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2005/07/29

237回目の献血

前回 7/1以来、28日ぶりの献血。今日もまた相模大野献血ルーム。血漿成分献血。

夏場の平日ということで、非常に人が少なくてベッドはガラガラ状態。だけど夏休みということもあってか、待合室は子どもたちが大勢遊んでいて、結構混んでいた。。

今回は従来からのCCS(参考)という装置だったけど、こいつは調子が悪かったらしく、2回目の採血時にカフが締まらなくなってしまったので、看護士さんにゴムバンドで締めてもらった。

この献血ルームのお医者さんは、いつも献血が終了後の診察で、抜いた血漿量と補給した(クエン酸?)水溶液の量を計算し、「きょうは血漿成分を○○○cc採りましたから、その分の水分の補給が必要です。大体コップ3杯ぐらい飲んでください。」なんて話をしながら血圧を測ってくれる。

献血後は血液量が減っているので、血圧がその分下がる傾向にあり、その対策ということらしい。しかし、よく考えてみると、コップ3杯分の水分を摂ったとしても、それがそのまま血液になるわけでもなかろうし、大部分はオシッコになってしまうのではないだろうか? 水分補給をしましょうね、というのは正しいとしても、減った分をそのまま補給すれば良いというものでもないと思うのだが。次回にでも聞いてみよう。。

今回のおみやげもTシャツ。前回とは色違いの白色。
Tshirt2

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2005/07/28

「進化する自動車」

タイトルに魅かれて、中身も見ないままにbk1で購入した。岩波科学ライブラリーを購入して読むのも初めて。現在、自動車はその歴史上の大きな転換点に来ているのではないか、と思うのだが、そういう視点からの将来展望が読めるものと期待して読んだのだが。。

岩波科学ライブラリー 107
 進化する自動車
 原 邦彦 著 bk1amazon

著者は、デンソーのエレクトロニクス分野の技術者だった方で、専門は半導体デバイスとのこと。どこにも、本書の内容の紹介がないので、目次をリストアップしておくと、

  1.自動車の進化ベクトル
     安全性向上の進化ベクトル
     快適性の進化ベクトル
     環境負荷軽減の進化ベクトル
     情報化の進化ベクトル
     自動車は未来社会の実験場
     自動車はロボットになるのか
     モータースポーツと自動車の進化

  2.自動車にとってエレクトロニクスとは何か
     自動車のエレクトロニクス化
     急激な進化のまえぶれ
     自動車のエレクトロニクス制御の将来
     自動車のパワーエレクトロニクス
     救世主はシリコンカーバイド半導体

  3.自動車を取り巻く環境
     交通事故
     自動車の普及量
     テトラレンマの克服
     自動車と地球環境問題
     自動車と電気エネルギー

  終章 好ましいクルマ社会の実現に向けて

となっている。何となくタイトルから自動車の将来を見据えた本だと思ったのだが、どちらかというと、最近の進歩と現状がメインである。従って、燃料電池車だとか電気自動車の話はほとんど出てこない。第1章の項目を見てもわかるように、安全性や快適性の向上が主な注目点である。これはこれで、現場に近い人の自動車観が見えるようで興味深いものもあるのだが、ちょっと拍子抜けである。

環境関連では、DME燃料を使用した内燃機関と水素燃料の燃料電池について触れている程度だが、特に燃料電池自動車については、水素供給、燃料電池、電気系などの各分野でまだまだ課題が多く、実現はまだまだ先の話、というニュアンス。

安全性向上対策やITS(知的交通システム)などについても、普段まとまった形で目にする機会の少ない分野だが、一通り概観することができる。こうやって一つ一つを見てみると、確かに現在の自動車の持つ幅広い機能には感心させられる。もしも、その一つ一つに値段を付けて積算したら、数百万円という現在の価格には到底収まらないような気もしてくる。

本書でなるほどと思ったのは、自動車のパワーエレクトロニクスの分野の話。あまり話題にならないが、クルマの消費電力がどんどん増大しており、ハイブリッド車ともなると50~120kWにもなるそうだ。これを実現するためには、電源系の高電圧化が必要で、それに伴ってエレクトロニクス系も高電圧化されていく方向らしい。

そこで期待されているのが、シリコンカーバイド系の半導体。これは、バンドギャップがシリコンの3倍、絶縁破壊強度が7倍、熱伝導率が3倍、ということで通電時の損失をシリコンの200分の一に低減できるし、高温動作も可能なので、かなりインパクトが大きいようだ。具体的には、ハイブリッド車用のインバータ、発電機の整流回路などへの搭載が考えられているとのこと。結局、現在はどのレベルにあるのかよくわからなかったけど、これが実用化されることで、総合的な効率はかなり向上するようなので、覚えておこう。

ということで、内容はエレクトロニクスに偏っており、どう見てもタイトルと内容が不一致だと思う。もう一つ気になったのは、これは岩波科学ライブラリーというシリーズの位置づけなのかもしれないが、一般向けにしては専門用語の解説がほとんどないし、専門家向けにしては内容が浅すぎる、という具合で、いかにも中途半端な感じがすることだろうか。。

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2005/07/27

「ミニ地球」実験9月から開始

NIKKEI NET(7/25)の記事。密閉施設で居住実験へ、環境科技研が「ミニ地球」公開

完全に密閉された施設内で人が暮らし、水や空気を繰り返し利用、作物も自給自足する――こんな実験を財団法人・環境科学技術研究所(青森県六ケ所村)が9月から始める。そのための施設「ミニ地球」の内部を25日、報道陣に公開した。宇宙で生活する技術の研究などに役立てる。

 実験施設の密閉部分は面積500平方メートル。研究員用の1LDKの居住区、食料のコメや大豆を育てる植物栽培区、同居するヤギを育てる動物飼育区を備える。併設した設備で酸素や水、排せつ物を処理して再利用する。

 9月の実験では2人の研究者とヤギ2頭が1週間住み込み、体調の変化などを調べる。2009年には4カ月間の居住実験も予定している。

 実験に参加する篠原正典研究員は「電話やインターネットで外部と連絡は取れる。4年間準備してきたので、実験が楽しみだ。」と話した。

前にも同じような実験をしていたような気もするが、どうなのだろう? 調べてみると、関連記事としては、北海道新聞には、
 環境科学技術研究所(環境研)が十年間かけ、六ケ所村で準備を進めてきた閉鎖型生態系実験施設「ミニ地球」の居住実験がいよいよ、九月六日から始まる。「エコ・ノート」と呼ばれる研究員が昨年から、予備実験や植物栽培訓練などを重ねており、本実験となる今回は一週間、研究員二人とヤギが外気を遮断した閉鎖空間内で生活する。
とあり、何と 10年も前から準備していたものがようやく本格的な実験段階に入るということのようだ。

そもそも、密閉系施設での居住実験はアメリカでバイオスフィア2という施設での実験が有名だろう。これについてはWikipediaがよくまとまっている。結論としては失敗という位置づけになるだろう。今さら日本で後を追うような実験をする意味があるのだろうか? EICネットのコラムによると、今回の日本版バイオスフィアは、バイオスフィア2の結果を受けて

 実験施設を計画した財団法人環境科学研究所では、「自然の物質循環は地球という広大な面積で行われるから全体でつじつまが合っている。狭い施設で自然に任せるだけでは循環が追い付かないことを、バイオスフィア2が示した」と指摘し、「閉鎖系環境条件の中で物質循環を空調装置および、物質処理装置により厳密に維持制御」することとしています。
ということで、物質循環を自然に任せるのではなく、人為的にコントロールする点が異なるようだ。この環境科学技術研究所閉鎖型生態系実験施設の説明を見ると、外部のユーティリティシステムとやり取りするようだし、完全な閉鎖系というわけでもないようだ。

日本科学未来館で昨年行われた シンポジウムの特集記事が掲載されている。とても読み応えがあるのだが、あれこれ盛り沢山に書かれている割に、バイオスフィア2との根本的な違いが今一わからない。 電気を外部から供給するのは許せるとしても、結局この実験で何を明らかとしたいのかが、スッキリしていないような気がする。まあ、実験が始まるともう少し具体的な紹介記事も出てくるだろうから、楽しみに待っていようか。

