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2005/10/31

変色しないリンゴ

MSN-Mainichi INTERACTIVE(10/30)の記事。リンゴ:変色しない新種誕生 カット売り需要、期待--青森で開発

 切っても、すり下ろしても茶色にならない新種のリンゴが青森県りんご試験場で誕生した。カットフルーツで売りやすく、「むくのが面倒」「1個は多い」と、敬遠していた人にも食べてもらえると期待されている。

 このリンゴは「青り27号」と呼ばれ、新種を作ろうと、83年に2品種を交配、糖度や酸度の測定過程で、変色しないことが分かった。リンゴは果肉が空気に触れると、果肉中のポリフェノール類が酸化酵素のポリフェノールオキシターゼ(PPO)によって変色するが、27号はPPOの働きが弱いとみられる。

 リンゴ(生食)の消費は90年代後半から消費が減少した。同県りんご対策協議会のアンケート調査で、57%が「皮むきが面倒」と回答。需要拡大策としてカットフルーツに注目が集まり、変色しない27号にスポットライトがあたった。

 農家で栽培実験中で、早ければ6年後には市場に出る予定だ。開発にあたった同試験場の今智之(こんともゆき)さん(47)は「カットフルーツの増産や、すりおろし製品の実現などで、リンゴの需要増のきっかけにしたい」と意気込んでいる。

特に遺伝子組換えとか、特殊な薬品を使用するとかではなく、従来からの地道な品種改良によって、変色しにくいリンゴの品種が開発されたようだ。リンゴについては、青森県りんご対策協議会の「健康果実」青森りんご百科事典を始めとして、結構充実したサイトが多いのだが、この「青り27号」についての詳しい情報は残念ながらみつからなかった。

リンゴの変色については、りんごの変色などに書かれているように、リンゴ中のポリフェノールが空気中の酸素によって酸化されるためであり、これを防ぐために食塩水に浸すのはよく知られている方法だろう。食塩水で、何故変色が防げるのかというと、ファーマーズ*ネットなどの説明によると、「りんごを塩水につけると、食塩に含まれているNaイオンが(りんごポリフェノールの1種である)エピカテキンの周りにバリアを作り、酸化を遅らせる」ためとある。先の説明と合わせて考えると、Naがポリフェノール表面を覆い、酸化酵素のポリフェノールオキシターゼが働きにくくするようである。

一方、リンゴの変色を防ぐ方法として、ビタミンCも効果があり、レモン汁を加えた水に浸すのも有効らしい。でも、リンゴ自体がビタミンCを含んでいそうな気がするのだが、その辺はどうなっているんだろう? 先の青森りんご対策協議会のページには、リンゴは、100g当たりビタミンCを約4mg含んでいて、注釈として「ビタミンCは酸化型と還元型を合わせて10mg以上含まれている」とある。 りんごと健康には、

りんごは果物の中ではビタミンCが多くありません。しかし、ヒト介入研究の結果ビタミンC含量は、りんご摂取前に比較して34%統計的に有意に増加しました。りんごには、ビタミンCを体内に取り込む成分が含まれているものと考えられます。
とある。これって、ビタミンCを含む食品を、リンゴと共に摂るとより効果的ということかな?本当だろうか? 一方、healthクリニックには、リンゴはビタミンCを壊す成分を含んでいるので、ジュースを作る際には一緒にジューサーに入れないことが勧められている。つまり、ビタミンCとリンゴを事前に一緒にするのは好ましくなく、食べるなら別々に、ということだろうか。

となると、レモン汁にリンゴを浸すと、ポリフェノールとレモン汁中のビタミンCの間で、酸化反応の競争が起こり、ビタミンCの方がより酸化されやすいので、結果として着色を防ぐことができるということかもしれない。

また、りんごのビタミンCによると、りんごはポリフェノールオキシターゼとは別にアスコルビン酸酸化酵素を含んでいて、りんご中のビタミンCの多くは酸化された形(デヒドロアスコルビン酸)で存在するのだが、どうやらこの酸化型のビタミンCにも健康効果があり、しかもこれが比較的安定している特徴があるらしい。しかし、リンゴのビタミンCをめぐる効果については、まだ解明されていない部分もありそうだ。

ところで、着色しにくいリンゴを開発したことによって、カットしたリンゴの販売でリンゴ需要の拡大を狙っているようだけど、それが本当にリンゴ需要の向上に結び付くのだろうか? カットフルーツは何となく割高な印象があるのだけど。。 アンケートで「切るのが面倒」と答えた人が、それじゃあカットしたリンゴを購入するかと言えば、また別の理由(値段が割高とか、味が今一とか)が出てきそうな気もする。 まあ、見た目も味の一部ということはありそうだが。。

個人的には、リンゴを半分だけ食べて、残りを冷蔵庫でとっておくようなことを想定すると、変色しにくいというのはうれしいような気がするけど、わざわざその銘柄(「青り27号」以外の愛称はないんかい?)を選んで買うかというと(味や値段との絡みもあるけど)疑問だなあ。。。

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2005/10/28

「食卓の安全学」

著者の松永和紀さんは、FOOD・SCIENCEという連載コラムを書かれているサイエンスライターで、元毎日新聞の記者。このブログでも過去に何度か松永さんの書かれた文章を参考にさせてもらっている。今回の本は、食にまつわる様々な話題について、比較的バランスよく突っ込んでおり、これ1冊でかなり広い範囲の基礎知識が得られるようになっている。

家の光協会
 「食品報道」のウソを見破る 食卓の安全学
 松永 和紀 著 bk1amazon

著者のホームページ、ワキラボには、参考文献リストというか参考文献サイトへのリンクが掲載されており、なるほどインターネット時代の書籍はこういうやり方もあるんだと感心させられる。。

なお、出版社の家の光協会だが、名前を見たときには、○○の家、◇◇の光 △△教会、という単語の連想から、怪しい宗教関係か? と思ったが、「家の光協会は、農業・農村文化の向上を目指すJA(農協)グループの出版・文化団体です」とのこと。知らなかった。。

冒頭で、みのもんたのTV番組でココアがコレステロール上昇を防ぐ効果があるというのを見た患者さんが、ココアを高カロリーの砂糖やミルクと一緒に沢山とるようになり、かえってコレステロールが上昇してしまい、お医者さんが大慌てしたというエピソードが紹介されている。そのときのお医者さんの言葉、「みのもんたと私のどちらを信じるんですか?」が、世間の状況をよく物語っている。TVで話題になるような健康情報には、複雑な現象の中のある一面だけを取り出したものや、効果があるとしても量的に考えて非現実的なもの、あるいは、そもそもの実験が怪しいものなども多いようだ。

本書では、BSE、環境ホルモン、残留農薬、遺伝子組換え食品などの実態をわかりやすく紹介し、マスコミ報道が一面的であることを紹介した後、いわゆる新聞の科学記事がどのように作られているのかの実態、さらには、その(怪しい)科学記事を正しく理解するために我々がとるべき方法が紹介されている。

中でも、著者の体験に基づいた、科学記事の作られ方はなかなか面白かった。確かに、日本の新聞の科学記事は欧米に比べても貧困だし、それを書く人たちも科学記事だけではやっていけない状況なのは想像がつく。しかも、最初に記者が書いた記事と、最終的に公開される文章との間に、何人もの担当者が入っているために、責任の所在が不明確になりやすい点も、なるほどである。

また、著者は敢えて「ナンチャッテ学者」という言葉を使って、非科学的なコメントを平気でマスコミに出したり、企業の広告塔になったりする学者を批判している。さすがに、固有名詞は出てこないが、こういうことを本に書くのは、日頃からいろいろな人への取材を必要としているジャーナリストとしては勇気のいることだったろうと思う。

科学記事を正しく見極めるための方法として、有名人のお墨付きには用心する、体験談は信用しない、動物実験結果に騙されない、記事広告に気をつける、といったことの他にも、学会発表段階では信頼できないことや、論文でも掲載される雑誌によっては怪しいこと、なども指摘している。まあ、このブログではできるだけ、そういった姿勢を保つように意識しているのだが、逆に何事にも批判的になってしまう恐れもあり、自分のスタンスをきちんと保つのはなかなか難しいと実感しているのだが。。

とは言え本書は、現在の食品が全て安全で、何も心配する必要がないと主張しているわけではない。日本の食糧自給率の低さ、それに伴う国内の窒素過剰問題、健康食品による弊害(健康食品を摂り過ぎることによる副作用など)、遺伝子組換え食品のあり方などを取り上げて、今後の方向性を論じている。

総じて内容は難しすぎず、簡単すぎず、非常に読みやすい。全体的なバランスも良いし、多くの人に読んで欲しい本である。もっと世の中で話題になっても良いと思うし、いっそのこと、松永さん自身がコメンテータとしてTVに出演しても面白いだろうと思うのだが。。

なお、この本の装丁は南伸坊さんとのことだが、装丁ってこの表紙のチェック柄ぐらいしかないんだけど、そんなものなのかなあ。。

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2005/10/27

微粒子の強度測定装置

産業総合技術研究所のプレスリリース(10/26)微粒子強度測定装置を開発に注目。多分、普通の人にとっては、特に興味のなさそうな話だけど、粉末関係の仕事をしてきた関係もあって、僕にとっては興味のある分野だ。まあ、最新技術の備忘録として書いておこう。

 独立行政法人 産業技術総合研究所【理事長 吉川 弘之】(以下「産総研」という)先進製造プロセス研究部門【部門長 神崎 修三】 集積加工研究グループ 明渡 純 研究グループ長、小木曽久人主任研究員は、サブマイクロメートル粒径(サブマイクロメートル:ここでは0.1マイクロメートル程度を示し1000万分の1メートル)の微粒子一個一個の形状の測定と、その微粒子の圧縮試験ができる微粒子強度測定装置を開発した。
ということで、0.1μm程度のサイズの粒子の圧縮破壊試験を行う装置を開発したようだ。このプレスリリースは、グラフや図が掲載されており、とてもわかりやすい。(って、単にこちらの専門領域と重なっているからだけかもしれないが。。) ナノテクノロジーばやりで、1μm以下の粒子をナノサイズと呼んでしまう風潮がある中、サブマイクロメートルと呼ぶところも謙虚で、ちょっと好感が持てたりする。

現在、微粒子の圧縮強度を測定する装置としては、おそらく島津製作所の粒子圧縮強度評価装置ぐらいしか存在していないのではないかと思う。この装置で測定できる粒子のサイズは、10μm程度が限界だろうか? 何しろ、破壊試験を行う粒子を光学顕微鏡で見つけて、試験装置の中央に持ってこなくてはならないので、光学顕微鏡で判別できることは最低限の条件となる。もちろん、そんな小さな粒子一個が潰れる際の、荷重と変形の関係をそれなりの精度で検出できる必要もある。

今回の産総研の装置は、サブミクロン粒子を対象としているということで、もちろん光学顕微鏡は使えない。SEM(走査型電子顕微鏡)だと見やすいかもしれないが、強度測定との組合せは構造的に難しそうだし、試料を前処理する必要も出てくるし、ということでAFM(原子間力顕微鏡)を使っている。

これだけ小さな粒子を一粒ずつ確実に圧縮するために、色々と苦労して工夫したようだけど、それでも実際の測定は相当に大変そうだ。ここには、きれいな実験結果だけが載っているけど、島津の装置で数十μmの粒子の圧壊強度を測った経験から推定すると、測定に適した粒子を見つけて、きちんとセットするだけでも大変だろうと思われる。

凝集していない球状粒子ばかりだったらいいけど、不規則形状の粒子の場合にはどの方向の圧縮強度なのかという問題が出てくるだろうし、そもそもこの程度の微小粒子だと1粒ずつバラバラに分散させるだけでも大変そうだ。そういう点では、この装置が適用できる対象も限られているのだろうと思う。

ここには、アルミナ粒子の強度は、粒子径の-0.5乗に比例するという結果が載っているが、この結果はどう解釈すべきなのだろう? 粒子径以外の条件がすべて一緒であれば比較できるだろうから、例えばすべてが単結晶粒子であればわかりやすいのだが、もしもそうでないとすると個々の粒子を構成する1次粒子の数も桁違いに異なるだろうし、なかなか解釈も難しいと思われる。。

それにしても、島津製作所のサイトをちょっとお邪魔してみて感じたのだが、ここは企業のサイトとしては非常に充実していて感心させられる。特に、粉体関係などは地味な分野だけど、粉博士のやさしい粉講座のようなコンテンツも、とても丁寧な作りでなかなか出来がいいと思う。田中耕一さんのようなノーベル賞受賞者が出てくるのも、こういう企業の姿勢と関係があるのだろうか?

