注射針の太さ
MSN-Mainichi-INTERACTIVE(7/25)の記事。テルモ:世界最細の注射針開発 先端0.2ミリ、痛みの軽減を期待
医療機器メーカー「テルモ」(東京都渋谷区)は先端が0・2ミリと世界で最も細い注射針を開発した。糖尿病治療のインスリン製剤の自己注射用で、一般的な注射針(0・25ミリ)に比べ約20%細く、痛みが軽くなると期待されるという。針が細くなると痛みがなくなるのだから、もっと細いものがあっても良さそうなものだが、どんな状況なのだろう。テルモのプレスリリースを読むと、注射針の太さは「ゲージ」という単位で表すようだ。今回開発されたのが 33ゲージ。単に細くすると注入抵抗が増えるし、恐らく折れる危険性も増えるということから、細くするにも限界があるということか。血糖をコントロールするために、1日数回の自己注射が必要な糖尿病患者は約60万人いるとされる。注射の痛みを和らげるには針を細くする必要があるが、細くなるとそれだけ注入抵抗が増し、扱いにくくなる欠点があった。
同社は根元から先端に向かって細くしていく構造を採用。従来の針は根元も先端も同じ太さだが、「細いままよりも、薬剤の注入抵抗を抑えられた」という。また、先端が細くなっても、根元は従来のものよりやや太いため、針の強度も変わらないという。
注射針の太さについては、お尻用の注射針に一般的な注射針の規格について、18ゲージから27ゲージ、外径にして 1.2mmから0.4mmまで紹介されている。注射針の根本の色で区別されているなんて知らなかったけど、専門家(?)は、こんな風にピンクだ、グリーンだと、色で注射針を区別しているようだ。。
ちなみに、献血の時の針は新潟県赤十字血液センターのQ&Aによると、17ゲージまたは18ゲージを使用しているとのこと。18ゲージで外径1.2mmということだから、17ゲージだと1.3~1.4mm程度だろうか。毎月こいつで血を抜いてもらっているけど、やっぱり太いな。。 微量の採血や注射と違って、取り扱う量が多いので仕方ないのだろうけど、あまり細いと赤血球が破壊されてしまうという問題もあるようだ。
まあ、今までに多数の献血を経験したために、痛みに慣れただけかもしれないし、いつも針が刺さる部分の感覚が麻痺しちゃったのかもしれないし、あるいはあの太い針を見ても恐怖を感じなくなったという心理的なことも影響しているかもしれないが、献血の際にほとんど痛みを感じないことも結構ある。むしろ、逆に献血前の検査の時の細い針での採血の方が痛かったりしたこともあるから、太いから痛いというものでもなかろう。
ところで、通常の注射針の作製方法は、YOMIURI ON-LINE もの知り百科によると、ステンレス板を丸めて溶接し、これを引き伸ばしているようだ。
以前「無痛針」という言葉も聞いたことがあったので調べてみたら、京都経済新聞記事が見つかった。太さ80ミクロンというから、これは随分細い。ただし、このナノデスは、通常の注射針ではなくて、マイクロパイル・シートと呼ばれるもので、数十ミクロンの特殊な細い針を剣山のように多数並べたもののようだ。この針はなんと糖でできていて、体内で溶けてしまうらしい。
他にも、こんな無痛針などもあるようだが、いずれにしても非常に細いため、取り扱う液量が微量となり、高感度分析システムと組み合わせたりするものらしい。でも、ここを見ると、外径150ミクロン以下の注射針を色々用意しているようだから、冒頭記事の「世界最細の注射針」という表現はどうだろう? 読み返してみると、テルモのリリースにはちゃんと「世界一細いインスリン用注射針」と書いてあった。。
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コメント
こんにちは。下記のリンクには
http://nikkeibp.jp/style/bizinno/reborn/article20030708.shtml
「注射針は通常、金属の筒の中を削って作るが、この作り方だと痛くない注射針のような極細のものは作れない。」
とありますね。板を丸める方式がスタンダードになったということでしょうかね。
投稿: sakai | 2005/07/27 17:05
sakaiさん、ご無沙汰してます。。
教えていただいた記事を起点に調べてみると、このテルモのインスリン用0.2mm注射針は、確かに岡野さんが作られたもののようですね。ありがとうございます。
http://www.sekkeiseizo.com/special/okano.html">設計製造.comの記事によると、パイプで作ると100円/本だけど、岡野さんが開発した方法だとこれが1円/本となるようですね。
この岡野工業の岡野雅行さんという方は、モノ作りの世界では結構有名人のようです。
結局、普通の注射針はどうやって作っているんでしょう? 少し調べてみましたが、確実なところは不明のままです。でも、読売の記事が紹介している方法は、むしろ特殊なケースかもしれませんねえ。。
投稿: tf2 | 2005/07/27 20:59
2005年度のグッドデザイン賞で、テルモの「インスリン用注射針ナノパス33」が大賞を受賞したようです。おめでとうございます。詳しくは、http://www.meti.go.jp/press/20051025005/gooddesign-set.pdf" target="_blank">経済産業省の発表資料で。
評価ポイントとして、
とありますが、現在の製造業の風潮って、そんなものなのでしょうか?投稿: tf2 | 2005/10/26 19:01