関連する読み物としては、三菱電機のDSPACEに日本の「ミニ地球」実験って?と、ヒトとヤギが暮らす「ミニ地球」というコラムが載っている。何故ヤギなの?というと、ヒトが消化できない植物繊維を消化してくれるというのが主な理由らしい。決してミルクや肉に化けたりはしないようだ。。

それにしても、たった2名が生活するための生態系としてこの程度の広さが必要というのも、結構考えさせられる。

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2005/07/26

注射針の太さ

MSN-Mainichi-INTERACTIVE(7/25)の記事。テルモ:世界最細の注射針開発 先端0.2ミリ、痛みの軽減を期待

 医療機器メーカー「テルモ」(東京都渋谷区)は先端が0・2ミリと世界で最も細い注射針を開発した。糖尿病治療のインスリン製剤の自己注射用で、一般的な注射針(0・25ミリ)に比べ約20%細く、痛みが軽くなると期待されるという。

 血糖をコントロールするために、1日数回の自己注射が必要な糖尿病患者は約60万人いるとされる。注射の痛みを和らげるには針を細くする必要があるが、細くなるとそれだけ注入抵抗が増し、扱いにくくなる欠点があった。

 同社は根元から先端に向かって細くしていく構造を採用。従来の針は根元も先端も同じ太さだが、「細いままよりも、薬剤の注入抵抗を抑えられた」という。また、先端が細くなっても、根元は従来のものよりやや太いため、針の強度も変わらないという。

針が細くなると痛みがなくなるのだから、もっと細いものがあっても良さそうなものだが、どんな状況なのだろう。テルモのプレスリリースを読むと、注射針の太さは「ゲージ」という単位で表すようだ。今回開発されたのが 33ゲージ。単に細くすると注入抵抗が増えるし、恐らく折れる危険性も増えるということから、細くするにも限界があるということか。

注射針の太さについては、お尻用の注射針に一般的な注射針の規格について、18ゲージから27ゲージ、外径にして 1.2mmから0.4mmまで紹介されている。注射針の根本の色で区別されているなんて知らなかったけど、専門家(?)は、こんな風にピンクだ、グリーンだと、色で注射針を区別しているようだ。。

ちなみに、献血の時の針は新潟県赤十字血液センターのQ&Aによると、17ゲージまたは18ゲージを使用しているとのこと。18ゲージで外径1.2mmということだから、17ゲージだと1.3~1.4mm程度だろうか。毎月こいつで血を抜いてもらっているけど、やっぱり太いな。。 微量の採血や注射と違って、取り扱う量が多いので仕方ないのだろうけど、あまり細いと赤血球が破壊されてしまうという問題もあるようだ。

まあ、今までに多数の献血を経験したために、痛みに慣れただけかもしれないし、いつも針が刺さる部分の感覚が麻痺しちゃったのかもしれないし、あるいはあの太い針を見ても恐怖を感じなくなったという心理的なことも影響しているかもしれないが、献血の際にほとんど痛みを感じないことも結構ある。むしろ、逆に献血前の検査の時の細い針での採血の方が痛かったりしたこともあるから、太いから痛いというものでもなかろう。

ところで、通常の注射針の作製方法は、YOMIURI ON-LINE もの知り百科によると、ステンレス板を丸めて溶接し、これを引き伸ばしているようだ。

以前「無痛針」という言葉も聞いたことがあったので調べてみたら、京都経済新聞記事が見つかった。太さ80ミクロンというから、これは随分細い。ただし、このナノデスは、通常の注射針ではなくて、マイクロパイル・シートと呼ばれるもので、数十ミクロンの特殊な細い針を剣山のように多数並べたもののようだ。この針はなんと糖でできていて、体内で溶けてしまうらしい。

他にも、こんな無痛針などもあるようだが、いずれにしても非常に細いため、取り扱う液量が微量となり、高感度分析システムと組み合わせたりするものらしい。でも、ここを見ると、外径150ミクロン以下の注射針を色々用意しているようだから、冒頭記事の「世界最細の注射針」という表現はどうだろう? 読み返してみると、テルモのリリースにはちゃんと「世界一細いインスリン用注射針」と書いてあった。。

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2005/07/22

空気清浄機と超誘電体

nikkeibp.jp(7/21)のニュース。松下電器、アレルギー物質や菌・においを抑制する空気清浄機を発売へ

松下電器産業は、松下電工との技術融合製品として、新開発した「ペルチェ式nanoe(ナノイー)システム」を搭載した、アレルギー物質や細菌、においを抑制できる空気清浄機「エアーリッチ」2機種を10月1日から発売すると発表した。

この機種は、松下電器が持つ12種類のアレルギー原因物質の抑制が可能な「スーパーアレルバスター」と、松下電工のナノテクノロジーを応用して水分を微細化してイオン化させる「ペルチェ式nanoe(ナノイー)システム」を搭載したのが特徴。これにより、フィルターや空気中での浄化ができるだけでなく、通常はカーペットなどに潜み、人の動きとともに舞い上がる花粉やダニの死骸、フンなどのアレルギー原因物質の抑制が可能。さらに、部屋のにおいの元である、カーテンやソファーなどの繊維に浸透して染みついたにおいを分解することもできるという。

というものだが、一時のマイナスイオンブーム以降、空気清浄機の世界は何だかすごいことになっているような気がする。ペルチェ効果とは、いわば熱電対に逆に電圧を掛けて温度差を発生させるような奴で、冷却装置に応用されたりしているが、ペルチェ効果と空気清浄はどういう関係なんだろう?

さて、その松下電器のニュースリリースを読んでみたのだが、頭がクラクラしてきた。いかにもハイテク風の怪しげな用語が沢山出てくるのも困りものなのだが、

「nanoe(ナノイー)イオン」とは、最先端のナノテクノロジーから生まれた、水に包まれている電気を帯びたイオンのことです。水に高電圧をかけると、水が次々に分裂し、超微細な「nanoe(ナノイー)イオン」が生まれます。今回新開発した「ペルチェ式nanoe(ナノイー)システム」は空気中の水分を結露させて集めた水を使い、「nanoe(ナノイー)イオン」を発生させる方式なので、水を補給する手間が不要になりました。しかも直接水に高電圧を印加することにより、効率よく微細化できるようになり、さらに小さい6nm(従来品18nm)の「nanoe(ナノイー)イオン」を発生させることに成功。フィルター上だけでなく、ニオイ、菌、さらには花粉やダニの死がい、フンなどのアレル物質を空中で、さらに繊維の奥にまで浸透し、抑制することが可能になりました。花粉やダニの死がい、フン等は床面に堆積しやすくカーペット等の繊維に潜み人が動くことで舞い上がり、影響を与えます。このような、従来の空気清浄機では抑制が困難であったカーペットやカーテンに潜む汚れについても「nanoe(ナノイー)イオン」を繊維に浸透させることで抑制が可能になりました。
を読んでも、全然理解できない。。 なんか、この文章は主語と述語の基本的な関係が壊れてないか? 抑制という言葉が何度も出てくるが、この用語もくせものかもしれない。分解したり殺菌するわけではなく、あくまでも抑制するだけよということだろうか。

帯電した微細な水粒子をナノイーイオンと呼ぶのもなんだか変だけど、肝心のペルチェ式システムとやらの説明も不親切だ。ペルチェ効果と、水補給が不要という記述から考えると、ペルチェ素子に電気を流して冷却することで、空気中の水分を凝縮させるのかな? それで、凝縮した水に高電圧を掛けて破砕して帯電粒子にするってことかもしれない。せっかくの新装置の説明なんだから、もっとわかりやすく書いて欲しいところだ。

次にわからないのが、ナノイーイオンによって、空中や繊維の奥のアレルゲンまで抑制できるという仕組み。もしかしたら、臭気成分が水と反応して、無臭化することはあるかもしれないし、あるいは菌が電圧で死滅することもあるのかもしれない(かなり疑問だけど)。けど、花粉やダニの死骸は一体どういう理屈で抑制されるんだろう? 水によって一時的には不活化できたとしても、乾燥したら元に戻りそうだな。おまけに、カーペットの繊維に潜んでいたものが舞い上がらなくなるって、よっぽど加湿し続けないと効果が持続しないのでは? もしも、普通の加湿とは違う特別なメカニズムが働くなら、是非その説明もして欲しいところだ。 というか、この装置は、空中の水蒸気を凝縮させて微細な液滴を作り出しているようだから、室内の加湿さえしていないようだけど。。

さらに、これは既に以前から採用していたらしいが「ifDPフィルター」というのも装備している。これは「超誘電体集じんフィルター」のことらしい。ifDPって何の略なんだろう? というか、超誘電体ってあまり聞いたことがないような気がするけど?? 試しに"超誘電体" by Googleしてみると、案の定、ヒット数はかなり少ないし、その多くはこのフィルター関連だな。松下さんの造語じゃないのか? ちゃんとした用語だとしても、相当にマイナーな用語のようだから、是非きちんと解説して欲しいものだ。ちなみに、誘電体についてWikipediaを見たけど、強誘電体はあっても超誘電体はなかった。

解説を求めて、松下のサイトで検索してみたらこんなリリースや、こんなページが見つかったが、「メガアクティブイオン」や「スーパーナノテク脱臭フィルター」なんていう怪しげなハイテク風用語がさらに出てきたのを見て、何というか。。。 で、肝心の超誘電体フィルターについては、絵は載っているけど、特に説明はない。 結局、超誘電体って何??