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2005/10/26

ラジコンモーターパラグライダー

FujiSankei Business i(10/26)で、面白そうなものを見つけた。 空中浮揚する玩具「R/Cモーターパラグライダー」

 手元の送信機を使って、室内に浮揚するパラグライダーを自由に操縦。ヘリウムガスを充填(じゅうてん)したセールウイング(浮力体)がパイロット人形を浮かせ、前進や上昇、左右を旋回する動きが楽しめる。充電器内蔵の専用送信機を5分充電し、約8分飛行。価格は9240円。販売中。
というもの。どんな大きさのものなのか、早速、京商のページを探してみると、製品情報が載っている。セールウイングというか、風船の中にヘリウムを詰めて、その浮力で浮かび、ファンの推進力で上下左右に自由に動きをコントロールできるようだ。恐ろしいことに、わずか 23gのパイロット人形の中に充電池、モーター、ファン、ラジコンメカが内蔵されているという優れものらしい。。 このページから動画(約40MBとファイルサイズが大きい)がダウンロードできるが、これを見るとなかなか軽快に動いている。

空気の平均分子量を28.97、ヘリウムの原子量を4.003として、20℃、1気圧での空気中でのヘリウムの浮力を計算すると、体積1リットル当たり約 1.2g重である。従って、23gの人形と風船本体他の質量を支えようとすると、最低でも30リットル程度は必要となりそうだ。

実際のセールウイングのサイズは670×300×400mmということで、その体積は直方体として約80リットル、円筒状と考えても65リットル程度はありそうだから、浮力は80g重程度か。。 でも、これだけ大きいと部屋の中では相当の存在感がありそうだ。使わないときには天井にでも張り付いていてもらわないと邪魔だろうなあ。。

ヘリウムで室内に浮遊するおもちゃとしては、タカラのラジコン飛行船SKYSHIPがある。これは、全長90cmということで、さらにデカイ。。 パラグライダーの方はコントロールして動かす楽しさがありそうだが、飛行船はのんびりと漂う優雅さが魅力かもしれない。。

そういえば、10年くらい前に「お部屋は水族館」という魚の形をしたバルーンが流行したのだが、探してみると今でもこんな風に売っているようだ。この値段を見ると、ラジコンモーターパラグライダーやラジコン飛行船がかなり割安に感じられるのだが。

当時、このお魚形の風船をいくつか購入して部屋の中で飼っていたのだが、微妙な空気の流れに乗って、想像以上に素早く部屋の中を移動するし、気圧や気温の変化に対応して部屋の中で居場所を上下に変えるので、結構面白かった。結局、何匹かが窓を開けた隙に部屋の外に飛んでいってしまったのだが、空から魚の形をした風船がフワフワと降りてくるのを目撃した人は驚いたことだろうな。。 これの変形型としては、お散歩バルーンなんていうシリーズもある。

ちなみに、この手のおもちゃが可能になったのは、ヘリウムガスが洩れにくい、軽くて強い素材ができたことが大きいはずだ。確か、クラレのエバールという樹脂製のフィルムを使用しているはずだ。

なお、室内で飛ばすおもちゃの王様としては、KEYENCEの世界最小のラジコンヘリなんてのがあって、興味あるのだが、いかんせん高いので、中途半端には手を出せそうもない。。

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2005/10/25

海洋の健康診断表サイトがオープン

10/7だから、2週間以上前になるが、EICネットニュースに地球環境に関連した海洋変動解説ページ「海洋の健康診断表」を開設へというニュースがあった。これは、

 2005年10月25日から気象庁ホームページ内に、地球環境に関連した海洋変動の現状と今後の見通しをわかりやすく解説するページ「海洋の健康診断表」がオープンすることになった。

 (中略)

 「海洋の健康診断表」のページでは、(1)海面水温、海面水位、大気・海洋間の二酸化炭素交換量など、地球温暖化に関連する海洋データの長期(10年~100年程度)変化、(2)エルニーニョ現象や黒潮・親潮の長期変動など、天候や気候に関連する海洋の変動、(3)北西太平洋の海面水温や黒潮・親潮、潮位、海氷の週~月程度の変動、(4)北西太平洋の海面浮遊物や海水中の重金属濃度--の項目について、「今の状態は?」、「これからどうなるの?」、「どんな影響があるの?」、「その原因は?」といった視点からわかりやすく解説する診断結果をデータとともに提供する。

というもので、日本だけでなく、地球全体の海の状態を示す様々なデータや解説が掲載されたサイトを気象庁が開設するというもので、どんな内容なのか気になっていたのだが、ようやく本日(10/25)オープンということで、早速のぞいてみた。

この、海洋の健康診断表というサイトは、外見も地味で、気象庁の通常のページと同じデザインをそのまま使っていて、イメージしていたものとは異なり、かなりとっつきにくい印象だ。

しかし、たとえば地球温暖化関係のデータでは、海面水温の長期変化傾向(全球平均)や、日本沿岸の海面水位の長期変化傾向、あるいは北西太平洋における二酸化炭素濃度の長期変化傾向などを見ると、見やすいグラフと簡単な解説が1ページにまとまっており、関連情報へのリンクが右側に並んでいて、なかなかわかりやすいし、親切だ。

他にも、海洋のデータバンクというページもあり、ここでは海に関係する非常に広範囲にわたる各種データが蓄積されていて、指定した年月日の状況をビジュアルに見られるようだ。

ということで、膨大なコンテンツの中の、ほんの一部を見ただけの印象だが、地球温暖化や気象、気候関係で海に関する情報を探す際には、まずここに来て探してみるという使い方には向いていそうだ。何よりデータが豊富だし、解説やリンクが充実しているので便利だろう。一方、定期的にデータが更新されていくので、海に関係する仕事をしている人にとってはいろいろと使いみちがありそうだ。

このようなサイトの構築は、またひとつインターネット上に有用なデータが公開されたということで、大歓迎だ。あえて注文をつけるとすると、確かに、「海洋の総合情報」と名付けるだけの豊富な内容がありそうだし、各ページは非常に頑張って作ったことがわかる力作ぞろいなのだけど、残念ながら、見た目やサイトのナビゲーションがそっけなく、不親切なことだろうか。。 プロに対しては使いやすく、素人には楽しくてわかりやすいインターフェースというのは難しいとは思うけど、もう少し工夫が欲しい気がする。

それにしても、海水温度や海流の変化の傾向だとか、海洋汚染状況などなど、ほとんど普段は興味を持つこともなく、知らないことばかりだ。主要なページの解説を読むだけでも、かなり勉強にもなりそうだし、せっかくだから、一通り目を通して、基礎知識を補充しておこうかな。。

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2005/10/24

退職年齢と死亡リスクの関係

asahi.comの記事(10/21)から。早めの退職、長生きにつながらず=米研究者チーム

 早めの退職と長生きの間には相関関係がないとする調査研究を、米国の研究者チームがブリティッシュ・メディカル・ジャーナル誌のオンライン版で発表した。

 研究者らは、シェル・オイルの工場に勤務していた退職者3500人を対象に、退職時の年齢を55歳、60歳、65歳の3グループに分け、26年間にわたり健康状態をモニターした。

 その結果、退職年齢60歳と65歳のグループの死亡年齢はほぼ同じだったが、55歳で退職したグループの死亡率は他のグループよりも高かったという。

 同研究者チームの1人であるシャン・ツァイ氏は、「55歳または60歳で退職したグループが長生きする確率は、65歳で退職したグループと比べて決して良くはなかった。むしろ、退職時の年齢が上がるほど死亡率は低くなるという結果が出ており、それは高所得層でも低所得層でも同じだった」と指摘した。

というもの。こういう統計調査の結論は、眉にツバをつけながら、十分に注意を払って見る必要がある。例えば、

   ・対象者の数は十分なのか?
   ・特定の条件の対象者についての調査を、十分な根拠もなく一般化していないか?
   ・表には見かけの関係が現れているだけで、実は別の関係が隠れていないか?

などの項目はチェックした方が良さそうだ。また、たとえ、早期退職は長生きしない、という(相関)関係が正しかったからといって、早期退職が早期死亡の直接の原因になっているかどうかは全く不明であり、当然のことながら、長く働けば、それだけで長生きできるという話ではないので要注意。

ということで、この朝日の記事では、早期退職はまるで好ましくないような印象を持たせる書き方となっているが、関連記事を探してみると、10/24の NIKKEI NETの記事、「早期退職して長生き」統計的に効果薄・米研究者論文には、

 国際石油資本(メジャー)ロイヤル・ダッチ・シェルの米部門(ヒューストン)の従業員のうち、1973年から2003年までに55歳、60歳、65歳で退職した計約4500人について調査を実施。

 その結果(1)55歳や60歳で早期退職した人は、65歳で退職した人と比べ“余命”は延びていない(2)それどころか55歳で退職した人の死亡率は65歳での退職者より高かった(3)しかし60歳で退職した人の死亡率は65歳での退職者とほぼ同じだった――などの点が判明した。

 特に55歳で退職した人の当初10年の死亡率は働き続ける人と比べ2倍近くになるが、その理由として論文は「55歳の退職者には(もともと)健康上の理由で辞める者も含まれるため」としている。

とあり、調査対象人数にも違いがあったり、調査結果のまとめ方にも違いが見えて興味深いのだが、何よりも一番の違いは、55歳の退職者にはもともと健康上に問題があるケースが含まれる、ということが書かれている点だろう。実際にこの文のために、記事全体の印象もかなり異なってくる。

そもそも、アメリカでは65歳まで働くのが一般的なのだろうか?経済企画庁の資料によると、アメリカには「雇用における年齢差別禁止法」というのがあって、日本のような定年制度はないようだから、働く意欲と能力のある人は65歳まで働くのが普通なのかもしれない。

今回の調査については、British Medical Journal の論文の全文がこちらで読める。

まあ、人間の健康や寿命を考える際に、退職年齢との関係だけを見出そうとしても難しいのは当然だろう。退職するまでの状況も、退職後の生活も、それぞれのケースで千差万別だろうし。しかも、この調査の早期退職者が、一般に期待されるような、優雅で悠々自適な生活をエンジョイしている人ばかりではないことは確実だろうし。。 恐らく、調査対象者数を増やせば増やすほど、この程度の単純な分類では明確な相関関係が見られなくなっていくのではないだろうか?

google.newsでこのニュース関連の海外の関連記事を探すと、
  Younger Retirees Face Higher Death Rate:Forbes
  Work harder, live longer:TIMES
  Don't Retire to Save Your Life:Medical BREAKTHROUGHS
  Retiring early could cut your life short:Daily Mail
などなど、日本以上に相関関係を(意識的に)因果関係にすりかえたような見出しが目立つ。どこの国でも新聞はセンセーショナルがお好きなようだ。

ところで、今回の調査は、あのアメリカの特定の大会社が調査対象である。ということは、日本と比較すれば定時退社がかなり多いだろうことが容易に想像される。とすれば、少なくともこの結果は、日本の長時間残業を続けるサラリーマンに当てはめるのは無理がありそうな気がするが、どうだろう?

