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2005/11/30

ストレスを測定するCOCORO METER

FujiSankei Business iの記事(11/30)から。約1分でストレスを測定する「COCORO METER」

 富山大学工学部の山口昌樹助教授と共同開発。唾液中のアミラーゼからストレスの度合いを測定する。負担をかけずに誰でも唾液を採取できるチップを使用。チップと測定器との着脱には簡単なスロットイン方式を採用。本体価格はメーターが1万9800円、チップ(1箱20本)が3600円。販売中。
ストレスを測るというのは面白いと思うけど、どんな時に使用するんだろう? 写真を見ると、パステルカラーだし、個人向けなのかな? ちょっと値段が高いけど。。

ニプロのサイトの新製品情報によると、日常生活でのストレス管理や商品開発時の感応検査、ストレス環境の把握等に使用するものらしい。PDF版のニュースリリースは、パンフレットをスキャナーで読み込んだものらしく、解像度が悪くて読みにくいのだが、唾液をチップに採取し、これを装置にセットすると、測定値(単位はKU/L)と4段階のストレス度合いが示されるようだ。測定原理についても、「唾液中へのアミラーゼ分泌の機序」という説明があるのだが、残念ながら全く読めない。。

富山大学工学部の物質生命システム工学科の研究紹介や、山口研究室を見ると、関連研究の資料が数多く掲載されているが、唾液中のアミラーゼでストレスを測定する原理に関するわかりやすい説明資料はみつからなかった。

COCORO METER を販売しているサイトの説明を見ると、ストレスが交感神経系の興奮を促し、これが唾液中のアミラーゼを増加させるというメカニズムが紹介されている。また、健康DNA!!三菱化学ビーシーエルなどで、解説記事が読めるが、いずれも富山大学の山口助教授の仕事を紹介したものだ。

また、分析学会のぶんせき誌に掲載された総説ストレスマーカーの迅速アッセイには、唾液中のアミラーゼでストレスを計る方法が、数多いストレス測定法の一つとして紹介されている。しかし、財団法人 機械システム振興協会の調査には、「アミラーゼについては、携帯型の計測装置の試作品が開発されているが、ストレスとアミラーゼの関連を裏付ける研究が十分でない。(p.39/64)」とも書かれており、まだ決定的なものではなく、発展途上の技術と言えそうだ。

そもそも測定対象となる「ストレス」が漠然としたものなので、これをたった一つの数字だけで完璧に表現できるとは思えない。従って、唾液中のアミラーゼ濃度だけでストレス状態を評価しちゃうのはどうかと思うけど、少なくとも一つの指標とはなるのだろう。もっとも、アミラーゼは唾液中に消化酵素として普通に存在するものだから、食後の経過時間だとか、そのときの状況(食べ物が目の前にあるとか、おいしそうな匂いがするとか)の影響もモロに受けてしまいそうな気もする。。 結構数値の評価は難しいのじゃなかろうか?

まあ値段から考えても、一般の人が普通に家庭でこの装置を使ってストレスを測定する状況というのは想像しにくいのだが、会社などの会議中にこれを使って参加者のイライラ度を測定してみるというのも面白いかもしれない。。

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2005/11/29

マヨネーズ用の酸素吸収ボトル

Biotechnology Japanのニュース(11/28)から。キユーピー、酸素吸収ボトルで賞味期間延長した健康訴求マヨネーズを12月から本格出荷

 キユーピーは、酸素を完全に遮断できる軟質ポリボトル「酸素吸収ボトル」を東洋製罐と共同開発し、賞味期間を現在の7カ月から10カ月に延長した健康訴求マヨネーズタイプを2005年12月から本格出荷することを11月28日に発表した。
ということで、キユーピーのホームページを見ると、酸素吸収ボトルの構造について説明されている。ふーむ、確かにマヨネーズ容器には独特の質感があるとは思っていたけど、あれは多層構造だったんだ。

さらに、おいしさロングラン製法を見ると、マヨネーズの劣化の大きな要因が酸化によるもので、それを防ぐことが重要のようだ。このページの一番下にある「キユーピーマヨネーズ 酸素との戦い」を見ると、酸化を防ぐためのこれまでの工夫がわかる。これによると、多層構造のボトルは1972年から採用されている。今回の酸素吸収ボトルは、従来からの酸素バリア層に加え、酸素を吸収する素材を中心に持ってきたようだ。

キユーピーのマヨネーズQ&Aでも、酸化に弱いので、開栓前は10か月以内、開栓後は1か月以内に使い切って欲しいと書かれており、10か月というのはあくまでも使用開始前の話。まあ考えてみると当たり前だが、使用開始と共に容器内に空気が入り込んでしまうので、ボトル本体の酸素透過性をどんなに小さくしても効果はないわけだ。

ちなみに味の素は、Q&Aによるとフレッシュキープボトルという名称の独自の多層ボトルを採用しているようだ。ところで、未開栓のマヨネーズの保存によると、マヨネーズは、低温・高温、光、振動、酸素に弱いので、保存の際にはこれらを避けて欲しいと書いてあるが、一般の人が酸素を避けて保存するにはどうしたらよいのだろう?

東洋製罐の食品用容器を見ると、このマヨネーズ用の多層ボトルは「ラミコン」と呼ばれるもので、マヨネーズ容器など以外にもトレイ、カップ、パウチなどに幅広く使用されている。そう言えば、非塩素系のラップも、主として耐熱性を付与するために、例えばリードラップのように多層だったりする。一見しただけでは気付かないが、樹脂の多層化というのはかなり一般的な技術として使用されていると考えて良さそうだ。

でも、プラスチックのリサイクルという面から見ると、このように複合化・一体化されてしまうのは問題があるだろうと思う。リサイクルを考えるなら、素材の種類も少なくして、シンプルなものばかりを使うことが望ましいけど、プラスチックに要求される性能はリサイクル性だけではないので、中々難しい面がある。一方、それに対応したリサイクル技術の開発もされているようだが。。

ところで、ここの会社名が「キューピー」ではなく「キユーピー」だったのには今まで気付かなかった。「キヤノン」が「キャノン」じゃないのとよく似ている。Wikipediaを見ると、他にもシヤチハタの例があるようだ。富士写真フイルムの場合には読み方も「ふいるむ」なのかな?

で、キユーピーのロゴは実はキューピー人形ではなく、キューピッドから来ているとのことだが、社名の由来については、こちらには

日本でも大正時代にセルロイドのキユーピー人形が大流行し、創業者の中島さんはマヨネーズを発売するにあたって、お年寄りから子どもまで幅広く愛される商品に育てたいという思いを込めて、1922年人気者だったキューピーを商標登録しました。

社名は、デザイン上のバランスのため「ユ」が大文字で「キユーピー」です。

とある。

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2005/11/25

地球のために、180円。

「地球のために、180円。」とは何のことだかわかるだろうか? これは、環境省が提案している環境税のキャッチフレーズのようだ。現時点での計画では、総額3700億円のうち、家庭部門の負担が約1000億円で、1世帯あたりの平均負担額を求めると、月額約180円となるらしい。

今年になって、チームマイナス6%とか、クールビズやウォームビズという言葉も広く定着しているようだし、環境省の最近の広報戦略はなかなか見るべきものがあるように思える。このキャッチフレーズもわかりやすくていいんじゃないだろうか?

環境省のトップページを訪れてみたら、「環境税の4つの批判にお答えし、2つの提案をします。/地球のために、180円。」 というリンクが掲載されていた。このサイトを見てみると、小池環境大臣の名前で、環境税に関する主張がかなりストレートに述べられている。

今まで、大臣のフルネームをこれだけ前面に出したアピールというのはあまり見た記憶がないのだが、環境税が産業界などからの強い反対(経団連日本鉄鋼連盟石油化学工業協会など。)に遭い、劣勢に立たされている状況で、孤軍奮闘、なかなか頑張っているんじゃなかろうか? 

主張している内容は置いておいても、少なくとも姿勢は高く評価したい。まあ、裏を読むと、京都議定書の約束を守るための崖っぷちに立たされた環境省としては、小池大臣の個人的なパワーにすがるしかない所まで追い詰められたのかもしれないのだが。。

それでも、環境税を巡る論議は、最後には国民全体の意向が大きく影響するだろうから、パフォーマンスと批判されようとも、環境省の立場と主張をアピールすることに意義はあると思う。今のところ、つぶされてしまいそうな状況だけど、これをきっかけにして、もしかしたらもしかするかもしれない。

で、肝心の4つの批判に対する答えと2つの提案なのだが、

  批判1:日本の産業界に厳しい対策は必要ない。
  批判2:温暖化対策に今以上の資金は必要ない。
  批判3:環境税により日本の企業の国際競争力が失われる。
  批判4:アメリカ、中国が参加しない京都議定書を守っても効果は乏しい。

  提案1:石炭火力発電に使われる石炭の増加は見逃せません。
       これを相殺する自然エネルギーの利用拡大が必要です。
  提案2:論争ばかりしていて、森林整備を先延ばししてはいけません。

というもの。この資料では、それぞれの項目についての考え方が説明されている。総論としては確かに反対しにくい主張なんだけど、何故この金額なのか、実際に期待されるCO2削減量はどの程度なのか、などの定量的な部分がちょっと甘いという印象を受ける。