自社製品の差別化のために、いろんな機構を盛り込むことは当然だろうし、それが新しいものであれば、オリジナルでインパクトのある名前をつけるのも結構だ。でも、以前からあるものを、勝手に違う名前で呼ぶのは混乱を招くだけだろう。ハイテク風の用語を沢山ちりばめた宣伝文句は、見た目は派手だけど、実は空虚で、意味不明で理解不能だ。自分たちの成果を一般消費者にもわかりやすく説明しようっていう気持ちはないのだろうか? 新たな用語を持ち込めば持ち込むほど、本当に理解してもらうための説明は大変になるだろうと思うし、顧客にきちんと理解してもらう努力を怠っていると、結局最終的に困るのは売るほうじゃないかと思うけどねえ。

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2005/07/21

赤い粉体、リセッターRでしみ隠し

FujiSankei Business i(7/21)の記事。ナノテクでお肌保護 ポーラが抗老化化粧品発表

 ポーラ化粧品本舗は20日、アンチエージング(抗老化)の基礎化粧品「B・A(ビー・エー)」シリーズに、ファンデーションなどのベースメークシリーズ「ザメークB・A」(8種・19品)を10月1日に発売すると発表した。鈴木郷(さと)史(し)社長は記者会見で、「日中の肌をベールするという、これまでのファンデーションの概念を超えた商品」とアピールし、新シリーズで初年度40億円の販売目標を掲げた。

 新シリーズは、600ナノ(1ナノは10億分の1)メートルより長い波長の光(赤色の光)が、しわや毛穴、小じわなどの肌の欠点をみえにくくする研究成果を初めて採用した。

 両端が「井」の字をした赤色の立方体「リセッターR粉体」をファンデーションなどに混入。その形状による複雑な線と凹凸が光を全方向に反射し、赤い光に照らされたような効果が得られるという。粉体は長さ300マイクロ(1マイクロは100万分の1)メートルの微細なナイロン繊維でできている。

赤い光がしわや小じわなどを見えにくくする、というのも中々驚きなのだが、両端が「井」の字をした赤色の立方体で、長さが300マイクロメータのナイロン繊維という表現がどうにもイメージできない。立方体の繊維というのはどんなものだろう? 

ポーラのサイトに~美人を作り出す赤い光~という、カラー顔写真が満載のニュースリリースが載っている。結局、

様々な波長光を任意の割合で混合して照射できる新規の照射機「ライティングイコライザー」を開発し、様々な光を肌にあてて、しみ、毛穴、小じわ等の欠点がどのように見えるかを調査しました。結果、600nm 以上の赤い光で照らされた肌は、それらの欠点が目立ちにくくなり、美しく見えることが分かりました。さらに、肌における600nm 以上の光の反射率が10%上がったとき、肌の均一感は向上して自然に美しく見えることが確認できました。600nm 以上の赤い光は、メラニンの色情報、小じわや毛穴の凹凸情報をひろいにくいため、肌の欠点が目立ちにくくなるものと考えられます。
という興味深い発見があったようだ。確かに掲載されている写真からは(修正されていないとすれば)そう見えるのだが、客観的な評価は試みなかったのかな? それに、メラニンの色情報はともかくも、小じわや毛穴の情報を拾わないってのはどういうことだろうか? まさか、光の波長と小じわや毛穴の大きさとの関係を言っているのか? もしも、赤の光の波長に近い、サブミクロンサイズのシワや毛穴があったとしても、最初から肉眼では見えないだろうに。。 ともかくも、この結果を受けて、
様々な赤い粉体をファンデーションに混合して、分光反射率の測定や視覚評価を行いました。結果、一般的な赤い粉体(赤酸化鉄や赤有機色素等)をファンデーションに混合しても、目的とする600nm 以上の光の反射率が上がらないこと、「リセッターR粉体」は、光を反射する面と線を多数有しているため、赤い光を全方向に強くはじき返す効果があり、そのため、赤みを増やした照明と同じように、600nm 以上の光の反射率が上がること、が確認できました。
とあり、そのリセッターR粉体の模式図も載っている。それにしても、赤い粉体を混ぜても、赤い光の反射率が上がらないというのはどういうことだろうか? んーと、もしかして、赤色粉体を使っても赤い光の反射率が上がるわけではなく、赤の補色の反射率が下がるだけってことかな?

ということは、600nm以上の波長の光の反射率が上がることが重要であって、赤く見えることが重要なのではないってことかな? なんだか、赤い光を当てるとしみやしわが目立たないって話と矛盾しているような気もしないではないのだが。。 光の色と反射率の話をうまく使い分けているような、むしろ混乱しているような、何だか微妙な話だなあ。。 

で、リセッターRという粉体を使うと、他の波長域の反射率は変えずに、600nm以上の光の反射率だけを上げることができるようだ。これは、赤い色素で染色されたイゲタ型のファイバー粉体で、光を反射する面と線を多数持つので、赤い光の反射率が高くなるという説明なのだが、そんなもんだろうか? (少なくとも中央の空洞部分は光の反射には寄与してそうもない。) 光を反射する面が多いというのなら、この形状である必然性はなさそうだが、あまり微粉末にすると散乱してしまって反射率が低下するということはありそうだ。ならば、微粉末よりは、ある程度の大きさの平面で構成された多面体粒子が良いということか。例えば、赤いガラスを適当な大きさに粉砕しても結構いい線いくんじゃなかろうか? まあ、砕いたガラス粉じゃ、ファンデーションに混ぜるわけにはいかないだろうけど。。

ところで、こういうふうに外観上目立たなくするだけでも「アンチエイジング」になるなのかな?

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2005/07/20

アイスコロッケの作り方

NIKKEI.NETの記事(7/20)から。コンディトール、アイスクリーム揚げた「アイスコロッケ」外販

 喫茶レストランのコンディトール(山梨県昭和町、石黒進店長)は独自開発した洋菓子の外販に乗り出す。アイスクリームを揚げた「アイスコロッケ」で、これまでは店舗でのみ提供していた。外部からの引き合いが多いことから、山梨発のユニークな洋菓子として全国向けに売り出す。

 アイスコロッケはアイスクリームをスポンジなどの洋菓子素材で包んだうえでパン粉で包み、揚げる洋菓子で、見た目は通常のコロッケと同じ。1995年ころに店舗販売を始めた。

 スポンジが熱を遮断するためアイスが溶けず、冷たいアイスと熱い“衣”が醸し出す独特の食感が楽しめる。現在、製造特許を申請している。

ということで、全国向けに売り出すっていっても、アイスクリームのコロッケをどうやって配送するんだろう? 当然冷凍だろうけど、コロッケの衣が冷たい状態だと、アイス最中とあまり代わり映えがしないような。。 調べてみるとコンディトールでは、衣を付けて、揚げる直前の状態で冷凍したものを発送しているようだ。家庭で揚げても中は溶けずに楽しめるようだ。

6個入りで2400円ということで、1個400円は高いか安いか? 揚げるのに失敗したら泣けてきそうだけど。。

どうやったら、中のアイスが溶けないのだろうか? 調べてみると、昔はやったアイスクリームの天ぷらについては、Wikipediaにも記載があって、「アイスクリームをカステラなど空気を多く含む素材で包み素早く揚げると、空気により内部への熱伝導が妨げられるためアイスクリームは溶けない」と書かれている。

