論という資料によると、アポロ11号乗員の被ばく量が約 4ミリシーベルトとある。また、内閣府原子力安全委員会の日常の放射線被ばくと放射線影響の実態という資料はなかなかの力作だが、この資料では

 自然界からの放射線が 年間 約2.4mSv
 医療等による放射線が 年間 約1.7mSv
 ニューヨーク・東京の航空機旅行が 1往復で0.2mSv
 宇宙旅行(向井さんや毛利さん)が 1~3mSv/日

とある。シーベルトという単位は人体への影響を見積もるための単位だから、酵母への影響度合いは少し違うのかもしれないが、宇宙に1週間置いている間に浴びる放射線量は地上で数年~10年程度かけて浴びる量と同等レベルということだ。いや、だから、どうってことはないんだけど。。

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2005/04/04

無農薬作物でアレルギー発症

日経新聞4/4の朝刊の科学面に載っていた「無農薬作物でアレルギー発症」という記事。

 花粉症患者が無農薬栽培のリンゴなどを食べると、アレルギー症状を起こす恐れがあるとする研究を、近畿大学の森山達哉講師らがまとめた。無農薬作物が作る抗菌たんぱく質などが原因になるとみられ、注意を呼びかけている。

 農薬を使って病害を防いだリンゴと無農薬で栽培したリンゴに、それぞれアレルギー物質がどれくらい含まれるか、花粉症でリンゴにもアレルギーを示す患者の血液を使って調べた。無農薬リンゴからは農薬を使った場合の2-5倍見つかり、農薬を少しでも使うとアレルギー物質が半減することが分かった。無農薬作物は病害虫の攻撃を受けやすく、それに対抗しようと盛んに抗菌たんぱく質などを作る。

ということで、アレルギーに対して良かれと思って、無農薬栽培した作物を積極的に摂取すると、もしかしたら逆効果になるという話のようだ。Biotechnology Japan の Food Science の 松永和紀のアグリ話●花粉症患者にはかえって悪い?無農薬栽培 で解説されている。これは、同じ森山さんの研究成果を元に、もう少し深く突っ込んだ内容となっていて、有機農作物の安全性には必ずしも根拠がないことを指摘(参考)した上で、
 しかし、この研究は、農薬という1つのリスクが下がった時に、アレルゲンという別のリスクが上がるという、「リスクのトレードオフ」の可能性を示したもの。
と結んでいる。この研究をした森山さんは、3月までは京都大学で、この4月から近畿大学に移られたようだが(近畿大学農学部応用生命化学科)、本件に関連する情報はホームページ上には見つからなかった。

さて、植物が病害虫などに対する防衛策として有害物質を作り出す話は、天然農薬と自然農薬と呼ばれるようで、農薬のお話農薬ギライのためのバラ作りのページで説明されている。生成される成分には発がん性のあるものも多いようだ。もっとも、野菜を食べることは、その発がんのリスクを上回るメリットがあるというのが結論のようだ。

我々の日常生活の発がんリスクの中で、食品添加物や残留農薬などの人工的な物よりも、普通の食べ物の方が何倍も大きいというのも今までに何度か聞いている話なのだが、何故かなかなか一般常識にはならないようだ。

このような話と共にBSE問題も含めて、唐木英明さんが東京都の食の安全都民フォーラムで昨年秋に公演したときの資料食の安全と安心の違いが勉強になる。

ところで、この無農薬リンゴが生成する天然アレルゲンは、最近になって突然できたものではなく、恐らく人間とリンゴとの付き合いの長い歴史の中でずーっと関わってきた物質だろう。あくまでも、有機栽培されたリンゴが、天然農薬として自分で作り出す成分の中に、リンゴアレルギーの人のアレルゲンが存在していたということだろう。

アレルギーを持つ人が食生活に注意をする必要があるのは言うまでもないことだが、リンゴアレルギーの人でも、農薬を使用したリンゴの場合は大丈夫というのが面白いところだ。だからと言って、この実験結果から、無農薬栽培の食物は花粉症に対して有害であり、農薬使用栽培された食物は無害である、という結論には必ずしもならないはずなので、要注意だ。

というか、この実験は結局のところ「花粉症」とどういう関係があるのだろう? 単なるリンゴアレルギーと無農薬リンゴの関係の話ではないのだろうか?