例えば、批判1に対しては、企業の努力を認めつつも、事務部門を中心により一層のCO2削減努力が必要だ、と指摘しているのだが、批判3に対しては、今回の環境税は微々たる金額であり、企業にとっては負担増とはならない、と言っている。これでは、今回の環境税は十分な効果は期待できない中途半端なものです、と言っているように聞こえなくもない。。

自然エネルギーを増やすとか、森林整備を進めるという提案も、それぞれもっともなものだけど、どうも具体性に欠けるように思える。残念ながら、環境省ひとりが孤立している状況では、説得力や実現性のあるプランになりづらいのかもしれない。

そんなこんなで、今回の環境税が十分な効果を生むものかどうかは疑問だし、規模や使い道についてもまだまだ議論の余地がありそうだ。でも、いつまでも議論ばかりしてないで、一歩踏み出してみるという選択をしてもいい時期に来ているように思える。

ということで、小池大臣を先頭にした「地球のために、180円。」キャンペーン。なかなかのグッジョブだと思うし、総論には賛意を示し、応援していこうと思う。

このキャンペーン、マスコミはきちんと取り上げてくれるのだろうか? そして、環境税反対派は、この小池大臣の回答と提案に対して、さらに反論をするのだろうか? これも注目だ。。

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2005/11/24

リアシートのシートベルト

NIKKEI NET(11/24)のニュース。シートベルトの着用率、後部座席わずか8%

 今年10月現在のシートベルト着用率は、ドライバーが92.4%(前年同期比1.7ポイント増)、助手席の同乗者が80.3%(同1.8%増)なのに、着用が義務付けられていない後部座席では8.1%(同0.6ポイント増)と依然として低い水準にあることが24日、警察庁と日本自動車連盟(JAF)の全国調査で分かった。

 高速道路では、ドライバーが97.7%(同0.4ポイント増)、助手席が92.1%(同0.8ポイント増)で、後部座席は9.8%(同1.7ポイント減)だった。

 同庁は「運転席と助手席の着用を定着させるとともに、後部座席の着用推進に重点を置いた広報啓発活動を行う」としている。

 調査は10月1日から13日までの間、全国の一般道路約780カ所、高速道路約100カ所で、延べ約50万9000人を対象に実施した。

 同庁によると、昨年1年間の交通事故で、シートベルトを着用しなかった場合の致死率は、着用した場合と比べ、運転席で約37倍、助手席約11倍、後部座席が約3倍となっている。

自分の行動を振り返ってみると、運転席と助手席については、今ではほぼ100%シートベルトを着用しているけど、これは道交法で義務付けられているから、という動機が強いと思う。自分の車のリアシートに誰かを乗せる時に、シートベルトを着用させるかというと、今までのところ、こちらから働きかけることはしていないし、自分が誰かの車のリアシートに座るときにも、シートベルトは着用していない。ちなみに、今年アメリカに行った時に、何台かの車に乗せてもらったのだが、1度だけリアシートでもシートベルトを締めてくれ、と依頼された。

このニュースの元になったJAFのデータは、シートベルト着用率データで見られる。ここにリンクされている調査データ(PDF版)を見ると、都道府県別の着用率データが掲載されている。この調査は、各地の交差点や料金所など実際に目視もしくは聴き取りによって行われたもの。

これによると、後部座席の着用率が高いのは、一般道では長野県の24.4%、群馬県の22.4%、山形県の17.6%などで、一方高速道路では、岩手県の31.6%、大阪府の21.1%、熊本県の20.4%などとなっている。これらは平均を大きく超えており、何らかの理由がありそうにも思うのだが、一般道と高速道路では全然傾向が異なっているし、昨年の同じ調査を見ると、これまたかなり異なる結果となっている。ということで、実は偶然のバラツキと見たほうが良さそうだ。。

ちなみに、自動車事故対策機構によると、後部座席のシートベルト着用有無による致死率の違いは6倍となっており、冒頭の記事の3倍とは随分異なるのが気にならなくもない。このグラフを見ると、後部座席というのはそもそも致死率が運転席や助手席よりも随分と低いようなので、これが後部座席のシートベルト着用を義務化しない根拠なのかもしれない。

一方、JAFの後席シートベルトという資料を読むと、後席でもシートベルトを着用することによって、事故の際に車内に激しく身体をぶつけたり、車外に放出される危険性が低下すると共に、前席の乗員(運転者など)を押しつぶす事故を防ぐ効果もあると説明されている。ここでは、衝突実験時の映像が動画で見られるのだが、これが結構な迫力。。 また、ここの事故事例なども見ると、自分が運転している時に、自分の真後に座る人にはシートベルトをしてもらおうかな、という気になってくる。

少し探してみたら、ベルギーフランス、あるいは香港などでは後部座席のシートベルトが既に義務化されているし、他にも義務化されている国は結構ありそうだ。日本もいずれ義務化される方向と思われるけど、逆に言うと、今までの経緯から見て、義務化しない限り定着しそうもないのだが。。

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2005/11/22

フラーレンからさまざまな形状の素材を作る

YOMIURI ONLINE(11/22)の記事。極微粒子フラーレン自由な形に、医療材料など応用期待

 炭素でできた極微の粒子「フラーレン」を材料にして、さまざまな形の立体を簡単に作る方法を、物質・材料研究機構(茨城県つくば市)の研究グループが開発した。

 フラーレンは、燃料電池や医療材料などへの活用が期待されているが、微細加工の難しさが応用への壁だった。今回の成果で実用化が大きく進みそうだ。

 フラーレンは60個の炭素原子でできた直径約0・7ナノ・メートル(ナノは10億分の1)のボール状の炭素化合物。将来の応用が期待される「ナノテク素材」の代表だ。

 研究グループは、フラーレンにさらに炭素をくっつける特殊な加工などを施したうえで、アルコールの一種に溶かした。これを加熱、冷却すると、ラッパ状の筒や球状カプセルなどの形ができあがった。立体の形は、溶かし込む液体によって、いろいろに変えることができるという。

 研究グループの中西尚志研究員は、「できあがった素材は、抗がん剤を病巣に運ぶ微小カプセルや、燃料電池の電極などへの応用が考えられる。今後は共同研究する企業を募り、実用化に取り組んでいきたい」と話している。

というもの。一度読んでもよくわからない記事である。タイトルの「極微粒子」という用語からして何となく、定義の不明確な用語だ。(超微粒子とかナノ粒子とどう使い分けるんだろう?)

この記事では、いわゆるC60に炭素をくっつけ、それをアルコールに溶かし、加熱・冷却することでフラーレンの形状がいろいろと変わるかのように読める。何だかイメージできなかったのだが、物質・材料研究機構のプレスリリースには、この方法で作った、球状、繊維状、円盤状、コーン状のそれぞれの素材の写真が掲載されている。例えば球状粒子の直径は400~500nmであり、繊維状粒子の長さは数μm程度ありそうだ。つまり、これは多数のフラーレンが集合してそれぞれの形状となったもので、フラーレン自身の形状が自由に変わるのではなく、フラーレン粒子の集合の様式を自由にコントロールできるということらしい。

リリースにもあるように、0次元、1次元、2次元、3次元のそれぞれの形状を作り出せることが興味深いのだが、しかも球状粒子はとてもきれいな球状だし、繊維状粒子は非常に細長くて立派なファイバーだ。これらの粒子の物性がどうなっているのか(カーボンナノチューブと比べてどうなんだろう?)、非常に興味のあるところだが、今回はそこまでは調べていないようだ。

具体的な製法は、PDF版資料に書かれている。まずフラーレン(C60)にアルキル鎖を3本くっつけるようだ。最終ページの構造を見ると、このアルキル鎖化合物は、C16の直鎖が3本伸びたちょっと変わった構造で、これをC60と結合させている。(読売の記事では炭素をくっつける特殊な加工と書いてあるけど。。)

これを、それぞれ異なる溶媒に溶解し、これを加熱した後に冷却すると、

 ・ジオキサン溶媒 → 円盤状粒子
 ・1-プロパノール溶媒 → ファイバー状、チューブ状粒子
 ・2-プロパノールトルエンの混合溶媒 → 球状粒子
 ・テトラヒドロフラン溶媒 → コーン状粒子

が得られるようだ。ふうむ、フラーレンはトルエンには溶けると聞いていたけど、このアルキル鎖処理をすると、極性の異なるいろんな溶媒に溶けるようになるらしい。それに、ここに出てくる溶媒はかなり単純で、ポピュラーなものばかりというのも面白い。何故この形になるのかは不明のようだし、これならもっと色んな溶媒で試してみたら、面白い形が得られそうで楽しそうだ。。

操作も簡単そうだし、いろんなバリエーションが考えられる点で、今後の応用が楽しみな技術だと思う。この研究は、物質・材料研究機構の物質研究所、超分子グループで進められているものであり、今後の進展を期待しよう。

