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2005/07/12

蚊を錯乱させる繊維スコーロン

nikkeibp.jpの記事(7/7)から。「洗濯しても効果が落ちない防虫ウェア」ネットで直販、帝人ファイバー

帝人ファイバーは7月7日、ポリエステル織布「SCORON(スコーロン)」を使った防虫ウェアを開発したと発表した。楽天のショッピング・サイト「楽天市場」に直販サイトを開設し、7月9日から9月末までの期間限定で販売する。

ポリエステル原料/繊維/織布などの研究開発と製造、販売を手掛ける同社が、最終製品である衣料品の製造と販売を行なうのはこれが初めてという。

スコーロンは、帝人ファイバーのグループ会社でポリエステル織布の加工を手掛ける帝人ネステックスが、防虫/殺虫剤メーカーのアース製薬と共同開発した。

製造工程で、アース製薬の防虫剤を布地に固着させる。防虫剤の主成分は有機エステル系化合物で、蚊などの触角に触れると、神経系を刺激して行動錯乱を誘発し、吸血行為を阻止する。

ほ乳類には作用が鈍いため安全という。また揮発性が低く、布地を繰り返し洗濯しても効果が弱まりにくいなどの特徴を備える。

というもの。虫を殺すのではなく、行動錯乱を起こして吸血行為を阻止する、というのが面白い。TEIJINのプレスリリースによると、この防虫剤の技術については、
1. 防虫剤の開発
従来の揮発性が高いDEET(ジエチルトルアミド)製剤によらず、有機エステル系化合物を主体にしているため、洗濯耐久性に優れています。本製剤は昆虫類にのみ作用するもので、哺乳類などへの作用は鈍く、また万一体内に入っても毒性は弱いとされています。このためアース製薬では既に多くの殺虫剤、防虫剤として使用実績があり、安全性に関するトラブルは生じていません。
2. 防虫製剤固着技術
帝人ネステックス独自の耐久バインダー加工技術(生地の風合いを損なうことなく性能を付加する技術)の完成により、ファッション衣料から農業・工場作業衣料、アウトドア衣料、小物・テントなどの資材類に至るまで、用途に応じた期待性能に対応することが可能になりました。

「スコーロン」は、蚊などの触角を刺激する接触忌避型防虫加工によって忌避剤加工を施した処理面に接触した蚊など害虫の神経系に作用し、殺すことなく、行動錯乱を起こさせて吸血を阻害します。

とあり、具体的な薬品名は明らかにされていないようだし、どういう形で繊維に結合しているのかも不明だが、ともかくも洗濯を繰り返しても防虫性能が劣化しないようだ。

楽天市場のTeijin 防虫ウェアー Scoronのサイトを見ると、商品開発小話に開発の裏話が少しだけ載っているが、詳細は不明のままだ。

調べてみると、この繊維は2003年には開発されて、一部では既に発売されていたようで、ムシムシ大作戦なんていう製品も出ている。

どうやら、従来の防虫繊維は、虫が嫌う防虫成分を揮発させることで虫をよせつけないというものなので、どうしても効果が経時的に低下していくのだが、スコーロンは接触忌避型の薬品なので、効果が長持ちするという理屈のようだ。服の上に蚊が止まるときに繊維に接触することで蚊の神経系がおかしくなり、吸血行動を取れなくなるようだ。ということは、近づくのを妨げないのだから、肌が露出しているところはそれなりにやられそうだな。。

日本化学繊維協会の高機能化学繊維素材を見ると、最近の機能性を付与した繊維の種類の多さに驚かされる。防虫関係を見ると、防ダニと防蚊というのは、別物のようだ。

むやみと薬品をばら撒いて虫を殺したり避けたりするのはどうかと思うが、この製品は積極的に外に薬品をばら撒くわけではないところに好感が持てるし、しかも殺したり近寄らせないのではなく、接触したら神経系をかく乱させるというアイデアも面白い。最近、都会暮らしでめっきり蚊に食われることも少なくなったけど、世の中にはこういう製品を必要としている人は沢山いるんだろうと思う。それこそマラリアなどの感染症に対する防御策としてや、アウトドア作業で身を守るために使用するのは結構なことじゃなかろうか? なんか今一製品が野暮ったい気がしないでもないが。。

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