二酸化炭素排出量表示機能付き駅すぱあと
Yahoo!ニュース経由で見つけた、Web BCN(Business Computer News)のニュース(9/5)。ヴァル研究所、CO2排出量順で経路選び、「駅すぱあと」に新検索条件
ヴァル研究所(鈴木和夫代表取締役)は、10月から発売する「駅すぱあと」各製品に、新たに二酸化炭素総排出量順(CO2排出量順)の探索ができる機能を搭載すると発表した。「Yahoo! 路線情報」での経路探索サービスにも12月以降に実装する予定。「駅すぱあと」といえば、この手の経路探索ソフトの元祖的な存在だが、最近は携帯やPCでオンラインで時刻表を含めて探索できるサイトが多いので、販売という点ではかなり苦戦しているのではないだろうか。それでも「駅すぱあと」は企業内のシステムと連携させて出張管理などに使用するケースも多いようなので、二酸化炭素の排出量表示機能を付けることで、直接移動手段の選択が変わるとは思えないけど、企業の環境マインドを刺激したり、という効果は多少期待できるかもしれない。同社では、温室効果ガス削減策の一つとして、自動車の利用を控え鉄道などの公共交通機関の利用促進する活動を支援するため、従来の「時間順」「運賃順」「定期順」に続く経路探索条件として「CO2排出量順」の機能を追加。探索結果には、当該経路の二酸化炭素総排出量のほか、同じ距離について乗用車を利用した場合の二酸化炭素総排出量も併記されるため、環境を考慮した経路探索ができる。
(中略)
二酸化炭素総排出量は、距離(km)×二酸化炭素排出原単位(g-co2/人km)の計算式で算出する。なお、二酸化炭素排出原単位は、交通エコロジー・モビリティ財団発行の「運輸・交通と環境 2005年版」のデータを利用している。
ヴァル研究所のニュースリリースには、探索結果画面の例が掲載されている。今回使用した二酸化炭素排出原単位は、運輸・交通と環境(2005年版)から申し込むことで無料で入手できるようだが、残念ながらオンラインではデータが公開されていないようだ。
ただし、同じ交通エコロジー・モビリティ財団の、交通部門における地球温暖化問題の現状のページで2000年度の二酸化炭素排出原単位のデータが見られる。念のために「駅すぱあと」のサイトに載っていた例(品川→大阪で、新幹線が9.8kg、飛行機が59.4kg、乗用車が95.0kg)と比較してみよう。
距離は新幹線が約550km、飛行機が約450km、自動車が530kmとして、このサイトの原単位(単位がg-C/人・kmなので換算が必要)で計算すると、新幹線が550×6×44÷12÷1000=12.1kg-CO2/人、飛行機が450×30×44÷12÷1000=49.5kg-CO2/人、乗用車が530×45×44÷12÷1000=87.5kg-CO2/人となり、やや差が大きいのが気にならないでもない。いずれYahoo!路線情報でも提供されるそうなので、いろいろな条件で探索してみると、使用している原単位が逆算できそうだけど。。
調べてみると、金沢市のエコチャレンジでは、各自の交通関係の二酸化炭素排出量を計算してくれる。ここでは単位時間当たりの二酸化炭素排出原単位が使用されているので比較するには換算が必要。でもこの表ではタクシーの原単位が自動車の10%しかなかったり、やや疑問がないでもない。(どちらのデータでもバスは自動車の40%程度なのだが、乗車人員を考えると、一人当たりの排出量はもっと少ないような気もする。。)
実際には、乗用車といっても、車種や条件(高速/一般道/都会/郊外)、乗車人員や搭載貨物量で大きく変わりそうだし、飛行機だってジャンボなのか737なのかで違うだろう。最初は大雑把な比較から始めるにしても、いずれ、色々な条件を細かく指定できるようなオプションがあると面白いようにも思える。さらに言えば、単なる移動時の二酸化炭素排出量だけでなく、LCA的な視点を加えてみるのも面白そうだけど。
ちなみに、LCAで使用するための各種排出原単位は、産業連関表による環境負荷原単位データブックで入手できるようだが、専門的すぎて一般には使いにくそうだ。
一般家庭でできる温暖化対策については、全国地球温暖化防止活動推進センターあたりが参考になるけど簡単すぎるような。極端に専門的な資料や極端に簡単な資料はあるのだけど、一般の人が少し専門的なことも調べてみようと思ったときには結構困る。レベルに応じて階層的に専門的な資料に到達できるような使いやすいデータベースがあるといいのだが。。
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