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2005/11/21

ICタグを使った交通安全サービス実験

YOMIURI ONLINE(11/20)の記事。車から子どもを守れ、日産などが音声システム開発

 NTTデータや日産自動車など5社は、子どもが自動車に近づくと「子どもがいます。注意して下さい」などと音声で運転者に注意を促すシステムを開発した。

 見通しの悪い住宅街での子どもの交通事故を防ぐ狙いだ。12月下旬から横浜市青葉区のみたけ台地区で実験を始める。

 実験に参加する子ども約200人には、電波を発信する電子タグの入ったお守り袋を持たせ、協力する自動車約100台にはタグと専用の警報装置を設ける。

 2キロ・メートル四方の実験区域には、約20か所の無線LAN(構内情報通信網)基地局を設け、半径約100~300メートルの範囲に近づいた子どもと自動車のタグから電波を受信。子どもと自動車の距離が近づけば、車載の警報装置に電波が送られ、車内に警告が流れる。

ということで、これはウチの近くで行われる話のようなので、調べてみた。NTTデータのニュースリリースによると、これは、今年の4月から7月までの間に実験していた「子ども見守りサービス」に、新たに「交通安全サービス」を追加したものらしい。

子ども見守りサービスは、ICタグの入ったお守りを子どもたちに持たせ、街中に設置したICタグの電波受信機のそばを子どもが通過したことを知らせたり、お守りにつけた緊急ボタンを押すと警備員や登録した支援者に通報されるというようなサービス。今年行った実験の結果がITmedia Newsでレポートされているが、コストが課題として上げられている。まあ、こんな具合にプライバシーが守られないと批判する人たち(p.13~)もいるようだが。。。

RBB TODAYにもあるように、今回の新たな実験では、無線LAN規格であるIEEE802.11b/gを使用し、従来よりも検知範囲を広げ、車の移動速度にも対応したとのこと。子どもの持つICタグの信号と、車に搭載するICタグの信号を、レシーバが受信し、これを元に危険判定を行って、車側に警告信号を送るようだ。ICタグを持った子どもが対象車から100~300mの範囲に入ると警告を発するようだから、下手な時間帯にこの地区を走行すると、ほとんど警報が鳴りっぱなしにならないだろうか? 

例えば、子どもたちが家にいる時間帯には、この辺りは住宅街だから、自車から半径200~300m以内に一軒でも対象者の家があれば警報が鳴るとすると、この範囲のほとんど全域が鳴りっぱなしになりそうな予感。。。(外を歩くとき以外はスイッチを切るのかな? それだとスイッチ入れ忘れがありそうだし。)

確かに見通しの悪い交差点などからの子どもの飛び出しに対応するには役に立つ場面もあるかもしれないが、単に300mも離れた所に子どもがいるだけで警報が出てしまうと、逆に運転者は警報に慣れてしまって、いざという時に全く役に立たないような気がする。。 せめて、対象者の移動方向と自車の移動方向が交差する可能性のある時だけにするとか、工夫が必要だと思われるのだが。。 まあ、ITSシステムとか、ICタグの応用とか、今は過渡期で、いろんなアイデアを出し合って、いろんなチャレンジをしてみることはいいんじゃないかとは思うけど。。

ほぅ、NTTデータのリリースを見ると、実験に参加する協力者の募集をしているようだけど、見守り対象者(子どもたち)の協力者はともかくも、車にこの装置を取り付けようという気になる協力者なんかいるんだろうか? 子どもの家族や学校関係者などに限られそうだな。。

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2005/11/18

241回目の献血と「けんけつちゃん」と血液型

前回10/21以来、28日ぶりの献血。今回は、他の用事のついでもあって、いつもの相模大野献血ルーム。いつもと時間帯は同じだったのだが、とても空いていて、ほとんど貸し切り状態。今までこれだけ多くの献血を繰り返してきたけど、こんなに人がいないのは初めて。受付、医師、スタッフ、みんな手持ち無沙汰状態。。 こんなんで大丈夫か、日本の血液事情は?

検査は右腕、献血は左腕。今日は珍しく血小板成分献血をお願いされる。採血-返血のサイクルが3回だったが、2回目の採血の途中で流量が低下して、何度か機械が停止。結局、チューブの針先に近いの5cm程度の部分をローラーで何度かしごいたら、快調になり、以後は順調。たまにこういうことはあるらしいけど、これっていわゆるドロドロ血って奴だろうか? 普段から水分は多めに取っているつもりなのだが。。

ちなみに、これだけガラガラ状態なのだが、今日は血漿成分は余り気味ということで、血小板成分献血か400mlの全血献血をお願いしているとのこと。よくわからないけど、そんなものなのか??

おみやげは、4/25の献血の時と同じ、SUNSTARのガム・電動歯ブラシ(乾電池式) TZ-35をいただいてきた。4月の時には現役モデルだったのだが、今はサンスターの公式サイトのラインナップからは消えている。。

ところで、10/21に紹介した「けんけつちゃん」だが、受付の棚の上にぬいぐるみが置いてあり、壁にはポスターが貼ってあった。このポスターをよく見ると、それぞれ違う名前のついた5人組のように見えるのだが、詳しい説明がない。そもそもこのポスター、かなり目立たない所にひっそりと掲示されていて、少なくともこの献血ルームでは、「けんけつちゃん」を前面に押し出してキャンペーンをやっているようには見えない。

「けんけつちゃん」のぬいぐるみの姿は兵庫県赤十字血液センター スタッフ日記で見られるのだが、やっぱり「けんけつちゃん」は5人組だったのだ。「けんけつちゃん」というのは、グループ名だったのか? 探してみると、はばたき福祉事業団のページに、けんけつちゃんの5人の仲間の紹介が載っているのだが、全部同じ顔で、着ている服以外には区別がつかない。。 5つ子かな?

この5人、胸に「けんけつ」と書かれたチッチ以外の4人は、どうやらA、B、O、ABの血液型をモチーフにしているようだ。気になるのは、4人それぞれの性格まで設定されている点。まさか、ABO式の血液型と性格とは関係があるという「俗説」に基づいているのでは?(血液型性格診断の問題とは何?という人は、是非一度 血液型性格判断をやめようや、遺伝学からみた血液型性格判断を見て欲しい。) ちなみに、ここでは

  A型のエイッチ:みんなをまとめるしっかりもの
  O型のオータン:いつでも元気なムードメーカー
  B型のビービー:いつも素直ながんばりやさん
  AB型のエビリン:みんなに優しいおっとりタイプ

となっているのだが、どうだろう? 結果的に厚生労働省が、血液型に性格を割り当てることを認めているように見えなくもないのだが、考えすぎか?

なお、ポスターには厚生労働省の名前が入っていたけど、厚生労働省や赤十字のサイトには「けんけつちゃん」を紹介する記事は一切掲載されていないようだ。先月のキャンペーンに合わせて生み出されたけど、かわいそうに、早くも生みの親から見離されてしまったのかもしれない。。。

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2005/11/17

大学生の数で見る理科系離れ

NIKKEI NET(11/17)の記事。学生の理科系離れ、日本は深刻・OECD調査

 日本の学生の理科系離れは主要先進国の中でも深刻――。理科系大学への進学率や学位取得などの状況を各国で比較するため、経済協力開発機構(OECD)がまとめた初めての調査で、こんな結果が明らかになった。

 日本は2003年と1993年の比較で理科系学部への大学入学者数が1.1%減少。フランスに次いで大きなマイナス幅だった。

 日本のもう1つの特徴は、理科系学部で男子学生が約9割を占めること。調査対象の13カ国で女子学生の比率は最低だった。

 OECDは「理科系への進学者が減れば、数年後には修士号や博士号の取得者も減る。ゆくゆくは日本の科学技術や企業の研究開発の土台も揺らぐ」と警告している。

 理科系離れは「先進国共通の課題」という。OECDは調査をもとに2006年に若者の理科系離れに歯止めをかけるための提言をまとめる。

ということで、11/17の日本経済新聞の夕刊の22面には各国を比較した表が載っている。それによると、2003年と1993年の主な理科系学部の大学入学者の増減率は、

  フランス    -1.62%
  日本      -1.12%
  ポルトガル   1.15%
  オランダ     1.37%
  韓国       2.61%
  フィンランド   4.13%
  ドイツ      4.84%
  オーストラリア 6.02%
  ポーランド    6.96%
  トルコ      9.24%

となっている。確かに最近は「理科系離れ」という言葉を聞く機会が多いし、この数字を見ると、その傾向が表れているように見えるのだが、本当にこの10年間の増減率だけで「日本は深刻」などと判断しても良いのだろうか? OECDのサイトでニュースやデータを探してみたが、今回の報道の元となったデータは見つけられなかった。

他国はともかく、日本がどうなっているのかを文部科学省のサイトで探してみると、データからみる日本の教育(2004)というデータがあった。この中の学校教育というPDF資料には、大学進学率の推移や学部別の学生数のグラフが掲載されている。

9ページの大学等への進学率のグラフを見ると、大学進学率は1993年(平成5年)の28%程度から、2003年(平成15年)の41.3%へとかなり大きく増加している。OECDの数字では理科系への入学者数は1.12%の減少となっており、だとすると、全体の大学進学者数は増えているはずなので、理科系学生の割合は大きく減少していることになりそうだ。。

6ページには、大学学部の分野別学生の構成のグラフが載っている。ここでは、1970年と2003年が比較されている。残念ながら1993年のデータは不明だが、とりあえず抜出してみると、以下の通り。

昭和45年(1970年)   平成15年(2003年)

トータル 1,344,358人 2,509,374人
人文科学 12.7%   16.3%
社会科学 41.8%   39.0%
理学     3.1%    3.5%
工学    21.1%   17.8%
農学    3.7%     2.8%
医・歯学  2.8%     2.5%
薬学    1.9%     1.6%

うち女性  244,006人 994,506人
人文科学 38.6%   27.8%
社会科学 11.9%   30.3%
理学     2.3%    2.3%
工学     0.7%    4.8%
農学     1.2%    2.9%
医・歯学   1.9%    2.2%
薬学     6.3%    2.4%

ということで、確かに理科系、特に工学系の減少が目立つ一方、人文科学が増加しているのがわかる。理学~薬学までを理科系とした場合、理科系の比率は1970年が32.6%、2003年が28.2%となる。確かに比率は減少しているのだが、全体の学生数が大幅に増えているので、理科系の学生数は約44万人から約71万人へと大きく増加している。これはこの33年間の比較だけど、本当に新聞記事の通りに、この10年では理科系の学生数が減少しているのだろうか?