他にも アイスの串揚げなんてのもあるようだが、ここでは、オブラートでアイスを包むなんていうアイデアも出ている。

さて、冒頭のアイスコロッケだが、特許電子図書館で探してみたら、確かに公開されていた。

【特開2004-166675】
【発明の名称】アイスコロッケ の製造方法
【要約】
【課題】アイスコロッケ の製造方法を提供する。
【解決手段】アイスクリーム をカステラ、クレープで包み、卵で被覆し、パン粉をまぶし、マイナス15℃から35℃で冷凍したものを150℃から170℃でフライする。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アイスクリーム を洋菓子の原料で包み、煮油でフライしてもアイスクリーム が全く解けない、アイスコロッケ の製造方法。
【請求項2】
多種類のアイスクリーム を、カステラ、クレープで包む事により煮油でフライしても解けない、アイスコロッケ の製造方法。
【請求項3】
アイスクリーム を、カステラ、クレープで包みさらに、たまご、パン粉をまぶして、煮油でフライしても解けない、アイスコロッケ の製造方法。

というもので、基本的な発想は、天ぷらの作り方と同様のようだが、洋菓子原料を使用し、多層構造として、洋菓子風の味に仕上げたところが特徴だろうか。図を見ると、意外とカステラやクレープの層が厚いようだが、カステラや衣ってのは、結構熱を遮断するものなのだな。。 

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2005/07/19

スーパーバルブとは何もの?

依然として預かりっぱなしの、電動ハイブリッド自転車だが、最近タイヤに空気を入れてもすぐに抜けてしまう。抜けるスピードからして、どうやらバルブ漏れのようだ。大体、この手の自転車のバルブは昔ながらの虫ゴム式だろうから、比較的簡単に空気漏れを起こすようになるものだが、それにしてもまだ購入して10ヶ月だから、ちょっと早すぎるような気もする。。

同じバルブでも虫ゴムを使わない、ちょっと高級タイプのバルブがあったはず、という昔の記憶(何年前の記憶なんだか。。。)を頼りに、DIYのお店にバルブを探しに行ってみた。ところが、虫ゴムや、米式バルブは売っているのだが、虫ゴム式ではない英式バルブが見つからない。 ん、米式バルブって何?? 自転車のバルブといえば、イングリッシュかフレンチじゃなかったっけ? しばらく自転車の世界から離れていたので、さっぱり浦島太郎状態になってしまったようだ。

色々と探していてようやく見つけたのが「スーパーバルブ」という製品。初めて見たのだが、これって本当に使えるのだろうか? 安かったのでとりあえず購入してきた。

さて、改めてネットで情報を探してみる。まずは基本事項から。自転車のバルブにはここにあるように、英式、仏式、米式の3種類があるようだ。一般の自転車は大体英式で、ロードレーサーなどのスポーツ車はフレンチバルブというのは、昔からの記憶どおりだ。米式というのは、マウンテンバイクなどに使われているようで、自動車タイヤのバルブそのものらしい。

で、今回入手したスーパーバルブだが、TAKAよろず研究所に写真が載っている奴である。見た目では、本体の横っ腹に穴が開いているし、末端にも十字型の切れ目が入っているし、どんな内部構造をしているのか興味がある。Panaracerで紹介されている楽々バルブ(アリゲータバルブ)というのがそうなのかもしれない。。 マジックキャップと併用するってのも気になるなあ。

なお、調べていたら、同じスーパーバルブという名前で、こんな奴もあるのだが、これこそ最初に探していた、昔からあったタイプだと思われるぞ。。

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2005/07/18

「海馬 -脳は疲れない-」

本書は、脳科学者の池谷裕二さんと糸井重里さんとの対談。池谷さんの本は、今までにここで紹介した「進化しすぎた脳」と、ブルーバックスの「記憶力を強くする」を読んだが、いずれも面白かったのが印象に残っている。

新潮文庫
 海馬 -脳は疲れない-
 池谷 裕二、糸井 重里 著 bk1amazon

本書は、朝日出版社から出ている単行本(bk1amazon)を文庫化したもの。糸井さんとの対談なので、お互いに刺激しあって、発想が広がっていく様子が見えて、これはこれで興味深い。なお、文庫版には、単行本に収録されている内容に加えて、おまけとして「文庫版あとがき」と、20ページくらいの追加対談も収録されている。

「進化しすぎた脳」は高校生を相手にした講義形式だったので、脳に関する科学的な説明と解説が中心だったのだが、本書では、脳の仕組みの説明自体が主題となっているわけではなく、もちろんそれが二人の対談の軸となっているものの、むしろ話題の中心は、脳の仕組みから見た元気の出る生き方みたいなものになっている。

それにしても、池谷さんのものの見方はいつも前向きで、本書も読みながら、いつの間にか「よーし、前を向いて頑張っていこうか」という気にさせられる不思議な力がある。もちろん一般人向けの脳の本としては、読んでためになるレベルにうまくまとめられていると思うし、おまけにポジティブな気分にさせてくれるのだから、文句なしにお勧め本だろう。

ただし、対談の流れの中で、世の中の色々なものを脳の仕組みとのアナロジーとして語る部分で、さすがにそんなに単純じゃないだろう? という部分や、互いの発想が発展し合った結果として、やや行き過ぎじゃないの? という部分もあるみたいだが、まあ許せる範囲だろう。

各章ごとにまとめがあるのも、サービスが行き届いていてうれしい。第一章のまとめは、こんな感じ。
  1 「もの忘れがひどい」はカン違い
  2 脳の本質は、ものとものとを結びつけること
  3 ストッパーをはずすと成長できる
  4 30歳を過ぎてから頭はよくなる
  5 脳は疲れない
  6 脳は刺激がないことに絶えられない(ママ)
  7 脳は、見たいものしか見ない

なお、文庫版のための追加対談の中で、池谷さんが宗教やユダヤ人について語っているのだが、「神さま的な存在が必要」とか「本当の無宗教主義者になったら生きていけない」という部分や、「ユダヤ人が世界の中から孤立しがちといわれるのは、彼らが優秀すぎるため」なんて部分には、言葉足らずのためなのかもしれないが、ちょっと違和感を感じさせられた。これが普通の人の言葉なら別にどうでもいいのだが、脳科学の第一線の研究者が発した言葉としてみると、どうなのだろう? 考えさせられる。。

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2005/07/14

乾燥泡膜?

Yahoo! NEWS経由の共同(7/12)。水含まぬシャボン膜発見 世界初、高温でも壊れず

 水を全く含まない乾燥したシャボン膜を世界で初めて発見したと、物質・材料研究機構(茨城県つくば市)の一ノ瀬泉アソシエートディレクターらの研究グループが12日、発表した。18日発行のドイツの化学雑誌に掲載される。

 同機構によると、シャボン玉やせっけんの泡は、泡を作る性質を持つ「界面活性分子」で表面を覆われた薄い水の膜でできているが、これまでは乾燥させると膜は壊れてしまった。

 一ノ瀬さんらは、直径約10マイクロメートル(1マイクロメートルは1000分の1ミリ)の微細な穴が開いた基板を作製。これを特殊な界面活性分子の溶液につけて乾燥させ、厚みが2-3ナノメートル(1ナノメートルは100万分の1ミリ)と極めて薄いシャボン膜を作製した。膜は、セ氏150度以上でも壊れなかったという。

世界初か。。物質・材料研究機構のリリースによると、これは「乾燥泡膜」と呼ばれるらしい。
今回、数マイクロメートルの微細なフレームの中で様々なシャボン膜を作製し、乾燥後、その形態を観察する研究が系統的に行われた。その結果、特定の界面活性分子を用いた場合、厚みが分子2個分に相当する極めて薄い膜(乾燥泡膜)として安定に存在できることが発見された。このような乾燥泡膜には、150℃以上の熱安定性を示すものもあり、超高真空下でも安定に存在できる。
ということで、PDF版リリースには、結構詳細な解説が載っており、模式図と共に、真空下で撮影した乾燥泡膜のSEM写真も掲載されており、なかなか興味深いものがある。

それにしても、通常の石けん膜は、界面活性剤の親水基が薄い水の膜を両側から挟んだ形で安定しているはずで、この状態から水を取除き、最終的に界面活性剤の親水基同士が直接向き合う形になるわけだ。普通は、そんな状態は不安定だから壊れちゃうんだろうけど、今回はどこが従来と異なるかというと、どうやら界面活性剤が特殊なもので、

