オーストラリアのABC NEWS ONLINEの記事。Scientists question trees' role in global warming
Until now, the mainstream belief is that atmospheric methane chiefly comes from bugs: from bacteria working in wet, oxygen-less conditions, such as swamps and rice paddies.
But in a study published in the journal Nature, a team led by Frank Keppler of the Max Planck Institute in Germany has found living plants, dried leaves and grass emit methane in the presence of air.
Nor is this gas just a piffling amount.
The researchers roughly estimate the world's living vegetation emits between 62 and 236 million tonnes of methane per year, and plant litter adds one to seven million tonnes.
This would be equivalent to between 10 and 30 per cent of all annual global emissions of methane.
内容はなかなかセンセーショナルで、植物(森林)は、二酸化炭素を吸収してくれることから地球温暖化対策の切り札の一つと考えられていたが、実はかなり多量のメタンの発生源となっているのではないか、というもの。
これが本当であれば、森林を吸収源として認めている京都議定書の枠組自体が揺らいでしまう、というとんでもない結果を招く可能性もあり、かなり重要な話である。しかも、このニュースソースは、ドイツの Max Planck研究所のチームが Natureに載せた論文(最近はこの手の雑誌に載った論文も無条件に信用できないらしいけど)であり、それなりに真剣に考慮する必要がありそうだ。
このニュース、他にもBBC NEWSなど、イギリス、オーストラリア、ニュージーランドなどでは取り上げられているのだが、何故か日本やアメリカのマスコミには今のところほとんど取り上げられていないようだ。。
Natureの論文は、購読権があればこちらから読めると思うが、ネイチャージャパンのサイトを見たら、日本語のアブストラクト、植物 : 植物はメタンをまき散らして地球温暖化に加担しているが掲載されていた。(無料登録すると読める) 一部引用すると、
大気中の温室効果ガスのかなりの部分は植物が原因だとわかった。植物が放出するメタンは、年間発生量全体の実に10~30%に相当するらしい。
この発見は意外なものだ。それは、植物がメタンを生成するのは酸素がない条件下のみであると考えられてきたからである。今回F Kepplerたちは、酸素の存在する普通の条件下でも、さまざまな植物がメタンを放出していることを見いだした。また、メタンは枯死した植物体からも出ているという。(中略)
今回の発見は、熱帯雨林上空に見られる大規模なメタン上昇流を説明できるかもしれない。Kepplerたちはまた、地球上の急速な森林破壊が大気中のメタン蓄積速度低下と関連しているのではないかとも考えている。「新たな森林は、CO2の吸収源として地球温暖化を抑止するのではなく、メタン放出によってかえって温暖化を促進するのではないかという不安を我々は抱えることとなった」とLoweは述べている。
というものだ。今回の研究は、実験室での実験によって植物からのメタンの放出量を測定したもので、冒頭のABC Newsによると
The evidence comes from a series of carefully controlled experiments in the lab and in the field, in which gas chromatography and sensors to monitor carbon-13 isotopes detected and measured methane flows from the vegetation. (中略)
Levels of methane were "very temperature sensitive," with concentrations approximately doubling with every 10 degrees Celsius rise in temperature in a range between 30 degrees and 70 degrees, a phenomenon that suggests that breakdown by enzymes is not the cause.
とあり、植物のメタン放出は非常に温度に敏感だし、測定が非常に難しく、地球全体での寄与は極めて大きいものの、個々の植物が放出するメタンは非常に少ないということで、この現象は今まで見つかっていなかったらしい。
このニュースなどを見る限り、メタンがどういう過程で放出されるのかといったメカニズム面が全く書かれていないことや、いろんな理由があるにしても、そもそもこんな重要なことが今まで見過ごされていたなんてことがありうるのだろうか? という疑問もある。
また、過去の地球の大気組成の変化などの地球の歴史についても、最近は随分と明らかとなってきており、二酸化炭素やメタンの大気中の濃度変化も従来の説でそれなりに説明されているはずである。もしも植物が多量のメタンを放出するのが本当だとすれば、根本的な見直しが必要となってしまうだろう。。
まあ、どちらにしても人為起源のCO2の排出量が大幅に増えていることや、大気中のCO2濃度が実際に増大していることは事実なのだが、この話の真偽次第では
「温暖化防止のためには森林を伐採するべきだ!」
と主張する新しいグループが出現して、地球温暖化対策の議論は今後ますます混迷を深めそうな予感もしないではない。。。
今後、この研究がどのように扱われるのか注目する必要があるだろう。重要度からみて、沢山の追試が出てくるだろうとは思うのだが。。
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