一方、女性については、全体数も大きく増加しているし、この33年間では工学系がかなり増えているのがわかる。これから、2003年の理科系の学生に占める女性の比率を求めると 20.5%(薬学を除いても18.2%)となる。OECDの調査では女性比率は約10%程度とのことだが、文部省のデータとOECDのデータでは基本的なところで何かが大きく違っているような気がする。。 一体どこが違うんだろう??

ということで、OECDの調査の元となったデータを見ないと何とも言えないのだが、それぞれの国の事情があるだろうし、どちらにしても、この10年間の理科系進学者数の増減だけで議論するのは乱暴な印象がある。全体の傾向としては間違っていないのかもしれないが、もっと詳細な考察が必要と思われる。

それに、理科系の学生数が全体の30%程度というのは、それほど悲観する数字ではないようにも思う。これを他の国と比較するとどうなるんだろう? まあ、学生数が多ければ良いというものでもないだろうし、量ではなく質で評価すると、また違った側面も見えてくるのかもしれないけど。。

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2005/11/16

個人用の防護盾

FujiSankei Business i(11/16)で見つけた新商品。アラーム内蔵の防護パネル「RENI GUARD」

 普段は飾りパネル、ミラーパネルとして使用し、緊急時にガードパネル(盾)に早変わりする。傷が付きにくい特殊ハードコート仕様で、取っ手が2つあるため、女性や高齢者でもしっかりと保持できる。衝撃吸収性に優れたスタンダードタイプ(小)の価格は1万2000円前後。販売中。
最近は凶悪な犯罪のニュースが絶えることがないようだが、このような簡単な防護用品を常備しておくことも考えておく必要があるのかもしれない。

メーカーのレニアスのサイトで探してみると、この製品は新型防護盾シリーズということで、普段はミラーやインテリアとして使え、裏側にはアラームなどがついていて、オプションで防犯スプレーを噴射することもできる優れものらしい。従来型のレニガードについては、TV東京のWBSのコーナートレンドたまごでも紹介されており、その時のレポートが動画で見られる

他にも、防犯関連部門として、何種類かの防護パネルのほかに、パニックボックスなんてものまで用意されている。部屋の中にこのパニックボックスを設置しておき、強盗が押し入ってきたら、中に逃げ込んで助けを待つということらしい。うまく中に逃げ込むことができれば良いのだが。。

探してみると、似たようなものとしてサラリーマン用防弾・防刃シールドなんてのもある。この手の、もしかの時に役立つかもしれないという商品を購入するかどうか、の判断というのは難しいところだな。一般の人がこれを必要とする場面がどの程度の確率で来るのか、そしてとっさの時に実際どれだけ役に立ってくれるのかなどを考えてみると。。

ところで、この防護盾はピストルの弾でも止めてしまうらしいが、素材は、プロが使用する盾にも使われているポリカーボネートのようだ。最近では、機動隊もジュラルミンではなく、ポリカーボネートの盾を使っているらしい。ポリカーボネート樹脂については、ポリカーボネートマガジンなんてサイトでお勉強できる。

一方、レニガード RGシリーズで使用する防犯スプレーの中身としては、クロロアセトフェノンとオレオレシンカプシカムの2種類があるとのこと。

オレオレシンカプシカムとは変わった名前だが、英語名はoleoresin capsicum。トウガラシから抽出した成分で、こちらなどによると、失明や後遺症の心配は一切ないと書かれている。でも、日本中毒情報センターの資料によると、高濃度では角膜剥離だとか、まれには死に至ることもあると書かれている。恐らく市販の製品は安全な濃度になっているのだと思うが、使い方を間違うと侮れないかも。。

一方、クロロアセトフェノンについては、医薬品情報21のクロロアセトフェノンについてなどが参考になる。

また、催涙ガス全般については、こちらこちらなど。日本でも、時々催涙スプレーの噴射事件・事故があるようだけど、元が化学兵器ということもあり、狭い場所などで使うと周囲への影響も大きそうだ。。

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2005/11/15

超音波霧化分離技術

日本経済新聞の11/15、15面(企業3・ベンチャー)から。「超音波などで純度99.5%に エタノール、低コストで 超音波醸造所」という記事。ネットには掲載されていないようだ。

 研究開発ベンチャーの超音波醸造所(徳島県鳴門市、本多洋介社長、0886-689-1119)は超音波と分子吸着を組合せ、ガソリンに混入できる99.5%の高純度エタノールを精製できる技術を開発した。常温常圧で精製でき、蒸留に比べてコストは三分の一で済む。日量2千-3千リットルを生産できる実用プラントも完成し、内外の化学大手と提携交渉を進めている。

 2年がかりで開発し、昨年度は超音波で濃度10%のエタノール水溶液を霧にし、エタノールと水の分子を分離して濃度を90%程度に高めることに成功した。今年度は吸着剤のゼオライトなどを利用する工程を追加し、99.5%の高純度を達成した。
 
 超音波の振動エネルギーは蒸留に要する気化エネルギーの八分の一で済む。電源に太陽電池を組み合わせてコストを大幅に減らした。(後略)

という記事。超音波で液体を霧状に発生させるところまでは、超音波式の加湿器と原理は一緒だろう。この霧をうまく液体として回収することで、混合物の分離・精製ができるということらしい。調べてみると、関連ニュースがネット上で結構たくさん見つかった。よく見てみると、ほとんど全てが、「超音波醸造所」と本多電子に関連しているようだ。

  超音波醸造所,省エネ「超音波霧化分離技術」の実証装置が完成
  1回のプロセスで99.5%アルコールを抽出、超音波醸造所が開発
  京都議定書の発効で注目度高まる、省エネ「超音波霧化分離技術」の実証装置が完成
  省エネ,温室効果ガス削減が可能な超音波霧化分離技術

などなど。また、日本酒作りの会社が何故?という辺りについては四国の産・官・学連携が参考になる。

さて、超音波醸造所というのは、松浦酒造場の子会社らしい。松浦酒造場は、オリジナルブレンドの日本酒を作ってくれる、「しゅムリエ」というサービスをやっている、面白い会社だ。サイトには、この超音波霧化分離技術で実際に製造している、25度の純米生酒「霧造り」の開発物語や、蔵元の胸の内というコラムなどが掲載されていて、とても充実している。

このコラムの23~26には、超音波霧化分離技術の仕組みの簡単な解説がある。これによると、まず霧化の段階で成分が分離され、さらに凝縮の段階でまた分離されるようだが、予想通り、結構複雑な現象らしい。セレンディピティによると、この技術は松浦社長自らが、ある時ひらめいて試してみたものらしい

他にも、超音波霧化分離技術の紹介記事は超音波醸造所のご案内で概要を知ることができ、さらに機械学会誌に書かれた解説記事超音波分留の実用化実験プラントで読むことができる。また、代理店を超音波醸造所が募集でも、詳細な説明を読むことができる。

実験データはかなり充実しているのだが、どうも、原理や実際に起こっている現象については、まだ不明な点も多いようにも見える。超音波霧化は通常の蒸留分離よりも蒸発潜熱分だけエネルギー的には有利なのはわかるけど、直感的には分離が効率的に行われる理由が思い浮かばない。。 (超音波加湿器では、水アカ成分や微生物まで霧化してしまうのが問題となっていたはずだし。。) 一体どうなっているんだろう?