もっとも、日本の場合でも、早めに退職したからといって、その後の生活がサラリーマン生活を続けるよりも心身にとって健康的なものになるかというと、それはまた別の問題だろうけど。。

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2005/10/21

240回目の献血

前回9/30以来、21日ぶりの献血。ここのところ、相模大野献血ルームばかりだったので、たまには気分を変えてみよう、ということで、初めて本厚木献血ルームに行ってみた。

一見してかなり広い献血ルームで、ベッド数も多そうだ。でも、やけにお客さんが少ない。ベッドもガラガラだし、待合室にもチラホラと人がいるだけだ。平日だとこんなものだろうか? でも横浜駅西口とか相模大野の献血ルームは平日の昼間でももっと混みあっていると思うのだが。。

検査は右腕、献血は左腕というところはいつもと一緒だが、今日はいつもとは異なる位置に針を刺してくれた。血漿成分献血を、特に痛みもトラブルもなく終了。ベッドは半分以上空いている状態だったけど、看護士の方があまり様子を見に来てくれなかった印象がある。まあ、特にトラブルもないのだから、かえって煩わしくなくて結構とも言えるのだが。。 あれやこれやと、それぞれの献血ルームで微妙に雰囲気が違うものだ。次回はまた別の場所に出掛けてみようかな。

おみやげは、同じ神奈川県赤十字血液センターということで、いつもと変わりなく、Tシャツ、パックごはん、歯磨きセットといったラインナップ。さすがに、Tシャツばかり集めても仕方ないので、今回は歯磨きセットを選んだ。これは、ゼファーマの薬用デンタルファミリーセットというもので、80歳-20本運動の推進に載っている歯みがきの旧製品らしく、「フジサワデンタルL 50g」と「シルクスターL 50g」に、「フジサワデンタル歯ブラシ」2本をセットにしたもの。

それと、今日は特別サービスだったのか、味の素のアミノバイタルのゼリードリンク「ボディリフレッシュ」を2個も貰えた。

ところで、つい最近、厚生労働省のホームページに献血推進キャンペーンのお知らせが載ったのだが、この中で気になったのが、献血推進のためのキャラクター「けんけつちゃん」。発表は明日ということで、献血ルームの中でいろんなチラシを眺めてみたが、当然ながらそれらしいキャラクターはみつからなかった。ところが、日本赤十字のホームページのお知らせには「献血ちゃん」と書いてある。。 どっちが本当なんだ? いよいよ気になる。。

なお、関東地方限定のようだが、ちょうど今「第4回献血俳句コンテスト」というのをやっているようだ。もらってきたチラシによると、選考は俳人の黛まどかさんとのこと。ちなみに昨年の結果は、
  献血俳句大賞 「子の部屋の 献血手帳 日脚伸ぶ」
  審査員特別賞 「白い息 目をそらさずに 献血を」
となっている。大賞は50000円分の旅行券だし、俳句なんて作ったこともないけど、何か考えて応募してみるかな。。

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2005/10/20

光触媒新聞用紙ってどう?

nikkeibp.jp(10/19)の記事。「空気清浄効果のある新聞用紙」、日本製紙と読売新聞が共同開発

日本製紙と読売新聞社は10月19日、光触媒である酸化チタンをコーティングした新聞用紙「光触媒新聞用紙」を開発したと発表した。

直射日光のあたる場所に置いておくと、室内の空気に含まれるタバコ、汗、ペットの臭気などを除去、浄化するという。

酸化チタンは揮発性有機化合物(VOC)やホルムアルデヒドを化学分解するため、消臭用途のほかシックハウス対策として住宅の塗料などに使われるが、「新聞用紙への応用は世界で初めての試み」(両社)。

日本製紙と読売新聞社では、化学反応によって紙自体の品質が劣化するという従来の光触媒技術にあった問題を解決。製品化に成功したという。耐久性に優れ、オフセット輪転印刷機による高速印刷が可能。インクの着肉性も良好で、広告、ポスター、カレンダーとしても利用できるとしている。

なお読売新聞社では日刊紙「読売新聞」の東京23区発行分に、同光触媒新聞用紙を使った別刷り広告特集を折り込む。また10月22日から日本コンベンションセンター(幕張メッセ)で開催される「東京モーターショー 2005」で同広告特集を約10万部配布する予定。

光触媒も随分とポピュラーになって、いろんな製品が出ているようだけど、ついに新聞紙にまで光触媒が付いてくるようになるらしい。何故かこのニュース、読売新聞が報道していないばかりか、読売新聞社のお知らせにも掲載されていない。。(中部発として空気浄化新聞用紙、本社など共同開発というニュースがひっそりと掲載されたようだが。)

一方の日本製紙のサイトには、空気清浄効果のある新聞用紙「光触媒新聞用紙」を開発というニュースが掲載されているが、新聞報道の内容以上の情報はあまり得られないようだ。

まあ、光触媒とはいっても、中身は酸化チタンであり、酸化チタンそのものは昔から白色顔料などとして紙などにも使われているので、その酸化チタンを光触媒機能を持つものにしたと考えれば、さして目新しいとは言えないかもしれない。ここの説明によると、タバコの巻紙にも酸化チタンが使われているようだ。

でも、確かに光触媒は、光が当たればそれなりの浄化作用は期待できるのだろうけど、新聞紙の現実的な使用条件で、一体どれほどの効果があるものだろう? 新聞紙なんて、大体たたんで置いておくだろうし、あまり光の当たるものとは思えないのだが。。 ここは、定量的な実験結果なども示して欲しいところだ。例えば、タバコを吸いながら新聞を読むなんていうシチュエーションには多少は効果がありそうな気もするが、実際には全然浄化が間に合わないだろうと思うし。。

普通、光触媒機能付きの色んな製品を購入する人は、その光触媒効果に多少なりとも期待するからこそ、お金を出すわけだ。(おもしろいところでは、光触媒のうんこなんてのもある。) でも、光触媒新聞紙の場合はどうだろう? 光触媒機能が付いているから、読売新聞を購入しようと思う人がどれだけいるのだろう? 新聞を買ったら光触媒が洩れなく付いてくる、ってのも、ある意味、機能の押し売りのような気もするし。。 それに、光触媒の寿命は相当に長いはずなのに、これでは光触媒が文字通り、日の目を見ないで使い捨てされちゃうということになる。これでは、光触媒を作っている人が悲しみそうだ。

まあ、価格も通常の新聞紙の2~3倍ということだから、さすがに通常の新聞に使用するのではなく、特別なもの、例えばカレンダーとかポスターなどに採用するということだろうとは思うけど、だったら「新聞用紙」という名前はやめた方が良さそうな気もする。。

ちなみに、光触媒はやっぱり光に当てるのが大事。その点、光触媒シューズや、光触媒靴下や、光触媒下着なんていう製品などはいつ光を当てるんだろう?

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2005/10/19

燃焼時のCO2発生を削減する添加剤

MSN-Mainichi INTERACTIVE(10/18)の記事。添加剤:廃プラ燃焼時、CO2が半減 東京理科大ベンチャーが新開発

 プラスチックに数%加えるだけで、燃焼時の二酸化炭素(CO2)発生量を半減させる添加剤を開発したと17日、東京理科大の教員らが出資するベンチャー企業「日本ボロン」(東京都渋谷区)などが発表した。添加剤にはプラスチックの強度を高める働きもあり、製品の軽量化や原料の使用量の削減にもつながるという。同社などは「焼却されることが多いレジ袋などへの需要が期待できる」と話している。11月に本格出荷する。

 添加剤の商品名は「ナノハイブリッドカプセル2」。酸素を吸着する性質を持った脂質成分でできた粒子で、直径を50ナノメートル(ナノは10億分の1)まで小さくしたことで、酸素を吸着する能力が飛躍的に高くなったという。

 同社によると、添加剤を3%入れたポリエチレンを燃やしたところ、同量のポリエチレンだけを燃やした時に比べCO2発生量を約4割削減できた。灰はその分多く出る。

 添加剤の粒子にはプラスチック結晶化を促す働きがあり、引っ張り強度が最大2倍に高まるという。1キロ2800円程度で販売する。

というものだが、数%添加するだけで、燃焼時のCO2発生量を4割も削減できるという優れものらしいけど、焼却してもCO2にならずに何になるんだろう?「灰はその分多く出る」と書いてあるが。。

日本ボロンのホームページで探すと、ナノハイブリッドカプセル2の紹介記事がみつかった。これによると、

「ナノ ハイブリッド カプセル 2」は、10億分の1という超微細技術であるナノテクノロジーと環境融和型溶媒として注目されている超臨界二酸化炭素流体の特性を活用した新技術によって開発したナノカプセルを樹脂に応用した添加剤です。これは、脂質という物質を超臨界技術を使用してナノ化したもので、PP、PE、PETなど現在汎用されているプラスチックに3%程度混入させることにより結晶の発達が促進され、強度が最大2倍に高まるとともに、燃焼時には不燃焼性ガスと燃焼性ガスとが反応してCO2(炭酸ガス)排出量がほぼ半減します。

また、このカプセルにポリ乳酸などの生分解性物質を保持させることにより、生分解性プラスチックとすることができ、PPやPEに混入した場合、最終的には分解し土に還ります。

とある。通常のプラスチックに少量加えるだけで、全体が生分解性になるのかどうかにも疑問はあるのだが、今回はCO2削減に着目しよう。CO2発生量の削減については、「不燃焼性ガスと燃焼性ガスが反応」することで達成されるらしい。特許電子図書館で調べてみたら、まだ特許が公開になっていないようだ。この段階では、まだ技術の詳細を明らかにできないのかもしれないが、大学発のベンチャーということだし、もう少し科学的な記述が欲しいところだ。

このナノハイブリッドカプセル2は、イーベーシックという会社から販売されるということで、次世代型プラスチック化へのご提案という紹介ページが見つかった。こちらには

プラスチックの燃焼時に発生する可燃性ガスがCO2発生の原因となっています。「ナノ ハイブリッド カプセル 2」を樹脂に添加した場合、この可燃性ガスを中和させて不活化させる不燃性ガスが同時に発生します。これにより、CO2発生量が既存品のほぼ半分まで抑えられることが証明されています。
と書かれているが、「可燃性ガスを中和させて不活性化させる不燃性ガス」という記述は、化学の世界の用語の使い方ではないようだ。「証明されています」と書かれても、データが何もないので判断のしようがないし。

「可燃性ガスを中和させて不活性化させる」というのをそのまま解釈すると、プラスチックから発生する可燃性ガスが、酸素と反応する前に、ナノハイブリッド2から発生するガスと反応し、何か別の安定な化合物(って何よ?)が生成するということだろうか? ちょっと考えにくいけど、特許が公開となるのを楽しみに待ってみるか。

あるいは、ナノハイブリッド2が、周囲の酸素を奪い取る能力をもつ還元性のガスを発生させるということかもしれない。でも、わずか数%の添加剤が周囲の酸素を奪い取ってしまうというのも考えにくい。もしかすると燃焼方法や燃焼条件も通常のものではないのかもしれない。。

一方、毎日新聞の記事には「酸素を吸着する性質を持った脂質成分でできた粒子」と書いてあるけど、これだと不燃性ガスを発生させるというホームページの記載と話が違う気もしないではない。まあ、いずれにしても、簡単に言えば、不完全燃焼させることで二酸化炭素の発生を抑制する技術ってことになるのかな?

