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2005/05/10

地震危険度マップ

NIKKEI NET(5/9)の記事。防災研、「地震危険度マップ」をネットで公開

 防災科学技術研究所は9日、地震で強い揺れに見舞われる確率を色分けして示す「地震危険度マップ」の全国詳細版をインターネットのホームぺージで公開したと発表した。鉄道の駅名や市町村名を入力すれば、自宅や勤め先が強い揺れに襲われる確率が地図上に色違いで表れる。

 ホームページはhttp://www.j-shis.bosai.go.jp

 マップは強い揺れが想定される確率を、5段階で1キロメートル四方ごとに色別に表示している。

 例えば「大手町駅」(東京都千代田区)と入力して検索した場合(左図)、大手町駅が十字マークで地図上に示される。その色により、30年以内に震度6弱の揺れに見舞われる確率は「6%以上26%未満」(約500年から約100年に1回発生)であることが分かる。

 その右側、海寄りには浅草など、より色の濃い「30年以内の発生確率は26%以上」(約100年に1回以上発生)の地域が広がっている。

ということで、早速、地震ハザードステーションにアクセスしてみた。何はともあれ、国の公的機関が日本全国の地震の発生確率をここまで具体的に公表したことに感心させられる。この手の情報は、受け取り方によっては、土地価格の変動などを含め、社会的な影響力が大きいように思えるので。

もっとも、震度5以上の地震が今後30年以内に起きる確率を色分け表示させてみると、ほとんど日本全体が真っ赤になってしまうくらい、日本は地震大国だから、今さら地震の発生確率が公表されてもあまり驚かないのかもしれない。あるいは、震度6以上で見ると四国から静岡あたりにかけての太平洋岸が特に高確率を示しているのだが、例えば最近大きな地震が起きた新潟や福岡辺りの確率はさして高くないようなので、所詮は確率、あまり当てにはならないじゃないのとも言えるのかもしれない。

それにしても、このマップは誰を対象として公表したものなのだろう? 地震動予測地図解説書には、かなり詳細な解説が記載されているし、用語解説もそれなりに充実しているけど、どう見ても一般国民を相手に理解を求めるような記載はされていないようだ。

それでも一通り目を通してみると、このマップの元となる地震の震度予想は、2種類の方法で行われているようだ。二種類の地震動予測地図によると、一つは「震源断層を特定した地震動予測地図」であり、もう一つが「確率論的地震動予測値図」。前者は、既に判明している特定の断層(全国98か所)で想定される地震が起きた場合の各地域の揺れを計算したもので、後者はそれも含めた多種多数の地震発生モデルから各地の地震の震度とその発生確率をモデル計算したもののようだ。

1km四方の領域ごとに確率が出てくるので、自宅近辺で揺れの大小を比較したりすることもできる。だが、それをどう活用するべきなのだろう? この手の確率的な数値を有効に活用できるのは、集団への影響を考慮する必要のあるケース、例えば地震保険の保険料の算出をする保険屋さん、地震時の被害を推定して対策を立案する自治体関係者、周囲への影響の大きな施設の立地を検討する環境アセスメント屋さんなどだろう。

たとえば、一個人が自宅の立地を検討する際に、この数値を参考にすることはできたとしても、発生確率の低い場所を選んだからといって、それに見合ったメリットを必ず受け取れる保証はないわけで、なかなか判断に迷う所だろう。手術の成功確率などもそうだが、確率的な事象に対して、個人がたった一度の意思決定をする場合につきまとう問題と言えるだろう。

ということで、この地図は眺めてみるのはそれなりに興味深いし、ある種の人たちや行政にとってはとても有益なものだろうと思うのだが、一個人にとっては、だからどうなのよ、というようなある種の諦観をもたらさないでもない。

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コメント

福岡については私も気になりました。
このシステムでは断層表示ができますが、福岡では断層が表示されませんので、発生確率が低いのでしょう。

 福岡以外にも認知されていない断層は、幾つもありそうです。

 私も個人にとって、このシステムの示すデータは直接的に何の影響も与えないと思います。
 個人が地震に対する危機感を持ち、行政の防災対策に関心を持ち、行政の防災対策が促進されれば、大きな成果ではないでしょうか。

投稿: isana | 2005/05/11 01:16

isanaさん、コメントとトラックバックありがとうございます。

元々個人向けの情報という意識はあまりないままに公開したような印象もあるのですけど、せっかくだから、公報活動や防災対策にこの情報をうまく活用することを考えても良いと思えますね。一般人向けの使い方とかデータの読み方の解説も、もっと充実させて欲しい所です。

このマップの公開も、3月ぐらいに各紙に予告編のようなニュースが載ったのに、今回は日経新聞以外の全国紙には取り上げられなかったみたいだし、もっとうまく公表できそうなものですけど。。

投稿: tf2 | 2005/05/11 20:30

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» 地震は来る、腹をくくるしかないでしょ。 [防災:明日は我が身]
以前「地震予測地図」について書きましたが、防災科学技術研究所では、さらに進んだ情 [続きを読む]

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