まだ物理化学的な現象と化学工学的な現象が完全には切り分けられていないようだし、経験的な要素が少なからず残っているということは、スケールアップには苦労するのではないだろうか? 現時点では、実用プラントといっても、わずか2~3000リットル/日、約1000m3/年といった規模だ。記事ではガソリンに添加するバイオエタノールの精製にも、なんて論調だけど、要求される規模が2桁は違いそうだ。

一方で、既存の蒸留技術は長年ブラッシュアップしてきたもので、大規模生産によるコストの削減や、蒸留装置単独ではなく周囲のプラントとのトータルでの最適化なども徹底的に進められている。ということで、この超音波霧化分離技術が、小規模な特殊用途はともかくも、大規模汎用技術としてどうなのか? についてはこの資料だけでは何とも言えないところだろう。。

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2005/11/14

冬でもクールビズとは。。

日本経済新聞の11/14の朝刊39面(社会面)に面白いコラムが載っていた。「ウォームビズ 掛け声倒れ? 最新オフィスは寒くない」というもの。

 暖房を控えて重ね着することで省エネに貢献しようという「ウォームビズ」が、都会のオフィス街では掛け声倒れになりかねない状況だ。最新の高層ビルは断熱効果が高いうえ、パソコンやプリンターが発熱し、冬でも冷房する日が多いため。専門家は単純なウォームビズ推進は“温暖化”した現代オフィスにはそぐわないとする。

 「真冬でも、冷房をかけなければ室温は28度。窓は開かないし」。東京都心の高層ビルに入居する大手企業は昨冬、空調を20-25度の範囲で設定した。だが冷房のコストが暖房を大きく上回ったため、今冬は上限を27度にし、冷房を弱める方向で検討。「冬でもクールビズ」の日が多くなりそうだ。
 (中略)
 東京の六本木ヒルズを管理し、ここに本社を置く森ビルは「社内は真冬の早朝でも約23度。年間を通じて冷房が欠かせない」(広報部)。
 「3年前に新装開業した丸ビル以降のビルは冬でも冷房が常識」というのは三菱地所(東京・千代田)。ビル管理部門は「20度と上限を決めるウォームビズの温度設定は、最新オフィスでは意味がない」と漏らす。

というもの。いかにもありそうな話ではあるけれど、「へぇー、そんなもんなんだ、、」と感心している場合ではない。この状況はやっぱり変だ。

第1に、環境省のWARM BIZというサイトによると、「環境省では地球温暖化防止のため、暖房時のオフィスの室温を20℃にすることを呼びかけています。」ということで、暖房するときは室温は20℃にしてね、とは言っていても、冷房してまで室温を20℃にしろなんて言っていない。

クールビズでもそうだったけど、手段がいつのまにか目的に転化してしまうから、こんなおかしな話が出てくるわけで、それぞれの環境に応じて最適な運用方法を考えるのが常識ってものだろう。大体、冬に冷房を効かせる状況を疑問に思わないようじゃ、管理者失格だろうし、ウォームビズだからといって、冷房を強化してまで20℃を保とうとするところなんてあるんだろうか?

そして2点目として、「最新」のオフィスビルでは、冬にも冷房を入れないと快適さを保てないってのが情けない。これからの時期、さすがに外気温が20℃を超えることは滅多にないだろうから、適宜外気を導入するなり、外気と熱交換すれば済むのじゃないだろうか? また、ビルの低層階では暖房が必要だが、高層階では冷房が必要ということもあるようだが、それぞれ冷暖房するよりは効率的に熱交換することなどできないのだろうか? 「最新」のビルであれば、導入するのが難しい技術だとは思えないのだが。。 地球環境面からもランニングコスト面からも、冬場の省エネ温度制御は重要で有望な技術だと思うけど、如何でしょう?

探してみるとダイキン工業が業界初 低外気温冷房というのがあるけど、これはちょっと趣旨が違いそうだ。。

ちなみに、香港は冬でも冷房が普通らしいけど、日本も他人事として笑っていられない状況のようだ。。

省エネルギーセンターの省エネ対策アンケートを見ると、地方別および業種別の冷暖房設定温度などのグラフが載っていて興味深いのだが、暖房温度を20℃以下に設定しているのはかなりの少数派であることがわかる。

念のために、環境省が監修したWARM BIZ のポイント集を見てみると、暖房温度の設定だとか着るものの工夫の他にも、デスクでできる血行促進運動だとか、体温上昇を促す食品だとか、予想以上に広範囲な対策が載っている。

この中で、知らなかったのは「湿度を15%上げれば室温を1℃下げても体感温度は変わらない」という話。カラダからの水分の蒸発に伴う蒸発熱のせいだろうか。探してみると、ミスナールの体感温度というのがあり、気温が10℃以下では湿度が上がるほど寒く感じるらしい。試しに計算してみると、気温20℃で湿度40%と55%だと、体感温度はそれぞれ18.3℃と18.9℃となり、その差は0.6℃だった。。 この式によると10℃以上の範囲では、湿度が80%未満だと体感温度は実際の気温よりも低くなる。乾燥した冬場の部屋で暖房設定が20℃だと、体感温度は結構低くなるんだな。。。

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2005/11/11

アラキドン酸の効果

たまたま見つけた、バイオテクノロジージャパンのニュース(11/11)から。記者発表、サントリー、アラキドン酸とDHAの摂取による記憶力などの脳機能改善効果を確認

サントリー(株)健康科学研究所は、金沢大学大学院医学系研究科・再生脳外科学教室との共同研究により、アラキドン酸※1とDHA(ドコサヘキサエン酸)を摂取することで記憶力などのヒトの脳機能が改善されることを明らかにしました。その研究成果を11月12日~16日に米国Washington,D.C.で開催される国際会議Neuroscience 2005(主催:Societyfor Neuroscience)にて発表します。
DHAはともかく、アラキドン酸というのは聞いたことがあるようなないような。。 サントリーのニュースリリースは結構詳しく書かれているのだが、もの忘れを訴える60歳以上の高齢者や、脳卒中などの後遺症で脳の機能障害がある患者に、アラキドン酸とDHAを摂取させた結果、記憶力や集中力が有意に向上したということらしい。

今回の実験では、何らかの障害に対する改善効果が見られるということで、残念ながら普通の人が摂取することで、さらに記憶力などが向上するということではないようだ。2003年5月のリリースでは、健康な高齢者の認知能力(情報処理能力)の向上効果が認められたとしている。また、ラットについての実験でも、老齢ラットの記憶力が改善するとか、老齢ラットの生物時計の適応性が向上する、という効果が見られるようだ。

でも、これらの実験は何故か二重盲検法を使っていないみたいだし、10~20名の被験者がこれらの物質を摂取する前後の比較だけで結論が出されているようである。アラキドン酸とDHAのそれぞれの単独摂取の場合や、これらを摂取しなかった場合との比較や、偽薬を摂取した場合との比較がないというのも違和感が残る。この結果だけで、効果があるという結論を出してよいものだろうか?

ところで、アラキドン酸とは何? ということで探してみるとこちらには、必須脂肪酸の一つで、ビタミンFとも呼ばれると書かれている。実はビタミンの名前の由来によると、最初ビタミンFと名付けられたものが脂肪酸と判明したために、ビタミンのリストから除外されており、ビタミンFと呼ぶのは間違いということになりそうだ。(ちなみに、重松清さんの小説「ビタミンF」は、Family、Father、Friend、、などFで始まる言葉をキーワードとした、人の心にビタミンのように効く小説とのこと。。)

一方、「健康食品」の安全性・有効性情報で探すと、アラキドン酸は、エイコサテトラエン酸の別名とあり、

生体内では、脂肪酸としてプロスタグラジンに変換されて、種々の生理作用に関与することが示されているが、食品素材として利用する場合のヒトでの有効性については信頼できるデータが見当たらない。安全性については、食品として摂取する範囲内では安全と思われるが、現代の食生活ではむしろ過剰摂取になる可能性がある。
とある。ヒトへ効果について信頼できるデータが見当たらない、というのも意外だが、むしろ過剰摂取になる可能性があるというのだから、オイオイ!というところだな。。 「健康食品」に関しては、サントリーのような大手の発表でも、鵜呑みにせずに少し冷静に調べる必要があるようだ。。

一方、当然と言えば当然だけど、サントリーは既にアラキドン酸とDHAを含有する健康食品をしっかりと販売している。こちらによると、アラキドン酸は卵やレバーなどに多く含まれ、コレステロールを摂取しすぎるので、このサプリメントで摂取するのが好ましいという説明なのだが。。

なお、化学をかじった人には今さらだろうけど、せっかくなので、ドコサヘキサエン酸とか、エイコサテトラエン酸といった名称について解説しておこう。ドコサとかエイコサについては、倍数接頭辞によると、ドコサが22、エイコサが20を示す接頭辞であることがわかる。

ということで、アラキドン酸こと、エイコサテトラエン酸は、エイコサ・テトラ・エン・酸と分けて考え、エイコサが炭素数20、テトラ・エンで二重結合が4箇所、を持つ不飽和カルボン酸であることを意味しており、化学式で表すと、C19H31COOHということになる。(飽和カルボン酸がC19H39COOH、二重結合1箇所につき水素が2個減る) 

エンは二重結合を表しており、ブタジエンのエンと一緒だ。ブタジエンの場合は二重結合が2箇所なので、ジ・エンとなる。ということで、EPAとして知られている、エイコサペンタエン酸は、エイコサテトラエン酸の二重結合が5箇所になったものであり、化学式は C19H29COOHとなる。

一方、DHA、ドコサヘキサエン酸は、ドコサ・ヘキサ・エン・酸となり、炭素数22、二重結合を6箇所有するカルボン酸となる。化学式では、C21H31COOHとなる。「健康食品」の安全性・有効性情報によるとDHAについては、それなりの効果が確認されているようだ。でも、こども向けにドコサヘキサ塩酸なんていうウソを教えちゃダメだろう。。。

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2005/11/10

ハイブリッド気動車ってどんな奴?

