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2006/01/31

非接触式体温計サーモフォーカス

Fujisankei Business i(1/31)の記事。体に触れずに体温測定 荏原実業あすから販売

 環境関連機器メーカーの荏原実業は三十日、体に触れずに体温を測れるという伊テクニメッド製の非接触式体温計「サーモフォーカス」の国内販売を、二月一日に開始すると発表した。

 同体温計は医療業務用。国の認定となる厚生労働省の薬事承認を受けたものとしては、国内初の非接触式となる。

 接触しないため清潔で、病院での入院患者に対する検温作業を効率化できる。また、患者が寝ている場合でも、起こさずに測れるなど、医療機関と患者の双方にメリットがある。

 人体から発熱によって発生する赤外線を検出し、それを体温(舌下)に換算して割り出す赤外線検出方式を採用。測定部位は額で、約三センチ離し、約三秒焦点を合わせれば測定が可能。測定誤差は〇・二度以内。体温に自動換算するモードに加え、実温度を表示するモードも搭載。病院内での、点滴や乳児用ミルクの温度管理にも利用できる。

病院などの業務用を想定しているようで、値段も26,250円と結構高価。この記事には、このサーモフォーカスを妙にこわい顔をしたお姉さんのおでこに当てて体温を測定しようとしているのだが、おでこの温度から体温を0.2℃程度の誤差で測定できるものなのだろうか?

販売元の荏原実業のニュースリリースによると、海外ではSARSや鳥インフルエンザ対策として実績があるらしいのだが、製品案内を見ても、詳細なスペックは見当たらない。

海外で探してみると、そのものずばりTHERMOFOCUSというサイトがみつかった。この本家のサイトでは、THERMOFOCUSには2つの製品があるようだが、今回輸入されるのは、体温測定の他に様々な物体の温度を直接測定できる"house"ボタンのついた Mod. 01500N1の方だ。

TO KNOW MORE ABOUT ITには、額で測定する理由や、正常体温との換算などについて説明されているが、額は脳と非常に近い露出部であって血流も多いし、体温が上昇するときも下降するときも、その変化が真っ先に現れる部分なので、体温測定に向いているのだと説明されている。平均的には口内温度と比べて 0.3~0.5℃程度低いとのことだが、個人差も大きいので、各人が正常時の額の温度を予め知っておくことが好ましいようだ。

赤外線放射温度計については、HORIBAの放射温度計プラザが詳しい。また、ここなどで様々なタイプが見つかるが、体温測定に特化したのは今回のものが初めてらしい。

病院などでの1次測定としては、非接触で衛生的だし、迅速に測定が終了するのでかなり有効かもしれない。あるいは、動きのとれない人や寝ている人の体温も簡単に測定できそうだし。この方法はペットの体温測定なんかにも使えるかもしれないが、この場合にはそれぞれのペットごとに予め正常時の温度を測定しておく必要があるだろう。 念のために検索してみたら、こんなのこんなのが見つかった。。 これらは結構安いし、個人で使うならこの程度でも良さそうだ。

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2006/01/30

一点集中食ダイエット

CNN.co.jp(1/29)の記事。「一点集中」の食生活で減量 米研究者が提唱

シカゴ(AP) 体重は減らしたいけれど、食事のたびにカロリーを計算するのは面倒――。そんな声にこたえて、米国の研究者が新たなダイエット法を提唱している。1日に1品目の「テーマ」を決め、その食品を集中的に食べるという単純な方法だ。同じ味の食事を繰り返すことにより、食欲が自然に抑えられるという。

エール大のデービッド・カッツ博士(42)が、著書「The Flavor Point Diet」で紹介している。日替わりで「りんごの日」や「ごまの日」、時には「チョコレートの日」などを設定し、食事やおやつに必ず取り入れることがポイント。例えば「トマトの日」の朝食は、トマトと卵、チーズのサンドイッチ。昼食はトマトと豆のサラダ、おやつにコーンチップのトマトソース添え、夕食の主菜はトマトとオリーブをのせた魚のソテー――といった具合だ。

カッツ博士によると、このダイエット法の根拠になっているのは、「満腹感は味覚ごとに現れる」という説だ。「同じような味の食品を食べ続けると、その味についてはまもなく『満腹』と感じるようになるが、別の味に移るとまたおいしく食べられる。さまざまな味を組み合わせた食事では、すべての味覚について満腹感が得られるまで食べ続ける結果、食べ過ぎてしまうことが多い」と、同博士は説明する。この説は、すでに数多くの研究で立証されているという。

カッツ博士によれば、このダイエット法を20人に12週間実行してもらったところ、平均7.3キロという減量効果が得られた。参加者の1人、ジョナサン・リンクさん(34)は身長175センチで体重が83キロあったが、この方法で9キロ減量。「2週目には、満腹感を容易に得られるなどの変化が現れた。夕食を食べ切れなくて残すようになった」という。リンクさんはその後も同様の食生活を続け、体重を維持している。

一方、ブラウン大で満腹感と味覚の関係を研究する専門家、ホリー・レイナー氏は、カッツ博士のダイエット法について「これまでに提唱された『アイスクリーム・ダイエット』、『スープダイエット』などに比べ、栄養のバランスや毎日の運動などにも重点を置いているのが特徴。健康的な食事と運動を心がければ、減量の効果があるのは当然とも言える」と指摘している。

怠惰でぜいたくな人間の欲望を満たしつつ、簡単に完璧なダイエットが可能な方法があるならば、こうして新しい本が話題になることもないような気がするが、やっぱり「もしかしたら、今度こそ」という期待もあって、次々と新手のダイエット法が注目を集めるのではなかろうか。健康法だとか健康食品などの流行とも通ずるものがありそうだ。

さて、この "The Flavor Point Diet"に関しては、まだ日本ではほとんど話題になっていないようだ。調べてみても今のところ、岩瀬コスファという会社の美と健康のバックナンバーにシカゴ発/AP 色々な風味を制限すれば太らないという翻訳記事が掲載されている程度だ。この中にある「典型的なアメリカ人の食事は“いろんな味の狂った不協和音”だ」という指摘にはうなずけるものがある。

基本的には、日々の食事で取る食品を決め、朝昼晩と同じ味のものばかり摂るようにすると、バランス良く食べるよりも早く満腹感が得られるということらしい。それが本当かどうか、ということに加えて、そんな食生活を継続可能なのかも疑問だが、長期間でみたらバランス良い食事となるようにしないと、ダイエット以前に健康を害するのではないか? という疑問もある。

この本(amazon)は、ハードカバー本の他にCDも出ているようだ。本家 Amazon.comに書かれた Descriptionには

Following "flavor themes," readers will learn how to artfully combine the right flavors and to separate the wrong ones in order to reach the Flavor Point- the moment at which they feel completely full and deliciously satisfied. They’ll find it takes less food?and calories?to turn off their brain’s appetite center?and they’ll enjoy weight loss that will last a lifetime.

With 6 weeks of menu plans, over 100 new recipes and dozens of tools on how to adapt the plan to one’s personal taste and lifestyle, here is a complete blueprint for using this scrumptious new method for life.

