マヨネーズ用の酸素吸収ボトル
Biotechnology Japanのニュース(11/28)から。キユーピー、酸素吸収ボトルで賞味期間延長した健康訴求マヨネーズを12月から本格出荷
キユーピーは、酸素を完全に遮断できる軟質ポリボトル「酸素吸収ボトル」を東洋製罐と共同開発し、賞味期間を現在の7カ月から10カ月に延長した健康訴求マヨネーズタイプを2005年12月から本格出荷することを11月28日に発表した。ということで、キユーピーのホームページを見ると、酸素吸収ボトルの構造について説明されている。ふーむ、確かにマヨネーズ容器には独特の質感があるとは思っていたけど、あれは多層構造だったんだ。
さらに、おいしさロングラン製法を見ると、マヨネーズの劣化の大きな要因が酸化によるもので、それを防ぐことが重要のようだ。このページの一番下にある「キユーピーマヨネーズ 酸素との戦い」を見ると、酸化を防ぐためのこれまでの工夫がわかる。これによると、多層構造のボトルは1972年から採用されている。今回の酸素吸収ボトルは、従来からの酸素バリア層に加え、酸素を吸収する素材を中心に持ってきたようだ。
キユーピーのマヨネーズQ&Aでも、酸化に弱いので、開栓前は10か月以内、開栓後は1か月以内に使い切って欲しいと書かれており、10か月というのはあくまでも使用開始前の話。まあ考えてみると当たり前だが、使用開始と共に容器内に空気が入り込んでしまうので、ボトル本体の酸素透過性をどんなに小さくしても効果はないわけだ。
ちなみに味の素は、Q&Aによるとフレッシュキープボトルという名称の独自の多層ボトルを採用しているようだ。ところで、未開栓のマヨネーズの保存によると、マヨネーズは、低温・高温、光、振動、酸素に弱いので、保存の際にはこれらを避けて欲しいと書いてあるが、一般の人が酸素を避けて保存するにはどうしたらよいのだろう?
東洋製罐の食品用容器を見ると、このマヨネーズ用の多層ボトルは「ラミコン」と呼ばれるもので、マヨネーズ容器など以外にもトレイ、カップ、パウチなどに幅広く使用されている。そう言えば、非塩素系のラップも、主として耐熱性を付与するために、例えばリードラップのように多層だったりする。一見しただけでは気付かないが、樹脂の多層化というのはかなり一般的な技術として使用されていると考えて良さそうだ。
でも、プラスチックのリサイクルという面から見ると、このように複合化・一体化されてしまうのは問題があるだろうと思う。リサイクルを考えるなら、素材の種類も少なくして、シンプルなものばかりを使うことが望ましいけど、プラスチックに要求される性能はリサイクル性だけではないので、中々難しい面がある。一方、それに対応したリサイクル技術の開発もされているようだが。。
ところで、ここの会社名が「キューピー」ではなく「キユーピー」だったのには今まで気付かなかった。「キヤノン」が「キャノン」じゃないのとよく似ている。Wikipediaを見ると、他にもシヤチハタの例があるようだ。富士写真フイルムの場合には読み方も「ふいるむ」なのかな?
で、キユーピーのロゴは実はキューピー人形ではなく、キューピッドから来ているとのことだが、社名の由来については、こちらには
日本でも大正時代にセルロイドのキユーピー人形が大流行し、創業者の中島さんはマヨネーズを発売するにあたって、お年寄りから子どもまで幅広く愛される商品に育てたいという思いを込めて、1922年人気者だったキューピーを商標登録しました。とある。社名は、デザイン上のバランスのため「ユ」が大文字で「キユーピー」です。
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コメント
アメリカなら瓶詰めで売ってたんですけどねぇ。どうせ開封したらどうしようもないなら、環境的にはリターナブル瓶ということになると思うのですが、なぜああいうボトルが日本で一般的になったのかは不思議です。
(ちなみにケチャップはハインツのウェブページなどにもあるようにプラもガラスもありましたがボトルが一般的でした)
投稿: ESD | 2005/11/29 23:01
確かに、少し調べてみたら、アメリカではほとんどがガラス瓶入りのようですね。プラスチックチューブ入りもあるけど、日本のものよりも硬くて使いにくいようです。
ヨーロッパもガラス瓶が主流で、アルミチューブ入りのマヨネーズもあるようですね。
いずれにしても、日本のマヨネーズ容器は世界的にはかなり特殊のようです。よくみたら、市民のための環境学ガイドでも、http://www.ne.jp/asahi/ecodb/yasui/MisunderstandRecycle.htm">反リサイクル論の誤謬という記事で取り扱われていましたが、ESDさんご指摘の通り、ガラス瓶でのリターナブルが望ましいという結論です。
投稿: tf2 | 2005/11/30 01:35
環境のことを考えたら当然ガラスが望ましいとは思いますが…
法令で強力に縛らなければガラス化はかなり難しいと思います。
まず、瓶入りだとマヨネーズの上部が酸化して色が変わっているのがなんか汚らしく思う人がいるのではないでしょうか。
日本人はパッケージには潔癖症的な異常なこだわりがありますので…
スプーンを使うのも実にめんどくさいです。これ大事。
アメリカと販売形態自体が違うということもあると思います。
一般家庭では一度に大量の買い物をして備蓄しておくような買い物の仕方をしてないのではないでしょうか?ここらへんが外資系の巨大スーパーが苦戦している原因のひとつではないかとも思います
あと、瓶自体が重く、かさばるので(割れるため緩衝材が要る)輸送コストがかさむ→商品自体が高額になる
という問題と、回収をきちんとできるシステムが日本できちんと構築できるのかという問題もあります。
それ以前にそんなに強力な環境に対する法令がしけるのでしょうか…
参考
http://food.kenji.ne.jp/food10/food1007.html
投稿: xtc | 2005/11/30 23:21
ご紹介いただいたサイトは、とてもしっかりした内容のようですね。今まで知りませんでした。ありがとうございます。
まあ、マヨネーズの消費量はそれほど多いわけではないですから、全体への影響はどの程度のものか、ということも考える必要はあると思います。
ただ、それぞれの業界がそれぞれの都合で新たな素材を採用していくと、全体として効率が悪くなることもあるわけで、その辺をどう考えるのか、ということですね。マヨネーズ容器は、そのための練習問題として面白い題材なのかもしれません。
投稿: tf2 | 2005/12/01 19:27