中国のツキノワグマの悲惨な実態
Exiciteニュース経由のロイターの記事(10/12)中国人男性、育てた熊に食べられて死亡
東洋医学で薬として珍重されている熊の胆汁をとることを目的に熊を飼育していた中国人男性が、その熊に殺され、食べられてしまった。ということで、熊に殺されて食べられてしまったというこの男の悲劇もすさまじいが、生きている熊から「フリードリッピング」で胆汁を採取しているということに驚かされた。漢方薬としての熊の胆(くまのい)というのは聞いた事があるけれど、あれは死んだ熊から採るものだろう?新華通信が火曜日に報じたところによると、月曜日、中国北東部の吉林地方で、檻を掃除していたハン・シゲンさんが6匹のツキノワグマの攻撃を受けた。
記事に引用された北京ニュースの報道によれば、「不運な男はその場で死亡し、獰猛な熊たちに食べられてしまった」
熊の胆汁採取は動物愛護団体の批判を受けている。胆汁は、熊の膀胱に外科的にとりつけられたカテーテルを通して、あるいは熊の腹部に開けられた穴からの「フリードリッピング」技術によって採取される。
中国では、200以上の熊園で7000頭以上の熊が胆汁を採る目的で飼育されている。伝統的な中国医学では 、熊の胆汁は熱、肝臓病、目の病に効くといわれている。
同じニュースを google.news で探したら中国特快というニュースが見つかった。この記事によると、被害にあった男性は林業庁の許可を得て、60頭もの熊を飼っており、10年以上の経験があったらしい。ちなみにこの記事には、胆汁採取のために飼育しているということは何も書かれていない。
調べてみると、熊からの胆汁採取問題を扱ったサイトがいくつかあった。IAFW 国際動物福祉基金のサイトが特に詳しい。「キーファクツ」を見ると、
中国では現在も、7632頭ものツキノワグマが481の熊牧場で胆汁を搾取されています。とある。また、「残虐な熊牧場をなくそう」のページには、熊牧場は1980年代に中国と韓国で始まりました。ツキノワグマの胆汁は心臓疾患、肝臓疾患、高熱、やけどに効能があると信じられています。
今日では、薬草を使った54種類もの医薬品が、熊の胆汁の代用品として、さまざまな治療に使用可能です。
1993年にIFAW が初めて中国の熊牧場を調査したときには、1万頭以上ものツキノワグマが身動きが取れないくらいに小さな檻の中に閉じ込められていました。このIFAW の報告は世界中に大きな衝撃を与え、特に残虐で悪条件の熊牧場を閉鎖することができました。とある。今回のケースは、平均よりは相当に大きな熊牧場だし、少なくとも6頭の熊が1つの檻の中にいたようだから、IFAWの働きかけの効果なのか、熊の飼育環境としては少しは良好だったのかもしれないが、それが逆に被害を大きくしてしまった可能性もある。。
一方、Think the Earthには、生きているクマからの胆汁採取が激痛を伴う残酷な行為であるという指摘の他に、中華料理のクマの手(熊掌)の原料として、生きているクマから手を採取するという悲惨なケースも紹介されている。
何だか、金の卵を産むガチョウの話を思い出してしまう。あれは、金の卵の元を手に入れようとしてガチョウを殺してしまう話けど、このクマの場合は、その逆を行っている点である意味では合理的な方法とも言えるけど、極めて残酷ということで、何とも悲しい話だ。。
ところで、漢方薬の熊の胆は、熊胆(ユウタン)と呼ばれており、TRAFFIC クマの価値によると、クマの胆嚢を乾燥させたもの。その中に含まれる「タウロウルソデオキシコール酸」という成分に薬効が認められていて、この成分が化学的に合成されて市販の胃薬などにも含まれているという。新井薬師の漢方薬で見ると、さすがにかなりいい値段がする。(「原形」の方は約30gで約30万円!)
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