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2005/11/08

再生可能エネルギーの近況

Yahoo!ニュース経由の共同(11/6)再生エネルギー発電4%に 成長裏付けと米研究所

 太陽光や風力など「再生可能エネルギー」による発電容量が2004年に計1億6000万キロワットとなり、世界の発電容量の約4%に達したとする報告書を米環境シンクタンクのワールドウオッチ研究所が6日発表した。同研究所は「再生可能エネルギーの力強い成長を裏付けるものだ」としている。

 これに最も貢献した国は、小規模水力発電が盛んな中国。太陽光発電に力を入れている日本は、ドイツ、米国、スペインに続き5位に入った。

 発電容量で上位を占めたのは小規模水力(38%)、風力(30%)、バイオマス(24%)など。小規模水力やバイオマスは発展途上国で普及しており、発電容量の44%は途上国が占めた。

ということだが、再生可能エネルギーの貢献度で中国が1位、アメリカが3位、日本は5位とのこと。本当かな? 「再生可能エネルギー」の定義がどうなっているかによるだろうから、少し調べてみる必要がありそうだ。

この元データは、Worldwatch Instituteのニュースで読める。さらに詳細は、RENEWABLES 2005 GLOBAL STATUS REPORTを見ないといけないようだ。このレポートはPDFファイルで、もちろん英語で117ページもあるので、パラパラ見るだけでも大変だが、グラフや表が多いので目を通す価値はありそうだ。

そもそも、160GW(1億6000万kW)の再生可能エネルギー電力というのは、大規模水力発電(容量10MW以上)720GWを除いたもので、new renewable energy と呼ばれているもの。これらの電力以外に、バイオマス熱、太陽熱、地熱や、バイオ燃料(エタノール、バイオディーゼル)なども再生可能エネルギーの範疇に入る。

発電量が1~10MWの小規模水力発電では、中国が世界の半分近くを占めるようだ。これよりもさらに小さいものは、ミニ水力発電(100~100kW)、マイクロ水力(1~100kW)、ピコ水力発電(0.1~1kW)と呼ばれているらしい。

p11のグラフとp45の表によると、各国の全電力量に対する再生可能エネルギーの比率(カッコ内は大規模水力発電を含む数値)は、中国が8.4%(24.3%)、EUが25カ国合計で9.8%(25.3%)、アメリカが2.3%(12.8%)、日本が2.3%(19.6%)となっている。 (冒頭記事の、中国がトップで日本が5位というのは、大規模水力を除く再生可能発電の電力量の順位のようだ。) 発電以外の、太陽熱温水・暖房だとか、バイオ燃料(バイオエタノール、バイオディーゼル)などを加えると、日本の再生可能エネルギー利用比率はさらに下の順位に落ちてしまいそうだ。

おりしも、中国で国際再生可能エネルギー会議が行われており、中国は風力、太陽光、バイオマスの活用で、2020年までに再生可能エネルギーを15%まで引上げるという目標を出しているようだ。

一方、市民のための環境学ガイドのこのあたりを読むと、日本では「新エネルギー」と呼ばれ、定義も異なり国際的な比較は簡単ではないのだが、やっぱり目標レベル(2010年で1.3%?)が低すぎるように感じる。まあ、経済産業省が主導する将来構想は、どうしても実現可能性と日本経済への影響を考慮するから、積み上げ方式で計算するとこんなものになってしまうんだろう。しかし、現状ではエネルギー源の多くを輸入に頼っているわけだし、最初に国が描く理想の将来像というものがあって、それに向かって開発を進めるという姿勢がもっとあっても良いと思うのだが。

それに、日本では、水素エネルギーだとか、燃料電池などが次世代エネルギーのエースかのように喧伝される傾向があるけど、今のところ水素や燃料電池は再生可能エネルギーとは呼べないし、確かにエネルギー効率は高くなるだろうけど、それでいいのか? という定量的な議論がもっと必要だろう。

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