とあり、読者レビューも合わせてみると、カロリー計算などは不要だが、どんな食べ物を取り入れるか(flavor themes)については、それなりに勉強する必要があり、しかも適度な運動を取り入れる必要があるようだ。それにもちろん、決めた食事プランを守らなくてはいけないわけだから、さまざまな誘惑と戦う必要もありそうだ。ということで、もしかして、結構まっとうなダイエット法なのかもしれない。当然と言えば当然だろうけど、結局は自分の食事や生活を何らかの形でコントロールして実行する意志が必要ということらしい。

まあ、そのうち日本でも翻訳本が出版され、マスコミなどでも色々と紹介されることだろうから、とりあえずデービッド・カッツ博士の名前と本のタイトル "The Flavor Point Diet" を記憶しておこう。

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2006/01/27

工場の排気で風力発電

nikkeibp.jp(1/27)の記事。デンソー、工場から排出される風を利用した風力発電装置の運転を開始

デンソーは愛知県安城市の安城製作所内に、工場から排出される風を利用した風力発電装置を設置。24日から運転を開始した。

この風力発電装置は、安城製作所内のダイカスト工場のスクラバー(排気・浄化装置)から排出される風を利用して発電する。発電に汎用品であるデンソー製のオルタネータ(自動車用発電機)を活用したことにより、発電設備コストを低減できたという。オルタネータを活用した風力発電装置の設置は、昨年2月の善明製作所に続いて2機目。

工場から排出される風を利用することで、常時安定した発電ができる。自然風との併用も可能。発電能力は2kWで、安城製作所では来客ロビーや会議室の照明に利用する。

生産現場での省エネルギーへの取り組みは、既に行き着くところまで行き着いたなどと言われることもあるが、使えるものはとことん利用しようとすると、まだまだやれることはあるということだろうか。

この技術は、スクラバーからの排気ガスで風力発電をしようというものだが、なかなか面白い着眼点だと思う。考えてみると、スクラバーなどは、わざわざ電気を使ってブロワを回して工場内部のガスを外に排出しているわけで、その排気ガスの持つエネルギーを使って発電機を回してやろうという発想だ。

デンソーのニュースリリースを見ると、風力発電装置の図が載っているが、なんだか今一よくわからない。たかだか 2kW の小さな能力の割には大掛かりな装置であり、ランニングコストはともかく、初期投資は結構大きいものとなりそうな印象だ。

昨年稼動したという善明製作所の風力発電について、こちらに載っているが、なるほど、これだと風力発電装置の概要がわかる。垂直方向の回転軸を持っていて、回転する翼の形状がちょっと変わっているようだ。実物の写真がこちらで見られるが、こんな形状の羽根で効率良く風を受けられるものなんだ。。

工場内には、有害ガスや粉塵などを処理するための局所排気などの吸引設備や、各種装置の排ガスを処理するための排ガス浄化設備が多々設置されている。その機能を十分に発揮するためには、それなりの能力を持った排気設備が必要で、結果として結構な勢いで排気ガスが放出されているはずだ。これを、ブロワの排気抵抗とならないように、うまく受け止めて発電に使用できれば、確かにトータルとしては効率的となりそうだ。

今回のリリースを見ても、発電設備がスクラバーの排気ガスをどのように受け止める構造になっているのかよくわからない。自然風との併用が可能、とのことだが、自然風は時々刻々と方向を変えるわけで、スクラバーの排気との関係はどうなっているんだろう??

今回の設備は発電機を作っている会社が設置したものだから、テスト的な側面や広告的な側面もあり、当面はコストは度外視といったところかもしれない。とはいえ、技術面が進歩して、さらに設置方法などを工夫すれば面白い存在になるのではなかろうか。近い将来の工場では、太陽光発電や風力発電をするのが常識ということになるかもしれない。

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2006/01/26

光を通すコンクリートブロック

Fujisankei Business i(1/26)の記事。光とおすコンクリート、住田光学ガラスが国内で製造・販売

 光をとおす不思議なコンクリートが、日本市場に登場する。光学ガラスメーカー大手、住田光学ガラス(さいたま市浦和区)が、ハンガリーのリトラコン社(本社・ブダペスト)と提携し、同社社長で建築家のアロン・ロソンチ氏(28)が開発した光をとおすコンクリート「リトラコン」を日本国内で製造・販売する。住田光学ガラスは今年度から事業化に乗り出し、初年度は二億-三億円の売り上げを見込んでいる。

 これまで、光をとおし、映像情報の伝送もでき、耐火性や耐水性、遮音性に富み、建築躯体にも活用できる建築材料はガラス以外になかった。ロソンチ氏は、数年前からコンクリートに数十万本の光ファイバーを埋め込んで光をとおすコンクリート壁の実現を考案し、実験を重ね「リトラコン」を開発した。光ファイバーに住田光学ガラスの製品を用いたことで開発に成功したという。

 サイズは百-一千ミリ角で、厚さは十ミリ-数メートルまで製造できる。見た目にはふつうのコンクリートと同じだが、自然光や電灯をとおす。障子のように影絵のような表現も可能で世界の注目を浴びている。

残念ながら、住田光学ガラスのホームページには今回のニュースは載っていないのだが、この会社の注目技術の紹介を見ると、蓄光ガラスだとか磁性ガラスなど、ちょっと面白そうなガラスが並んでいて、とても興味をそそられる。どうやら非常に技術力が高く、しかもユニークな製品を作り出す会社のようだ。

ハンガリーのLiTraCon社のホームページで探すと、この建築ブロックの他にも、同じ素材を使ったランプシェード?もあるようだ。この会社はこのアイデアを思いついた建築家の Aron Losonczi氏が自ら作った会社らしい。

この LiTraConという透光性コンクリートについては、2004年のoptics.orgで紹介されているが、日本でもここここなどで、結構以前から紹介されていたようだ。強度も十分に備えているようだから、アイデア次第で、さまざまな装飾的な使い方ができそうだ。冒頭の記事にも書かれているが、裏側に光源を仕込んでおけば、光を放つ床とか壁なども作れるわけで、結構インパクトがありそうだ。

原理的には平行に並べた多数の光ファイバを通して光が透過するということで、テレビ石と良く似ているが、光ファイバーの太さや本数などの最適化や実際の製造方法などがポイントとなりそうだ。ちなみに、テレビ石は、富士宮にある奇石博物館で実物を見たことがある。

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2006/01/25

去年の地球は暑かった

YOMIURI ONLINE(1/25)の記事。地球の平均気温、昨年は観測史上最高…NASAが分析

 米航空宇宙局(NASA)は24日、昨年1年の地球の平均気温が19世紀末以来、最高だったとする観測値の分析結果を発表した。

 この分析結果は、世界の全観測地点の平均値や陸と海の平均値などの計算に基づくもので、それによると、これまで最高だった1998年を0・02~0・04度上回った。平年値との比較では0・58~0・75度高く、約14・5度になる。

 98年の暑さは、強力なエル・ニーニョ現象が気温の押し上げに作用したが、昨年はエル・ニーニョの影響がないにもかかわらず、気温が高かったことが特徴的だという。また、平均気温の高い上位5位までに、02年から昨年までが連続して入り、温暖化傾向が進んでいることを改めて示した。

ということで、気温上昇のニュースは今さら特に驚くものでもないのだが、この冬は日本だけでなく、ロシアやヨーロッパでも大寒波が襲っているということで、平均気温の変化とは別に、年間の気温変動とか地域差などについての情報が載っていないか見てみることに。

その前に他紙を見てみると、NIKKEI NETには地球の05年平均地表温度、観測史上最高に・米NASAというニュースが載っているのだが、タイトルや本文で「地表温度」という言葉が使われている。「地表温度」は陸地の表面温度のことをさすのかと思ったが、この場合には海の温度も計算に組み込まれているので、どうやら日経新聞は「地球表面温度」の意味で使っているようだ。。

NASAの発表したリポートは、GISS Surface Temperature Analysis - Global Temperature Trends: 2005 Summation -というもの。ここにはこの100年の平均温度のトレンドのグラフや、地球上のどの地点の温度が高かったのかを示す地図、さらには季節別、地域別の温度変化を示す地図が掲載されており、英語の本文を読まなくても楽しめる。

読売の記事にあることも含めて改めてまとめると

・2005年は過去120年で年間全地球平均温度が最も高かった。
・従来最高だった1998年はエルニーニョの影響が0.2℃程度含まれていた。
・1975年頃まで平均温度は上下しながら徐々に上昇していたが、それ以降は0.2℃/10年の速度で急激に上昇している。
・この温度上昇は低緯度地域よりも北半球の高緯度地域、特に北極圏で顕著である。
・エルニーニョの年は低緯度地域の温度が高くなるので、1998年と2005年は傾向が大きく異なる。
・エルニーニョは約4年周期で起きており、次は2006年か2007年に起き、かなり暑くなるのではないか。
・過去50年間の温度変化を季節・地域別に見ると、アラスカやシベリアの冬季の温度上昇が顕著である。
・この結果からも、都市部の局地的な温度上昇とは無関係に地球温暖化が起こっていると考えられる。

