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2005/09/29

温暖化の海への影響

昨日に引き続き、今日も地球温暖化関連ニュースが報道されている。お彼岸も過ぎて急に涼しくなったけど、温暖化のことも忘れないでね、というメッセージを込めて2件のニュースを無理やり1つのエントリにしてしまおう。。

asahi.com(9/29)のCO2増加で海水酸性化、サンゴ溶解も 研究チーム予測では、

 大気中の二酸化炭素(CO2)濃度が現在のペースで増すと、海水の酸性度が上がって、50年後にはプランクトンやサンゴが溶け出し、生息海域が減り始めることを日米欧など8カ国の研究チームが予測した。29日発行の英科学誌ネイチャーに発表した。海の生態系全体に深刻な影響を与える恐れがあるという。
  (中略)
 現在の海水はpH(水素イオン濃度)が8程度の弱アルカリ性だが、水温が低くてもともとCO2が多く溶けている南極付近からアルカリ性の度合いが弱まり、50年後にはプランクトンの翼足類や、冷水サンゴの殻が溶ける海域が現れることがわかった。翼足類は世界中に分布する一般的な動物プランクトンで多くの魚種がエサにする。冷水サンゴは多くの魚種がすみかとする。これらが生息できない海域が100年後には南極海全体と北太平洋の一部に広がることがわかった。
というもので、このニュースは温暖化そのものの影響ではなく、大気中の二酸化炭素濃度の上昇の影響の話だ。以前、大気中の二酸化炭素を減らすために、二酸化炭素を回収して深海に捨てちまおう、というアイデアもあったようだけど、そう簡単にはいかないということか。海洋研究開発機構(JAMSTEC)のリリースには、Natureに載せたグラフが転載されており、なかなか興味深い。海水の酸性化が進むといっても、地球全体の海水が平均的に酸性化するわけではなく、ほとんど南極海にだけ顕著に現れるようだ。朝日の記事にあるように、水温が低いことが影響しているらしい。

この数値は過去数百万年なかったレベルとのことだが、過去のCO2濃度や海水のpHについては、岐阜大学のデジタル地球博物館の全地球史ナビゲータが参考になる。確かに、数千万年前には相当CO2濃度が高かったようだが、それ以降は海水のpHも比較的高い数値で安定している。この先わずか100年間で急激にpHが低下したら、さすがに適応できない生物も出てくるだろう。

もっとも、大気中のCO2濃度が増加した時の海水への溶解量は計算できそうだけど、実際には海底からのアルカリ分の溶出とか、温暖化による海水温度の変化とか、それに伴う海流の変化や氷の溶解に伴う塩濃度の変化だとか、いろいろと複雑な要素を考える必要がありそうだ。どこまでモデルに組み込んでいるんだろう? リンク先を探してみたら、Natureの論文の全文がこちらに転載されているので読めるようだ。

もう1件はYOMIURI ONLINEの今世紀末、北極海から氷消滅?ホッキョクグマ絶滅危機

米国立雪氷データセンター(コロラド州)と米航空宇宙局は28日、衛星観測の結果、今月の北極海の海氷面積が観測史上最低を記録したと発表した。急速に融解が進んでいるという。

 9月期の海氷は、これまで、年ごとに増減を繰り返しながら、10年あたり約6~7%のペースで減少してきた。今年は昨年に続いて面積が大幅に減り、過去最低を記録した2002年をさらに下回る約530万平方キロにまで落ち込んだ。10年間の減少率は約8%にまで上昇した。

 地球温暖化の影響に加え、太陽光の反射率が高い雪氷が減少することで熱の吸収量が増え、融解に拍車をかけていると考えられている。この状態が続けば、今世紀末までに夏季の北極海から氷が完全に消失する可能性があり、氷上を狩りの場とするホッキョクグマなどの絶滅が危惧(きぐ)されている。

というもので、こちらは地球温暖化の直接の影響というか証拠となるのだろうか。

これについては、米国立雪氷データセンターのリリースが出ていて、ここ数年の北極の氷の量の変化のグラフも掲載されている。一方、NASA のNewsでは、衛星写真での氷面積の比較やアニメーションが見られるのでわかりやすい。

もっとも、21世紀末の時点で、地球温暖化の影響の中でホッキョクグマの絶滅がどの程度重要な問題となっているのかは疑問だろう。(他にもっと深刻な問題があるだろうに。。) この問題は何といっても地球のアルベドが低下することによる温暖化への正のフィードバック効果が重要だろうと思われる。

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