アンモニウム基を親水部にもつ界面活性剤や双生イオン型界面活性剤では、少なくとも数マイクロメートル領域では、乾燥しても壊れないシャボン膜(乾燥泡膜)が得られることが世界で始めて発見された。
と書かれている。しかし、ここにも書かれているように、もともとこの膜は水の表面張力で成立していたのだから、水がなくなった途端に異なるメカニズムで形を保つ必要があるような気もするのだが、サイズが数ミクロン程度だったら何とかなるのだろうか? (物質・材料研のリリースを見ても、150℃や真空中でも安定だとは書かれているけど、水分子が存在しないことを分析的に確認したとは書かれていないのが、気にならないでもない。。) 

Ikuro's homepageのコラムの記事、シャボン玉とんだ(シャボン玉の科学史)膜の研究者たちは石けん膜に関する、様々な話題を取り上げていて勉強になるが、多くの有名どころの研究者が膜に興味を持って色々調べてきた歴史があるようだ。なんと、あのイギリス首相だったサッチャーさんが元は化学者で、機能性薄膜の研究者だったとは知らなかった。。

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2005/07/13

グリーン電力証書Tシャツ

asahi.comの記事(7/13)から。Tシャツ着てCO2削減 東電系企業などがプロジェクト

 Tシャツを着て二酸化炭素(CO2)削減に参加しませんか。そんな目的の「地球温暖化対策Tシャツ」を、東京電力などが出資する日本自然エネルギー(本社・東京)などのプロジェクトが13日、発売した。Tシャツ代金の一部は、CO2排出が少ないバイオマスによる自然エネルギー発電に使われる仕組みだ。

 このTシャツは1着3900円(税込み)で、バイオマス発電の設備を備えた北海道江別市と東京都大田区にある下水処理場に7月から9月にかけて、国民1人がひと夏に使う冷房用消費電力量(250キロワット時)の発電を依頼する代金が含まれる。

 処理場は発電した電力を内部で消費するため、CO2排出が多い石炭や石油火力などの電力購入を減らすことができる。結果的にはCO2排出が減ることになる。

タイトルを見たときには、東電の社員がクールビズを通り越して、Tシャツ姿で仕事をすることにしたのか、と思ったけど、Tシャツを買ってもらい、その売り上げの一部でバイオ発電の費用を負担してもらい、結果としてCO2排出を少しでも減らそうということらしい。どの程度の効果が見込めるものなのだろう? 

日本自然エネルギー(株)のサイトに、プレスリリースが掲載されている。これを見ると、このTシャツを購入すると、250kWh相当のグリーン電力証書を購入したことになり、実際に後日グリーン電力証書を受け取ることができるようだ。250kWhというのは、日本の民生部門冷房用電力消費量のトータルである年間320億kWhを国民一人当たりに換算した数値のようだ。

結果として、自分の使用した電気のうち250kWhはバイオマス由来のカーボンニュートラルな電気と考えても良いということで、これは家庭の年間平均電力使用量(2100kWh)の12%に相当するので、京都議定書対応としても、なかなかの貢献度合いとなりそうだ。(チームマイナス6%のおかげで、6%という数字が一人歩きを始めたきらいもあるのだが、昨年を基準にすると13~14%削減する必要があるはず。)

CO2free.jpというサイトで、このTシャツの購入ができる。ここのトップページには、グリーン電力証書について、

バイオマス発電は、クリーンなエネルギーですが、石炭や石油による発電よりも、コストが割高です。この割高な部分が「環境価値」です。グリーン電力証書とは、この環境価値を、第三者の認証機関が認証し、証書として発行したものです。

このTシャツでは、2005年7月から9月のあなたの250kWhの電気分、バイオマスを発電し、その環境価値をあなたに帰することをお約束するものです。

と説明されている。支払われた金額の使われ方が具体的に見えるような工夫がなされていると良いのだが。。 3,900円のTシャツの値段のうち、電力購入分が2500円だと仮定すると、1kWh当たり10円を環境価値として負担することになり、まあ、リーズナブルな値段なのかもしれない。炭素税でも導入されたら、こういうグリーン消費分を控除するなどのインセンティブも考えられるけど、今の段階では純粋なボランティアにしかならないわけだ。

まあその意味では、電力会社がやっているグリーン電力基金なんてのと余り変わらないとも言える。ちなみに、2年前から東京電力のグリーン電力基金(一口 500円/月)に参加しているのだが、先日送付されてきた事業報告書によると、平成16年度末で基金参加者は、たったの18,394人だそうだ。東京電力のカバーしている人口を思い浮かべると、全く悲しくなる数字だ。。

ところでこのTシャツ、胸に "This summer, my air is CO2 Free!" と書かれているようだが、何となくこのせりふとデザインが気に入らない。一方、日本自然エネルギーのリリースの最後に載っていたが、7/24からは「大人のグリーン電力証書Tシャツ」というのも売り出すらしいし、こちらはデザインもシンプルで品質も良さそうだけど、値段も4,900円と高い。うーむ。。チームマイナス6%の参加者としては、1枚ぐらい購入してみるかなぁ。。

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2005/07/12

蚊を錯乱させる繊維スコーロン

nikkeibp.jpの記事(7/7)から。「洗濯しても効果が落ちない防虫ウェア」ネットで直販、帝人ファイバー

帝人ファイバーは7月7日、ポリエステル織布「SCORON(スコーロン)」を使った防虫ウェアを開発したと発表した。楽天のショッピング・サイト「楽天市場」に直販サイトを開設し、7月9日から9月末までの期間限定で販売する。

ポリエステル原料/繊維/織布などの研究開発と製造、販売を手掛ける同社が、最終製品である衣料品の製造と販売を行なうのはこれが初めてという。

スコーロンは、帝人ファイバーのグループ会社でポリエステル織布の加工を手掛ける帝人ネステックスが、防虫/殺虫剤メーカーのアース製薬と共同開発した。

製造工程で、アース製薬の防虫剤を布地に固着させる。防虫剤の主成分は有機エステル系化合物で、蚊などの触角に触れると、神経系を刺激して行動錯乱を誘発し、吸血行為を阻止する。

ほ乳類には作用が鈍いため安全という。また揮発性が低く、布地を繰り返し洗濯しても効果が弱まりにくいなどの特徴を備える。

というもの。虫を殺すのではなく、行動錯乱を起こして吸血行為を阻止する、というのが面白い。TEIJINのプレスリリースによると、この防虫剤の技術については、
1. 防虫剤の開発
従来の揮発性が高いDEET(ジエチルトルアミド)製剤によらず、有機エステル系化合物を主体にしているため、洗濯耐久性に優れています。本製剤は昆虫類にのみ作用するもので、哺乳類などへの作用は鈍く、また万一体内に入っても毒性は弱いとされています。このためアース製薬では既に多くの殺虫剤、防虫剤として使用実績があり、安全性に関するトラブルは生じていません。
2. 防虫製剤固着技術
帝人ネステックス独自の耐久バインダー加工技術(生地の風合いを損なうことなく性能を付加する技術)の完成により、ファッション衣料から農業・工場作業衣料、アウトドア衣料、小物・テントなどの資材類に至るまで、用途に応じた期待性能に対応することが可能になりました。

「スコーロン」は、蚊などの触角を刺激する接触忌避型防虫加工によって忌避剤加工を施した処理面に接触した蚊など害虫の神経系に作用し、殺すことなく、行動錯乱を起こさせて吸血を阻害します。

とあり、具体的な薬品名は明らかにされていないようだし、どういう形で繊維に結合しているのかも不明だが、ともかくも洗濯を繰り返しても防虫性能が劣化しないようだ。

楽天市場のTeijin 防虫ウェアー Scoronのサイトを見ると、商品開発小話に開発の裏話が少しだけ載っているが、詳細は不明のままだ。

調べてみると、この繊維は2003年には開発されて、一部では既に発売されていたようで、ムシムシ大作戦なんていう製品も出ている。

どうやら、従来の防虫繊維は、虫が嫌う防虫成分を揮発させることで虫をよせつけないというものなので、どうしても効果が経時的に低下していくのだが、スコーロンは接触忌避型の薬品なので、効果が長持ちするという理屈のようだ。服の上に蚊が止まるときに繊維に接触することで蚊の神経系がおかしくなり、吸血行動を取れなくなるようだ。ということは、近づくのを妨げないのだから、肌が露出しているところはそれなりにやられそうだな。。

