« 「食卓の安全学」 | トップページ | 2005年10月の天気予報傾向 »

2005/10/31

変色しないリンゴ

MSN-Mainichi INTERACTIVE(10/30)の記事。リンゴ:変色しない新種誕生 カット売り需要、期待--青森で開発

 切っても、すり下ろしても茶色にならない新種のリンゴが青森県りんご試験場で誕生した。カットフルーツで売りやすく、「むくのが面倒」「1個は多い」と、敬遠していた人にも食べてもらえると期待されている。

 このリンゴは「青り27号」と呼ばれ、新種を作ろうと、83年に2品種を交配、糖度や酸度の測定過程で、変色しないことが分かった。リンゴは果肉が空気に触れると、果肉中のポリフェノール類が酸化酵素のポリフェノールオキシターゼ(PPO)によって変色するが、27号はPPOの働きが弱いとみられる。

 リンゴ(生食)の消費は90年代後半から消費が減少した。同県りんご対策協議会のアンケート調査で、57%が「皮むきが面倒」と回答。需要拡大策としてカットフルーツに注目が集まり、変色しない27号にスポットライトがあたった。

 農家で栽培実験中で、早ければ6年後には市場に出る予定だ。開発にあたった同試験場の今智之(こんともゆき)さん(47)は「カットフルーツの増産や、すりおろし製品の実現などで、リンゴの需要増のきっかけにしたい」と意気込んでいる。

特に遺伝子組換えとか、特殊な薬品を使用するとかではなく、従来からの地道な品種改良によって、変色しにくいリンゴの品種が開発されたようだ。リンゴについては、青森県りんご対策協議会の「健康果実」青森りんご百科事典を始めとして、結構充実したサイトが多いのだが、この「青り27号」についての詳しい情報は残念ながらみつからなかった。

リンゴの変色については、りんごの変色などに書かれているように、リンゴ中のポリフェノールが空気中の酸素によって酸化されるためであり、これを防ぐために食塩水に浸すのはよく知られている方法だろう。食塩水で、何故変色が防げるのかというと、ファーマーズ*ネットなどの説明によると、「りんごを塩水につけると、食塩に含まれているNaイオンが(りんごポリフェノールの1種である)エピカテキンの周りにバリアを作り、酸化を遅らせる」ためとある。先の説明と合わせて考えると、Naがポリフェノール表面を覆い、酸化酵素のポリフェノールオキシターゼが働きにくくするようである。

一方、リンゴの変色を防ぐ方法として、ビタミンCも効果があり、レモン汁を加えた水に浸すのも有効らしい。でも、リンゴ自体がビタミンCを含んでいそうな気がするのだが、その辺はどうなっているんだろう? 先の青森りんご対策協議会のページには、リンゴは、100g当たりビタミンCを約4mg含んでいて、注釈として「ビタミンCは酸化型と還元型を合わせて10mg以上含まれている」とある。 りんごと健康には、

りんごは果物の中ではビタミンCが多くありません。しかし、ヒト介入研究の結果ビタミンC含量は、りんご摂取前に比較して34%統計的に有意に増加しました。りんごには、ビタミンCを体内に取り込む成分が含まれているものと考えられます。
とある。これって、ビタミンCを含む食品を、リンゴと共に摂るとより効果的ということかな?本当だろうか? 一方、healthクリニックには、リンゴはビタミンCを壊す成分を含んでいるので、ジュースを作る際には一緒にジューサーに入れないことが勧められている。つまり、ビタミンCとリンゴを事前に一緒にするのは好ましくなく、食べるなら別々に、ということだろうか。

となると、レモン汁にリンゴを浸すと、ポリフェノールとレモン汁中のビタミンCの間で、酸化反応の競争が起こり、ビタミンCの方がより酸化されやすいので、結果として着色を防ぐことができるということかもしれない。

また、りんごのビタミンCによると、りんごはポリフェノールオキシターゼとは別にアスコルビン酸酸化酵素を含んでいて、りんご中のビタミンCの多くは酸化された形(デヒドロアスコルビン酸)で存在するのだが、どうやらこの酸化型のビタミンCにも健康効果があり、しかもこれが比較的安定している特徴があるらしい。しかし、リンゴのビタミンCをめぐる効果については、まだ解明されていない部分もありそうだ。

ところで、着色しにくいリンゴを開発したことによって、カットしたリンゴの販売でリンゴ需要の拡大を狙っているようだけど、それが本当にリンゴ需要の向上に結び付くのだろうか? カットフルーツは何となく割高な印象があるのだけど。。 アンケートで「切るのが面倒」と答えた人が、それじゃあカットしたリンゴを購入するかと言えば、また別の理由(値段が割高とか、味が今一とか)が出てきそうな気もする。 まあ、見た目も味の一部ということはありそうだが。。

個人的には、リンゴを半分だけ食べて、残りを冷蔵庫でとっておくようなことを想定すると、変色しにくいというのはうれしいような気がするけど、わざわざその銘柄(「青り27号」以外の愛称はないんかい?)を選んで買うかというと(味や値段との絡みもあるけど)疑問だなあ。。。

|

« 「食卓の安全学」 | トップページ | 2005年10月の天気予報傾向 »

コメント

りんごの皮をむくのが面倒との事ですが
林檎の皮にはペクチンが多く含まれていて
整腸には効果ありそうですし、
赤い色は多分アントシアニンなので
是非剥かないで食べた方が良いと思います(笑

あと伊○家の裏ワザで

塩水につける方法が一般的ですが、これだと塩分でせっかくの美味しいリンゴが塩辛くなりますね。 ここで、裏ワザですが、まずリンゴを約50℃のお湯で表面のベタベタしたのを2分ほど揉むようにして落とします。 その後、濡れた手に大さじ一杯の塩をリンゴ全体に2分間、揉み込みます。 これで通常のように皮をむいても変色しませんよ。味も塩辛くないようです。

というのがありました。まあ関連としましてw

投稿: xtc | 2005/11/19 05:34

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 変色しないリンゴ:

» リンゴジュースを飲んでいます。 [出張パーティー・ケータリングのアミューズ]
そうなんです。 リンゴジュースを頂いています。 何かとおいしいものを頂いている、はすみファームさんのリンゴジュースです! よく取り上げさせてもらっていますね。 東御市産ふじりんごを使った100%ジュース。 詳しくはこちらを~。 長野県に移住してワイナリー&ブリ..... [続きを読む]

受信: 2005/12/20 01:15

« 「食卓の安全学」 | トップページ | 2005年10月の天気予報傾向 »