といったところか。これらのデータからは平均気温の上昇傾向は極めて顕著だけど、期待していたような、夏は益々暑く、冬は益々寒くなっているという傾向は見えないようだ。むしろアラスカ、シベリア、および南極で冬季の気温が上昇している傾向が見えており、今年の北半球の寒波はまた別の現象と考えた方がよいかもしれない。

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2006/01/24

『「白い光」のイノベーション』

サブタイトルは「ガス灯・電球・蛍光灯・発光ダイオード」で、主として産業革命以降の照明技術の進歩を技術史として語る本である。帯には「人と明かりの50万年、太陽の光にできるだけ近い無色透明な光を手に入れるために人類が積み重ねてきた創意工夫と試行錯誤」とあり、なんと50万年前にまでさかのぼってしまうらしい。

朝日選書 790
 「白い光」のイノベーション ガス灯・電球・蛍光灯・発光ダイオード
 宮原 諄二 著 bk1amazon

第1話では、本書を通して流れる主題の一つである「白い光」とは何かについて、物理学および生物学の面から解説し、第2話では、人類の文明の歴史を追いかけ、明かりの役割や変遷について概観している。そして、第3話以降は、サブタイトルにあるそれぞれの照明技術について詳しく述べるという構成となっている。

全体として、かなりすっきりと読み終えることができた。ともかくとても読みやすい本である。何よりも著者の主張したいことがきちんと整理されており、それぞれの時代背景を含めて非常にすっきりと頭に入る点がありがたい。

さて、本書は「白い光」を追い求めて発展してきた、照明技術の変遷を解説するという側面と同時に、照明を例にして、新しい技術がどのように開発され浸透したのか、というイノベーションやパラダイムシフトについての著者の論説となっている。

確かに、ガス灯、電球、蛍光灯、発光ダイオードというのは、実用化された時間の順番に並んでいるけど、技術的には決して連続したものではなく、それぞれが全く別の原理で光を放つものである。ということで、例えばガス灯から電球へ、電球から蛍光灯へ、という移り変わりの時期には、技術的に大きな飛躍が起こっており、この段階の開発の経緯を詳しく見ることで、それぞれのイノベーションがどのように起こったのかを知り、そこから多くのことを学ぼうという趣向である。

ガス灯が実用化される段階では「原料のくびき」が足かせとなり、白熱電球が実用化される段階では古い技術の最後の輝き「帆船効果」との闘いがあり、蛍光灯の実用化段階では大企業の研究所によって「リニアモデル」による開発が進められ、そして白色発光ダイオードの開発では「辺境効果」により日亜化学が勝者となった、という具合である。

著者のものの見方が絶対的なものとは思わないが、なかなか説得力のある説明であり、勉強になった。他にも、インベンションは必ずしもイノベーションにはつながらないことや、セレンディピティの話、あるいはエジソンが決して純粋な発明家ではなく、優秀な技術開発者であると同時に先進的な起業家であった話や、初期の蛍光灯開発競争の様子などの興味深い話が満載である。

ということで、本書は個別の照明技術、およびその変遷について興味のある人はもちろん、より一般的な技術イノベーションについて考えたい人にもお勧めしたい。特に、いわゆる企業の製品企画や研究企画部門の副読本として、若い研究者などが、今自分が行っている仕事が全体の中でどんな位置付けにあるのか、なんてことを考えながら読むと良いかもしれない。

敢えて難を言えば、本書の特に化学面の記述で、いくつかの間違いや不具合が見られることだろうか。

 ・p.94他の何ヶ所かで、希土類元素のNdを「ネオジウム」、Prを「プラセオジウム」と表記しているが、正しくはそれぞれ「ネオジム」「プラセオジム」である。これはかなりよく見られる間違いではあるのだが、やはりこの手の本では正しく表記して欲しい。ちなみに英語では "Praseodymium"、"Neodymium"となる。

 ・p.97に「ブンゼンとキルヒホフは1860年には希土類元素のセシウムを、1861年にはルビジウムを発見している。」とあるが、どちらもアルカリ金属元素であり、希土類元素ではない。セリウムとセシウムを取り違えたのだろうか?

 ・付録として巻末に掲載されている周期表が、「IA属、IIA属、IIIA属、・・・」と表記されているかなり古いタイプの周期表である。現在は1族から18族までの数字で表すことになっている。例えば文部科学省の一家に1枚周期表のようなタイプである。

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2006/01/23

100万年前の氷に到達間近

YOMIURI ONLINE(1/23)の記事。あと2m…最古の氷採取へ、南極観測隊が最後の挑戦

 最古の氷の採取を目指す第47次南極地域観測隊の氷床掘削作業が、深さ3028メートルを突破した。

 掘削期限の23日深夜(日本時間24日未明)にかけ、あと2メートルの岩盤到達に向け最後の挑戦を行う。

 観測隊は2003年12月から、標高3810メートルのドームふじ基地でドリルによる掘削を開始。南極の夏にあたる2か月間、直径9・4センチ、1回ごとの長さ3・8メートルの棒状の氷を切り出し続けた。採取した最深部の氷は100万年前のものである可能性が高い。氷は4月中旬、南極観測船「しらせ」で日本に到着。研究グループが氷に閉じこめられた火山灰や気泡を分析、太古の地球環境に迫る。

 南極では、1998年にロシアチームが深さ3623メートルの42万年前の氷を、欧州チームが2004年に深さ3270メートルの80万年前の氷を採取している。氷の年代は掘削場所の条件によって変わり、おわん形の氷床の頂上にあるドームふじ基地の直下深さ3030メートルの岩盤付近に最古の氷が残っていると考えられていた。

 氷の分析を行う国立極地研究所の藤井理行(ふじいよしゆき)所長は「未知の微生物の発見や太陽活動の地球環境への影響分析が期待できる。古い時代の気候を知れば、将来予測にも役立つ」としている。

南極の氷の中に閉じ込められたガスや微粒子などを分析することで、地球の過去の様子を調べる手法については、地球温暖化の証拠データのひとつとして紹介されることもあり、何度か見聞きしたことがある。しかし、日本の観測隊が現在南極で100万年前の氷を掘り出す作業をしているのは知らなかった。

この記事によると、目標の3030mに今晩にも到達するようだが、これが掘削期限とのことだから、今期の掘削の最終日にギリギリで目標到達ということらしい。

南極観測のホームページには、あまり有用な情報が載っていないのだが、南極ドームふじ基地へ向け、雪上車隊7名昭和基地を出発によると、この氷床掘削チームは2/10頃に昭和基地に戻り、3/28に成田に到着予定とのことであり、そろそろ今シーズンの作業については店じまいの時期のようだ。

今回の氷床掘削については、南極氷床深層掘削計画に最新の情報も含めていろいろな情報が掲載されている。例えば、ドームふじ観測拠点を見ると、今回の掘削地点は、深さは従来の記録よりも浅いけど、最も古い層に到達できる理由が理解できるし、氷期-間氷期サイクル発現の謎に迫るでは、100万年前のサンプルが入手できることの意義が説明されている。もっとも、100万年という年月はとてつもなく長いとも言えるけど、地球の歴史から見れば、ほんの最近とも言えるわけで、そんなものか、という感じもする。

ここの最新情報を見ると、途中までは1日に20m以上の速度で掘削していたようだが、ここのところは1日に数mの速度となっている。さすがにここまで進むと色々と大変なのかもしれないが、最後の2mを無事に掘りぬいてもらいたいものだ。

この氷は、もともとは降り積もった雪の塊なのだが、下部では自分自身の圧力によって気泡を含む氷になり、さらに深部では含まれるガスが氷と結合して、クラスレート・ハイドレートという結晶となっているとのこと。掲載されている写真を見ても、予想と異なり極めて透明度の高いきれいな結晶が得られるようだ。

