ロケット・レーシング・リーグ
Yahoo!ニュース経由、共同の記事(10/5)。ロケットで空のF1レース 宇宙船の懸賞に続き計画
成功者への懸賞基金「エックス・プライズ」を創設し、民間宇宙船による初の高度100キロ飛行を実現させた米国の起業家ピーター・ディアマンディス氏が、今度はロケットエンジンで飛ぶ航空機同士に速さを競わせる“空中F1レース”を、2007年にも本格実施する計画をこのほど発表した。というもので、ロケットエンジンを搭載した航空機のレースとはまた、いかにもアメリカっぽい。技術開発というよりは、純粋なエンターテイメントじゃないの? 観客を意識したためか、高度は1500mと随分低空だ。飛行コースの長さが3.2kmしかないとなると、あっと言う間に終わってしまいそうだけど、もしかしてロケットエンジン飛行機が周回コースを回るのだろうか? 探してみたら、MYCOM PC WEBが記事にしている。既に主催団体の「ロケット・レーシング・リーグ」を設立。レースを通じた技術改良を、安全・低価格な民間宇宙船の開発につなげるのが目的の一つだ。液体酸素とケロシンを燃料に飛ぶ新型機を来春にも初飛行させ、来年秋にはニューメキシコ州でレースの実演にこぎつけたい考え。
計画によると、飛行コースは高度約1500メートルで、長さ約3・2キロ。観客は長く噴き出す炎で遠くからでも機体を目で追える。また、機体各所に取り付けたカメラで臨場感あふれる映像を楽しむことができるという。
RRLは、ロケットエンジンを搭載する「X-Racer」が、約5,000フィート(約1,520メートル)上空の定められたコースを周回して競い合うとされており、すでに初代のX-Racerには、米XCOR Aerospaceの開発する「EZ-Rocket」がベースとなることがアナウンスされている。X-Racerは、各機がGPSでガイドされる所定のコースを飛ぶことで、衝突の危険のない安全なレース展開が繰り広げられるとされ、なおかつ地上の滑走路付近からは、ロケットエンジンによる複数機の迫力ある高速飛行レースの一部始終を、ストリーミング映像なども駆使しつつ、臨場感あふれる体験で楽しめるとアピールされた。とあり、やっぱり周回するようだ。 もう既にRocket Racing Leagueのサイトがオープンしている。
Specificationsによると、この航空機は1人乗りで、機体重量1000ポンド(約450kg)、ケロシン+液体酸素の燃料重量が1000ポンド、時速320マイル(約512km/h)ということで、ロケットエンジンと言っても、それ程のスピードでもないようだけど、加速はすごいのかもしれない。エンジンは断続的にトータル4分間稼動し、パワーオフ状態での10分間の滑空と合わせて、周回コースを3~4周してから、なんとピットストップして、燃料を補給して再度コースに戻るらしい。 Press Releaseによると、
Rocket races will operate much like auto races, with the exception that the "track" is up in the sky. Courses are expected to be approximately two miles long, one mile wide, and about 5,000 feet high, running perpendicularly to spectators. The rocket planes, called X-Racers, will take off from a runway both in a staggered fashion and side-by side and fly a course based on the design of a Grand Prix competition, with long straight-aways, vertical ascents, and deep banks. Each pilot will follow his or her own virtual "tunnel" or "track" of space through which to fly, safely separated from their competitors by a few hundred feet.とあり、レースコースはアメリカのオーバル型の自動車レースコースを垂直に立てたものをイメージすれば良いようだ。 それぞれの飛行機が前後左右に数百フィート(100m程度)離れた、割り当てられたコースを飛ぶらしい。
CNN.comのニュース、'Star Wars' NASCAR? Get ready for rocket racing では、スターウォーズ エピソード1に出てきたポッド・レーシングのイメージと重ね合わせて、
Instead of a long time ago in another galaxy far, far away, these races aim to begin in October 2006 when Diamandis hopes to hold an exhibition event with four so-called X-Racer planes.と書いてある。簡単に訳すと「遠い昔、遥か遠くの銀河で行われていたレースの代わりに、4機のXレーサーで行われるエキシビションイベントが 2006年の 10月に始まる予定だ。」 といったところか。アチラの新聞はなかなかシャレている。。
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コメント
先日はこちらのブログに書き込みいただいてありがとうございました。
Wikiでケロシンを調べてみて知ったんですが、宇宙用ロケットの燃料にもケロシンはすでに使われてるんですね。液体水素しか思い浮かばなかったんですが、ひとつ勉強になりました。
ところでピットでの給油の件、tf2さんはF1もごらんのようなのでご承知かと思いますが、現在のF1レギュレーションがガソリン毎秒12.1リットル、
(http://www.fia.com/resources/documents/612539919__F1_Tech_Reg_a.pdf の6.5.1)
以前は制限なしでしたからもっとたくさん押し込んでいたはずです。インディでも同じようなものだったかと。
ケロシンの比重がわからなかったのですが、450kgとなると500リッターくらい?いまのF1用でも1分以内で入れられちゃいそうですね。そんなこんなで5から10分で給油って聞いたときに、これは何らかの手段で液体酸素も入れるつもりなのかなあ、と想像してしまったんです。
ちなみに時速512キロって言うと、2マイルオーバルでのCARTの周回最高記録が380キロ越えていたのと比べれば、速いって言えば速いんですが、”ロケット”っていうイメージにしては割合抑え気味?にも思えました。でもあんまり速すぎたら観客の視線が付いて行けないかもしれないので、こんなもんがいいのかもしれないですね。
投稿: 赤ガエル | 2005/10/15 22:15
赤ガエルさん、コメントありがとうございます。
確かに、F1でも給油時間はわずか数秒ですから、ピットストップでの数分もの停止というのは、腑に落ちないものもありますね。
とは言え、スペースシャトルでも、液体水素と液体酸素の注入は非常に時間を掛けて慎重にやってますし、トラブルが多い作業という気がします。わずか数分間のピットストップで、ケロシンと液体酸素の両方を補給するというのは、危険すぎるような気がします。
レースを見る側としては、テクニックと駆け引きを駆使して、コーナーで抜きつ抜かれつ、というのが面白いのであって、それぞれが独立のコースで競争するというのは、よほどテクニカルな要素が多くないと盛り上がらないような気がします。(WRCのスペシャルステージだと、そんなのがありますが。)
投稿: tf2 | 2005/10/16 23:14