でも、二酸化炭素が発生しない代わりに何が生成するのかは注意深くチェックする必要があるだろう。例えば、有害な一酸化炭素が発生すると、結局はそれを酸化してニ酸化炭素にしないと排出できないし、もしかすると蒸し焼き状態で生成しやすい炭化水素などが発生し、排ガス中に含まれているかもしれない。

さらに、生成する「灰」は炭素を含有する固体となるのだろうけど、有害なタールなどを含むかもしれないし、中途半端に可燃性の物質となるかもしれないが、どう処理するのだろう? 固体燃料に応用できるかもしれないけど、これだと、結局二酸化炭素になってしまうし。。

ところで、この添加剤を加えたプラスチックを他の普通のプラスチックと一緒に焼却処理するとどうなるんだろう? この時に「可燃性ガスを中和させて不活性化させる」ガスが生成しちゃうと、焼却炉の運転は著しく困難にならないだろうか? 発生熱量は不足するし、排ガス処理条件は変わってしまうし、焼却灰も多量に発生するし。。 そこまで考えていないのかなあ?

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2005/10/18

成田空港の新たな爆発物検査装置

NIKKEI NETの記事(10/18)。爆発物検出の実験、成田空港で開始

 テロ対策を強化する一環として、成田国際空港会社は17日から、旅行客の手荷物に残ったごく微量の爆発物を検出できる「ふき取り式爆発物検査装置(ETD)」の実証実験を始めた。来年6月にオープンする予定の第1旅客ターミナルビル南ウイングでの預かり手荷物検査への導入を検討している。

 荷物に付着したわずかな量の成分から、爆発物の有無を検知することができるという。1グラムの10億分の1(ナノ)グラム程度の微量でも反応する精度が売り物だ。専用シートで手荷物の取っ手や表面をふき取り、装置にかけるだけで、分析が済む。

 日立製作所が装置メーカーとして参加している。実験に使う装置を日立が提供した。

ということで、荷物の外側に付着している微量の粉末を分析して、爆発物であるかどうかを迅速に判定する装置のようだ。日本経済新聞の10/18の朝刊(38面)には、これに加えて
 ETDは成田空港では、客室持ち込み手荷物の検査用としては既に導入されている。実証実験では、預かり手荷物の検査に使う場合の精度や操作性などを約二週間かけて調べる。

 南ウイングでは、搭乗手続き後、CT(コンピューター断層撮影装置)スキャンを使って預かり手荷物を調べるシステムも導入する予定。CTスキャンや目視でも安全を確認できなかった手荷物をETDで調べることで、より精度が高くスムーズな検査を実現する。

とある。どんな方法で微量の爆発物の検出を行っているのかに興味があるところだが、日立製作所のニュースリリースによると、この装置は質量分析計で、イオン化にコロナ放電を採用しているとのこと。この分析装置 DS-110E-Wの仕様も見られる。

質量分析法は、Wikipediaに詳しいが、サンプルを何らかの方法でイオン化し、そのイオンの質量を何らかの方法で測定するもので、この装置では四重極型という一般的な検出方法を採用している。四重極型というのはあまり感度は高くないと思うのだが。。 一方、コロナ放電によるイオン化というのは、液体試料の場合にはここの5番めにある大気圧イオン化法(ESI)があるが、今回は固体試料である。TNTとか黒色火薬などについても、コロナ放電でイオン化できるということだから、何か新しい工夫がされていそうだ。一般的な検出方法でありながら感度が高いということだから、イオン化の効率も高いのだろうと思われるのだが詳細は不明だ。

日立製作所の2005/7/20のニュースリリースには、この装置がアメリカのTSAの認証を得たことが書かれており、ETDが Explosives Trace Detection の略号であることがわかる。

Web東奥のニュース百科によると、成田空港での手荷物検査については、既にアメリカ製の装置が2002年から導入されているようだ。航空最新情報によると、アメリカでも2002年の1月から全ての荷物の爆発物検査が行われるようになったようだ。そう言えばアメリカの空港で、荷物に鍵をかけていると、錠を壊して開けられちゃうから、最初から鍵はかけないでおけ、と言われたな。。

今回の装置は、従来の装置よりも操作が手軽で高感度ということが売りなのかもしれない。でもあまりにも感度が高いと、誤報が多くなって大変という可能性もある。何しろ、荷物の外側についたナノグラム規模の粉を分析してしまうのである。まあ、一般人が普通に生活している限りは、爆発物の粉末と接触する機会はほとんどないだろうけど、それに関係する仕事(花火関係、火薬会社、発破作業関係など)も世の中には多いから、タクシーのトランクだとか、近くに置かれた他の荷物からの汚染なども考えられなくもない。ということで、感度が高ければ高いで逆に調べる手間が増える可能性もありそうだ。

素朴な疑問としては、「CTスキャンや目視でも安全を確認できなかった手荷物をETDで調べる」とあるけれど、CTスキャンや目視によって安全が確認できる荷物ってどういうものだろう? というか、目視で安全を確認できるものって相当に限定されそうだ。。 一般的に、危険であることの判定は比較的容易だとは思うが、安全であることの判定は難しいのでは? となると、結局ほとんど全ての荷物をETDで調べることになるのではないだろうか?

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2005/10/17

ナマコの遺伝子でマラリア根絶?

日本経済新聞の10/17朝刊、23面に「マラリア防ぐ蚊 自治医大・茨城大 遺伝子操作で開発」という記事が載っている。ウエブには掲載されていないようなので、一部引用。

 自治医科大学の吉田栄人講師と茨城大学は、マラリア原虫を媒介するハマダラカの遺伝子を操作してこの蚊の体内で原虫が増えないようにする技術を開発した。原虫に感染した人の血液を蚊が吸っても体内で血液が溶け、血中の原虫も死滅する仕組み。自然界に放って野生種と交雑させれば、マラリア根絶につながる可能性があるという。

 人の血液を溶かすナマコのたんぱく質に着目。このたんぱく質を作る遺伝子をハマダラカに組み込んだ。ネズミマラリア原虫をラットに感染させ、遺伝子を操作した蚊56匹に血を吸わせて体内の原虫数を調べた結果、平均0.4匹と通常の十分の一に減った。

とある。マラリアは海外感染症情報にあるように、世界中で毎年200万人前後が死亡している感染症だ。ワクチンのような予防接種がなく、薬剤耐性のあるマラリアという問題もあり、なかなか厄介な病気となっているようだ。人類が根絶したい病気の候補の一つとしてマラリアがリストアップされているのだが、媒介させる蚊を絶滅させるというのも現実的ではないということで大変なようだ。

今回の研究では、蚊の体内で原虫を殺してしまうらしい。IDWR: 感染症の話にはマラリア原虫の増殖の仕組みが書かれているが、蚊の体内での増殖については触れられていないのでよくわからないが、蚊が吸った血液が蚊の体内で溶けてしまい、マラリア原虫が生き延びれないということらしい。

この研究を行っている自治医科大学の感染・免疫学講座 医動物学教室の紹介は、正にマラリアの専門家集団と言えそうだ。今回のの研究を行った吉田講師は遺伝子組換えハマダラカの作製を専門としているようだ。

こんな具合に都合の良い性質をうまく導入できるとは、最近の遺伝子組換え技術には素直に驚くしかない。さすがに自然界で蚊がナマコの遺伝子を獲得するなんて可能性はほぼゼロだろうから、正に人類が作り出した新たな生物と言えるだろう。こんな具合に人間にとって都合の良い生物を作り出すことに対する倫理というのはどう考えるべきなのか、悩ましいところだ。。 マラリア原虫が絶滅するだけならば許されそうな気もするけれど、生態系に対して他の影響がないのかどうかは慎重に見極める必要があるのだろう。まあ、それ以前に、この遺伝子組換え蚊が自然界で繁殖していけるかどうかが最初のハードルかもしれないが。。

ところでハマダラカに導入したのが、何でナマコの遺伝子なの? というのがちょっと興味深い。そもそも「人の血液を溶かすナマコのたんぱく質」って、ナマコ恐るべしだが、あまり聞いた事がない。 ナマコはこりこりとしていて結構好きだし、コノワタは珍味だというのに、そんな怖いたんぱく質を含んでいるモノを食べても大丈夫なのか?

Wikipediaによると、ナマコの持つサポニンが医薬品にも使われるようだ。ということで、サポニンを調べてみると、ナマコのサポニンは確かに赤血球を溶解させる力を持っているらしい。ということは、このことなのだろうか? サポニンはたんぱく質ではなさそうだけど。。 

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2005/10/15

森林浴と抗がん三兄弟

asahi.com(10/13)の記事。見落としていたのを発見。抗がん力持つ細胞、森林浴で機能向上 森林総合研究所

 森林浴をすると抗がん能力が上がるとの研究成果を農林水産省系の独立行政法人・森林総合研究所がまとめた。森林浴の新たな一面として、注目を浴びそうだ。

 森林総研が日本医大公衆衛生学教室のチーム(責任者=李卿・講師、川田智之・教授)に委託した研究で、林野庁が13日午後、発表する。

 実験の対象は東京都内の企業に勤める37~55歳の男性会社員12人。それぞれ残業や通勤時間が長く、高いストレスにさらされている人を選んだ。

 12人は、9月2日から3日間、長野県飯山市内の森林に滞在。1日目は雑木林で午後から2時間、2日目はブナ林とスギ林に囲まれた遊歩道を2時間ずつ散策した。

 2日目と3日目に血液検査をし、ふだんの状態と比べたところ、がん細胞を破壊するナチュラル・キラー(NK)細胞の元気度を示す「NK活性」が、2日目で平均26.5%、3日目で同52.6%上がった。血中のNK細胞の数や、NK細胞が出す抗がんたんぱく質も増えていた。

 NK細胞の機能が高まれば、抗がん能力は高まると考えられている。研究チームは、樹木が発散するフィトンチッドが緊張をほぐし、NK細胞の働きを抑えるストレスを低下させたと判断。「仕事を休んだことの影響も考えられるが、3日目の数値が格段に上昇したことなどからも、森林浴による効果と考えてまず間違いない」と結論づけた。

というもの。森林浴については、2004/10/20のエントリーで取り扱っているが、また学会の季節がやって来て、この1年の成果が発表されたようだ。しかし、いくらなんでも、この新聞記事に書いてある結果だけで、フィトンチッドが緊張をほぐしたとか、森林浴の効果と考えて間違いない、という結論を出すのは無理があると思うのだが。。

林野庁のサイトに行くと、プレスリリースが掲載されている。このうちの1番目が上記新聞記事に対応する研究だが、このタイトルが「森林浴が、ヒトNK細胞を活性化する!」なんてビックリマーク付きで気合いが入っている。しかし、中を読んでみると、どうやら新聞記載の内容がメインで、他に比較のための実験などはしてないようだ。。 本当に、こんな実験だけで上の結論を出したのだろうか? ざっと考えてみただけで

  ・実験対象者が12人というのは少なすぎないか? バラツキはどの程度なのか?
  ・実験の指標とした数値は、同一人物でどの程度の時間変動があるものなのか?
  ・森林浴以外の方法でリラックスする場合や、何もしない場合と比較してどうか?

なんて疑問が湧いてくる。森林浴に何らかのリラックス効果があるだろうことには同意したいのだが、今回の発表の論理には同意しにくいなあ。大学の先生を始めとしてこの研究に関係する人たちは、誰も疑問を感じないのだろうか? 人間を対象としたこの手の研究は微妙なものとなりやすいだけに、きちんとした手順と論理で詰めてもらいたいものだが。。

ところで、NK細胞が放出する3種類の抗がんタンパク質、パーフォリン、グランザイム、グラニューライシンのことを、通称「抗がん三兄弟」というらしい。本当かいなと思って、色々と検索してみたが、こんな怪しいページぐらいしかヒットしない。それどころか、「抗がんタンパク質」という単語も、ヒットするのは全て今回の林野庁の発表関連のページばかりじゃないの。。 ということは、今回の実験の指標そのものが独自ということか??