関連情報としては、明日への道しるべ@ジネット別館がわかりやすく、よくまとまっている。(ふーむ、今や南極の氷もネットで買えるんだ。。) また、南極観測隊の隊員さんのペンギンさんの南極日記も、幅広い情報が集積していておもしろそうだ。

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2006/01/20

ニューホライズンズとプルトニウム電池

CNN.co.jpの(1/20)の記事。冥王星探査機の打ち上げ成功 到達は10年後

 米航空宇宙局(NASA)は19日午後2時(日本時間20日午前4時)、フロリダ州ケープカナベラル米空軍基地から太陽系の第9惑星、冥王星に向けて無人探査機「ニューホライズンズ」を打ち上げた。冥王星に到達するのは約10年後になる見通しだ。

ニューホライズンズはアトラス5ロケットで打ち上げられ、約43分後にはロケット切り離しに成功した。打ち上げは当初17日に予定されていたが、強風と電源異常のため2回にわたり延期されていた。

ニューホライズンズは、69年にアポロ11号で3日間かかった月を、約9時間後に通過。約1年後には木星の重力を利用して、時速7万5600キロまで加速する。世界初となる冥王星探査では、本体だけでなく、衛星や外側の小惑星帯カイパーベルトなどを観測する計画だ。

太陽から遠く離れると太陽光発電が使えないため、ニューホライズンズにはプルトニウム電池が搭載されている。打ち上げが失敗した場合の環境汚染を懸念する声も上がったが、NASAは「事故でプルトニウムが漏れ出す確率は620分の1にすぎない」と、安全性を強調していた。

ということで、無事に地球から冥王星に向けて旅立ったようだ。それにしても、月まで9時間というのはものすごいスピードだ。探査機の名前の「ニューホライズンズ」を目にして、思わず中学校の英語の教科書を思い出してしまったが、あちらは NEW HORIZON(まだ同じ名前で出ている!)だが、こちらは複数形の New Horizons である。Horizonといえば「水平線」と覚えていたので、複数形はおかしくないか? と思って調べてみると、複数形の horizonsに は知識の限界といった意味があるようだ。

Wikipediaのニューホライズンズを見ると、月と木星までのスピードはやっぱり最速で、木星には13か月で到達するのだが、それでも冥王星までは9年半掛かるとのことで、冥王星はとっても遠い。。

CNNの記事で気になったのは、プルトニウム電池搭載の件。事故でプルトニウムが漏れ出す確率が 1/620 というのは、結構大きい数字だと思うんだけど、これで関係者は納得したんだろうか?(場合によっては我々だって関係者と言えなくもないだろうけど。。)

そもそもプルトニウム電池って何? 時々聞くけど、実は原理や構造は知らなかったので、ちょっと調べてみると、原子力百科事典の原子力電池には、図も掲載されており説明もわかりやすい。今回のプルトニウム電池は、238Puを主とする燃料から発生する熱を熱電対で電気に変換するもので、構造も相当にシンプルのようだ。通常の化学電池や太陽電池とは全く異なる原理と構造であり、電池と呼ぶのもちょっと抵抗を感じる。

調べてみると、NASAの土星探査機カッシーニは、スイングバイのために1999年の8月に地球に接近したのだが、その際に事故を起こし、搭載するプルトニウム電池から放射線が地球に降り注ぎ、ノストラダムスの予言が現実になる!と騒いでいた人たちが沢山いたらしい。。

で、NASAの公式ホームページNEW HORIZONSを見ると、このプルトニウム電池についてはPOWERのページに詳しい説明が載っている。ここに掲載されている資料を見ると、今回の電源は RTG(Radioisotope Thermoelectric Generator)と呼ばれていて、電池とは呼んでいないようだ。JAXAの資料によると、ニ酸化プルトニウムを11kg搭載しているとのこと。

問題の事故確率については、Final Environmental Impact Statement (Vol. I)にまとめが掲載されているが、ざっと見たところ、打ち上げ時にプルトニウムが大気中に漏れ出す事故の起こる確率が1/620で、その時に最大の暴露を受ける人の暴露量が0.3レム、暴露集団の発がん致死率の増加が(百万分の?)0.4とのこと。この調査では、他のケースも計算しており、トータルでの事故確率は1/300となっている。詳細は見ていないので、読み間違っているかもしれないが、思ったよりも事故時の放射線による被害が小さい気もしないでもない。

カッシーニの際に大騒ぎした人の資料を見ると、プルトニウムによる被害をいわゆる(吸入)毒性で評価し、全てのプルトニウムを均等に致死量分ずつ摂取させた場合の死者を求めているらしい(計算が桁違いに間違っているような気がするけど)。 一方、このNASAの計算は大気中に飛散したプルトニウムからの放射線暴露による発がんで計算しているようだ。(参考:プルトニウムの毒性) まあ、どういう事故を想定し、どういう暴露経路を想定するか?という問題であり、その事象が起こる確率をきちんと計算して評価するのであれば、どんなにありえそうもない事態を想定しても構わないわけだが。。

それにしても、数百分の一の事故確率って結構高い。スペースシャトルの打ち上げ失敗確率は実質1/50(114回中2回の爆発事故)だから、それに比べれば相当に低いと言えなくもないのだが。。

ちなみにプルトニウム(Plutonium)の元素名の由来は冥王星のプルート(Pluto)とのこと。

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2006/01/19

243回目の献血

前回12/16以来、34日ぶりの献血。今回は、前からちょっと気になっていたかわさき献血ルームを初体験。何と言っても、ここはホテルの中にある献血ルームということで、全国でも非常に珍しいのではないだろうか?

日航ホテルの中ということだし、去年の8月にオープンしたばかりということだから、きれいで、静かで、落ち着いて、広々として、といった予想をして出掛けたのだが。。 最初にホテルの入口から中に入ってみたのだが、それらしい案内も出ていないし、ちょっと違いそう。ということで、あたりをウロウロしてみると、ホテル入口の隣に入口があって、中に小さなショッピングモールのようなものがあり、その2階に献血ルームがあった。確かに、川崎日航ホテルと同じビルの中にあるけど、ホテルとは入口も別で、何だか狭い路地裏みたいな所だし、だまされたような気がしないでもない。。

で、献血ルーム自体もかなり狭い作り。ベッドは全部で10台ぐらいだろうか、ベッド間隔もかなり詰まっていて、献血中もちょっと落ち着かない感じがする。

受付に貼り紙があって、現在は400ml献血と血小板成分献血のどちらかをお願いしており、血漿成分献血は原則として行っていないとのこと。どうやら、血漿は足りているってことらしいの。ということで、今回も血小板成分献血を行うことになった。今回も、右腕で検査、左腕で献血。昔は毎回腕を変えたり、別の場所に針を刺してくれたりしてたのだが、最近は、ほとんどの人が、ほぼ同じ場所から血を採りたがる。ちょっと困った傾向だが、どうやら、血管の出方や硬さから判断しているらしい。

驚いたことに、受付時に、アミノバイタル ハイポトニックチャージ 500mlペットボトルを1本渡され、これで水分補給をするように言われた。他の献血ルームと同様に、各種飲み物の無料自販機も置いてあるのだが、それとは別にペットボトルを渡されたのは初めてだ。

前回、みぞのくち献血ルームでは、採血前に生年月日と血液型を自己申告させられたが、ここではそれに加えて住所の番地部分も聞かれた。本人確認のやり方は、同じ神奈川県内でも統一されていないようだ。そういえば、何度も通っている相模大野の献血ルームでは、こういったことを聞かれることがなかったようだけど、常連さんについては顔と名前が一致しているせいなのだろうか?

今回のおみやげは、やはり選択の余地もなく、たきたてのごはん(200g×3個パック)と、前回と色違いの川崎市のシンボルマーク入りのクリアファイル。それに、川崎駅前地下街のマクドナルド専用のハンバーガー引換券が1枚ついてきた(2006/3/31まで有効)。

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2006/01/18

乳酸はエネルギー源だった?

