カリフォルニアのウニと昆布の複雑な事情
Exiciteニュース経由のロイターの記事(11/2)アメリカでウニの寿司が人気 環境保護に繋がるか?
アメリカでますます高まりつつある寿司人気のおかげで、カリフォルニア海岸線沿いの生態系において重要な役割を果たしている海藻が消滅の危機から免れるかもしれない。というのだが、ウニが増えた理由が書かれていないし、寿司が海草を救うと言われても、何とも唐突で不思議なニュースである。。 英語版の元記事は、Love of sushi could help Calif. coastal ecosystemのようだが、ほとんど冒頭の日本語記事と同じ内容だ。おもしろかったのは、アメリカの寿司レストランでは現在ウニの消費量がこれまでになかったレベルまで増加しており、カリフォルニアのウニ養殖業は2300万ドル(およそ27億円)産業に成長しているという。カリフォルニアウニ委員会が今週発表した。
このとげだらけの棘皮動物は、カリフォルニアの海岸沿いで消えつつある昆布を好むという。
Diners in sushi restaurants are eating ever greater amounts of sea urchin roe, known as Uni, creating a $23 million industry in California for harvesting the creatures, the California Sea Urchin Commission said this week.とあり、ウニは英語で "sea urchin" なのだが、"Uni" でも通用するらしいというところ。この記事にある、「カリフォルニアウニ委員会」というのも面白い名前の団体だが、探してみると、その California Sea Urchin Commission のプレスリリースが見つかった。これによると、カリフォルニアのウニは、従来ほとんど全量が日本に輸出されていたけど、現在は約1/3がアメリカ国内で消費されているらしい。このウニ委員会では、新しいウニ料理のコンテストを企画したりして、アメリカ人のウニ消費量を増やそうと頑張っているようだ。
でも、アメリカ人がそんなにウニを食べるのだろうか? 世界シーフード紀行とか、NY日本食レストラン事情を見ると、やっぱりアメリカ人はあまり食べないようで、アメリカでウニを食べているのは大部分が日本人や日系人だったりするかも。。
ウニについての情報は、水産卸業の紙安の市場情報が充実している。確かに、ウニの好物は昆布で、そのためもあってか、うまみ成分として昆布と共通するアミノ酸を多く含んでいるそうだ。ということで、利尻昆布を食べて育ったバフンウニがうまいというのも満更ウソではなさそうだ。
それにしても、何故最近になってウニが昆布を絶滅させる勢いで増えているか?ということが気になる。せっかくおいしいウニが増えて困っているんだから、ありがたくいただきましょうというのは、それはそれでいいけれど。。 調べてみたら北水研ニュースの中に
カリフォルニアでは、ジャイアントケルプの群落が消滅した原因はラッコの乱獲にあるとする報告が有名である。ラッコが減って、捕食者が少なくなったウニが増殖したたため、その食害によりケルプ群落が破壊されてしまったという。という記載がある。ラッコにまつわる生態系の話としてはラッコの道標が参考になるが、結局、人間がラッコを獲り、ラッコが減ってウニが増え、増えたウニが昆布を食べつくすと困るので、人間がウニを食べるというストーリーらしい。結局、人間の都合で天敵がいなくなって乱れた生態系を、元に戻す代わりに、人間が天敵になってあげるということか。。 なんか複雑な気持ちになるなあ。
それじゃあ日本近海ではどうなんだ? もしかして人間がウニの天敵として生態系を保っていたのかと思いきや、こちらによると、ウニの天敵は魚で、特にイシダイがウニを好んで食べるらしいから、それぞれの地域でそれなりにバランスを保ってきているということだろうか。
ちなみに、Wikipediaによると、ウニは漢字で「海栗」や「海胆」と書き、よく見る「雲丹」は塩漬けにしたものを指すようだ。
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