日本化学繊維協会の高機能化学繊維素材を見ると、最近の機能性を付与した繊維の種類の多さに驚かされる。防虫関係を見ると、防ダニと防蚊というのは、別物のようだ。

むやみと薬品をばら撒いて虫を殺したり避けたりするのはどうかと思うが、この製品は積極的に外に薬品をばら撒くわけではないところに好感が持てるし、しかも殺したり近寄らせないのではなく、接触したら神経系をかく乱させるというアイデアも面白い。最近、都会暮らしでめっきり蚊に食われることも少なくなったけど、世の中にはこういう製品を必要としている人は沢山いるんだろうと思う。それこそマラリアなどの感染症に対する防御策としてや、アウトドア作業で身を守るために使用するのは結構なことじゃなかろうか? なんか今一製品が野暮ったい気がしないでもないが。。

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2005/07/11

「スペースシャトルの落日」

あのコロンビア号の空中分解事故から2年半。ついに今週スペースシャトルの打ち上げが再開される。今回は日本人の野口さんが乗り込むということで、注目度も一段と高まるものと思われる。そんなタイミングで、本屋さんの店頭で見つけたのが本書。なかなか挑戦的なタイトルで、帯には「世紀の失敗作に日本も騙された、宇宙開発「虚妄」の実態」とある。

エクスナレッジ
 スペースシャトルの落日 失われた24年間の真実
 松浦 晋也 著 bk1amazon

とても読みやすくてわかりやすい、目からウロコの読み物である。スペースシャトルの問題点、今後の宇宙開発のあるべき姿、といった著者の主張したい点が明確に伝わってくるだけでなく、技術開発、特に巨大プロジェクトを進める上で、このスペースシャトル計画を反面教師として見るための教科書としても悪くない出来だと思う。

何を隠そう、1969年のアポロ計画による人類月面到達をリアルタイムでテレビで見た経験を持っている。それから既に36年、スペースシャトルの初飛行からも既に24年。時の経つのは早いものだ、と感慨にふけるのも良いが、ちょっと待て! ということだ。 確かに、アポロ計画の頃、将来21世紀になったら人類はどこまで宇宙に進出しているんだろう? と期待を込めて想像したものだし、スペースシャトルが飛び始めたときには、宇宙ステーションが身近なものになるのを感じたものだった。なのに現実はどうだろう?

本書の序章に、こんな文章がある。

 が、ちょっと考えてみてほしい。スペースシャトルの初飛行は1981年4月12日だった。今、24歳の大人が生まれた頃だ。例えば24年前のパソコンを誰がハイテクと呼ぶだろうか?

 24年前の家電製品はハイテクとは呼ばない。それは過去24年の間に、家電製品を巡る技術が信じられないほど進歩したからだ。24年前のシャトルがハイテクというのは、つまり24年間、宇宙開発を巡る技術が進歩していないということじゃないだろうか。

 「シャトルの事故で宇宙開発が停滞」というのもよくよく考えてみると妙な話だ。シャトルが無事に運行していた頃、宇宙開発が順調に進展していたという実感があるだろうか。ここ15年ばかりの間に、「いやあ、宇宙時代になったなあ」と実感したことはあったろうか。あったとしたら、そのことにスペースシャトルは関係していただろうか。

確かにそうだよなあ。。 宇宙開発は莫大なお金が掛かるから、そう頻繁にロケットのモデルチェンジもできないだろうけど、設計から既に24年以上も経った機体が現在もまだ最高性能を誇っているのだとしたら、進歩がなさ過ぎるような気がしないでもない。大体、最近宇宙に行った民間人は皆ロシアのロケットを使ってのものだし、この前記事にした高知県の宇宙酒計画もシャトルではなくソユーズを利用する計画だったはず。。

ということは、少なくとも結果から見れば、シャトル計画には様々な問題点があったと言ってよいのだろう。この間に起こった大事故については、24年間 113回のフライトのうちの2回だけであり、宇宙開発という技術の特徴から考えると事故の確率が突出して大きいとは思わない。しかし、むしろ事故で失ったものよりも、この24年間で得たものが何なのか?という点の方が問題なのではないかと思える。

本書はまず、2度の大きな事故の原因、およびその背後に潜む政治的な側面など、NASAの抱える問題点を明らかにする。次に、そもそもスペースシャトルの設計段階で、ボタンを掛け違えてしまったことで生じた根本的な欠点を明らかにする。ここでは、スペースシャトルの目玉ともいうべき、翼を持つ本体、再利用を前提としたシステム、さらには固体ロケットブースター+液体酸水素エンジン、などを選択したこと自体が全て間違いだったのだ、と論じている。そして、この問題の多いスペースシャトル計画が、ヨーロッパや日本の宇宙開発計画や、宇宙ステーション計画に大きな影響を与え、結果として世界の宇宙開発の方向が大きく迷走してしまったと指摘している。

本書を読んで考えさせられた点として、結局、スペースシャトル計画って何だったんだろう?という疑問もあるのだが、本書ではスペースシャトル計画によって得られたもの、得られなかったもの、という観点からは議論されていない。113回も宇宙に飛んで、どれだけの成果を上げたんだろう? シャトル計画以前の宇宙開発は、月に行くとか、太陽系を探査するとか、わかりやすかったけど、シャトル計画はその辺が見えにくいよなあ。得られたものがそれなりに多ければ、多少の問題点があったとしても、それなりに評価できるのだろうと思うのだが。。

ロケット技術の具体的な部分について、著者の主張が正しいのかどうかの判断は保留するが、シャトルがデビューしたときに目指していた「理想的な宇宙船像」というものが、どうやら幻だったのかな、という現実は受け止めなくてはならないだろう。とは言っても、まあ本書の数々の指摘は結果論だろう。中には、開発当初は解決できると考えていた課題が、どうしても解決できなかったということもあるだろうし。 でも、だとしても、これからどうすべきか? を考える時期に来ているのは間違いない。

アメリカはスペースシャトル計画に間もなく幕を引き、新たなステップに進もうとしているようだが、同じ過ちを2度としないためにはどうすべきなのか? 日本の進むべき道はどの方向なのか? こんな巨大なプロジェクトだと、一歩間違えると、その影響は大げさに言うと人類の未来に関わるということになるわけだ。でも、その方向を最終的に決定するのは、アメリカの(あの)大統領だったりするんだから、困ったものかもしれない。。

一方で、この四半世紀のスペースシャトル時代(宇宙開発の停滞期?)の間に、人々の抱く未来感というのは、バラ色の未来からやや悲観的なものへと、大きく姿を変えてしまったのではないだろうか? まあ、これに関してはシャトルの責任ではなく、たまたまそういう時代だったのだ、と言うべきかもしれないが。。

さて、今週のスペースシャトルの打ち上げを通じて、果たして人々はどんな未来をイメージすることになるのだろう?

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2005/07/08

プリンタの故障とドアtoドアサービス

2年前に購入して使っていたエプソンのインクジェット複合機(CC-600PX)が突然故障して使えなくなった。何の前触れもなく、それまで極めて順調に印刷できていたのに、ある日突然、黒インクがベッタリと付き、他の色は全く印字されなくなったのだ。気温の変化か何かかな?と思い、とりあえずヘッドクリーニングを何度か繰り返すと、カラーはいずれもかすれたままながら、黒だけは何とか使えるレベルに戻った。

しかし、どうしてもカラー印刷したいので、更に何度かヘッドクリーニングを繰り返してみたが、一向によくなる気配が見られない。そうこうしているうちに、インクがなくなってしまったこともあり、インク交換すればトラブルも解消するだろうか、と期待してカラー3色のインクカートリッジを新品に交換。交換直後は、若干かすれる部分はあるものの、そこそこ見られる状態に戻ったので、これで数枚を印刷。しかし、さらにヘッドクリーニングをしてみたら、逆に印刷ムラが前よりもひどくなり、使い物にならないレベルまで悪化。

ということで、エプソンのサイトで調べてみると、FAQに如何にもそれらしい症状が載っていて、「インク経路に問題が発生している可能性」が指摘されている。うーむ、この機種の持病なのだろうか? 