ちなみにNK活性については従来から多くの知見があり、測定法などはこちらで、ストレスや生活習慣とNK活性との関係はこちらこちらに知見が載っている。つまり、NK活性は森林浴じゃなくても、リラックスや軽い運動だけでも向上する可能性は高く、森林浴単独の効果がどれだけあるかは疑問ということ。従って、森林浴単独の効果を明らかにするためには、比較対照実験をいろいろと行うことが必須だろうと思うのだが。。

フィトンチッドだとか、何か特別な効果を持つマジックを持ってこなくても、森林浴は適度な運動と精神のリラックスが同時に達成されるので、健康に対してとても好ましい、という結論じゃ駄目なのだろうか? 

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2005/10/14

ハテナは何者?

YOMIURI ONLINEの記事(10/14)から。“半草半獣”の新種微生物、その名は「ハテナ」

 光合成をする植物と、植物などを食べて生きる捕食生物の両方の姿を持つ“半草半獣”の新種の微生物を、筑波大の研究チームが見つけた。14日付の米科学誌サイエンスで報告する。

 和名で「ハテナ」と名づけた新種は、特定の藻類を食べると、それを消化せずに体内に取り込み、藻類が持っている葉緑体を使って「植物」として光合成をしながら生き延びる不思議な一生を送る。多様な植物が誕生した進化の途上の生命体とみられ、生物進化の解明につながる重要な発見として注目されている。

 ハテナは、和歌山県の砂浜などで見つかった体長100分の3ミリほどの単細胞の海洋微生物。分裂して増える時は葉緑体は片方が“相続”。葉緑体のない片方には、捕食用の口が出現するという。

ということで、世の中には変わった奴がいるものだ。 Science Magagine の論文のAbstractを見つけたが、知らない単語が多く、難しい。日本語の概要がこちらで読める。なるほど、葉緑体を持たない方の子どもは捕食者となって藻を食べて、自分自身が葉緑体を持って光合成する親になるんだ。面白い。

ところで、気になるのが読売新聞の記事見出し。「半草半獣」って、さすがに「獣」はおかしくないか? (「草」もおかしいような気もするけど。) 獣というのは哺乳類を指す言葉だと思っていたのだが?(参考:Wikipedia) ちなみに、産経新聞のタイトルは、虫それとも草? 「?(ハテナ)」な生物というもの。「虫」はぞうり虫というような使い方があるから許せるような気もする。 asahi.comの記事は、不思議な微生物、藻食べて植物に大変身 名は「ハテナ」。植物に変身というのがちょっと気になる。MSN-Mainichi INTERACTIVEの記事はカラー写真も載っていて楽しめるのだが、タイトルは、謎の微生物ハテナ:筑波大の研究グループ、砂浜で発見で、これが一番無難かな?

ところが、この記事の中に

 海洋微生物が植物に進化する過程では、べん毛虫のような微生物が藻を取り込み、藻の葉緑体だけが発達。藻のその他の器官は退化し、葉緑体のみが残ったと考えられている。

 研究グループの井上勲教授(植物系統分類学)は「“半植半獣”ともいえる生物の発見は、海中の単細胞生物が植物へ進化していくステップの一端を示しているのではないか」と話している。

とあり、研究者自身が「半植半獣」と読んでいるようだ。生物学の専門家は、「獣」をこういう意味で使うのかな? でも、読売の「半草半獣」は、これとも微妙に違っているんだけど、どっから出てきた言葉だろう?

どうも、例の新聞記事見出し著作権問題もあって、読売新聞は記事見出しをムキになって「創作」しているような気もしないではない。先日も、早急な研究を…「キレる子」と「ゲーム脳」の関係などという、怪しげなタイトルを創作していたし。。 あの裁判の判決文の中でも、読売新聞は記事見出しの著作物性を必死に訴えていたが、いくら創意工夫するにしても、事実や記事本文から逸脱してしまったら駄目だろう。。(結果として、一般論としては著作物性は認められなかったのだが。)

ところで、もひとつ気になったのが、これが植物に進化していくステップを示しているという指摘。ということは、植物は動物性の生物から進化してできた、と考えられているのか? どうもこの辺は勉強不足だ。Wikipediaには、狭義の植物と広義の植物の両方の説明が載っていて、今回の話では狭義の植物を指しているようだ。ということは、朝日新聞の記事タイトルの「藻食べて植物に大変身」というのは広義の植物を指していると考えると間違ってはいないのかな、ややこしい。。 ふーむ、細胞内共生という言葉がキーワードとなりそうだ。

筑波大学の井上先生のサイトを探すと、研究紹介藻類の解説が見つかった。ちょっと、門外漢にとっては難しいのだが、パラパラと目を通してみると、藻類と植物との関係だけを見ても、まだまだみつかっていない不思議な生物が沢山いそうな気はする。「ハテナ」の次に見つかる奴は、「フシギ」とか「ナンダ」とか言う名前になるのかもしれない。。

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2005/10/13

「数字のホント? ウソ!」

帯には「確率と運命を取り違えていませんか?」と書かれている。パラパラとめくってみると、相関関係と因果関係の問題、天気予報での降水確率の話、確率と期待値などを中心として、数にまつわる雑学まで取り扱っているようだ。まあ、このブログで書いている話ともオーバーラップする部分も多いので、話の種として読んでみた。

ベスト新書 97
 数字のホント? ウソ!  武器としての<数のセンス>を磨く
 加藤 良平 著 bk1amazon

まあ、既に知っている話も多かったのだが、降水確率の数字の示す意味について書かれているのを読んで、東京地方の過去の天気予報降水確率予報の精度検証の方法を思いついたのも事実。

面白かったのは、ある重大な病気に罹っているかどうかを簡易テストで調べる話。この病気の感染率は500分の1と判明している。簡易テストでは、本当に感染している場合には99%の確率で「疑いあり」、1%の確率で「疑いなし」と出る。また感染していない場合には99%の確率で「疑いなし」、1%の確率で「疑いあり」という結果が出る、というのが前提条件である。

この簡易テストを受けた人の結果が「疑いあり」であった場合、この人が本当にこの病気に罹っている確率は何パーセントだろう? 99%? いや、99%よりは少し小さそうな気もする。。 実は、じっくりと考えれば別にどうということのない問題ではある。しかし、実際にありそうなシチュエーションの割には、直感的にどの程度の値となるかがイメージできる人は少なそうな気がする。。 答えは、後日コメント欄に書き込むことにするので、各自考えてみてはいかがだろう? 

もう1つは、ある自然数 N について、2のN乗、Nの100乗、Nの階乗を比べて、大きい順に並べるとどうなるだろうか、という問題。この本には

自然数Nが十分に大きい時、前節で述べたように2のN乗というのは、N自体やNの100乗よりもずっと巨大です。そして3のN乗はもっと巨大です。しかしNの階乗はそれらよりもさらに大きくなるのです。(p.103~104)
と書かれている。直感的に「え?」と思うのだが、どうだろう? 実際に計算してみるとすぐわかるのだが、「自然数Nが十分に大きい」というのがキーのようだ。

例えばNが10や100だと、Nの100乗が圧倒的に大きく、次にN階乗、一番小さいのが2のN乗となる。ここまでは直感的にもわかる。しかし、Nを徐々に大きくしていくと、Nが126でN階乗がNの100乗を追い越し、それ以降はN階乗が最大となる。そして、Nが1000になると、2のN乗がNの100乗を追い越し、それ以降はNの100乗が最も小さくなる。丁度1000で追い越すというところがなかなか面白い。なるほど、大きな数であればあるほど100回しか掛け合わさないと、小さな数をコツコツと数多く掛け合わせ続けた数に負けちゃうということだ。

他には、順列や組合せだとか、無限についての比較的わかりやすい説明が続き、後半は数字にまつわる雑学的な話がいろいろと出てくるのだが、正直に言うとあまり興味を引かなかったかもしれない。まあ、ウイルスと人間のサイズの比率が、人間と地球のサイズの比率とほぼ同等の10の7乗程度であるとか、ジャンボ機のエンジンが約10万馬力で鉄腕アトムの出力と同じであるとか、いかにも雑学的な話も読めるので、それはそれで楽しめたけど。。

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2005/10/12

中国のツキノワグマの悲惨な実態

Exiciteニュース経由のロイターの記事(10/12)中国人男性、育てた熊に食べられて死亡

東洋医学で薬として珍重されている熊の胆汁をとることを目的に熊を飼育していた中国人男性が、その熊に殺され、食べられてしまった。

新華通信が火曜日に報じたところによると、月曜日、中国北東部の吉林地方で、檻を掃除していたハン・シゲンさんが6匹のツキノワグマの攻撃を受けた。

記事に引用された北京ニュースの報道によれば、「不運な男はその場で死亡し、獰猛な熊たちに食べられてしまった」

熊の胆汁採取は動物愛護団体の批判を受けている。胆汁は、熊の膀胱に外科的にとりつけられたカテーテルを通して、あるいは熊の腹部に開けられた穴からの「フリードリッピング」技術によって採取される。

中国では、200以上の熊園で7000頭以上の熊が胆汁を採る目的で飼育されている。伝統的な中国医学では 、熊の胆汁は熱、肝臓病、目の病に効くといわれている。

ということで、熊に殺されて食べられてしまったというこの男の悲劇もすさまじいが、生きている熊から「フリードリッピング」で胆汁を採取しているということに驚かされた。漢方薬としての熊の胆(くまのい)というのは聞いた事があるけれど、あれは死んだ熊から採るものだろう?

同じニュースを google.news で探したら中国特快というニュースが見つかった。この記事によると、被害にあった男性は林業庁の許可を得て、60頭もの熊を飼っており、10年以上の経験があったらしい。ちなみにこの記事には、胆汁採取のために飼育しているということは何も書かれていない。

調べてみると、熊からの胆汁採取問題を扱ったサイトがいくつかあった。IAFW 国際動物福祉基金のサイトが特に詳しい。「キーファクツ」を見ると、

中国では現在も、7632頭ものツキノワグマが481の熊牧場で胆汁を搾取されています。

熊牧場は1980年代に中国と韓国で始まりました。ツキノワグマの胆汁は心臓疾患、肝臓疾患、高熱、やけどに効能があると信じられています。

今日では、薬草を使った54種類もの医薬品が、熊の胆汁の代用品として、さまざまな治療に使用可能です。

とある。また、「残虐な熊牧場をなくそう」のページには、
1993年にIFAW が初めて中国の熊牧場を調査したときには、1万頭以上ものツキノワグマが身動きが取れないくらいに小さな檻の中に閉じ込められていました。このIFAW の報告は世界中に大きな衝撃を与え、特に残虐で悪条件の熊牧場を閉鎖することができました。
とある。今回のケースは、平均よりは相当に大きな熊牧場だし、少なくとも6頭の熊が1つの檻の中にいたようだから、IFAWの働きかけの効果なのか、熊の飼育環境としては少しは良好だったのかもしれないが、それが逆に被害を大きくしてしまった可能性もある。。

一方、Think the Earthには、生きているクマからの胆汁採取が激痛を伴う残酷な行為であるという指摘の他に、中華料理のクマの手(熊掌)の原料として、生きているクマから手を採取するという悲惨なケースも紹介されている。

何だか、金の卵を産むガチョウの話を思い出してしまう。あれは、金の卵の元を手に入れようとしてガチョウを殺してしまう話けど、このクマの場合は、その逆を行っている点である意味では合理的な方法とも言えるけど、極めて残酷ということで、何とも悲しい話だ。。

ところで、漢方薬の熊の胆は、熊胆(ユウタン)と呼ばれており、TRAFFIC クマの価値によると、クマの胆嚢を乾燥させたもの。その中に含まれる「タウロウルソデオキシコール酸」という成分に薬効が認められていて、この成分が化学的に合成されて市販の胃薬などにも含まれているという。新井薬師の漢方薬で見ると、さすがにかなりいい値段がする。(「原形」の方は約30gで約30万円!)

