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2005/12/06

ゴムメタルとは

日本経済新聞の消費面、ニューフェース(12/6)から。「ナノテク新素材を採用、ヨネックス」という記事。

ヨネックスのアイアン「サイバースター ナノブイ アイアン」

2008年からの高反発クラブ規制に対応したドライバーを業界に先駆けて投入した「サイバースター ナノブイ」シリーズのアイアンを開発。ナノテクノロジー(超微細技術)を使った新素材「ゴムメタル」をヘッド部やシャフト部に採用した。しなりやすく復元力があるため飛距離が伸びるほか、ボールを打ったときに心地よい感触が得られるという。

というものだが、調べてみるとニュースリリースは、9/22に出ているし、販売も10月末から行われているようだ。何で今頃ニューフェースとして紹介されるんだろう?? それはともかく、今回注目したのは「ゴムメタル」。ニュースリリースによると、これは、豊田中央研究所が開発したチタン合金のことで、豊田中央研究所の登録商標らしい。

ヨネックスのサイトで探してみるとゴムメタルの解説によると

サイバースターナノブイに採用された新チタン合金「ゴムメタル」は、ナノ(10億分の1)の領域における特異な変形組織により従来にない多機能をもたらします。例えば、低弾性率化と高強度化、この相反する二つの特徴を併せ持つのもそのひとつです。つまり、少ない力でも弾力を示し、それでいながら高強度を誇るというものです。また、温度の高低差(-273度~300度まで)による弾性率の変化がないのも大きな特徴。「ゴムメタル」は、様々な機能を同時に備えた多機能新チタン合金です。
とある。弾性率が小さいということは、一定の変形を起こすのに必要な力が小さいということで、「ゴムメタル」という名称も合わせると、何となくグニャグニャのイメージを持つのだが、あくまでも金属なんだし、ゴルフクラブに使うくらいだから、いくら何でもゴムという名称は行き過ぎじゃないのだろうか?

豊田中央研究所のゴムメタルのパンフレットには、他の材料と比較した弾性率と引張り強さのグラフやひずみ-応力曲線が載っている。確かに、低弾性率で高強度であり、しかも広い範囲で弾性変形を示すという特徴があり、これは面白い材料のようだ。日本機械学会誌に掲載された記事によると、この特異な挙動の発現機構については、

以上のようなゴムメタルの特異な機能は、それが持つ不思議なナノ構造に起因している。すなわち、強加工後も「転位」や「双晶」は観察されず、フラクタル的な階層構造の離散的なひずみ場を内包する、マーブル状の組織に変化するとともに、結晶格子が大きく湾曲することから、従来の金属材料とは異なる未知の塑性変形メカニズムが働いていると推定している。
とあり、結局のところ、よくわかっていないようだ。。 それにしても、結晶格子が大きく湾曲するって、どうなっているんだろうと思いきや、こちらには、電子顕微鏡写真なども掲載されており、確かに湾曲しているように見える。。

実用化された例としては、メガネフレームがあり、これを見ると確かに「ゴムメタル」という名前にもうなずけるものがある。他には緩みにくいネジもあるようだ。

ヨネックスではゴルフクラブ以外にテニスラケットにも採用しているのだが、フラーレンやらゴムメタルやら、本当にスポーツ用品はハイテクの塊だ。とても面白いと思うし、新素材の実験場として、もっとどんどん突っ走ってもいたいとも思うのだが、実際に使ってみた場合、一体どの程度の差を実感できるものなのだろう??

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