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2005/06/08

「使いきり」ビデオカメラ

asahi.com(6/8)の記事から。世界初、使い切りデジタルビデオカメラ 米で発売

 米ドラッグストアチェーン大手CVSは今週から、「世界初」となる使い切りのデジタルビデオカメラを発売した。価格は1台29.99ドル(約3200円)。録画時間は最大20分間。録画後は同チェーン店に返却して12.99ドル(約1400円)を支払えば、DVDに保存してもらえる。

 薄型のポケットサイズでタテ約10センチ、ヨコ約6センチ。重さは約140グラム。ズームなどの機能はなく、ボタンは3つだけの簡単な操作だ。映像は内蔵メモリーに記録し、裏面の1.4インチカラー画面を見ながら再生、消去ができる。保存後のDVDでは、映画ソフトのようにメニュー画面から見たい場面が選べる。

 製品は米ベンチャー企業ピュア・デジタル・テクノロジーズが開発。CVSが先行販売権を持ち、月内に米国内の主要4500店に展開する。日本での発売は未定。

ふむ。20分のビデオを撮影してDVDに保存するコストが43ドル(約4600円)とは、ちょっと高い気もするが、売れるのだろうか? 確かに、どうしても1回だけ動画を撮っておきたいという用途には使えそうではあるが、あまり魅力的な製品には思えない。それと共に気になるのは、「使い切り」という表現。ビデオカメラは店に返却するようだから当然再使用されると思うのだが、「使いきり」という語感は環境の3R的には余り好ましくない印象を与えるなあ。。アメリカのニュースを探してみると、latimes.comによると、
CVS Corp. began selling a disposable digital camcorder Monday that the nation's No. 2 drugstore chain hopes will boost its photo lab business and be as popular as single-use film and digital cameras.
という記事がある。記事タイトルが "Disposable Camcorder"となっており、「おいおい使い捨てかよ?」という感じだが、それはともかく、使いきりタイプの(静止画用の)デジタルカメラもあるようだ。

調べてみると、デジカメWatch(インプレス)に、去年の8月にアメリカで発売になった「使いきり」のデジタルカメラの試用レポートが載っている。画質とコストで見ると、どうやら決して割安というわけではないようで、デジカメ写真が欲しいけど、カメラを持っていないといったシチュエーション向け、という感じらしい。今では多くの携帯にデジカメがついているから、少なくとも日本ではこのビジネスモデルだと苦しそうだな。

今回の使いきりビデオカメラについては、imaging resourceのニュースが詳細な記事を書いている。店が回収した撮影済みのカメラについては、

CVS then refurbishes the device for another customer (replacing the batteries, clearing the memory, placing it in new packaging, etc.)
 (中略)
The business model revolves around the fact that the device will be used by multiple customers, allowing CVS to write off the cost of the hardware over a number of purchases - at least, if the camcorder is returned to the store for processing.
ということで、複数回の再使用を前提とした価格であり、そのために顧客には画像が取り出せないようにして、確実な回収を狙ったビジネスモデルと言える。しかし、少なくとも先に発売した使いきりタイプのデジタルカメラについては、
However, as with the original one-time use digicams from CVS and a number of other retailers, a number of enterprising consumers already seem to be working on bypassing the need to return the device for processing. Websites quickly detailed the interface for the digicam variants, and already we've found at least one website describing attempts to access the camcorder variant with modified cables and USB drivers.
ということで、店に返却せずに画像を取り出すためのハッキング情報が出回っているようで、ビジネスモデルが危うくなっているようだ。確かに、従来のフィルムカメラだと現像するのが容易ではないから、普通はお店に持っていくだろうけど、デジタルカメラの場合には画像を取り出すソフトとハードがあれば何とかなるからなあ。バッテリーの充電も可能だろうし、そうすると結構安い値段でカメラが入手できてしまうことになる。。

そもそも、この製品はカメラを購入するというよりは、撮影の権利を購入するとか、あるいは撮影権付きのビデオカメラを借りるというような感じだから、本来はこのカメラにはある程度高価なデポジットを付けて販売し、店に返してもらった時にデポジット金を客に返すような形であるべきなのだろう。そうしないと、Linux-Hacker.netでも議論しているような試みによって、カメラの回収率が低下して、結局カメラの価格の上昇に繋がってしまう可能性が高い。

それなら、むしろ普通の高級なカメラやビデオカメラを適正な価格で貸し出す、レンタルの方がすっきりしているような気もするけど、あまりそういう商売を見ないのは何故だろう? まあ、今やデジカメにも簡単なビデオはついているし、携帯だってビデオの撮れるものが増えているから、このビジネスモデルはやっぱり難しい気がするなあ。。 

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