« 18金のお風呂の厚さは? | トップページ | 「リスク眼力」 »

2005/06/29

グリシンで睡眠の質が改善

日経バイオテクニュースの記事(6/29)から。味の素、慈恵医大、太田睡眠科学セ、就寝前のグリシン3g摂取が睡眠問題を改善

 東京慈恵会医科大学精神医学講座の山寺亘講師は、就寝前のグリシン3g摂取が、睡眠問題を改善する効果を発揮しうることを11人を対象にした単盲検クロスオーバー試験で確認した。終夜睡眠ポリグラフ検査(脳波測定)や起床時および日中のアンケート調査、日中作業効率試験を、太田睡眠科学センター(川崎市、佐々木三男所長)で実施した。
というもの。味の素のサイトにアミノ酸“グリシン”の「睡眠の質」改善効果(第2報)というプレスリリースが掲載されている。普段、眠りに問題を感じている人が、睡眠前にグリシン3gを含む錠剤を飲んでから寝たら、眠りの質が改善し、睡眠中の脳波にも変化が出たとある。また、眠りに問題を感じていない人に無理やり短時間睡眠をさせた時にも、グリシンの摂取の有無で注意力等に差が出たようだ。

プレスリリースには、対照実験をどう行ったのかが書かれていないが、新聞記事には「単盲検クロスオーバー試験」とあるから、それなりに管理された実験のようだ。第2報とあるので、過去の分を検索してみたら、2004/9/14のプレスリリースが見つかった。これも同等の実験を行った結果が載っているが、マウスにもグリシンを投与して作用機序の検討を行っているようだ。

アミノ酸については、味の素のアミノ酸大百科が充実しているようだが、今話題ののBCAA(分岐鎖アミノ酸:バリン、ロイシン、イソロイシン)などについては詳しいのだが、グリシンについては、非必須アミノ酸ということもあって、ほとんど解説もされていないようだ。Wikipediaには、人間の必須アミノ酸の中で最も単純な形を持つ、と書かれている一方で、生体内ではセリンから生合成される、と矛盾した記載がされているが、グリシンは人の必須アミノ酸ではない。(ネット上では、グリシンは「人間の必須アミノ酸の中で、最も単純な形を持つアミノ酸」と書いてあるサイトがいくつか見つかる。)

グリシンは多くのたんぱく質に少量は含まれているようだが、例えばエビ二枚貝のエキスなどに多く含まれていたり、コラーゲンに比較的多く含まれているようだ。なお、その安全性については、「健康食品」の安全性・有効性情報に記載があるが、元々いろいろな食品に含まれているし、体内でも合成される成分だから、怪しげな健康食品に比べれば安全性の問題はないと言っても良いだろう。

このように、グリシンは日常の食生活で誰もが摂取しており、なおかつ人体にも普通に含まれているだけでなく、体内で合成される成分である。全く新規な成分の場合とは異なり、このように普通に摂取し、なおかつ体内で合成しているような成分を、サプリメントのように追加で摂取した場合の効果を確かめる場合には、コントロールが難しそうに思われるのだが。。 もともと、現れる差は微妙のようだし、当日にエビを沢山食べた人はぐっすり眠れたりするかもしれない。

ちなみにアミノバイタルゼリードリンクには、アラニン、プロリン、グリシンなどのアミノ酸が合計1500mg含まれているようだが、さすがにグリシン3gというのは結構な量なのかもしれない。。 各種アミノ酸製品の成分を比較しているアミノ酸製品徹底比較を見ても、グリシンを大量に含むものは少ないようだ。

|

« 18金のお風呂の厚さは? | トップページ | 「リスク眼力」 »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: グリシンで睡眠の質が改善:

« 18金のお風呂の厚さは? | トップページ | 「リスク眼力」 »