日本経済新聞の1/18の夕刊コラム「からだのお話」に面白い話が載っていた。

乳酸の新しい常識 筋肉動かすエネルギー源

 乳酸には「疲労物質=悪玉」のイメージがつきまとう。「アスリートの敵」と呼ばれることさえある。だが、最近のスポーツ科学では、乳酸は筋肉を動かすエネルギー源と考えるのが新しい常識だ。運動時のエネルギー代謝を研究する東大の八田秀雄助教授は「敵どころか、アスリートは乳酸と友達になると強くなれる」と話す。

 乳酸は、激しい運動で手っ取り早くエネルギーが必要な時、速筋と呼ばれるタイプの筋繊維が糖質を分解して一気にエネルギーの元になるATP(アデノシン3リン酸)を作る際に発生する。

 そのため、糖の搾りかすと考えられがち。悪玉イメージもそれが理由か。中学生のころの保健体育では「老廃物の乳酸は血液によって肝臓に運ばれて処理される」と習った記憶もある。

 だが、今では乳酸の本当の役割が分かってきた。「乳酸は血液に出ても再び筋肉に入ってATPを作るために使われます」と八田助教授。

 乳酸をエネルギーに変えるのは、持久的な運動で活躍する遅筋と呼ばれる筋繊維。休むことのない心臓は遅筋の固まりだ。体の化学工場といわれるミトコンドリアが大量にあり、酵素を使って脂肪や糖からATPを常に作っている。

 ブドウ糖(グルコース)1分子から速筋は2個のATPしか作らないが、ミトコンドリアで完全に水と二酸化炭素に化学変化すれば、計38個のATPが得られる。

 乳酸を日常生活での疲労感の原因とする見方は根強いが、八田助教授は明確に否定する。「アスリートでもないのに、体にたまる乳酸を意識する必要などありません」

 日常生活では基本的に大量の乳酸が発生しない。階段を何階も上るような場合に乳酸が多く出ることもあるが、安静にして30分もすればなくなってしまう。翌日まで乳酸がたまって疲れが残るなどありえないという。

 慢性的な疲労の原因は、実は科学的にまだ解明されていないのだ。

さらに、ミトコンドリアでATPが生成される流れについての図が載っていて、これによると

  速筋: 糖 → ATP + ピルビン酸、 ピルビン酸 → 乳酸 (解糖系
  遅筋: 乳酸 → ピルビン酸
  ミトコンドリア: ピルビン酸(+酸素、脂肪)→ ATP+CO2+H2O (酸化系)

という流れのようだ。でも、ブドウ糖1分子から38個のATPが得られるってのは何か違和感ある表現だな。新聞記者が誤解しているのだろうか? この辺の反応回路はややこしそうだしなあ。(参考:クエン酸回路酸化系

ということで、従来の乳酸=悪玉という常識は既に古いらしい。ちなみにhealthクリニックの記載は従来の常識での説明のようだ。 Wikipediaの記述には、若干この新しい考え方が反映されているように見える。

東大の八田研究室には、この辺の話が載っているが、いかんせん文章が多すぎ。。 この先生、多くの本を出版したり、乳酸研究会を発足させたりと、かなり積極的な様子だ。

探してみると、NHKのためしてガッテンで、常識が覆る! クエン酸ホントの健康パワーという放送で乳酸の話を紹介しているのだが、その中に、2004年8月に雑誌Scienceに同様の主旨の論文が掲載されているようだ。この研究、探してみると 2004/8/20の Volume 305, Number 5687 に載ったもので、こちらで日本語の概要が読める。

どうやら、体内でのエネルギー生成の仕組みはまだまだわかっていないことが多いようだ。まあ、とは言え、別に従来から乳酸を減らすために何か特別なことをしていたわけでもないから、我々の日常生活への影響は特にないような気もするのだけれど。。 スポーツ選手の場合には、トレーニング法などへの影響があるのかもしれないが、「乳酸と友達になると強くなれる」というのは、具体的にどうするんだろうか? 興味があるな。。

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2006/01/17

ロハス的環境ホルモン学?

環境省の報道発表(1/13)で見つけた資料。「チビコト:ロハス的環境ホルモン学」ホームページ掲載について

 環境省は、月刊エコマガジン「ソトコト」(発行部数:約10万部)と協力し、2006年1月号別冊付録として「チビコト:ロハス的環境ホルモン学」を作成しました。チビコトの内容を「化学物質の内分泌かく乱作用に関するホームページ」(http://endocrine.eic.or.jp/)に掲載しましたのでお知らせします。ロハスという観点から、いわゆる環境ホルモンの問題を捉え直し、日々のライフスタイルに関する提言を行っています。

* ロハス(LOHAS:Lifestyles Of Health And Sustainability)とは、健康で持続可能なライフスタイルのことです。

○  ホームページの「チビコト:ロハス的環境ホルモン学」の主な内容は下記のとおりです。

英国における20年にわたる調査研究に関するレポート
自然現象としての「魚の性転換」についての専門家による解説
環境ホルモン問題とのロハスなつきあい方(提言)
ロハス的環境ホルモン行動学
専門家による対談
年表
用語解説

というもの。実はこの冊子については、中西準子さんの雑感327-2005.12.19「環境省も変わりましたね」でも、かなり好意的に取り上げられている。で、今回その冊子「チビコト」がインターネットから全文入手可能になったということ。

ソトコトはLOHASをキーワードとした雑誌。「ソトコト」とはアフリカ、バンツー語圏の人々の言葉で「木の下」のことで、「木の下には叡智が宿る」という意味をこめて誌名としたということだが、「チビコト」の意味や由来は不明。。

この雑誌は読んだことがないのだが、ウエブサイトを見た感じでは、安井先生がロハスの誤解とエコプレミアムでも指摘しているように、何だかイメージ先行で、本来の意味をちょっと勘違いしているような印象がある。そう言えば、これとは関係ないと思うが、この前 TVで、「LOHASのS(持続可能性)は、長持ちする商品を選んで使用することである」 と説明している解説者がいて、思いっきり脱力させられた。それはやっぱりちょっと違うだろうに。。

で、この冊子、チビコト:ロハス的環境ホルモン学を見てみると、ソトコトのロハスに批判的なコメントを述べている安井先生と、読売新聞の小出さんの対談「環境ホルモン問題からなにを学ぶのか?」(ここは前半だけだが、チビコトには全文掲載)が載っている。環境ホルモン騒動の発端から終息までの経緯、その間のマスコミおよび科学者の対応やその問題点などを率直に語り合っていて、結果論的な面もあるのだが読み応えがある。(実は昨年、とある市民講座で、小出さんのリスクコミュニケーションに関する講義を受けたのだが、考え方が論理的で、かつマスコミのあり方についても冷静で、とても面白く、参考になった。)

また、環境ホルモンで一時問題になった魚の性転換について、結局は下水処理場から出る微量の女性ホルモンが原因と判明し、それは結局人間の尿が排出源だったということや、魚の性は非常にフレキシブルに変わるということなどを結構詳細に紹介している。

ということで、ややイメージ先行で、環境系市民団体などに好まれそうな傾向のありそうな雑誌「ソトコト」の付録に、このように環境ホルモン騒動を冷静に見直す特集が載ったことに意味がありそうだ。

ただ、それ以外の部分にはやや疑問もある。そもそも「ロハス的環境ホルモン学」というタイトルが良くわからないのだが、

 環境ホルモン問題とのロハス的なつきあい方
  1.慌てず、騒がず、冷静に「情報を探る」
  2.自分のなかに「判断基準」をもつ
  3.「行動する」ことで積極的に関わる
  4.ほんとうの「心地よさ」にこだわる

というのも、パッと見は好印象だけど良く考えてみると、3や4は環境ホルモン問題の付き合い方としてはちょっと違う感じもする。。

また、「ロハス的環境ホルモン行動学」として、洗面所、台所、お風呂場で使用する洗剤や容器の選び方や使い方などの注意事項が具体的に書かれている。ところが、例えば良く落ちる洗剤は環境にも強い影響があるとか、消臭するなら備長炭、芳香剤なら天然のハーブだとか、これは環境ホルモンとは関係ないんじゃないの? というものもチラホラと含まれていて、ちょっと混乱を招きかねない。何というか、無理やり環境ホルモンにこじつけたような印象もあるし。。

