ヒトES細胞から脳細胞の分化に成功
夏休みで科学系のニュースも夏枯れ気味のようだ。US版のGoogle Newsで見つけたのが、Scotsman.comのScottish scientists grow human brain cells in world firstという記事(8/17)。
HUMAN brain cells have been grown artificially in the laboratory in a world first for Scottish scientists.ということで、ヒトのES細胞から脳細胞の分化誘導に世界で初めて成功したようだ。これって、結構インパクトの大きい成果のような気がするが、今のところ国内のニュースサイトでは報道されていないようだ。A team at Edinburgh University managed to turn embryonic stem cells into stable nerve stem cells used in the brain by adding a cocktail of chemicals.
The "brain in a bottle" will assist in developing drugs to combat diseases like Parkinson's or Alzheimer's and may eventually enable doctors to repair damage to the brain.
The process has already been patented and an Edinburgh-based company is set to develop commercial applications for the research.
However, other scientists said it would be "highly irresponsible" to create the false hope for patients that the research was even close to growing transplants for such a complex organ as the brain.
調べてみると、理化学研究所が今年の2月に、マウスのES細胞から大脳前駆細胞への分化誘導に成功しており、今後はヒトのES細胞に応用したいと書かれているから、スコットランドのグループに先を越されてしまったということだろうか。
英語記事に載っている、"Edinburgh-based company"というのは、他の記事を読んでみるとStem Cell Sciencesのことらしい。(日本語サイトもあるようだ。)今回のニュースについてのプレスリリースも出ている。
ついこの間も、理化学研究所がマウスのES細胞から視細胞を作り出すことに成功したというニュースがあったが、だからと言って、この手の人工的に作り出した細胞を生体に移植する、いわゆる再生医療がすぐに実現できるか、となるといろいろと問題も多そうだ。
その辺の現状や、技術的および倫理的な問題については、サイエンスZEROや、トランスレーショナル・リサーチ・コミュニティーの解説記事がわかりやすくまとまっている。技術的に見ても、脳の病気の治療に使えるレベルまでは相当に遠いように思えるのだが、ともかくも研究室レベルでは、既にこの辺まで来ているということは知っておかなくては。。
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