電気八輪車エリーカ
NIKKEI NET(7/5)の記事。最速370キロの電気八輪車、公道に・慶大と30社が開発
慶応義塾大学とエネサーブ、大和ハウス工業など約30社が共同開発した八輪の電気自動車がナンバープレートを取得し、5日、初めて公道を走った。ガソリン車に比べてエネルギー消費が約4分の1で済み、高級スポーツカーを上回る加速性能を持つ。2008年にも約200台を受注生産する計画だ。この車、何ともすごい性能を誇っているのだが、スタイルもすごい。大学が主体で開発しながら、ここまで来るというのはちょっと信じられないものがある。以前NHKで特集番組を見た記憶があるのだが、印象としては燃料電池車が本命視されているときに、今さら電気自動車?というものだった。でも、エネルギー消費がガソリン車の4分の1となると、燃料電池車よりも良さそうだ。本当かな? それにしても、電気八輪車ねぇ。すごい呼び名だけど、七輪だとか大八車だとかを連想しちゃうぞ。。。「エリーカ」と名づけられた電気自動車は5日午前、慶大の安西祐一郎塾長らが見守る中、三田キャンパス近くの公道を初めて走行した。
全長約5メートル、幅約2メートルの銀色の車体にはカーブでの走行安定性を高めるため、前方に4つ、後方に4つのタイヤがついている。5人乗りで、ナンバープレートの370は最高時速370キロメートルを意味する。時速160キロメートルまで加速するのにかかる時間は約7秒で最高級スポーツカーの9.2秒をしのぐ。
この車は、やはりインパクトが大きいようだし、プロジェクトの性格上もメディアへの露出も多いようで、色んなところで情報が得られる。
片山右京氏のコラム
World Explorerの特集
Responseの特集
信越化学工業のインタビュー
環境gooのインタビュー
などなど。開発ストーリーを始めとして、いろんな話が載っているし、読み物としてはなかなか面白いんだけど、ガソリン車に比べてどれだけ環境負荷が小さいのかを、きちんと数字を出して議論しているわけではなさそうだ。どうやら、一晩家で充電して300km走行が可能であり、その際の電気代が約300円となるので、1kmを約1円で走行できることになるらしい。ガソリン車の場合には、ガソリンが100円/Lとして燃費を20km/Lとしても1kmが約5円となってしまう。ガソリンは税金が半分としても、まだ電気自動車の方が少なくともランニングコストに関しては格段に優秀そうだ。
本家、eliica.comは、凝った構成のサイトだが、大学からの情報発信の割には何故か細かなデータが何も載っていない。一般向けの宣伝としてわかりやすい数値も必要だろうけど、詳細な環境性能の検討結果も公開して欲しいところだ。。(電気自動車のLCAや電気自動車が普及した時のエネルギーバランスなど)
探してみると、日本自動車工業会の記事の中に各種自動車のエネルギー効率の比較図が載っている。これを見ると電気自動車は既存のガソリン車の50~60%程度の効率で、燃料電池車よりも良さそうだ。一方、倉敷芸術科学大学の山本健治研究室のページでは、ガソリン車の約3倍の効率としている。
また、安井先生の市民のための環境学ガイドでも、電気自動車の環境性能を比較的高く評価しているようだ。また、大学生の報告書だが、電気自動車のLCA調査研究は、よくまとまっている。ただし、このレポートは自動車の製造段階だけの比較であり、走行時の比較はこれからというのが残念なのだが。
燃料電池車の場合には派手に宣伝されているのだが、水素源をどうするのか、その水素源をどのように車に搭載するのか、さらには燃料電池が必要とする貴金属が足りるのか、などの問題があり、実用化まではまだまだ遠い印象がある。一方電気自動車は、電気をどうやって作るのか、充電はどこでどうやって行うのか、電池は技術的・経済的に問題はないのか、などの課題もありそうだが、意外と実用化が近い状態に来ているようにも見える。となると、三菱自動車が電気自動車を開発というのも、意外といい線行っているのかも知れない。。
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