修理をするしかなさそうだ、ということで修理方法を調べてみたら、ドアtoドアサービスというのがあることがわかった。これは、こちらから修理を依頼すると、宅配屋さんが取りに来てくれて、修理完了後にまた宅配便で配達してくれるというサービスだ。サービス料金が掛かるとは言え、何といっても早いのは魅力。 ということで、7/3(日)の夜にインターネットから修理を申し込んだ。

7/5(火)にクロネコヤマトが段ボール箱を持参してプリンタを引き取りに来てくれた。玄関先でヤマトのお兄さんが梱包をして、そのまま持って行った。そして、7/7(木)の午後に同じクロネコヤマトのお兄さんが修理済みのプリンタを持ってきてくれた。うーむ、予想以上に早い!! 代金引換ということで、ヤマトのお兄さんに修理代金トータル6,688円を支払った。

早速セッティングしてテストしてみると、当然のことだがきれいに印刷できる。インクは新品をセットしなおしてくれたようで、すべてのインクが満タン状態。おまけに、ご迷惑をお掛けしたお詫びの印?として、予備のインクカートリッジが1セット付属してきた。

修理内容を見ると、

診断内容
 ヘッドクリーニング機構の不具合により印字不良になっておりました。
処置内容
 部品交換、注油、各部調整、機能検査、動作チェックを致しました。
交換部品
 インクシステムアセンブリ 1個 370円
請求金額
 部品代金       370円
 基本/技術料金 4,500円
 ドアtoドア料     1,500円
 合計(税別)     6,370円
 消費税         318円
となっている。修理センターでは、7/6に受け付けて、その日のうちに修理を完了して発送したようだ。驚くほど素早いし、インクカートリッジまでつけてもらって、実質的な修理費用は随分安かったようだし、と大満足。このドアtoドアサービスというのは、宅配便の受け渡しがさほど不便ではない人にとってはとても便利なサービスだと思う。

ただ、FAQにそれらしい不具合が記載されていたことや、手際の良すぎる修理、さらにはやけにサービスが良い点が、逆にちょっと気になった。ということで、今さらだけど、ネットを探してみたら、2chにそのものズバリ、EPSON CC-600PXというスレッドがあり、正に同じ症状の報告が沢山出ている。。 何故か今年になってから、この手の故障が頻発しているようで、価格.comと合わせて、ほとんどお祭り状態になっていたようだ。

ふーむ、知らぬが仏というか、サービスの良さを単純に喜んでいいのか悪いのか、何となく後味の悪い結末だな。。 まあ、個人的には、今回の故障に関する対応については何の不満もないんだけど、ネットで色んな情報が簡単に入手できるというのは、こういうことなんだなぁ、と妙に感心。

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2005/07/07

ココログ18か月

ココログを始めて1年と6か月が経過。カウンターは、この1か月で15000程度の伸び。一時ペースが伸び悩んでいたが、やや復調したようだ。

 1か月目:900     2か月目:4500     3か月目:11700    4か月目:19000
 5か月目:32300   6か月目:43500     7か月目:54500    8か月目:72000
 9か月目:87700   10か月目:105400  11か月目:125400  12か月目:140600
13か月目:163000  14か月目:179300  15か月目:194700  16か月目:205300
17か月目:216800  18か月目:231700

この1か月のアクセス解析結果は、前回に続いて週間集計を1カ月分合計して求めてみると、以下の通り。

(1)リンク元
 1位 http://search.yahoo.co.jp 全体の38%(前回2位)
 2位 http://www.google.co.jp 全体の21%(前回1位)
 3位 bookmark 全体の19%(前回3位)
 4位 http://www.google.com 全体の5%(前回4位)
 5位 http://search.msn.co.jp 全体の3%(前回5位)
 6位 http://search.goo.ne.jp 全体の2%(前回6位)
 7位 http://a.hatena.ne.jp 全体の1%(前回7位)

先月および先々月はYahoo!経由での訪問者が随分減っていたのだが、何故かこの1か月は大体元の数に戻ったようだ。何だったんだろう? それと、この数字には表れていないけど、ここ最近は何故かMSNサーチ経由の訪問者が減っているようだ。MSNサーチが模様替えしたことと関係あるのだろうか? 一方、最近始まったYahoo!サーチのBeta版経由で来られた方はほとんんどいないようだ。。

(2)検索キーワード
 1位 合計特殊出生率(前回1位)
 2位 パスポート(初登場)
 3位 青色発光ダイオード(前回圏外)
 4位 X43A(前回圏外)
 5位 アメリカ(前回6位)
 6位 温室効果ガス(前回圏外)
 7位 食事バランスガイド(初登場)
 8位 過去の天気予報(前回4位)
 9位 肥満(前回10位)
10位 ゲルマニウム(初登場)
11位 地震(前回19位)
12位 IC(初登場)
13位 グラフ(前回8位)
14位 ICチップ(初登場)
15位 フードマイレージ(前回圏外)

ということで、何故かこのブログの人気キーワードは2か月連続で「合計特殊出生率」となった。一方「青色発光ダイオード」は、以前から常に上位にランクされる人気キーワードだったのが、何故か先月はランク外に落ち、今月また復活したようだ。Yahoo!経由の訪問者数が大きく変動したのと合わせて考えると、Yahoo!の検索結果が大きく変化したのかもしれない。

「X43A」は、マッハ9.6を記録したアメリカの航空機。2004/11/17に取り上げたのだが、6/20にギネス認定されたというニュースが出たことで、このブログへの訪問者も増えたということのようだ。それ以外では、パスポートに顔写真入りICチップを内蔵させるという話題や、食事バランスガイドの話題が、コンスタントに読まれているようだ。

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エリスリトールによる蓄熱と熱輸送

nikkei.bp(7/6)の記事。神戸製鋼、トラックと蓄熱装置によるエネルギー輸送技術を開発

神鋼環境ソリューションと神戸製鋼所は、製鉄所や工場、ごみ焼却所などで発生する中・低温域(200℃以下)の排熱を熱エネルギーとして蓄熱装置に蓄え、トラックで遠隔地に輸送する技術を開発した。輸送先で90℃以上の高温水として再利用できる上、パイプラインなどインフラ整備も不要。こうした廃熱利用形態は「世界初」(両社)という。暖房用途のほか、市販の吸収式冷凍機と組み合わせることで、冷房用のエネルギとしても使える。

蓄熱装置の蓄熱材には、単位質量当たりの蓄熱量が76kcal/kgと高いエリスリトールを採用。熱エネルギを伝達する熱媒体(熱媒油)と蓄熱材との熱交換を直接接触式としたことで、蓄熱装置の伝熱効率や充填効率が良くなり、装置を小型化できた。

記事のタイトルだけだと何のことだか良くわからなかったのだが、事業所で発生する中低温の排熱を蓄熱してトラックで遠隔地に輸送するということで、面白い発想である。単位質量当たりの蓄熱量ってのは何で決まるんだろう?

探してみたら、日経新聞のプレスリリースにCO2排出削減に貢献する熱エネルギー輸送技術についてというリリースが載っている。

 既に欧州では、酢酸ナトリウム(融解潜熱:63kcal/kg、融点温度58℃)を蓄熱材として使用した熱エネルギー輸送技術が実用化されています。
このたび両社は、
1)単位質量当たりの蓄熱量が大きく(融解潜熱:76kcal/kg)、高い融点温度(119℃)を持つエリスリトールを蓄熱材として使用。
2)蓄熱装置に独自開発の特殊構造(特許出願中)を採用。蓄熱材に、熱エネルギーを伝える熱媒体(熱媒油)との熱交換に、直接接触式の採用を可能としたことで、蓄熱装置内の伝熱効率・充填効率が高くなり、従来比で30%小型化。
などにより、熱エネルギーの輸送効率を向上させました。
ということで、融点と融解潜熱がポイントとなるようだ。このページの末尾に添付されている概念図を見ると、熱発生場所で140℃の熱媒を回してエリスリトールを融解させ、溶融状態のままエリスリトールを輸送し、熱利用場所で熱媒を回すことでエリスリトールを凝固させ、奪い取った熱を使用するというシステムだ。いわゆる温度差(顕熱)だけでは貯蔵できる熱量は大したことがないから、潜熱を利用するわけだ。ということで、使用温度範囲で相変化が起こり、その潜熱および比熱が大きいものほど有利ということのようだ。

