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2005/11/05

スーパーカミオカンデはニュートリノ発生装置か?

きょうは更新予定はなかったのだが、あまりの新聞記事タイトルを見つけたので、特別版。MSN-Mainichi INTERACTIVE(11/5)の記事。ニュートリノ発生装置故障:研究を再開へ 復旧工事が開始。 このタイトルを見て、何についての記事だと思うだろう? 本文は、

 4年前の事故で実験設備の光電子増倍管を失った岐阜県飛騨市の宇宙素粒子研究施設「スーパーカミオカンデ」(東京大学宇宙線研究所付属)の全面復旧作業が始まり、4日、報道関係者に公開された。来年6月に終了予定で、中断していた太陽ニュートリノの観測などが再開される。

 光電子増倍管(直径約50センチ)はガラス球状の光センサー。神岡鉱山地下の巨大円柱形水槽(直径39・3メートル、高さ41・4メートル)の内側に張り巡らされ、水槽に飛び込むニュートリノが水と反応して生じる微弱な光を捕らえる。

 01年11月の事故では増倍管1本の破裂による衝撃波で、計1万1146本のうち約6700本が破損。新しい増倍管は衝撃波に耐えられるアクリルカバーを備えている。

となっており、なんとスーパーカミオカンデのことだったのだ。 いくらなんでも、「ニュートリノ発生装置」はないでしょ? ついでに指摘しておくと「復旧工事が開始」というのも、日本語としてどうかと思うぞ。。

実は「ニュートリノ発生装置」というのも実際に存在する装置であり、しかもつい最近、同じ MSN-Mainichi INTERACTIVE の記事(10/24)に、ニュートリノ:発生装置故障公表せず、研究機構が謝罪という具合に登場している。こちらは、つくばの高エネ研に設置されている装置であり、もちろん本当にニュートリノを発生させる装置である。 毎日さん、古い記事のタイトルを使いまわして修正し忘れたのか、それとも本当に勘違いしているのか??(誰かが間違いに気付きそうなものだが、19:30現在、放置されたままだ。)

ちなみに「スーパーカミオカンデ」という名前だが、Wikipediaによると、日本語にすると、「超神岡ニュートリノ検出実験」と「超神岡核子崩壊実験」の両方の略とのこと。もちろん、ニュートリノを発生させる装置ではなく、ニュートリノを観測する装置である。

なお、この記事タイトルや本文では、スーパーカミオカンデは事故以来研究を中断しており、来年6月から観測や研究を再開するかのように読めるが、スーパーカミオカンデの完全再建によると、少ない光電子増倍管ながらも観測や研究を継続して行っているようだ。。

ところで、スーパーカミオカンデの事故のニュースの記憶は比較的しっかりと残っているのだけど、まさか4年も前のこととは思わなかった。相当大々的に報じられたのかもしれない。しかも、小柴さんのノーベル賞の受賞は、この事故の1年後だったんだな。。 

事故原因と対策については、スーパーカミオカンデ ホームページでも読めるが、高エネ研のスーパーカミオカンデ ~事故からの再生~という記事がわかりやすい。

1本が破壊したときの衝撃波で、6700本もの光電子増倍管が連鎖的に破壊されたようだが、その衝撃はすごかったんだろうなあ。8.8km離れた地震計が事故を捉えていたということだし。もし、自分が担当者として関わっていたらと想像すると、この4年間は関係者にとってはさぞかし長かったことだろう。。

ちなみに、この光電子増倍管は、浜松ホトニクスの製品で、このページの「20インチ径 光電子増倍管 開発ストーリー」で、カミオカンデ向けの製品ができるまでの話が読める。

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コメント

MSN-Mainichi INTERACTIVEの冒頭の新聞記事タイトルだが、11/8の時点では「スーパーカミオカンデ:ニュートリノ研究を再開へ--復旧工事開始」に変わっていました。

「ニュートリノ発生装置」と「復旧工事が開始」の両方とも修正されました。さらに、「スーパーカミオカンデ」だけでは何の研究かわからなくなるので、「研究を再開」を「ニュートリノ研究を再開」に変えたようです。

何はともあれ、よかったよかった。。

投稿: tf2 | 2005/11/08 18:41

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