MSN-Mainichi INTERACTIVE(11/10)の記事。JR東日本:省エネ型気動車「NEトレイン」、07年夏に導入

 ◇07年、電車もエコの時代へ

 JR東日本は07年夏、環境にやさしいハイブリッド型気動車「NEトレイン」を世界で初めて営業路線に導入する。ブレーキをかけた時に発生するエネルギーを蓄電して活用する省エネ型気動車で、低騒音のうえ有害物質を大幅に削減できる。

 導入区間は山梨・長野両県の山岳地帯を走る小海線(小淵沢-小諸間、78・9キロ)。

 新型車は現行車両に比べ、燃費は最大約20%、騒音は約30デシベル低減。排ガスから窒素酸化物や黒鉛などの粒子状物質を約60%カットできる。

 当初は3両を導入。自動ドア付きの大型車椅子対応トイレを設置するなど、障害者にも配慮した。

 製造費は1両約1億9000万円だが、燃費などを考えると経費削減が見込めるという。

鉄道オタクでもないので、「気動車」なんていう言葉はまず使わないし、あまり見聞きする機会もないのだが、Wikipediaによると、気動車とは、熱機関で走る客車のことで、一般的に言えばディーゼルエンジンで走る客車のことになるようだ。

でも、サブタイトルの「電車もエコの時代へ」というのはおかしくないか? まあ、自走式の客車を全て「電車」と呼ぶと誤解しているのかもしれないのだが、電車と気動車、そしてこのハイブリッド気動車のエコ性能を比較するとどうなるのだろう? という興味が湧いてくる。

このハイブリッド気動車(NEトレイン)は、Wikipediaでは、電気式気動車の項目で解説されており、昔ディーゼルエンジンで発電して走る電車というカテゴリーがあり、このハイブリッド気動車は最新技術っを搭載した電気式気動車ということになるようだ。 (それにしても、Wikipediaの鉄道関係用語はすごい充実ぶりだな。。)

ということで、JR東日本のプレスリリースを見てみると、2ページ目にシステムの解説図が載っている。なるほど、自動車のハイブリッドシステムとは根本的に異なり、基本的に電気モーターで走り、その電気をディーゼルエンジンによる発電とブレーキ時の蓄電でまかなうシステムだ。メリットとしては、ブレーキ時のエネルギーの回収と停車時のエンジン停止(アイドリングストップ)が大きいようだが、同時にディーゼルエンジンにも、自動車でも話題のコモンレール式の最新型を採用したことで排ガス性能を向上させている。

日本の鉄道の電化率を調べてみたのだが、予想に反して中々みつからなかったが、かなり古いデータだが、昭和63年の電化率は、運輸白書によると新幹線を除いて49%と思ったよりも電化率が低い。その後、四国などで電化が進んでいるようだが。。

電車と気動車のエネルギー効率については、横河電機の世界初ハイブリッド鉄道車両の開発によると、単位輸送量当たりの消費エネルギーが、電車が17MJ、気動車が23MJということで、気動車は1.35倍のエネルギーを消費してしまうようだ。今回のハイブリッドでエネルギー消費が10%以上改善されるということで、20MJ程度まで改善されるということになる。

これだけ電車が普及していることからも想像できることではあるが、やはり電車のエネルギー効率は非常に優れていて、最新のハイブリッドトレインでもまだかなわないわけだ。当然、ブレーキ時のエネルギー回収も回生ブレーキとして以前から実用化されていて、電車の場合には回収したエネルギーは架線に戻しているのだね。

なお、横河電機のこの記事は内容が豊富な割にわかりやすい。NEトレインのNEは "New Energy" の略号とのこと。また、ハイブリッドシステムのバッテリーにはリチウムイオン電池を採用しているようだ。

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2005/11/09

「議論のウソ」

最近、「食品報道のウソを見破る」、「数字のホント?ウソ!」、「世間のウソ」というようなタイトルの本を読んだのだが、またまたカタカナの「ウソ」がタイトルに入った本である。漢字の「嘘」とはニュアンスが違うと言われれば、そうかもしれないが、出版社が積極的に使用する際には、何か使い分けのルールはあるのだろうか?

講談社 現代新書1806
 議論のウソ
 小笠原 喜康 著 bk1amazon

著者のホームページはこちら。専門は教育系で、「大学生のためのレポート・論文術」や「インターネット完全活用編 大学生のためのレポート・論文術」などの本を書いており、後者についてはこのブログでも初期に書評を書いている。

さて、本書は非常にシンプルな構成で

  第1章 統計のウソ  -ある朝の少年非行のニュース評論から
  第2章 権威のウソ  -「ゲーム脳の恐怖」から
  第3章 時間が作るウソ  -携帯電話の悪影響のうつりかわり
  第4章 ムード先行のウソ  -「ゆとり教育」批判から
  第5章 ウソとホントの境  -少し長い「あとがき」

となっている。1章から4章まではそれぞれ完全読み切りで、非常に明快な切り口で説明されている。世の中に氾濫している様々な議論や論調の中には、こういう典型的なウソが入り込んでいるかもしれないから、騙されないように心してかかれ、という教えとしてはもちろん有益なのだが、それにもまして面白いのが各論の部分。

統計のウソの章の、最近少年犯罪が増えており凶悪化している、という話は、統計データを恣意的に使う例として、どこか他でも見た記憶はあるのだが、こうやってまとまった形で読めるのはありがたい。ここでのポイントは、統計データに騙されないようにしようということの他に、複雑な事象を単純明快に理解しようと思っていると、落とし穴にはまるぞ、ということだろう。

権威のウソの章の「ゲーム脳」の話は、既に良識的な人たちからはダメダメの烙印を押されている「珍説」だと認識しているのだが、実は原文を読んだことがない。。 本書は、原文がどう「非論理的」であるかを具体的に容赦なく指摘しており、とても参考になる。権威に惑わされずに、論理展開をきちんと見極めて判断しなさい、ということだ。ただし、「ゲーム脳の恐怖」は比較的見破りやすそうだけど、もっと高級なテクニックを駆使して、科学の装いをされてしまうと、素人には見極めが困難となる場合もあるだろう。(科学と非科学の問題については、大阪大学の菊池さんのブログのここあたりの議論から目を通すと色々と考えさせられる。。)

時間が作るウソで取り扱っている、携帯電話の医療機器等への悪影響に関する考察も、議論の中身がとても興味深い。コトが下手すると人命にかかわるものだから、基準を安全側に設定する必要があるのだが、実験データの解釈まで恣意的に変えてしまうのはおかしいだろう、ということだ。特に、進歩の激しい分野では、以前の結果はあてにならない場合もあり、先入観を排除し、結論が変わることを恐れない姿勢が大切なようだ。ここの議論をみると、最近の携帯電話は、確かにほとんど悪影響を与えないレベルになっているようだ。(「ほとんど」というところが悩ましいわけだが。。)

ムード先行のウソについては、著者の専門領域だけに、他の3つよりも細かな議論が進められていて、学力をどう定義して、どう測定するかという問題や、そもそもどんな学力を身に付けるべきかといった点をきちんと議論せずに、「ゆとり教育」反対というイメージに流されている状況を一つ一つ明らかにしている。ここでも、結論としてゆとり教育が正しいのかどうか、ではなく論理の進め方が問題とされる。本書で扱っている他のウソでも同様だが、えてして結論がそこそこ許容できるものである場合に、途中の論理展開に手抜きやごまかしがあっても、何となく通用してしまう風潮があるのだが、それを見逃すことは、新たな問題を引き起こすことになりかねない。

この章では、例としてOECDによる各国学力調査の結果、日本の成績が低下したという報道を取り上げている。この学力調査で使われた数学や国語の問題が実に面白い。実例をここに1、2問紹介したかったのだが、ここに引用するのがはばかられるくらい文章量が多いのだ。しかも、読解力の問題などは、国語の問題と思いきやグラフを含む説明文の解釈が問われていて、どちらかというと科学論文を読む力が試されているという感じである。これでは確かに日本の普通の学校教育、少なくとも国語や数学といった既成の枠組みの成績とは対応しそうもない。

なお、本書で紹介されているものとは異なるが、2000年の問題例がOECD生徒の学習到達度調査の右上のリンク(問題例)から見ることができる。これは15歳を対象とした調査なのだが、この数学や科学的リテラシーの問題もなかなか面白い。

最後の章では、これらのまとめが書かれているかと思いきや、独自の理論展開が進められていて、何故か最後の結論が歯切れの悪い形で終わっている。。 ウソかホントかは簡単には決められない問題が多いことを指摘した上で、ある論理が正しいかどうかはその論理の立てられた立場に依存していること、従って立場が変われば答えが変わるので、各自が自分の立場を自覚して論理展開をすることが大切である、というような結論らしいのだが、今ひとつピンと来ない。。

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2005/11/08

再生可能エネルギーの近況

Yahoo!ニュース経由の共同(11/6)再生エネルギー発電4%に 成長裏付けと米研究所

 太陽光や風力など「再生可能エネルギー」による発電容量が2004年に計1億6000万キロワットとなり、世界の発電容量の約4%に達したとする報告書を米環境シンクタンクのワールドウオッチ研究所が6日発表した。同研究所は「再生可能エネルギーの力強い成長を裏付けるものだ」としている。

 これに最も貢献した国は、小規模水力発電が盛んな中国。太陽光発電に力を入れている日本は、ドイツ、米国、スペインに続き5位に入った。

 発電容量で上位を占めたのは小規模水力(38%)、風力(30%)、バイオマス(24%)など。小規模水力やバイオマスは発展途上国で普及しており、発電容量の44%は途上国が占めた。