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2005/10/11

円錐形コーヒードリッパー

Fujisankei Business i(10/9)で紹介されているのだが、画期的円すい形ペーパードリッパー「V60透過ドリッパー」

 通常の扇形のドリッパーに比べコーヒー粉に湯が長く触れるため、コーヒー成分がしっかり抽出できる。ドリッパー底の大きなひとつ穴から湯がスムーズに落ちるので、注湯の速度で味の調節が可能。プラスチック製で大きさは3種類。価格は420-683円(専用フィルターは別売り)。販売中。
という商品、ちょっと興味がある。ハリオグラスのサイトを見たが、まだこの商品は掲載されていないようだ。かわりに日経プレスリリースを見つけた。
最大の特長は、"円すい形"だということ。従来の扇形に比べ珈琲粉の層が深くなり、お湯が珈琲粉に長く触れるため、珈琲の成分をより多く抽出できる。少人数分でもしっかり旨味を出せるのがうれしい。また、ドリッパー底に、大きなひとつ穴が空いているのもポイント。この穴からペーパーの先端が飛び出す仕組み。お湯はドリッパー内に滞留することなく、ペーパー先端へスムーズに落ちていくため、注湯の速さで珈琲の味を変えられる。素早く注げばすっきり雑味のない味に、ゆっくり注げばコク深い味に。おいしさを自分好みにコントロールする醍醐味までも、ネルドリップ並みと言える。

 ところで、抽出前に珈琲粉を蒸らすひと手間。この味わいを左右する"蒸らし"の過程にも、「V60透過ドリッパー」はとことんこだわった。内側に施した新形状のスパイラルリブ(凸部)が、ペーパーとドリッパーの密着を防ぎ、空気の抜け道を確保。珈琲粉の膨らみを妨げず、ふっくら膨らませることができる。

とのことだが、何となく不思議な感じもする。というのも、円錐形のロートが画期的と言われても、いわゆる理科の実験で使用するロートは昔から円錐形だし、むしろ通常のペーパードリップ用のあんな形(扇型と言っていいのか?)のロートの方が、よっぽど工夫されたものじゃないかと思うのだが。。 この商品、既に販売されてので、Yahoo!ショップでは上の説明が図解されている。

さらに探してみたら、コーヒーモルティブ下北沢に詳しい写真と解説が載っている。確かに、驚くほどデカイ穴が開いている。ここに書かれているのだが、円錐形のドリッパーとしては、以前からコーノ(KONO)という製品が存在しているようだ。

ちなみに、ペーパードリップではメリタとカリタが有名だが、メリタは1つ穴で、カリタは3つ穴という違いがある。(カリタはホームページを開設していないのだろうか、みつからなかった。)この違いについては、さすがに嗜好品だけあり、いろいろなこだわりや意見があるようだが、たとえばここここなどが参考になる。

どうやら、3つ穴のカリタの方が速く落ちるので、お湯の注ぎ方を人間がコントロールしなくてはならない代わりに味を調節できる一方で、1つ穴のメリタはドリッパーが滴下速度をコントロールしてくれるので必要なお湯を一度に注ぐことで安定した抽出ができるということらしい。もっとも、メジャースプーンの違いでわかるように、カリタは1杯が10g、メリタは8gを標準と考えているようなので、両社のドリップに対するポリシーは大きく異なっているようだ。今回のハリオのものは、カリタよりも更に速く落ちるように設計されているので、お湯の注ぎ方によって味をコントロールできる一方で、素人にはかなり難しいのかもしれない。

ちなみに、理科の実験で使用するロートの正しい使い方が、泥水の浄化実験に解説図つきで載っている。ポイントは、予めろ紙を湿らせ、ロートとろ紙の間に空気が入らないようにすること。こうすることで、ろ過速度の遅い液をろ過する際には、ろ紙の下部(足先まで)に水が満たされた状態となり、この水が落下しようとする力によってろ過速度を向上させることができる。一方、コーヒーのペーパードリップの場合には、ろ紙とロートの間に積極的に空気を入れることで、安定した自然なろ過が行えるようにしているものと思われる。

それはともかく、今回のハリオのドリッパー、違いのわかる人にとっては結構注目の一品かもしれない。多分微妙な違いはわからないと思うけど、同じ豆を使って3方式で淹れたコーヒーの飲み比べをしてみたい気はする。。

なお、ハリオ式ペーパーフィルターの形は、写真から推定すると、展開した時に丁度半円形となっているようだ。一方、カリタやメリタのペーパーフィルターは展開すると、かなり不規則な形状をしている。ということで、ハリオ式の方が元々無駄な部分が少ない形であるのに加え、接着するのも1箇所だけで済むというメリットもあり、安く作れそうだ。。

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2005/10/10

スーパーインテリジェント触媒

nikkeibp.jp(10/7)の記事。ダイハツなど、自動車用触媒の貴金属を大幅に削減する技術を開発

ダイハツ工業は日本原子力研究開発機構、キャタラー、北興化学工業と協力し、「スーパーインテリジェント触媒」を開発した。

スーパーインテリジェント触媒は、ガソリン自動車用触媒に使用するパラジウム・白金・ロジウムの3種類の貴金属に自己再生機能を持たせ、排出ガス浄化性能の劣化を防止する機能を持つ。貴金属の使用量を大幅に低減しながら、低コストでクリーンな排出ガスを実現する。

2002年に実用化した「インテリジェント触媒」は、排出ガス浄化機能を持つ貴金属のうち、最も劣化しやすく使用量の低減が困難とされていたパラジウムに自己再生機能を持たせることにより、使用量の大幅な低減と触媒コストの削減を実現した。2005年9月末で、インテリジェント触媒を搭載した車両は150万台を突破した。

今回開発したスーパーインテリジェント触媒は、インテリジェント触媒でのパラジウムの自己再生時とは違う新しい材料での組み合わせにより、白金・ロジウムに自己再生機能を与えることに成功したという。

自動車触媒については、多少は興味を持ってウォッチしていたつもりだったけど、このダイハツのインテリジェント触媒については知らなかった。自己再生機能というのは何だろう? 本来、触媒は自分自身は変化せずに目的とする反応を促進する物質だけど、そうは言っても、実際には使用していると性能の劣化が起こるのが一般的だ。自己再生というからには、この性能劣化に対して何らかの改善を行うということだろうか。なかなか優れものだと思うのだが、その割にあまり知られていないような気がするのだが。。

調べてみると、パラジウムの自己再生機能を持つインテリジェント触媒については材料科学振興財団の山崎貞一賞というのを受賞しており、ここにわかりやすく解説されている。この技術は、2002年にはNatureに掲載されたとのこと。また、Spring-8 Newsにも技術的な解説が掲載されている。

これは、触媒の活性成分であるパラジウムを、通常の触媒のように金属としてではなく、ペロブスカイト型のLa(Fe,Co,Pd)O3セラミックスとして担持しているようだ。自動車排ガスが還元雰囲気の時には、このセラミックスが還元され、中からパラジウムが外に出てきて貴金属触媒として働き、酸化雰囲気ではパラジウムがセラミックス内に戻り、ペロブスカイト型触媒として働く、ということを繰り返すらしい。

理屈はともかく、実用的なレベルでパラジウムの出入りを繰り返し、しかも触媒性能が劣化しない、というのがすごい。結果としてパラジウムの使用量を70~90%も削減できるようだ。日経Automotive Technologyによると、現在はトヨタビッツにもこの触媒が搭載されているようだ。

さて、今回のスーパーインテリジェント触媒は、インテリジェント触媒をさらに発展させ、白金とロジウムについてもパラジウムと同様にセラミックス内に取り込むことに成功したということらしい。ダイハツのニュースリリースを見ると、パラジウムの時とは異なる新たなペロブスカイト型セラミックスを開発し、これに白金やロジウムを固溶させたようで、Ca(Ti,Zr,Pt)O3や Ca(Ti,Zr,Rh)O3が使われているようだ。

自動車の排ガス浄化触媒は3元触媒と呼ばれ、ダイハツの補足資料にもあるように、炭化水素(HC)、一酸化炭素(CO)、窒素酸化物(NOx)を一つの触媒で浄化する。HCとCOは酸化反応、NOxは還元反応によって浄化されるので、自動車排ガスが酸化雰囲気の時に主としてHCとCOを浄化し、還元雰囲気の時にNOxを浄化する。

このインテリジェント触媒は、貴金属が酸化雰囲気ではセラミックス結晶内にあり、還元雰囲気では金属粒子となるようだから、酸化反応(HCやCOの除去)はペロブスカイトが触媒として働き、還元反応(NOxの除去)は貴金属が触媒となるのだろうか? 田中氏の博士論文要旨でも、元々ペロブスカイト型の酸化触媒に貴金属を担持して3元触媒化する検討をしていた時に、貴金属が結晶内に入り込むことを発見したというような開発ストーリーが読み取れるようだ。

一方、ホンダでもペロブスカイト型の3元触媒を既に開発しており、2001年のニュースによると、こちらはインテリジェントとはうたっていないし、模式図によるとメカニズムも異なるようだが、やはり貴金属の使用量を大幅に削減できるらしい。。 いずれ自動車触媒はペロブスカイトが主流となるのだろうか? 教科書を書き換えちゃうような成果だな。。

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2005/10/07

ココログ21か月

ココログを始めて1年と9か月が経過。この1か月もカウンターの伸びは25000程度とやや多め。通常1日当たりのアクセス数は700~1000程度なのだが、何と9/14は一日だけで4500以上ものアクセスがあった異常日だった(理由は後述)から、それを除けばいつものペースだ。

 1か月目:900     2か月目:4500    3か月目:11700    4か月目:19000
 5か月目:32300   6か月目:43500   7か月目:54500    8か月目:72000
 9か月目:87700   10か月目:105400  11か月目:125400  12か月目:140600
13か月目:163000  14か月目:179300  15か月目:194700  16か月目:205300
17か月目:216800  18か月目:231700  19か月目:251100  20か月目:276400
21か月目:301200

この1か月のアクセス解析結果を求めてみると、以下の通り。

(1)リンク元
 1位 http://search.yahoo.co.jp 全体の48%(前回1位)
 2位 http://www.google.co.jp 全体の12%(前回2位)
 3位 bookmark 全体の11%(前回3位)
 4位 http://www.google.com 全体の3%(前回4位)
 5位 http://search.goo.ne.jp 全体の2%(前回5位)

ということで、リンク元の順位は上位については安定しているようで、前月と一緒。ただし、その下にはいつもとはちょっと異なるサイトがいくつか目立っていて、例えば
  環境ホルモン濫訴事件:中西応援団
  kikulog
なんてところ。他にも、最近は mixi からの訪問者もコンスタントにいるんだけど、僕は残念ながら mixi への入会案内をもらったことがないので、どこでどんな噂になっているのか気になるけど見たことがない。誰か招待メールをくれないかな。。。

(2)検索キーワード
 1位 静岡大学城岡研究室(初登場)
 2位 静岡大学(初登場)
 3位 名字(初登場)
 4位 合計特殊出生率(前回2位)
 5位 静岡大学城岡(初登場)
 6位 名前ランキング(初登場)
 7位 フラーレン(前回8位)
 8位 ハリケーン(初登場)
 9位 岩盤浴(前回17位)
10位 ランキング(初登場)
11位 苗字(初登場)
12位 城岡研究室(初登場)
13位 注射針(前回6位)
14位 アメリカ(前回12位)
15位 自動車(前回53位)

