将来の風力発電は海や空で
nikkeibp.jpの記事(12/14)。東京電力と東京大、フロート式洋上風力発電の共同研究
東京電力と東京大学は2005年12月13日、海上風力発電設備の建設技術について共同研究を開始すると発表した。従来、建設が困難だった沖合10km以上への設置を可能にする「フロート式洋上風力発電」に関するもので、期間は2007年3月までの1年3カ月あまりを予定している。最近どんどん増えている風力発電だが、騒音、景観、鳥への影響などの問題の他、そもそも安定した高出力が得られないという欠点があり、今のところはあくまでも補助的なエネルギー源という位置付けだろうか。一方、日本は海に囲まれた国だし、風を遮る障害物のない海洋での風力発電というのは確かに魅力のある分野だろう。フロート式洋上風力発電は、洋上に浮かぶフロート(浮体)上に風車を設置する発電設備。海底から基礎を立ち上げる従来の設備に比べ、水深が深い海域でも利用できる可能性があるという。
共同研究では、風の実測調査を行い、数値シミュレーションで風力発電に適した関東沖合の地点の評価を実施する。また、波や風に対する安全性と安定性の高いフロートの構造・材料・メンテナンス方法を模型実験で研究し、あわせて経済性も検討する。研究費は6000万円。
風力発電の導入は、風が安定して吹く場所に限られるほか、周波数変動が大きいことから接続規模が制限されるなどの課題があった。関東沖で評価を行うのは、電力系統の規模が大きい地域であり、多量の風力エネルギーが得られるため。また両者は、周波数変動を蓄電池で抑えるための研究に9月から着手している。
東京電力のプレスリリースからリンクされている研究概要を見ると、関東の沖合い 10km程度の洋上に風力発電機を浮かべる計画だが、まだ研究段階で具体的な実用化計画があるわけでもないようだが、面白い取組みだと思う。
フロート式ではない固定式の洋上風力発電の場合には、設置場所は沿岸になるようだが、すでにデンマークなど海外では実用化されている。この辺の事情については、ガイアの夜明け インタビューが詳しい。
一方、安定した強風が得られるという点では、高空も風力発電の候補箇所となりうる。既に1996年の日本総研のレポートにも、安定した風資源としてジェット気流を利用することができないかの提案がされている。実際に、風力発電を高空で行うアイデアとしては、飛行船で高空に浮かす方法や、凧のように風を受けて高空に係留する方法、エンジンを使って高空にホバリングする方法などなどが提案されているようだが。。
調べてみたら、今年の4月の Hot Wired News に高高度の安定した強風を利用する「飛行発電機」(上)、高高度の安定した強風を利用する「飛行発電機」(下)という記事が載っている。スカイ・ウィンドパワーというアメリカの会社が、高度 4600mでの風力発電を計画しているというもの。Sky WindPower Corporation のサイトで調べると、この発電装置はFlying Electric Generatorというもので、ヘリコプターのような方式で、高空の風を受けプロペラで発電しながら、同時に浮力も得る方式のようだ。地上にはケーブルで発電した電気を送るとのこと。
とりあえず、アメリカの砂漠地帯で実験を計画しているようだが、地上と高空の発電機をケーブルでつなぐというのはどうなのだろう? ケーブルに航空機がぶつかったりしたら大事故になりそうだ。スカイ・ウィンドパワー社は、この方式を大々的に採用しても、実際に制限される空域は非常に狭いので問題にならないだろうと考えているようだが、日本のような過密な地域では無理そうだ。。
まあ、現実性から見ると海上での風力発電に軍配が上がりそうだが、高空での風力発電も、宇宙での太陽光発電などと同様に夢のある技術ということで注目していたい。
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