ということだが、再生可能エネルギーの貢献度で中国が1位、アメリカが3位、日本は5位とのこと。本当かな? 「再生可能エネルギー」の定義がどうなっているかによるだろうから、少し調べてみる必要がありそうだ。

この元データは、Worldwatch Instituteのニュースで読める。さらに詳細は、RENEWABLES 2005 GLOBAL STATUS REPORTを見ないといけないようだ。このレポートはPDFファイルで、もちろん英語で117ページもあるので、パラパラ見るだけでも大変だが、グラフや表が多いので目を通す価値はありそうだ。

そもそも、160GW(1億6000万kW)の再生可能エネルギー電力というのは、大規模水力発電(容量10MW以上)720GWを除いたもので、new renewable energy と呼ばれているもの。これらの電力以外に、バイオマス熱、太陽熱、地熱や、バイオ燃料(エタノール、バイオディーゼル)なども再生可能エネルギーの範疇に入る。

発電量が1~10MWの小規模水力発電では、中国が世界の半分近くを占めるようだ。これよりもさらに小さいものは、ミニ水力発電(100~100kW)、マイクロ水力(1~100kW)、ピコ水力発電(0.1~1kW)と呼ばれているらしい。

p11のグラフとp45の表によると、各国の全電力量に対する再生可能エネルギーの比率(カッコ内は大規模水力発電を含む数値)は、中国が8.4%(24.3%)、EUが25カ国合計で9.8%(25.3%)、アメリカが2.3%(12.8%)、日本が2.3%(19.6%)となっている。 (冒頭記事の、中国がトップで日本が5位というのは、大規模水力を除く再生可能発電の電力量の順位のようだ。) 発電以外の、太陽熱温水・暖房だとか、バイオ燃料(バイオエタノール、バイオディーゼル)などを加えると、日本の再生可能エネルギー利用比率はさらに下の順位に落ちてしまいそうだ。

おりしも、中国で国際再生可能エネルギー会議が行われており、中国は風力、太陽光、バイオマスの活用で、2020年までに再生可能エネルギーを15%まで引上げるという目標を出しているようだ。

一方、市民のための環境学ガイドのこのあたりを読むと、日本では「新エネルギー」と呼ばれ、定義も異なり国際的な比較は簡単ではないのだが、やっぱり目標レベル(2010年で1.3%?)が低すぎるように感じる。まあ、経済産業省が主導する将来構想は、どうしても実現可能性と日本経済への影響を考慮するから、積み上げ方式で計算するとこんなものになってしまうんだろう。しかし、現状ではエネルギー源の多くを輸入に頼っているわけだし、最初に国が描く理想の将来像というものがあって、それに向かって開発を進めるという姿勢がもっとあっても良いと思うのだが。

それに、日本では、水素エネルギーだとか、燃料電池などが次世代エネルギーのエースかのように喧伝される傾向があるけど、今のところ水素や燃料電池は再生可能エネルギーとは呼べないし、確かにエネルギー効率は高くなるだろうけど、それでいいのか? という定量的な議論がもっと必要だろう。

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2005/11/07

ココログ22か月

ココログを始めて1年と10か月が経過。ここ数か月、1か月当たりのカウンターの伸びはコンスタントに約25000という感じ。平日が約1000カウント、休日が約600カウントといったところだ。

 1か月目:900     2か月目:4500    3か月目:11700    4か月目:19000
 5か月目:32300   6か月目:43500   7か月目:54500    8か月目:72000
 9か月目:87700   10か月目:105400  11か月目:125400  12か月目:140600
13か月目:163000  14か月目:179300  15か月目:194700  16か月目:205300
17か月目:216800  18か月目:231700  19か月目:251100  20か月目:276400
21か月目:301200  22か月目:326400

この1か月のアクセス解析結果を求めてみると、以下の通り。

(1)リンク元
 1位 http://search.yahoo.co.jp 全体の54%(前回1位)
 2位 bookmark 全体の17%(前回3位)
 3位 http://www.google.co.jp 全体の14%(前回2位)
 4位 http://www.google.com 全体の4%(前回4位)
 5位 http://search.goo.ne.jp 全体の1%(前回5位)

ほぼ安定しているが、ブックマークから来られる方が少し増えているようで、うれしいことだ。変わったところでは、Exciteの世界びっくりニュースの記事をベースにしたときに、トラックバックを送ったので、こちらからたどって来た人も結構多かったこと。皆さん、いろんなところに目を光らせているんだなあと感心させられる。

mixi からの訪問者もコンスタントにいるのだが、残念ながらいまだに見ることができないでいる。誰か招待メールをくれないかな。。。。
招待状をいただき、無事に登録できました。このブログ関連記事としては、フラーレン化粧品、ゲルマニウムあたりが参照されているようでした。

(2)検索キーワード
 1位 岩盤浴(前回9位)
 2位 注射針(前回13位)
 3位 ハリケーン(前回8位)
 4位 アメリカ(前回14位)
 5位 青色発光ダイオード(前回23位)
 6位 肥満(前回20位)
 7位 ハテナ(初登場)
 8位 ウィルマ(初登場)
 9位 発光ダイオード(前回圏外)
10位 フラーレン(前回7位)
11位 献血(前回19位)
12位 化粧品(前回18位)
13位 グラフ(前回34位)
14位 ウンカ(前回圏外)
15位 名称(前回22位)

1位の岩盤浴はかなり意外。特に岩盤浴に関係するニュースがあったようにも思えないのだが、何故かコンスタントに強かった。1年半も前に書いたエントリーに今頃どうして?という感じだが、検索サイトで調べても、このブログがそんなに上位に来ているようには見えない。。

注射針はナノパス33という注射針がグッドデザイン賞を取ったことの関連と、献血の際の針の太さについての検索が目立ったようだ。

そして、アメリカのハリケーンの名称がらみでは、ついにアルファベットの名前を使い尽くしたことが話題となったようだが、今のところベータまで発生しているようだ。

なお、毎回上位に来ていた「合計特殊出生率」は今回は16位となっている。

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2005/11/05

スーパーカミオカンデはニュートリノ発生装置か?

きょうは更新予定はなかったのだが、あまりの新聞記事タイトルを見つけたので、特別版。MSN-Mainichi INTERACTIVE(11/5)の記事。ニュートリノ発生装置故障:研究を再開へ 復旧工事が開始。 このタイトルを見て、何についての記事だと思うだろう? 本文は、

 4年前の事故で実験設備の光電子増倍管を失った岐阜県飛騨市の宇宙素粒子研究施設「スーパーカミオカンデ」(東京大学宇宙線研究所付属)の全面復旧作業が始まり、4日、報道関係者に公開された。来年6月に終了予定で、中断していた太陽ニュートリノの観測などが再開される。

 光電子増倍管(直径約50センチ)はガラス球状の光センサー。神岡鉱山地下の巨大円柱形水槽(直径39・3メートル、高さ41・4メートル)の内側に張り巡らされ、水槽に飛び込むニュートリノが水と反応して生じる微弱な光を捕らえる。

 01年11月の事故では増倍管1本の破裂による衝撃波で、計1万1146本のうち約6700本が破損。新しい増倍管は衝撃波に耐えられるアクリルカバーを備えている。

となっており、なんとスーパーカミオカンデのことだったのだ。 いくらなんでも、「ニュートリノ発生装置」はないでしょ? ついでに指摘しておくと「復旧工事が開始」というのも、日本語としてどうかと思うぞ。。

実は「ニュートリノ発生装置」というのも実際に存在する装置であり、しかもつい最近、同じ MSN-Mainichi INTERACTIVE の記事(10/24)に、ニュートリノ:発生装置故障公表せず、研究機構が謝罪という具合に登場している。こちらは、つくばの高エネ研に設置されている装置であり、もちろん本当にニュートリノを発生させる装置である。 毎日さん、古い記事のタイトルを使いまわして修正し忘れたのか、それとも本当に勘違いしているのか??(誰かが間違いに気付きそうなものだが、19:30現在、放置されたままだ。)

ちなみに「スーパーカミオカンデ」という名前だが、Wikipediaによると、日本語にすると、「超神岡ニュートリノ検出実験」と「超神岡核子崩壊実験」の両方の略とのこと。もちろん、ニュートリノを発生させる装置ではなく、ニュートリノを観測する装置である。

なお、この記事タイトルや本文では、スーパーカミオカンデは事故以来研究を中断しており、来年6月から観測や研究を再開するかのように読めるが、スーパーカミオカンデの完全再建によると、少ない光電子増倍管ながらも観測や研究を継続して行っているようだ。。

ところで、スーパーカミオカンデの事故のニュースの記憶は比較的しっかりと残っているのだけど、まさか4年も前のこととは思わなかった。相当大々的に報じられたのかもしれない。しかも、小柴さんのノーベル賞の受賞は、この事故の1年後だったんだな。。 

事故原因と対策については、スーパーカミオカンデ ホームページでも読めるが、高エネ研のスーパーカミオカンデ ~事故からの再生~という記事がわかりやすい。

1本が破壊したときの衝撃波で、6700本もの光電子増倍管が連鎖的に破壊されたようだが、その衝撃はすごかったんだろうなあ。8.8km離れた地震計が事故を捉えていたということだし。もし、自分が担当者として関わっていたらと想像すると、この4年間は関係者にとってはさぞかし長かったことだろう。。

