喫煙は老化を加速?
NIKKEI NET いきいき健康のニュース(6/20)たばこでDNAも老化、1日1箱40年で7.4年分・英米チーム
喫煙者はたばこを吸わない人に比べ、細胞のDNAレベルでも老化が早い―。ロンドンのセントトーマス病院など英米チームがこんな研究結果を19日までにまとめ、英医学誌ランセットに発表した。テロメアについては、Wikipediaに詳しいが、やや専門的すぎて難しい。Sankei ECONETの解説も参考になる。試算では、1日1箱を40年間吸い続けると、吸わない人に比べ細胞が7.4年分、余計に歳をとることになるという。
研究対象は18―72歳の女性1100人余り。白血球の核DNAにある「テロメア」と呼ばれる部分に着目した。テロメアは、ひも状になったDNAの両端でほつれを防ぐ「キャップ」役を果たしている。細胞分裂の度に少しずつ短くなり、若者より高齢者の方がこの部分が短いため、老化の1つの目安にもされている。
「喫煙者」「元喫煙者」「非喫煙者」の3グループでテロメアの長さを比べたところ、非喫煙者が最も長く、元喫煙者はやや短縮、喫煙者はさらに短かった。
英語の新聞を探してみると、BBC NEWSなどがみつかった。でもこの元の論文は、喫煙と肥満が共にテロメアを短くすることを述べたものであり、何故か日本の記事では喫煙だけを取り上げたようだ。。 この記事によると、テロメアの長さは喫煙経験と共に単調に短くなる傾向があり、非喫煙者の標準的な1年間のテロメアの短縮量に対して、1日1箱の喫煙を1年続けると18%短くなると言えるのだそうだ。従って、40年で7.4年分に相当することになる。これから、1本の喫煙の影響を算出すると、
3889440分(= 7.4年) ÷ 292000本 = 13.32分/本
となり、タバコ1本で 約13分DNAの老化を加速(寿命を短縮?)していることになる。なお、いわゆる寿命とテロメアの短縮との関係については、
Professor Thomas von Zglinicki from Newcastle University said: "Telomere length is related to age and might be one biomarker of ageing, but whether it really 'defines' biologiocal age is quite a different question."とあり、何らかの関係はありそうだが、まだ不明の点が多いと考えるべきのようだ。
喫煙の害として、ガンなどの病気になる確率が高くなることがよく言われるし、例えばここのように、様々な危険因子と比較して損失余命という尺度で危険性を説明したりする。しかし、確率的な表現は、個人にとっては今ひとつピンと来ないのではないだろうか? 一方、このように、一本吸う毎に細胞の老化が進行するとなれば、特に若い世代にとってもインパクトが大きそうだし、この表現は結構使えるかもしれない。
もう少し詳しい記事を探してみると、Web MD Healthによると、
The women in Spector's study were all twins aged 18-76 years. The group consisted of 45 pairs of identical twins and 516 pairs of nonidentical twins.とあり、肥満は8.8年分のテロメア短縮に相当するので、喫煙よりも影響が大きいとも言えそうだ。双子の女性だけを調査対象としたのが何故なのかがとても気になるのだが、その理由が不明だ。
(中略)
Assuming their results pan out, the researchers were able to estimate the number of years lost to cigarettes -- or extra pounds.The difference in telomere length between being lean and being obese corresponds to 8.8 years of aging.
Smoking (previous or current) corresponds on average to 4.6 years of aging.
Smoking a pack per day for 40 years corresponds to 7.4 years of aging.
Keep in mind that those time spans refer to telomere length, not overall aging.
"Our results emphasize the potential wide-ranging effects of the two most important preventable exposures in developed countries -- cigarettes and obesity," write the researchers.They point out that there was "considerable variation" in telomere length between participants and call for larger studies on the topic.
テロメアの長さは個人差が大きいということなので、そのために双子を研究対象としたのだろうか? 今回の研究対象の双子として、その一方が喫煙者や肥満で、他方が非喫煙者や痩身、という組み合わせばかりを集めたのだろうか?(そんなに都合良い双子が見つかるものだろうか?)Lancetのサイトの Free Registration では、Summaryまでなので、詳細不明だ。
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