もちろん、環境に負荷を与えないライフスタイルを心掛けよう、という趣旨には賛同したいのだが、それを「環境ホルモン行動学」と名付けてしまうセンスはどうだろう? 環境への影響や持続可能性を考えるのであれば、環境ホルモンという特定の成分をさす用語(しかも科学的には既に意味不明の用語だろうし)を使うのは何か変だし。。

まあ、「環境ホルモン学」だとか「環境ホルモン行動学」なんて変な用語が市民権を得て広く使われたりしないことを祈ろう。。(でも、そもそもこの冊子の制作には環境省が関わっているんだよな・・・)

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2006/01/16

味覚修飾植物ミラクルフルーツ

MSN毎日インタラクティブの記事(1/16)から。ミラクルフルーツ:錠剤で甘み「偽装」 研究家らが加工法を開発

 酸っぱい物を食べても甘く感じさせる不思議な果物「ミラクルフルーツ」をタブレット(錠剤)化する技術を、愛知県知多市の味覚修飾植物研究家、島村光治さん(31)が台湾の園芸企業と共同で開発し、15日から販売を始めた。「糖分が制限されている糖尿病患者などに生かしてほしい」と話している。

 ミラクルフルーツは、西アフリカ原産の1~2センチの木の実。この実自体に味はないが、口の中で転がした後、レモンや酢など酸味のある物を食べると強い甘さを感じる。成分の「ミラクリン」が酸味と反応して、舌先の甘みを感じる器官を刺激するためという。安全性に問題ないとして、国の添加物認可を96年に受けている(現在は、対象製品がないとして削除された)。

 島村さんは、ミラクルフルーツの人工栽培技術を確立した第一人者。実は傷みやすく、数年前から台湾企業と錠剤化の研究を進めてきた。錠剤は、直径約1センチ。収穫した実から種を取り、氷点下20度以下で乾燥、粉砕して作るという。

 薬ではないが、「体が欲する甘みを我慢しなくて済み、無理せずに糖分摂取が減らせるはず」と島村さんは説明。「日本味と匂(におい)学会」会長の山本隆・大阪大教授(味覚生理学)は「保存が難しかった実の成分を長持ちさせる製品化は画期的。手軽に活用する道が開けた」と話している。

 10粒入りで税込み3990円。問い合わせは島村さんのホームページ(http://shima.npo.gr.jp)。

というもの。ミラクルフルーツやミラクリンについては、以前 TV番組で見たことがあるような気がする。早速、島村さんのホームページを見てみると、確かにミラクルフルーツを始めとした味覚修飾植物について豊富な情報が載っているが、このニュースで紹介されている錠剤の販売については今のところ載っていないようだ。

ミラクルフルーツは結構有名なようで、楽天で検索してみるとこんな結果が得られる。なるほど、現状はミラクルフルーツの果実そのものを、生もしくは冷凍で販売しているようで、結構高価。 それにしても、かなりサプライジングな体験ができるみたいだ。 こちらのミラクルフルーツのお店を見ると、果実以外に、鉢植えの販売もしているようで、その気があれば自分で室内で育てて果実を収穫することもできるようだ。

甘みを感じさせる味覚修飾植物には、ミラクルフルーツ以外にもクルクリゴという植物があり、こちらの成分はクルクリンという名前だ。また、逆に甘みを感じさせなくする物質としては、ギムネマなどが知られているようだ。これらの植物がヒトの味覚をこのようにだますのは偶然なのか、それとも何らかの環境適応の結果なのか興味のあるところ。

ミラクリンの栽培やその味覚への影響については、手軽に実験できることもあってか、茨城県立佐和高等学校科学部による味覚修飾物質の研究味覚修飾物質の研究2なども見つかったが、何だか楽しそうだ。

ところで、島村さんのサイトは、味覚そのものについての情報も含めてなかなか充実しているのだが、実は一番驚かされるのは島村さん自身の経歴かもしれない。高専の電気工学科出身で、現在は日本ガイシ(株)の事業部に勤務しているようで、出身学科も仕事内容も全く植物とは無関係だ。ということは、この味覚修飾植物の研究は趣味ということになるのだろうか? 相当の頻度で学校などででの講演会を行っているようだし、サラリーマンの副業とは信じられない内容である。。 世の中には何ともすごい人がいるものだ。

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2006/01/13

「日本語テスト」をやってみた

MYCOM PC WEBのニュース(1/12)から。ジャストシステム、日本語テストを実施 - 予想に反した結果も

ジャストシステムは12日、漢字や仮名づかい、敬語、文法、手紙の表現など日本語のレベルを簡単に調べることができる「ATOK presents 全国一斉!日本語テスト」を期間限定で開始した。問題は「『危機いっぱつ』の正しい書き方は、どっちでしょう。」(例題)などといったもの。回答は選択式で、最近ゲームソフトでも人気の、脳のトレーニングに似た感覚で楽しむことができる。

同社は2005年12月に同じテストをWeb調査方式で実施しており、プレテストは以下のとおりに行われた。

内容:漢字力、表記力、文法、敬語、手紙の常識、語彙力を問う多肢式30問
問題作成:『明鏡国語辞典』編集委員の鳥飼浩二氏
全回答人数:首都圏に住む10~50代の男女1,037人(男性49.9%、女性50.1%)
プレテスト結果では、慣用表現の誤用は、10代~20代の方より、40代~50代の方が多かったとされる。敬語は20~30代の社会人、現代かいによる読み書きは10~20代の学生が得意とし、上の世代が逆に不得意とするなどの構図が浮き彫りにされた。

総合平均点 59.6点(男性58.8点、女性60.4点)

ということで、ここのところ日本語がブームとなっているようだが、悪いことではないだろう。自分の実力を知るにはチャレンジするのが一番、ということで、ATOK presents 全国一斉!日本語テストを試してみた。

結果は、67点「ふつうです」。寸評は「ボキャブラリーを増やそう。」だった。30問中21問が正解だったのだから70点でも良さそうなものだが。。 もう少しいい点が取れるかと思ったけど、問題がちょっと非実用的だったせいではなかろうか、と言い訳してみたりして。。 

具体的にコメントしたいところだが、ネタバレになるので控えておく。まあ、敬語は比較的簡単だったかな? 話の種に一度チャレンジしてみては如何だろう? 期間限定で2/28までらしい。

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2006/01/12

植物はメタンの発生源?

オーストラリアのABC NEWS ONLINEの記事。Scientists question trees' role in global warming

Until now, the mainstream belief is that atmospheric methane chiefly comes from bugs: from bacteria working in wet, oxygen-less conditions, such as swamps and rice paddies.

But in a study published in the journal Nature, a team led by Frank Keppler of the Max Planck Institute in Germany has found living plants, dried leaves and grass emit methane in the presence of air.

Nor is this gas just a piffling amount.

The researchers roughly estimate the world's living vegetation emits between 62 and 236 million tonnes of methane per year, and plant litter adds one to seven million tonnes.

This would be equivalent to between 10 and 30 per cent of all annual global emissions of methane.