ちなみに、この光電子増倍管は、浜松ホトニクスの製品で、このページの「20インチ径 光電子増倍管 開発ストーリー」で、カミオカンデ向けの製品ができるまでの話が読める。

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2005/11/04

アフリカの湖の縮小問題

YOMIURI ONLINE(11/3)の記事。水量激減!アフリカ大陸の湖に黄信号…国連環境計画

 国連環境計画(UNEP)はこのほど、アフリカ大陸の湖が砂漠化で深刻な危機にさらされているとの報告を発表した。

 UNEPが1980年代、90年代と近年の衛星写真を比較したところ、<1>アフリカ最大の淡水湖ビクトリア湖の水面が、90年代初めと比べ約1メートル低い<2>中央アフリカのチャド湖が過去数十年で10分の1に縮小した――などが鮮明になった。

 主なものだけで677あるとされるアフリカ大陸の湖の多くで、水量激減や湖の縮小が見られ、ニジェールでは過去20年で淡水の湿地の80%以上が消滅した。

 報告は水源枯渇が続けば、「この地域が不安定化する恐れがある」とし、水を巡って深刻な国家間の対立や衝突が起こる可能性を指摘している。

というもの。UNEPのサイトには、このニュースに関連するプレスリリースおよび、衛星写真集がある。読売新聞の記事には、この水量の減少が何故起きたのかが書かれていないので、何となく地球温暖化などの気候変動が原因なのかな? と思ってしまうのだが、UNEPのニュースによるとこれらの原因として降水量の減少もあるのだが、主要因は塩の採取、ダム建設、灌漑など人為的なものが大きいようだ。

チャド湖の面積が1/10に減少したというのもすごいが、1972年2001年を比べると、確かに一目瞭然だ。Wikipediaにも、流れ込む川の水が灌漑用に汲み上げられたことが原因として書かれている。

砂漠化という現象については、JICAの世界の砂漠化や、鳥取大学乾燥地研究センターの砂漠化とその原因などに詳しく書かれているが、8割以上が人為的な要因とのこと。人口増加への対応や生活水準向上のための開発が、ただでさえ少ない水を使い尽くす方向に進めてしまっているようだ。

アフリカは、貧困、内戦、感染症などで苦しんでいるわけだが、この水を巡る問題がこれらとリンクして、さらなる悪循環が進行する可能性が高い。もう、何が原因で何が結果なのか、複雑に絡み合った状態になっている。一体、何から手を付けていったら良いのやら? という感じだ。(参考) アフリカは人類発祥の地でありながら、今や人類の生存には最も不適な土地となっていることも、中々考えさせられる問題だ。

なお、このUNEPのの記事で紹介されているのは、Lake ChadLake SongorLake VictoriaLake Djoudjなど。Google Mapは、日本やアメリカの地図検索の場合には、地名と衛星写真が切り替え可能で、とても便利なのだが、アフリカに関しては地図上に国名以外の地名がほとんど記載されていないため、地名での検索は困難で、これらの湖を探すのにも苦労した。。

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2005/11/02

カリフォルニアのウニと昆布の複雑な事情

Exiciteニュース経由のロイターの記事(11/2)アメリカでウニの寿司が人気 環境保護に繋がるか?

 アメリカでますます高まりつつある寿司人気のおかげで、カリフォルニア海岸線沿いの生態系において重要な役割を果たしている海藻が消滅の危機から免れるかもしれない。

アメリカの寿司レストランでは現在ウニの消費量がこれまでになかったレベルまで増加しており、カリフォルニアのウニ養殖業は2300万ドル(およそ27億円)産業に成長しているという。カリフォルニアウニ委員会が今週発表した。

このとげだらけの棘皮動物は、カリフォルニアの海岸沿いで消えつつある昆布を好むという。

というのだが、ウニが増えた理由が書かれていないし、寿司が海草を救うと言われても、何とも唐突で不思議なニュースである。。 英語版の元記事は、Love of sushi could help Calif. coastal ecosystemのようだが、ほとんど冒頭の日本語記事と同じ内容だ。おもしろかったのは、
Diners in sushi restaurants are eating ever greater amounts of sea urchin roe, known as Uni, creating a $23 million industry in California for harvesting the creatures, the California Sea Urchin Commission said this week.
とあり、ウニは英語で "sea urchin" なのだが、"Uni" でも通用するらしいというところ。この記事にある、「カリフォルニアウニ委員会」というのも面白い名前の団体だが、探してみると、その California Sea Urchin Commissionプレスリリースが見つかった。これによると、カリフォルニアのウニは、従来ほとんど全量が日本に輸出されていたけど、現在は約1/3がアメリカ国内で消費されているらしい。このウニ委員会では、新しいウニ料理のコンテストを企画したりして、アメリカ人のウニ消費量を増やそうと頑張っているようだ。

でも、アメリカ人がそんなにウニを食べるのだろうか? 世界シーフード紀行とか、NY日本食レストラン事情を見ると、やっぱりアメリカ人はあまり食べないようで、アメリカでウニを食べているのは大部分が日本人や日系人だったりするかも。。

ウニについての情報は、水産卸業の紙安の市場情報が充実している。確かに、ウニの好物は昆布で、そのためもあってか、うまみ成分として昆布と共通するアミノ酸を多く含んでいるそうだ。ということで、利尻昆布を食べて育ったバフンウニがうまいというのも満更ウソではなさそうだ。

それにしても、何故最近になってウニが昆布を絶滅させる勢いで増えているか?ということが気になる。せっかくおいしいウニが増えて困っているんだから、ありがたくいただきましょうというのは、それはそれでいいけれど。。 調べてみたら北水研ニュースの中に

カリフォルニアでは、ジャイアントケルプの群落が消滅した原因はラッコの乱獲にあるとする報告が有名である。ラッコが減って、捕食者が少なくなったウニが増殖したたため、その食害によりケルプ群落が破壊されてしまったという。
という記載がある。ラッコにまつわる生態系の話としてはラッコの道標が参考になるが、結局、人間がラッコを獲り、ラッコが減ってウニが増え、増えたウニが昆布を食べつくすと困るので、人間がウニを食べるというストーリーらしい。結局、人間の都合で天敵がいなくなって乱れた生態系を、元に戻す代わりに、人間が天敵になってあげるということか。。 なんか複雑な気持ちになるなあ。

それじゃあ日本近海ではどうなんだ? もしかして人間がウニの天敵として生態系を保っていたのかと思いきや、こちらによると、ウニの天敵は魚で、特にイシダイがウニを好んで食べるらしいから、それぞれの地域でそれなりにバランスを保ってきているということだろうか。

ちなみに、Wikipediaによると、ウニは漢字で「海栗」や「海胆」と書き、よく見る「雲丹」は塩漬けにしたものを指すようだ。

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2005/11/01

2005年10月の天気予報傾向

今年の2月から始めた、東京地方の過去の天気予報 は、過去の天気予報データを順調に蓄積中。

10月は気温の変化が大きくて、最高気温は32℃から17℃まで15℃も変化している。そのせいもあってか、気温の予測精度は比較的高かったようで、気温相関グラフもかなりきれいな関係を示している。

また、10月は雨の日が多かったのも特徴だった。1mm以上の降水のあった日数は17日。ちなみに、今年の降水日数は以下の通り。いかに10月に雨の日が多かったがよくわかる。

  3月: 7日
  4月: 8日
  5月:12日
  6月:10日
  7月: 9日
  8月: 9日
  9月: 8日
 10月:17日

そのせいもあってか、降水確率予報の的中率も、あまり高いと言える成績ではなかったようだ。

天気予報データの蓄積開始以降の約9か月分のデータを見ると、やはり「晴れ 時々 くもり」や「くもり 時々 晴れ」という予報は出されているけれど、「晴れ 一時 くもり」や「くもり 一時 晴れ」という予報が出たことはないようだ。

一方、雨がらみになると事情は異なり、「くもり 時々 雨」も「くもり 一時 雨」もありなのだが、「雨 時々 くもり」や「雨 一時 くもり」という予報は出されていない。

ということで、天気予報には、「一時」の後には「雨」しか来れないが、「時々」の後には「晴れ」、「くもり」、「雨」のいずれが来ても良い、というルールがありそうだ。 また、「雨」の後には「一時」や「時々」が来ることはなく、「のち」だけが来られる、というルールもあるようだ。

そう言われると、何となくそんなものか、と納得したいところだが、気象庁の昨日までのデータ(統計値)で過去の天気データを見ると、「晴れ 一時 くもり」や「くもり 一時 晴れ」、「雨 時々 くもり」や「雨 一時 くもり」という表現は普通に出てくるのだ。何かきちんとした理由があるのだろうか? すごく気になる。。。

ところで、この天気予報データの整理と各種HTMLファイルの作成は、エクセルのマクロを組んで行っている。ところが、データが多数蓄積されてきたことに加え、徐々に表やグラフの種類が増えてきたために、動きも重くなってきた。特に最近では、マクロの実行中にエクセルが強制終了したりするようになってきた。これからも、予報精度検証の表をグラフ化したり、各種の年間集計を行ったりと、やりたいことはあるのだけど、これ以上機能を盛り込んでしまうと、まともに動くかどうか心配だ。。

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