熱の輸送ということでは、氷や雪を運ぶってのは聞いたことがあったけど、従来あまり有効に利用されていなかった低温排熱をこうやって使うってのは面白い発想だ。

エリスリトールと言えばノンカロリーの甘味料として有名な糖アルコールであり、その性質はC☆Eridexに詳しいが、ここのグラフによると、120℃前後で融解するものの、冷却しても凝固が始まるのは43℃程度となっているけど、大丈夫なのだろうか? 何か添加物を加えて、この辺の特性を調整している可能性はありそうだ。ん? 逆に過冷却を利用して、少々冷えても大丈夫という使い方もありそうだな。。 

それにしても、エリスリトールの意外な使い道だと思って検索してみたら、関西電力のR&D News Kansai(1999)のp25/42に「小電力型業務用給湯システムの開発研究」というレポートが載っており、この中でエリスリトールを蓄熱剤として使用しているから、これを使うこと自身は既に知られていたことらしい。

なお、酢酸ナトリウムを使用したシステムについては、例えば三洋電機など、蓄熱搬送システム「トランスヒートコンテナ」の実証試験などの記事が見つかる。

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2005/07/05

電気八輪車エリーカ

NIKKEI NET(7/5)の記事。最速370キロの電気八輪車、公道に・慶大と30社が開発

 慶応義塾大学とエネサーブ、大和ハウス工業など約30社が共同開発した八輪の電気自動車がナンバープレートを取得し、5日、初めて公道を走った。ガソリン車に比べてエネルギー消費が約4分の1で済み、高級スポーツカーを上回る加速性能を持つ。2008年にも約200台を受注生産する計画だ。

 「エリーカ」と名づけられた電気自動車は5日午前、慶大の安西祐一郎塾長らが見守る中、三田キャンパス近くの公道を初めて走行した。

 全長約5メートル、幅約2メートルの銀色の車体にはカーブでの走行安定性を高めるため、前方に4つ、後方に4つのタイヤがついている。5人乗りで、ナンバープレートの370は最高時速370キロメートルを意味する。時速160キロメートルまで加速するのにかかる時間は約7秒で最高級スポーツカーの9.2秒をしのぐ。

この車、何ともすごい性能を誇っているのだが、スタイルもすごい。大学が主体で開発しながら、ここまで来るというのはちょっと信じられないものがある。以前NHKで特集番組を見た記憶があるのだが、印象としては燃料電池車が本命視されているときに、今さら電気自動車?というものだった。でも、エネルギー消費がガソリン車の4分の1となると、燃料電池車よりも良さそうだ。本当かな? それにしても、電気八輪車ねぇ。すごい呼び名だけど、七輪だとか大八車だとかを連想しちゃうぞ。。。

この車は、やはりインパクトが大きいようだし、プロジェクトの性格上もメディアへの露出も多いようで、色んなところで情報が得られる。
  片山右京氏のコラム
  World Explorerの特集
  Responseの特集
  信越化学工業のインタビュー
  環境gooのインタビュー

などなど。開発ストーリーを始めとして、いろんな話が載っているし、読み物としてはなかなか面白いんだけど、ガソリン車に比べてどれだけ環境負荷が小さいのかを、きちんと数字を出して議論しているわけではなさそうだ。どうやら、一晩家で充電して300km走行が可能であり、その際の電気代が約300円となるので、1kmを約1円で走行できることになるらしい。ガソリン車の場合には、ガソリンが100円/Lとして燃費を20km/Lとしても1kmが約5円となってしまう。ガソリンは税金が半分としても、まだ電気自動車の方が少なくともランニングコストに関しては格段に優秀そうだ。

本家、eliica.comは、凝った構成のサイトだが、大学からの情報発信の割には何故か細かなデータが何も載っていない。一般向けの宣伝としてわかりやすい数値も必要だろうけど、詳細な環境性能の検討結果も公開して欲しいところだ。。(電気自動車のLCAや電気自動車が普及した時のエネルギーバランスなど)

探してみると、日本自動車工業会の記事の中に各種自動車のエネルギー効率の比較図が載っている。これを見ると電気自動車は既存のガソリン車の50~60%程度の効率で、燃料電池車よりも良さそうだ。一方、倉敷芸術科学大学の山本健治研究室のページでは、ガソリン車の約3倍の効率としている。

また、安井先生の市民のための環境学ガイドでも、電気自動車の環境性能を比較的高く評価しているようだ。また、大学生の報告書だが、電気自動車のLCA調査研究は、よくまとまっている。ただし、このレポートは自動車の製造段階だけの比較であり、走行時の比較はこれからというのが残念なのだが。

燃料電池車の場合には派手に宣伝されているのだが、水素源をどうするのか、その水素源をどのように車に搭載するのか、さらには燃料電池が必要とする貴金属が足りるのか、などの問題があり、実用化まではまだまだ遠い印象がある。一方電気自動車は、電気をどうやって作るのか、充電はどこでどうやって行うのか、電池は技術的・経済的に問題はないのか、などの課題もありそうだが、意外と実用化が近い状態に来ているようにも見える。となると、三菱自動車が電気自動車を開発というのも、意外といい線行っているのかも知れない。。

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2005/07/01

2005年6月の天気予報の傾向

3月から続けている、東京地方の過去の天気予報 は、順調に継続中。ようやく 4ヶ月分以上のデータを蓄積し、季節も変わり、天気予報の傾向に変化が出てきたのかどうか興味のあるところ。

さすがに梅雨ということで、「くもり 一時 雨」という予報が増えたのだが、後半は「晴れ 時々 くもり」予報も多かったようだ。今回、過去分も含めて天気予報と降水確率の出現頻度をグラフにしてみた。この 6月の統計グラフでも明らかだが、週間予報で 4日前以前に出す予報では、天気予報の文言はやっぱり、「晴れ 時々 くもり」「くもり 時々 晴れ」「くもり」「くもり 一時 雨」の4通りしかない。。

毎日の週間予報を見ていると、3日先から7日先までの予報は全部横並びで同じ、みたいなことも結構あるようだ。特に6/22~6/25あたりを見ると、週間予報は結構いい加減に出しているんだなって感じがするんだけど。。

予報の的中率で見ると、気温の予報については、相関は 5月よりは良かったように見えるが、これは6月の気温の変化幅が大きかったためにそう見えるだけかもしれない。実際、気温の偏差の平均値は 1℃前後と結構大きい。また、天候について見ても、相関グラフでもトレンドグラフでも、あまり良い成績とは言えないようだ。6月はかなり予報が難しかったとも言えるんだろうけど。。

6/28から気象観測衛星ひまわり6号を正式に運用開始したということで、今後の予報精度の向上に期待しよう。

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236回目の献血

5月後半に海外に行ったため、規定どおり4週間以上のインターバルを置き、前回 4/26から66日ぶりの献血。いつものように相模大野献血ルームで血漿成分献血。

久々に行ったら、少し採血装置が入れ替わったみたいで、今日の献血ではテルモのテルシスSという新しい装置だった。特に高機能なのかどうかはわからなかったが、看護士さんは使いやすいと喜んでいたようだ。いかにも新型機という風貌だったけど、血漿成分献血だったためか、特に献血時間が短いということもなかったみたいだ。液晶モニターが高い位置に付いているため、こちらからは献血中に何も見えず、今の状態が全然わからないのがちょっと不満。献血をしている人の中には、そういうのを見られた方がうれしいと思う人も結構多いんじゃないかと思うのだけど。。

例のBSE関連対策として海外旅行経験による献血制限が変わったのだが、それに対応して問診表が少し変わっていた。日本赤十字社のホームページに掲載されている問診票は古い奴で、この7番の「この1年間に海外旅行をしましたか。それはどこですか。」という部分が、「昭和55年以降に海外旅行をしましたか。それはいつでどこですか。またイギリスに1日以上滞在しましたか。」(うろ覚え)となっていた。おいおい、それは無理でしょう?? 受付の人に、「あのー、昭和55年以降の海外旅行経験を全部書くんですか?」と聞いてしまった。。。 「直近のものだけで結構ですよ」って答えてくれたけど、本当はそれだとまずくないかな?

今回のおみやげは、久々にTシャツ。新しいデザインに変わっていて、「2005」と書いてあるので、今年限定のようだ。昨年のものよりも生地が厚手で、作りも多少しっかりしているようだ。

20050701

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