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2005/04/21

ニコエン飲料

asahi.com(4/20)の記事。ニコチン減らす飲料を発売 エスエス製薬

 エスエス製薬は20日、たばこに含まれる有害物質のニコチンを少なくさせる効果があるとする成分を含んだ飲料「一服健茶」を、5月23日から全国のコンビニエンスストアで発売する、と発表した。

 同社によると、この成分は韓国のバイオベンチャーなどがリンゴ、レモンなどから抽出した天然エキス「ニコエン」で、体内のニコチンを無害にするのを促す作用が確認されているという。特定保健用食品の許可はとっておらず、普通の清涼飲料として販売する。340ミリリットルのペットボトル入りで168円(税込み)。初年度の販売目標は10億円。

前段では、たばこに含まれるニコチンを少なくさせる効果とあるが、後段では、体内のニコチンを無害にするのを促す作用、と書かれており、微妙に違う説明となっているけど、本当はどんなものだろう? 日経プレスリリースには、
 「一服健茶」は、韓国政府より公的な助成を受けた韓国リージェンバイオテック社と水原大学が共同で開発した注目のエキス「ニコエン」(りんご、セロリなど11種類の植物から抽出された天然エキス)を世界で初めて飲料に配合した、口当たりのよいスッキリ味の旨味緑茶です。
とだけ書かれていて、「ニコエン」という成分の効果については説明がないようだ。 ニコエン清涼飲料水「ニコーエンプラス」や、サンヨーデル ニコラップによると、開発した会社が同じ韓国だけど名前が違うのが気になるが、ともかくもニコエンというのは体内で有害なニコチンを無害なコチニンに転換して体外に排出させる効果を持っているとされているようだ。

カネボウフーズのニコダスというガムに関するプレスリリースには、開発したのは韓国の延世大学となっており、大学も違っている。。(この商品は今は販売していないみたいだ)

ニコエンについては、DHCのニコエンが詳しく説明されているが、「ニコエン(NICO-N)」という名前は、メーカーによる造語で「Nicotine End」という意味を表すらしい。 いかにもニコチンを無害なものに転換する化学物質のように宣伝されているけど、天然11種の植物から抽出されるということは、これは様々な天然成分の混合物ということか。混合物に勝手にそれらしい名前をつけて売るというのは、結構まぎらわしいやり方だと思うけど。。

ところで、今日の新聞には喫煙者の半数、禁煙試みた経験 厚労省が報告(Sakei Web)


 習慣的にたばこを吸っている人の半数以上は禁煙を試みたことがあり、その回数は男性が平均4・6回、女性は3・6回に上ることが21日、厚生労働省の2003年国民健康・栄養調査の速報値で分かった。

 同日開かれた地域保健健康増進栄養部会で厚労省が報告。「やめたいけど、やめられない」人がいかに多いかを示した。
 調査は03年11月に無作為抽出した全国の4160世帯を対象に実施。たばこについて重点的に質問した。

 それまでの1カ月に毎日か時々たばこを吸っている「習慣的な喫煙者」は男性の46・8%、女性11・3%。このうち「禁煙を試みたことがある」人は男性が53・5%、女性は60・8%で、平均禁煙回数は男性4・6回、女性3・6回だった。

 「たばこをやめたい」という人は男性の4人に1人に当たる24・6%、女性は3人に1人の32・6%で、やめたい人の割合は男性は60代、女性は20代に高かった。

なんて記事が載っている。まあ、やめたいけどやめられなかった人に聞いたら、禁煙にトライした回数が多いのは当たり前だ。実は、禁煙(断煙)に成功した人にこそ、「何回目の禁煙で成功したのですか?」と聞くべきだと思うのだが。。 禁煙回数を横軸にとって、成功率を縦軸にプロットするとどんなグラフになるのかな?? 

長崎タバコ問題研究会というサイトのニコダスの紹介ページには、「ニコチンを早く排泄させるなら、ニコチンの血中濃度が早く下がる。そうすると、次のタバコが早く吸いたくなり、喫煙量が増える。」という指摘がされているが、確かにその通りだろう。しかも、禁煙を助けるのではなく、むしろ心理的には喫煙の継続を正当化する商品ということになる。(本当にニコチンの排出を促進する効果があればの話だが。。)

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コメント

このニュース、わたしも注目していたので興味深く拝読しました。いつもながら冷静な分析、とてもためになります。
わたしも喫煙者で、しかも医者には止められている身体なのですが(笑)、まぁ自分へのいい訳というか、精神的保険ですよねぇ。。。
ちなみに下の記事もAFNのニュースで流し聞いて気になっていました。AFNのポール・ハーヴェイさんのニュースだと、1/3が面白ニュース、1/3が真面目なニュース、残りが健康関係、くらいの配分で、アメリカ人はこういう健康ネタが本当に好きだなぁ、と思います。

投稿: 石倉由 | 2005/04/21 23:42

私の場合には2年前までは40~50本/日のヘビースモーカーだったのですが、http://tftf-sawaki.cocolog-nifty.com/blog/2004/05/1.html
">タバコをやめて1年で紹介したように、1冊の本を読んだだけで、きれいさっぱりやめられました。

まあ、気休めにこの製品を飲んでみて、タバコを吸った後の身体の要求の変化を自分で試してみるのもいいかもしれません。

でもでも、くれぐれも、この製品によって本数が増えることなどないように。。

投稿: tf2 | 2005/04/22 00:01

はじめまして。
冷静な分析に、目からうろこでした。
とても感動したので、トラックバックとリンクをさせていただきました。
よろしくお願いいたします。

投稿: anti-tobacco | 2005/04/23 08:01

anti-tobaccoさん、コメントとトラックバックありがとうございます。

私も最初にニュースを見たときには、何か変だな、という印象を持った程度でした。でも、少しインターネットで調べてみたら、こんな感じの情報を比較的容易に入手できました。

投稿: tf2 | 2005/04/23 19:57

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» ニコエン [潜在意識とタバコ]
エスエス製薬、食品事業へ本格参入――茶飲料を5月発売というニュースを日経新聞で見たときは、なんともいえない不思議な気分だった。記事は以下のようである。 茶飲料は緑茶に植物エキス「ニコエン」を配合、名称は「一服健茶」。340ミリリットルペットボトル入りで希望小売価格は168円。生産は韓国メーカーに委託し、日本へ輸入する。「ニコエン」は韓国のバイオベンチャー、リージェンバイオテック(ソンナム市)が開発した植物エキス。リンゴやイチョウ、桑の葉、ミカンの皮など11種類から抽出している。同日にエスエスと... [続きを読む]

受信: 2005/04/23 07:56

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