ということで、今月のキーワードは何かすごいことになっている。さらにすごいのは、この「静岡大学城岡研究室」「名前ランキング」関係のキーワードでの訪問者は、ほとんどが9/14の夜9時から12時までの間に集中しているのだ。しかも、細かく見ると 8:55から9:00までのわずか5分間に2000件程度のアクセスがあったのだ。その状況を後で知って、一体何が起きたのかわからなかったのだが、原因は当日の19:00~20:54にTBSテレビでやっていた、「あなたは第○位? 日本全国名字ランキング!!」という番組らしい。

番組を見ていないので詳細は不明だが、どうやら番組で静岡大学の城岡研究室が紹介され、興味を持った視聴者がヤフーなどで検索してみたら、なぜかウチのTKさんは強運なのか?が上位でヒットしたためらしい。この番組は、Infoseekのキーワードランキングでも9月のエンタメタイトル第3位に入るほど注目された番組だったようだ。テレビ番組の影響力の大きさには改めて驚かされるのだが、名字ランキングというのが結構ツボにはまる話題らしいということもわかる。

そうそう、9/20からインターネットカルチャースクール - What a woderful world.tv -というサイトにも、このブログの記事がほぼそのままコラムとして掲載されている。このサイト、僕の知人が運営しているのだが、料理やお茶やパン作りなどのいわゆるカルチャースクール系のものの他にも、居合いや能なんていうマニアックなものまで、無料の動画でプチ体験できる。僕の書いている記事を向こうのサイトのコンテンツの1つにしたいということだったのだが、こちらとしてもより多くの人の目に触れるし、ちょっと異なる読者の方からコメントをもらえたりするのもうれしいことだし、ということで始めている。

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2005/10/06

新聞記事見出しは法的保護対象?

YOMIURI ONLINEの(10/6)の記事。見出し無断使用、ネット会社に賠償命令…読売逆転勝訴

 新聞社がインターネット上で配信している記事の見出し部分を無断使用し、利益を得ているのは不法行為に当たるなどとして、読売新聞東京本社が「デジタルアライアンス」(神戸市)に、損害賠償と記事見出しの使用差し止めを求めた訴訟の控訴審判決が6日、知財高裁であった。

 塚原朋一裁判長は、デジタル社の配信事業を不法行為と認め、請求を棄却した1審・東京地裁判決を変更、約23万7700円の賠償を命じた。使用差し止めは認めなかった。

 問題となったデジタル社の事業は、新聞社がインターネットサービス会社「ヤフー」などに有料で配信している記事のうち、見出しの部分だけを盗用し、「一行ニュース」と称して配信、広告収入を得るというもの。ユーザーが電光掲示板のように流れる見出しをクリックすると、ヤフーなどのホームページに画面が飛んで、記事の本文が読める仕組みになっている。

 読売側は、<1>見出しは著作物であり無断使用は著作権侵害<2>新聞の最終成果物である見出しの無断使用はニュース配信事業を妨害する不法行為――などと主張していた。

これは、新聞記事の見出しに著作権が認められるかどうかが争われた結構有名な訴訟だが、東京地裁が1審で読売新聞の請求を棄却したのに対し、今回の知財高裁では読売の主張を認めたようだ。この読売の記事を読むと、新聞記事の見出しが著作物であると認められたかのように思えるが、他の新聞記事を見るとそうではないことがわかる。ITmediaニュースに比較的丁寧に書かれているが、
 控訴審判決は見出しの著作物性は一審同様に否定し、使用差し止めは認めなかった。だが「見出しは、多大な労力や費用をかけた報道機関の活動が結実したもの」として法的保護に値すると認め、営利目的による無断の反復使用は不法行為が成立すると判断。デジタルアライアンスの不法行為責任を認め、損害賠償を命じた。
とあり、新聞見出しは著作物ではないが、法的保護の対象であるということらしい。Sankei Webによると、請求金額は2480万円で判決はその約1/100だから、その程度の価値しか認められなかったとも言えるのだろうけど。。 それにしても、冒頭の読売の記事は、この裁判の重要な争点の1つについて全く触れていない点で、非常に意図的なものを感じさせられる。こういう時にはたとえ新聞といえども、当事者の主張だけで判断するのは危険であるという好例だろうか。

それにしても、法的保護の対象って何だろう? 少なくとも著作物ではないと言っているのだから、著作権法以外の法律で保護されるのだろうけど。。 営利目的による反復使用が駄目ということらしいから、人のふんどしで相撲を取るようなビジネスは駄目だということだろうか。

ちなみに、東京地裁の1審判決はH16. 3.24 東京地裁 平成14(ワ)28035 著作権 民事訴訟事件で全文が読める。法的保護に関連しそうな部分としては、読売側の主張としては

YOL見出しは,多大の労力を要する取材に基づいて作成される記事とともに,記事の内容と記事の対象事象を,最速かつ正確に読者に訴えるという重要な情報であり,財産的価値を有し,かつ,経済・社会的価値を有するものであるが,原告は,上記営業活動の一環として,原告が運営するヨミウリ・オンラインにおいて,YOL記事及びYOL見出しを掲出し,かつ,第三者の広告を掲出して広告料収入を得ている。また,原告は,ヤフーほかに対し,YOL見出しをそれのみで,あるいは記事本文とともに使用許諾し,許諾料を得ている。
 このような原告のYOL見出しを使用した営業活動は,法的に保護されるべきものである。
となっており、それに対する東京地裁の判断として
 しかし,YOL見出しは,原告自身がインターネット上で無償で公開した情報であり,前記のとおり,著作権法等によって,原告に排他的な権利が認められない以上,第三者がこれらを利用することは,本来自由であるといえる。不正に自らの利益を図る目的により利用した場合あるいは原告に損害を加える目的により利用した場合など特段の事情のない限り,インターネット上に公開された情報を利用することが違法となることはない。そして,本件全証拠によるも,被告の行為が,このような不正な利益を図ったり,損害を加えたりする目的で行われた行為と評価される特段の事情が存在すると認めることはできない。したがって,被告の行為は,不法行為を構成しない。原告のこの点についての主張は理由がない。
とあり、ここら辺の判断が今回の知財高裁では異なると思われる。知財高裁の判決の全文は、現時点ではまだ掲載されていないが、今後速報が知的財産権判決速報に掲載され、その後知的財産高等裁判所 判決紹介で読めるはずだ。

また、この問題に関連する情報や考え方は、★パテントサロン★ リンク等についてがまとまっている。また、バーチャルネット法律娘 真紀奈17歳の★ 新聞記事の見出しの引用と無断リンクの禁止について ~Ver.2~★はとてもわかりやすい。

なお、現時点では被告ライントピックスの見解や対応はまだ掲載されていない。記事の見出しにリンクを貼る行為は構わないが、それを営利目的にするのはいけない、という解釈も今一理解しづらいのだが。。 読売が主張した、Yahoo!等に記事タイトルや記事本文を配信するビジネスを前提としているのだろうけど、記事本文の配信ビジネスはともかくも、記事タイトルだけの配信が何故ビジネスになるのだろうか? 記事タイトルそのものには著作権がないのに、一体どんな価値があるのか?ということがポイントだろうか?これに関してあちこちで専門家を交えた議論や解説がされるだろうと思うので、今後の動向を注目していきたい。

それにしても、新聞記事へダイレクトリンクが貼られることで、新聞社の利益が侵害されるという理屈は理解しづらい。新聞社のオンラインニュースのビジネスモデルの実態は知らないけれど、記事の周囲に貼られている広告も大きな収入源だろうと思う。だとすると、記事を引用されちゃう場合はともかくも、リンクされているのであれば、その記事をより多くの人が目にしてくれるチャンスがあるわけだし、ページビューが増えれば広告主との交渉も有利になるのじゃなかろうか?

そもそも、新聞サイトのトップページへのリンクしか認めないやり方も不思議だ。むしろ記事へのダイレクトリンクを積極的にしてもらい、どんな記事に注目が集まるのかのデータをビジネスに有効活用するほうが賢いのじゃないだろうか?

ついでに書いておくと、せっかく紙の新聞を有料で購読していてもネット上では何も特典がないのもつまらない。例えば過去記事データベースへのアクセス権で多少のサービスをするとか、何らかの読者サービスをしてくれても良いのじゃないだろうか?

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2005/10/05

ロケット・レーシング・リーグ

Yahoo!ニュース経由、共同の記事(10/5)。ロケットで空のF1レース 宇宙船の懸賞に続き計画

成功者への懸賞基金「エックス・プライズ」を創設し、民間宇宙船による初の高度100キロ飛行を実現させた米国の起業家ピーター・ディアマンディス氏が、今度はロケットエンジンで飛ぶ航空機同士に速さを競わせる“空中F1レース”を、2007年にも本格実施する計画をこのほど発表した。

 既に主催団体の「ロケット・レーシング・リーグ」を設立。レースを通じた技術改良を、安全・低価格な民間宇宙船の開発につなげるのが目的の一つだ。液体酸素とケロシンを燃料に飛ぶ新型機を来春にも初飛行させ、来年秋にはニューメキシコ州でレースの実演にこぎつけたい考え。

 計画によると、飛行コースは高度約1500メートルで、長さ約3・2キロ。観客は長く噴き出す炎で遠くからでも機体を目で追える。また、機体各所に取り付けたカメラで臨場感あふれる映像を楽しむことができるという。

というもので、ロケットエンジンを搭載した航空機のレースとはまた、いかにもアメリカっぽい。技術開発というよりは、純粋なエンターテイメントじゃないの? 観客を意識したためか、高度は1500mと随分低空だ。飛行コースの長さが3.2kmしかないとなると、あっと言う間に終わってしまいそうだけど、もしかしてロケットエンジン飛行機が周回コースを回るのだろうか? 探してみたら、MYCOM PC WEBが記事にしている。
RRLは、ロケットエンジンを搭載する「X-Racer」が、約5,000フィート(約1,520メートル)上空の定められたコースを周回して競い合うとされており、すでに初代のX-Racerには、米XCOR Aerospaceの開発する「EZ-Rocket」がベースとなることがアナウンスされている。X-Racerは、各機がGPSでガイドされる所定のコースを飛ぶことで、衝突の危険のない安全なレース展開が繰り広げられるとされ、なおかつ地上の滑走路付近からは、ロケットエンジンによる複数機の迫力ある高速飛行レースの一部始終を、ストリーミング映像なども駆使しつつ、臨場感あふれる体験で楽しめるとアピールされた。
とあり、やっぱり周回するようだ。 もう既にRocket Racing Leagueのサイトがオープンしている。

Specificationsによると、この航空機は1人乗りで、機体重量1000ポンド(約450kg)、ケロシン+液体酸素の燃料重量が1000ポンド、時速320マイル(約512km/h)ということで、ロケットエンジンと言っても、それ程のスピードでもないようだけど、加速はすごいのかもしれない。エンジンは断続的にトータル4分間稼動し、パワーオフ状態での10分間の滑空と合わせて、周回コースを3~4周してから、なんとピットストップして、燃料を補給して再度コースに戻るらしい。 Press Releaseによると、

Rocket races will operate much like auto races, with the exception that the "track" is up in the sky. Courses are expected to be approximately two miles long, one mile wide, and about 5,000 feet high, running perpendicularly to spectators. The rocket planes, called X-Racers, will take off from a runway both in a staggered fashion and side-by side and fly a course based on the design of a Grand Prix competition, with long straight-aways, vertical ascents, and deep banks. Each pilot will follow his or her own virtual "tunnel" or "track" of space through which to fly, safely separated from their competitors by a few hundred feet.
とあり、レースコースはアメリカのオーバル型の自動車レースコースを垂直に立てたものをイメージすれば良いようだ。 それぞれの飛行機が前後左右に数百フィート(100m程度)離れた、割り当てられたコースを飛ぶらしい。