内容はなかなかセンセーショナルで、植物(森林)は、二酸化炭素を吸収してくれることから地球温暖化対策の切り札の一つと考えられていたが、実はかなり多量のメタンの発生源となっているのではないか、というもの。

これが本当であれば、森林を吸収源として認めている京都議定書の枠組自体が揺らいでしまう、というとんでもない結果を招く可能性もあり、かなり重要な話である。しかも、このニュースソースは、ドイツの Max Planck研究所のチームが Natureに載せた論文(最近はこの手の雑誌に載った論文も無条件に信用できないらしいけど)であり、それなりに真剣に考慮する必要がありそうだ。

このニュース、他にもBBC NEWSなど、イギリス、オーストラリア、ニュージーランドなどでは取り上げられているのだが、何故か日本やアメリカのマスコミには今のところほとんど取り上げられていないようだ。。

Natureの論文は、購読権があればこちらから読めると思うが、ネイチャージャパンのサイトを見たら、日本語のアブストラクト、植物 : 植物はメタンをまき散らして地球温暖化に加担しているが掲載されていた。(無料登録すると読める) 一部引用すると、

大気中の温室効果ガスのかなりの部分は植物が原因だとわかった。植物が放出するメタンは、年間発生量全体の実に10~30%に相当するらしい。

 この発見は意外なものだ。それは、植物がメタンを生成するのは酸素がない条件下のみであると考えられてきたからである。今回F Kepplerたちは、酸素の存在する普通の条件下でも、さまざまな植物がメタンを放出していることを見いだした。また、メタンは枯死した植物体からも出ているという。(中略)

 今回の発見は、熱帯雨林上空に見られる大規模なメタン上昇流を説明できるかもしれない。Kepplerたちはまた、地球上の急速な森林破壊が大気中のメタン蓄積速度低下と関連しているのではないかとも考えている。「新たな森林は、CO2の吸収源として地球温暖化を抑止するのではなく、メタン放出によってかえって温暖化を促進するのではないかという不安を我々は抱えることとなった」とLoweは述べている。

というものだ。今回の研究は、実験室での実験によって植物からのメタンの放出量を測定したもので、冒頭のABC Newsによると
The evidence comes from a series of carefully controlled experiments in the lab and in the field, in which gas chromatography and sensors to monitor carbon-13 isotopes detected and measured methane flows from the vegetation. (中略)

Levels of methane were "very temperature sensitive," with concentrations approximately doubling with every 10 degrees Celsius rise in temperature in a range between 30 degrees and 70 degrees, a phenomenon that suggests that breakdown by enzymes is not the cause.

とあり、植物のメタン放出は非常に温度に敏感だし、測定が非常に難しく、地球全体での寄与は極めて大きいものの、個々の植物が放出するメタンは非常に少ないということで、この現象は今まで見つかっていなかったらしい。

このニュースなどを見る限り、メタンがどういう過程で放出されるのかといったメカニズム面が全く書かれていないことや、いろんな理由があるにしても、そもそもこんな重要なことが今まで見過ごされていたなんてことがありうるのだろうか? という疑問もある。

また、過去の地球の大気組成の変化などの地球の歴史についても、最近は随分と明らかとなってきており、二酸化炭素やメタンの大気中の濃度変化も従来の説でそれなりに説明されているはずである。もしも植物が多量のメタンを放出するのが本当だとすれば、根本的な見直しが必要となってしまうだろう。。

まあ、どちらにしても人為起源のCO2の排出量が大幅に増えていることや、大気中のCO2濃度が実際に増大していることは事実なのだが、この話の真偽次第では

  「温暖化防止のためには森林を伐採するべきだ!」

と主張する新しいグループが出現して、地球温暖化対策の議論は今後ますます混迷を深めそうな予感もしないではない。。。

今後、この研究がどのように扱われるのか注目する必要があるだろう。重要度からみて、沢山の追試が出てくるだろうとは思うのだが。。

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2006/01/11

ラゲッジハンドル

日経新聞の1/11夕刊の「持っていこうよ」というコラムで見つけた製品。

荷物の移動楽なハンドル

 上部より持ち手を引き出し、ケース本体を斜めにしてから運搬開始。持ち手と底部に車輪のあるスーツケースやキャリーケースは、簡単便利に移動できる。

 そして、その機動性を高めるのが「ラゲッジハンドル」だ。引き出した持ち手に取り付ける、360度回転するハンドルである。米トラベルトゥ社が開発したもので、構造は画期的。

 通常、ケースから引き出した持ち手は、地面と平行位置で固定される。すると地面の傾きや凹凸の影響が、持ち手を握る手首に伝わり少なからず負担となる。このラゲッジハンドルは、回転するため手首の角度にあった自然なポジションで握れる。同時に移動中の安定性が増し、急なカーブで転倒するアクシデントを防げる。小回りが利くで、方向転換もスムーズだ。

 ハンドルは、人間工学に基づいたデザインで握りやすく、素材は頑丈な強化樹脂製。部分的にラバー部品を使い、手に良くなじみ滑りにくい。取り付けは、伸縮する二本の面ファスナーで行い、ほとんどのスーツケースとキャリーケースに装着可能。また、荷物を預ける際に邪魔にならないよう、ハンドルは付属のストラップでケース本体に密着させておける。(後略) (ライター 鶴田 靖男)

というもので、3,675円とのこと。頑張って説明してくれているんだけど、さすがに写真とか絵がないとどんなものなのかイメージできない。ネットを探して見つけたのが、これ。なるほど、こういうものなのね。これは便利かも。ネットを検索してもほとんどヒットせず、楽天やアマゾンでもみつからなかったので、まだ日本にはほとんど出回っていないものかもしれない。

アメリカで検索してみると、eBayAmazon.comで見つかるから、アメリカではそこそこ売れているようだ。価格は15$前後。直輸入なら安く入手できそうだ。他にも探してみたら、開発元のTravelTow社のホームページに詳しい説明が載っていた。

このハンドルの使い心地はどんなものなのだろう? 水平方向には360度回転するようだが、地面に対する傾斜角が固定されたままとなりそうなのが気になる。カーブを楽に曲がることができるというのが一番大きなメリットということかもしれない。日経のコラムには、「いつものスーツケースが、新感覚の使い心地になるから不思議だ。」とあるが、一度体験してみたい気がする。

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2006/01/10

植物性乳酸菌とは

NIKKEI NETの新製品情報(1/6)から。カゴメ、植物性乳酸菌飲料に参入

 カゴメは5日、乳酸菌飲料「植物性乳酸菌 ラブレ」を3月14日から全国発売すると発表した。動物性乳酸菌より胃や腸内での生命力が強い植物性乳酸菌のラブレ菌を使用した。2006年にラブレ向けだけで35億円の広告宣伝費を投入、初年度100億円の売り上げを目指す。

 現在カゴメの乳酸菌飲料は動物性のみ(年間売上高約60億円)だが、今後は植物性乳酸菌飲料に軸足を移す。野菜や穀物を発酵させて漬物などを作る植物性乳酸菌は酸に耐性があり、ミルクを発酵させチーズなどを作る動物性乳酸菌よりも胃や腸内での生命力が約十倍強いという。整腸作用や免疫力向上などが期待されている。

 ラブレは130ミリリットル(105円)、80ミリリットル3本パック(170円)、100ミリリットル(宅配用・オープン価格)の3種類。130ミリリットルは関東や中部など一部地域のコンビニエンスストアで2月14日から先行発売する。

ということで、FujiSankei Business iには、製品の写真やもう少し詳しい情報も掲載されているのだが、乳酸菌に動物性と植物性の違いがあったとは知らなかった。乳酸菌は菌なのだから、動物性だとか植物性だとかの区別もなかろうに、と思い調べてみることに。カゴメ株式会社のニュースリリースによると、
野菜や穀物など植物性素材を発酵させて、漬物や味噌を作る乳酸菌を「植物性乳酸菌」、乳など動物性素材を発酵させてチーズやヨーグルトを作る乳酸菌を「動物性乳酸菌」と呼んでいます。
と書かれており、同じ乳酸菌でも栄養分を動物から取るのか植物から取るのかの違いのようだ。Wikipediaによると、乳酸菌とは、それぞれかなり性質が異なる数種類の菌類の総称だったようだ。で、今回のラブレ菌については、カゴメのリリースには
正式名称は、「ラクトバチルス ブレビス サブスピーシス コアギュランス」であり、通称を「ラブレ菌」と言います。乳酸菌の中の「乳酸桿菌(にゅうさんかんきん)」に属し、棒状の形をしています。「すぐき漬」という漬物から発見された菌であり、酸や塩分に強く、胃液や腸液に耐えて「腸で生きぬく力が強い」のが特長です。
とある。ちなみに、すぐき漬は京都の伝統的な漬物で、すぐき菜という蕪の一種を原料にしたこんな奴らしい。

