ハテナは何者?
YOMIURI ONLINEの記事(10/14)から。“半草半獣”の新種微生物、その名は「ハテナ」
光合成をする植物と、植物などを食べて生きる捕食生物の両方の姿を持つ“半草半獣”の新種の微生物を、筑波大の研究チームが見つけた。14日付の米科学誌サイエンスで報告する。ということで、世の中には変わった奴がいるものだ。 Science Magagine の論文のAbstractを見つけたが、知らない単語が多く、難しい。日本語の概要がこちらで読める。なるほど、葉緑体を持たない方の子どもは捕食者となって藻を食べて、自分自身が葉緑体を持って光合成する親になるんだ。面白い。和名で「ハテナ」と名づけた新種は、特定の藻類を食べると、それを消化せずに体内に取り込み、藻類が持っている葉緑体を使って「植物」として光合成をしながら生き延びる不思議な一生を送る。多様な植物が誕生した進化の途上の生命体とみられ、生物進化の解明につながる重要な発見として注目されている。
ハテナは、和歌山県の砂浜などで見つかった体長100分の3ミリほどの単細胞の海洋微生物。分裂して増える時は葉緑体は片方が“相続”。葉緑体のない片方には、捕食用の口が出現するという。
ところで、気になるのが読売新聞の記事見出し。「半草半獣」って、さすがに「獣」はおかしくないか? (「草」もおかしいような気もするけど。) 獣というのは哺乳類を指す言葉だと思っていたのだが?(参考:Wikipedia) ちなみに、産経新聞のタイトルは、虫それとも草? 「?(ハテナ)」な生物というもの。「虫」はぞうり虫というような使い方があるから許せるような気もする。 asahi.comの記事は、不思議な微生物、藻食べて植物に大変身 名は「ハテナ」。植物に変身というのがちょっと気になる。MSN-Mainichi INTERACTIVEの記事はカラー写真も載っていて楽しめるのだが、タイトルは、謎の微生物ハテナ:筑波大の研究グループ、砂浜で発見で、これが一番無難かな?
ところが、この記事の中に
海洋微生物が植物に進化する過程では、べん毛虫のような微生物が藻を取り込み、藻の葉緑体だけが発達。藻のその他の器官は退化し、葉緑体のみが残ったと考えられている。とあり、研究者自身が「半植半獣」と読んでいるようだ。生物学の専門家は、「獣」をこういう意味で使うのかな? でも、読売の「半草半獣」は、これとも微妙に違っているんだけど、どっから出てきた言葉だろう?研究グループの井上勲教授(植物系統分類学)は「“半植半獣”ともいえる生物の発見は、海中の単細胞生物が植物へ進化していくステップの一端を示しているのではないか」と話している。
どうも、例の新聞記事見出し著作権問題もあって、読売新聞は記事見出しをムキになって「創作」しているような気もしないではない。先日も、早急な研究を…「キレる子」と「ゲーム脳」の関係などという、怪しげなタイトルを創作していたし。。 あの裁判の判決文の中でも、読売新聞は記事見出しの著作物性を必死に訴えていたが、いくら創意工夫するにしても、事実や記事本文から逸脱してしまったら駄目だろう。。(結果として、一般論としては著作物性は認められなかったのだが。)
ところで、もひとつ気になったのが、これが植物に進化していくステップを示しているという指摘。ということは、植物は動物性の生物から進化してできた、と考えられているのか? どうもこの辺は勉強不足だ。Wikipediaには、狭義の植物と広義の植物の両方の説明が載っていて、今回の話では狭義の植物を指しているようだ。ということは、朝日新聞の記事タイトルの「藻食べて植物に大変身」というのは広義の植物を指していると考えると間違ってはいないのかな、ややこしい。。 ふーむ、細胞内共生という言葉がキーワードとなりそうだ。
筑波大学の井上先生のサイトを探すと、研究紹介と藻類の解説が見つかった。ちょっと、門外漢にとっては難しいのだが、パラパラと目を通してみると、藻類と植物との関係だけを見ても、まだまだみつかっていない不思議な生物が沢山いそうな気はする。「ハテナ」の次に見つかる奴は、「フシギ」とか「ナンダ」とか言う名前になるのかもしれない。。
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