CNN.comのニュース、'Star Wars' NASCAR? Get ready for rocket racing では、スターウォーズ エピソード1に出てきたポッド・レーシングのイメージと重ね合わせて、

Instead of a long time ago in another galaxy far, far away, these races aim to begin in October 2006 when Diamandis hopes to hold an exhibition event with four so-called X-Racer planes.
と書いてある。簡単に訳すと「遠い昔、遥か遠くの銀河で行われていたレースの代わりに、4機のXレーサーで行われるエキシビションイベントが 2006年の 10月に始まる予定だ。」 といったところか。アチラの新聞はなかなかシャレている。。

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2005/10/04

「環業革命」

「メタルカラーの時代」で有名な、山根さんが提唱している「環業革命」という言葉をそのままタイトルにした本である。「環業革命」(英語では Eco-Industrial Revolution)というわかりやすい用語を生み出すセンスはさすがである。帯には、「境+産=日本復活!」と大きく書かれ、さらに

人類史上最大の危機「地球温暖化」。それはなぜ起こり、どう克服していけばいいのか。
とある。うーむ、地球温暖化が人類史上最大の危機、という認識には異論をはさみたくなるところだが、ともかく読んでみた。

講談社
 環業革命
 山根 一眞 著 bk1amazon

まず、産業革命の頃からの大気汚染や海洋汚染などの、いわゆる過去の公害問題を取り上げ、それらが人間が自分たちが捨てたものが及ぼす影響を全く想定せずに、大気汚染物質や水質汚濁物質を捨て続けたためだった、と総括する。そして、それと同じ目線で、二酸化炭素を大量に放出し続けることによる地球温暖化の問題が顕在化し始めていると警告する。

環境問題を扱う人は、加害者と被害者が比較的明確で、狭い地域で起こった公害問題と、地球温暖化問題のように広範囲にわたり、加害者と被害者の関係も複雑となる地球規模の問題は区別して考える傾向があるのだが、山根さんの考え方はシンプルでわかりやすい。とは言え、地球温暖化と二酸化炭素の排出の問題は単なる廃棄物問題ではなく、化石燃料の消費という入口側と直結した問題という認識が必要であろう。

地球温暖化問題が人類最大の危機というアジテーションには、やっぱりうなずけない。具体的にどんな事態が起きて、どんな世の中になるのかという論理的な展開がないし、象徴的ないくつかのエピソードで煽り立てるだけでは、他の環境原理主義と一緒で新鮮味がない。個人的には、エネルギーや食料の問題の方が人類への影響は直接的だし、具体的にもイメージしやすいのではないかと思うのだが。。

しかし、さすがに著者はフットワークが軽く、イギリスの産業革命発祥の地、アマゾンの奧地、アルプスの氷河、太平洋の深海、ドイツの自然エネルギーの街など、世界各地を実際に取材し、多くの人と会って話をする。その体験に基づくストーリーにはやっぱり重みがあるのだ。環境問題の特質ゆえに、それぞれの話が直接関係していないので、やや散漫な印象も免れないのだが、逆にバラエティに富んだ話が読めて面白い、という側面もある。

結局、著者が説く「環業革命」とは何か? 本書の末尾に「産業革命から環業革命への構図」という図が掲載されており、そのキャプションにかろうじて環業革命の定義が出てくる。(p.320~321)

18世紀の「産業革命」以降続けてきたその文明の構図を変え、「ごみ」ができるだけ出ない資源やエネルギーの利用開発を進める「環業革命」を進めねばならない。「環業革命」は「環境」と「循環」に配慮した資源とエネルギーを利用する「産業」を興すことを意味する。
ということで、このページの模式図は、自然エネルギー、水素、バイオマス、ゼロエミッション、森林、といったキーワードが並ぶもので、この概念自身は決して目新しいものではなさそうだ。

でも、本書を読んでいると「そんな理屈をグダグダ言ってないで、実際に行動を起こすことが重要だ!」という著者の主張が伝わってくる。ともかく、やるべきことをできることから着実に実行することで、いつの間にか仲間ができ、多くの力が集まることで、さらに大きな行動を起こすことができる、というメッセージこそが本書の最も重要なポイントかもしれない。

ところで、本書で紹介されている、1992年にリオ・デ・ジャネイロで行われた「地球サミット」の記念写真のエピソードが面白い。このリオ・サミットは、地球環境問題への国際協調を語る上では避けて通れない歴史的な会議として知られるが、世界各国の代表104名が写っているこの会議の記念写真に何故か日本の代表が写っていないというのである。

その理由は簡単で、当時の宮澤総理が、PKO法案の審議で紛糾していた国会対策のためにどうしても出国できず、専用機を羽田空港に用意しながら、結局リオ・サミットを欠席してしまったためという。その後の日本の環境問題への対応は、1997年の京都会議を一応の成功に導いたとは言え、2001年のヨハネスブルク・サミットでの対応も決して褒められないものだった。その意味で、この写真は、日本という国が地球環境問題をどういう優先順位でどのように取り組もうとしているかが見えるとても象徴的なものと言えそうだ。

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2005/10/03

燃料電池用の固体水素燃料

nikkeibp.jpの記事(10/3)。オリンパス、英キネティック社に水素エネルギー技術の研究を委託

オリンパスは、欧州最大の科学技術研究機関である英キネティック社に対し、燃料電池に使用する次世代の水素エネルギー技術に関する研究を委託した。同技術により、携帯機器用の小型で高出力、長時間駆動可能な燃料電池の実用化を目指す。

今回の研究委託により、キネティック社は水素含有率が20%と高く、エネルギー効率の良いアンモニアボランを使った小型水素発生器の試作機を2008年に完成させる計画。その後、オリンパスは同社の未来創造研究所が目指すセンサーネットワークシステム(定点カメラなど通信機能を持つセンサーを多数設置して、設備の管理や環境の計測などに役立てるシステム)やユビキタスシステムなど、様々な携帯機器に適用すべく、燃料電池の研究を行う。

現在、世界的には電池に直接メタノールを供給し化学反応により発電させる方式の「ダイレクト・メタノール型燃料電池」の開発が進んでいるが、実用化には多くの課題が残っている。アンモニアボランを燃料とする燃料電池は、小型、高出力(10W以内)を実現し、4G次世代携帯電話など、ピーク電力変動の大きい機器でも安定して長時間駆動することが期待できるという。

どうやら、水素を多量に含むアンモニアボランという固体を燃料電池の燃料として使うということらしい。固体燃料というのは確かに使い勝手は良さそうなのだが、具体的にはどんなものなのだろう? オリンパスのニュースリリースを見ると、
キネティック社の技術は、約20%を水素で構成するアンモニアボランという固形材料を使います。原理としてはまず、この材料を小粒に加工したものを加熱することで水素が放出されます。次に、その水素が水素燃料電池に供給されて電力を発生します。この小粒燃料を交換式カートリッジに入れておけば、そのカートリッジを差し替えるだけで瞬時に『燃料補給』されます。
とあり、この固形燃料を加熱して水素を発生させるらしい。アンモニアボランはあまり聞かない物質だが、化学式は NH3BH3 で、四面体型のNH3とBH3のNとBがエタン分子のような形に配位している物質のようだ。分子量から計算すると、水素の含有量は確かに19.6wt%となるのだが、含有する水素を全部放出してしまったら化学式としてはBN(窒化ホウ素)になってしまうけど、本当かな?

探してみたら、US DOEのサイトのHydrogen Storageの中に説明があった。

  NH3BH3 → NH2BH2 + H2 → NHBH + H2

ということで、実際に使える水素はその 2/3の 13%程度のようだ。(ちなみにメタノール中の水素含有量が12.6wt%) 原理的には1段目の反応が120℃、2段目の反応が160℃で起こると書かれているが、Azonano.comによると、最近ナノサイズにすることで、80℃以下でも効率よく水素を発生できるようになったようだ。

この技術を開発中の、イギリスのQinetiQ社のNews Releaseには、何も技術的な内容が書かれていないのだが、固体燃料の写真が掲載されている。通常の乾電池型のケースの中に白色の固形燃料が詰められていて、これなら確かに操作性が良さそうだ。でも、この乾電池型ケースの中で熱分解により水素を発生させるのだろうか? 本体との接続部のシールも気を使いそうだ。

それにしても、この固体燃料は水素の発生効率を良くすると、保管時にちょっとした熱でも水素が発生してしまいそうだし、なんか危なそうだけど大丈夫だろうか? MSDSを見ても、結構取り扱いには注意が必要と思われる。それに、携帯電話などの電源として使用するとなると、原理的に加熱する必要があるわけで、相当うまく冷却しないと熱くなって使えないような気もする。。 これらの問題に、一体どんな答えを出すのか興味のあるところだ。

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2005/10/01

降水確率予報の精度と2005年9月の天気予報傾向

今年の2月から始めた、東京地方の過去の天気予報 は、過去の天気予報データを順調に蓄積中。

もともと天気予報の的中率に興味があったのだが、探してみると気象庁が自ら算出した予報精度検証はあるものの、その計算の根拠となる過去の天気予報データがどこにもみつからなかったのが、こんなデータ収集を始める発端であった。

データがあれば、天気予報の精度検証に興味を持ち、統計の専門知識のある人がきちんとした解析をしてくれるだろうという期待を込めながら、自分なりの解析結果も掲載しているのだが、今まで降水確率を検証するうまい方法がみつからなかった。(気象庁も降水の有無は検証しているけれど、降水確率の精度は検証していない。) 今回、その方法を思いついたので試しに解析してみた。

降水確率とは、予報対象時間帯に1mm以上の降水がある確率である。実際に、気象庁の天気予報の上手な利用でも

降水確率30%という予報が100回発表されたとすると、そのうち約30回は1mm以上の雨が降るという意味です。雨の強さや量とは直接関係がありません。
と説明されている。従って、過去の降水確率予報を数多く集計すると、降水確率 10%の予報が出された日のうち 10%が実際に降水があり、降水確率 20%の予報が出された日のうち 20%が実際に降水があり、降水確率 30%の予報が出された日のうち 30%が実際に降水があり、、、となるはずである。

ということで、実際に集計してみたのが降水確率精度検証結果一覧である。前日の降水確率予報は 6時間毎の数値で出されているので、実績との検証がかなり面倒となるためここでは空欄としている。(6時間毎の降水確率からその日を代表する降水確率を算出したいのだが、どうしたら良いか悩ましい。>参考

この中の一番下の表は、今年の2/12以降のデータを全て集計したものである。理想的には、表の右半分において、予報降水確率が10%のカラムには縦に10という数字が並び、20%のカラムには20の数字が、30%のカラムには30の数字が、、、となることが期待されるのだが、実際の数値の並び具合を見て、どうだろう? 意外といい線行っているような、まあこんなものなのか。。

ところで、9月は前半が厳しい残暑で、後半は涼しい秋と、1か月の中で季節が大きく変わったこともあってか、気温の予報精度はかなり高かった。最高気温と最低気温の相関を見ても、予報の気温と実際の気温の関係が、いつになくきれいな直線関係となっていて、8月が苦戦していたのとは雲泥の差となっている。

9/4の週間天気予報で 7日後の 9/11の天気を「晴れ」と予報していたのだが、7日先の天気を「晴れ」と予報するのは非常に珍しい。一体何を血迷ったのかわからないが、よっぽど自信があったに違いない。ところが、誠に残念ながら実際には、くもり~雨~くもり、といった天候で、降水量も 22mmもあったのだった。。

こうやってデータを多く溜めていくと、いよいよ、全く何を考えて予報を出しているのかわからなくなってくるような気がするのだった。。。

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