また、加齢と共に腸内の善玉菌(ビフィズス菌)が減少し、悪玉菌(ウェルシュ菌)が増えるので、大人は善玉菌を増やす必要があり、そのために腸内で生存できる強い乳酸菌が必要である、という説明がされている。この説明では、植物性乳酸菌と善玉菌の関係が不明なのだが、healthクリニックの植物性乳酸菌は善玉菌を力強くサポートによると、確かに植物性乳酸菌の働きで善玉菌が増えるようだ。

こういう解説を読むと、それじゃあ従来の動物性の乳酸菌はどうなのよ?と思いたくなってしまう。たとえば同じカゴメの動物性乳酸菌のL.カゼイを使用したローリーエースは「生きて腸まで届く乳酸菌」と宣伝しているし、ヤクルトのヤクルト菌を使用したヤクルトも、「ヤクルト菌(ラクトバチルス・カゼイ・シロタ株:乳酸桿菌)は、もともと人の腸内(小腸)に住んでいる乳酸菌から選び出し、胃液や胆汁に負けないよう強化培養しているので、生きて腸まで届きます。」とある。他のビフィズス菌ヨーグルトなども、大抵、生きて腸まで届くことをうたい文句にしているようだ。

さて、では動物性乳酸菌の効果はどうなのか? というと、healthクリニックのヨーグルトの乳酸菌はお腹の中には住みつかない?によると、ヨーグルト中の乳酸菌が直接腸内に住みつくわけではなく、いくつかの複合効果の結果として腸内の善玉菌を増やしてくれるようだから、全てが生きて腸まで到達しなくてもそれなりに効果があるようだ。

結局のところ、乳酸菌が腸内の細菌バランスを良好に保つために必要なのは確かのようだし、動物性よりも植物性の乳酸菌がより効果的のようだ。とは言え、植物性乳酸菌も、特に京都のすぐき漬や、乳酸菌飲料に頼らなくても、キムチを始めとした漬物類や味噌・醤油などにも豊富に含まれているようだから(参考)、いわゆる和食系の食生活をしていれば十分に摂取できそうに思える。まあ、ファストフードや洋食中心だと確かに不足気味となるかもしれないが。。 とすると、欧米人たちは何から植物性乳酸菌を摂取しているんだろう?

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2006/01/07

ココログ24か月

ココログを始めて丁度2年が経過。我ながらよく続いているものだと感心する。この2年間の記事の総数は、昨日までで562個。1か月当たりのカウンターの伸びは、年末年始をはさんだこともあって、21000程度とやや落ち込んだ。

 1か月目:900     2か月目:4500    3か月目:11700    4か月目:19000
 5か月目:32300   6か月目:43500   7か月目:54500    8か月目:72000
 9か月目:87700   10か月目:105400  11か月目:125400  12か月目:140600
13か月目:163000  14か月目:179300  15か月目:194700  16か月目:205300
17か月目:216800  18か月目:231700  19か月目:251100  20か月目:276400
21か月目:301200  22か月目:326400  23か月目:351400  24か月目:372400

この1か月のアクセス解析結果を求めてみると、以下の通り。

(1)リンク元
 1位 http://search.yahoo.co.jp 全体の57%(前回1位)
 2位 bookmark 全体の17%(前回2位)
 3位 http://www.google.co.jp 全体の13%(前回3位)
 4位 http://www.google.com 全体の4%(前回4位)
 5位 http://search.goo.ne.jp 全体の1%(前回5位)

前月までとほとんど変化無く、定番の検索エンジンからの訪問者が多い。ブログ専門の検索サービス(Ask.jpgoo ブログなど)を経由して来られる方もおられるのだが、まだまだ少数派のようだ。

(2)検索キーワード
 1位 気象庁(前回15位)
 2位 過去の天気(前回8位)
 3位 アメリカ(前回1位)
 4位 注射針(前回2位)
 5位 キャパシタ(前回圏外)
 6位 電気自動車(前回圏外)
 7位 肥満(前回4位)
 8位 ハイジェン液(前回13位)
 9位 フラーレン(前回3位)
10位 ベンタ(前回9位)
11位 天気予報(前回23位)
12位 献血(前回5位)
13位 グラフ(前回7位)
14位 光るバラ(初登場)
15位 有機ラジカル電池(前回36位)

この1か月の特徴としては、ドイツ製の加湿器、ベンタ エアウォッシャーに関する記事関連が引き続き人気なのと、何故か年末年始になって「気象庁」や「過去の天気」といったキーワードが多くなってきたこと。もしかして、これは冬休みの宿題関連なのかな?(昨年の8月にもこんな傾向が見られたことだし。。)

電気自動車関連は、小泉首相がエリーカに乗ったことがニュースになったことが関係しているようだ。首相の言動というのは相当大きな宣伝になりそうだけど、売り込みたい新製品をうまくこういう人に使わせたりできると、すごい効果がありそうだ。

さて、今日から3年目に突入。どんなペースで更新を続けられるのかわからないけど、気楽に続けさせたもらうつもり。。

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2006/01/06

2005年の天気予報傾向

昨年の2月から始めた東京地方の過去の天気予報 は、途中からとは言え、2005年分のデータ取得を順調に取得し続け、足掛け2年目に突入した。

これを機会に、サイトの整理をしたので、トップページを始めとして、かなり大幅にURLが変更になっている。そのため、特定の表やグラフに直接リンクしてあった場合、リンク切れが発生してしまうのだが、ご勘弁願いたい。

さて、残念ながら昨年データ取得を開始したのが2/11からのため、完全なものではないのだが、2005年を通しての天気予報データをまとめてみた。詳細は、各データを見ていただきたいのだが、ここにはいくつかの特徴をリストアップしておく。

2005年東京地方の天気予報ランキング
    前日予報      週間予報(2日前~7日前)
 1位 晴れ         晴れ 時々 くもり
 2位 くもり         くもり 時々 晴れ
 3位 晴れ 時々 くもり   くもり
 4位 晴れ のち くもり   くもり 一時 雨
 5位 くもり 時々 晴れ   晴れ

2005年東京地方の降水確率ランキング
    前日予報  週間予報(2日前~7日前)
 1位 10%     10%
 2位  0%      20%
 3位 20%     40%
 4位 30%     30%
 5位 50%     50%

また、降水確率予報の的中率を見ると、こちらのグラフにあるように、全体を通してみるとかなりいい線行っている。

さらに、最高気温と最低気温の予報精度については、こちらの表とグラフにまとめた。

気象庁が自己評価で使っている2乗平均平方根誤差(RMSE)で見ると、前日予報が最も小さく、2日前、3日前と予報日がさかのぼるに連れ、順調に大きくなっている。また平均誤差(ME)は明らかに、最高気温予報はプラス、最低気温予報はマイナスとなっている。つまり、最高気温予報は低めに、最低気温予報は高めに出される傾向が見える。

また気温については、当然と言えば当然だが、気温予報の相関グラフで見ると、非常に高い相関関係が得られた。しかし残念ながら、天気予報については天候予報の相関グラフで見ると、あまり高い相関関係は得られなかった。こんなものなのだろうか?

ところで、先月から気象庁が自ら公開している天気予報の精度検証を拡充したという発表が出ている。どうやら、降水確率予報の精度などを公開したようだ。とても結構なことだと思うのが、第3者による検証を可能とするためには是非とも、過去の天気予報をデータベースとして公開して欲しいものだ。そうすれば、こんな具合に苦労して個人で天気予報を保存する必要もなくなるし。。

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2006/01/01

新年おめでとうございます

いつになく雪の多い秋田で2006年の正月を迎えた。こちらで暮らす人にとっては嫌になる雪だけど、正月の短い期間だけを過ごす身にとっては、寒さに身が引き締まるし、すがすがしさも感じられるし、子どもの頃の記憶が色々とよみがえるし、なかなか悪くないものである。

先程、近所の神社に初詣に行ってきた。こんな雪の中を歩いてお参りするのは何年ぶりだろう? おみくじを引いたら、昨年に続いての「大吉」。 どの程度の比率で大吉が入っているのかわからないけど、2年続きというのはなかなかのものかも。。

この1年が皆様にとっても良い年でありますように。

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