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2005/04/01

天気予報の的中率と過去の天気予報

以前から、天気予報の的中率がどの程度かが気になっていた。調べてみると、気象庁が 予報精度検証 のページで、しっかりと自己評価している。降水有無の適中率は何と85%程度もあるようだ。この数字の算出方法については、検証方法の説明に書かれているが、要するに、降水の有無についての予報が当たったかどうかを計算しているようだ。一方、最高気温や最低気温の予報精度については、実績値との差を統計的に処理している。

個人的には、天気予報の的中率が85%もあるとはとても思えないのだが、気象庁が定義した精度が体感と一致していないということだろう。まあ、気象庁は自分で出した予報の精度の検証をこうやってきちんとやっているし、時にはアンケート調査で満足度の調査をしたり、とそれなりに努力している姿勢は評価できる。(天気予報についてのアンケート調査による満足度が結構高いのも意外だったが。。)

気象庁の発表している精度も、計算の結果の数字だけが公表されており、詳細データは公表されていない。それに、降水確率の数字の的中率の評価もされていないし、何となく不満が残る。そこで、気象庁の定義とは異なる観点から天気予報の精度を検証してみたいと思い、過去の天気予報データを探してみた。ところが驚いたことに、過去の天気予報データを蓄積しているところが見当たらない。「過去の天気予報」をキーワードに検索しても、ヒットするのはほとんどが「過去の天気」のようだ。

多少ともそのような試みをしているサイトとしては、Weather Backcastがあったのだが現在は更新が停止されているし、コンティンジェントでも天気予報の数字を色々と加工しているが、過去の天気予報を継続的に蓄積することを目的とはしていないようだ。

ということで、他に過去の天気予報データを蓄積しているところがないのなら、仕方がないので自分でやってみることにした。天気予報は一日に何度も更新されるので、新しいデータで上書きされる前に、定期的に取得しないといけないのが難点だ。そのために、データの取得から一覧表の作成までできるだけ自動化することにして、2月の中旬から少しずつ環境を整えてきた。で、できたのが東京地方 過去の天気予報一覧というページ。

あくまでも毎日発表される天気予報のデータを蓄積するのが目的で、その精度の検証や解析は気象や統計についての知識のある人がやる方が良いだろう、と考えている。でも、何もないとつまらないので、あくまでも一つの解析例として、天気予報と実際の天気のトレンド、相関関係、偏差の分布、についてグラフにしたものも掲載している。

なお、気象庁は降水の有無だけで天気予報の敵中率を求めているが、これだと晴と曇の区別がされないし、小雨と大雨も一緒になってしまう。そのため、ここでは試しに天候を数値化して、予報と実績を半定量的に取り扱ってみたが、どうだろうか?

2005年3月分について、天候のトレンドを見ると、数値そのものの的中率はともかくも、全体の傾向は比較的うまく予報できていると思える。

また、気温の予報と実績の相関を見ると、最高気温の予報の方が総じて良い相関を示している。どのグラフも傾きが1未満であるというのが興味深い。特に最低気温で傾きが小さくなる傾向が見られる。(特に高い最低気温を予報していたけど実際は温度が低かったというのが多いようだ。)

最低気温と最高気温については、気象庁は偏差の平均値(ME)と偏差の二乗平均の平方根(RMSE)が公表されているが、数字だけ見ても精度を実感するのは難しい。だが、こうやってヒストグラムで見ると、一目瞭然だ。

ということで事情が許す限りは、この調子で天気予報データの蓄積を継続していくつもりだが、個人でやっているので天気予報を取得し損なうこともあるかと思うし、データの欠損が出てもご容赦の程を。

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