去年の地球は暑かった
YOMIURI ONLINE(1/25)の記事。地球の平均気温、昨年は観測史上最高…NASAが分析
米航空宇宙局(NASA)は24日、昨年1年の地球の平均気温が19世紀末以来、最高だったとする観測値の分析結果を発表した。ということで、気温上昇のニュースは今さら特に驚くものでもないのだが、この冬は日本だけでなく、ロシアやヨーロッパでも大寒波が襲っているということで、平均気温の変化とは別に、年間の気温変動とか地域差などについての情報が載っていないか見てみることに。この分析結果は、世界の全観測地点の平均値や陸と海の平均値などの計算に基づくもので、それによると、これまで最高だった1998年を0・02~0・04度上回った。平年値との比較では0・58~0・75度高く、約14・5度になる。
98年の暑さは、強力なエル・ニーニョ現象が気温の押し上げに作用したが、昨年はエル・ニーニョの影響がないにもかかわらず、気温が高かったことが特徴的だという。また、平均気温の高い上位5位までに、02年から昨年までが連続して入り、温暖化傾向が進んでいることを改めて示した。
その前に他紙を見てみると、NIKKEI NETには地球の05年平均地表温度、観測史上最高に・米NASAというニュースが載っているのだが、タイトルや本文で「地表温度」という言葉が使われている。「地表温度」は陸地の表面温度のことをさすのかと思ったが、この場合には海の温度も計算に組み込まれているので、どうやら日経新聞は「地球表面温度」の意味で使っているようだ。。
NASAの発表したリポートは、GISS Surface Temperature Analysis - Global Temperature Trends: 2005 Summation -というもの。ここにはこの100年の平均温度のトレンドのグラフや、地球上のどの地点の温度が高かったのかを示す地図、さらには季節別、地域別の温度変化を示す地図が掲載されており、英語の本文を読まなくても楽しめる。
読売の記事にあることも含めて改めてまとめると
・2005年は過去120年で年間全地球平均温度が最も高かった。
・従来最高だった1998年はエルニーニョの影響が0.2℃程度含まれていた。
・1975年頃まで平均温度は上下しながら徐々に上昇していたが、それ以降は0.2℃/10年の速度で急激に上昇している。
・この温度上昇は低緯度地域よりも北半球の高緯度地域、特に北極圏で顕著である。
・エルニーニョの年は低緯度地域の温度が高くなるので、1998年と2005年は傾向が大きく異なる。
・エルニーニョは約4年周期で起きており、次は2006年か2007年に起き、かなり暑くなるのではないか。
・過去50年間の温度変化を季節・地域別に見ると、アラスカやシベリアの冬季の温度上昇が顕著である。
・この結果からも、都市部の局地的な温度上昇とは無関係に地球温暖化が起こっていると考えられる。
といったところか。これらのデータからは平均気温の上昇傾向は極めて顕著だけど、期待していたような、夏は益々暑く、冬は益々寒くなっているという傾向は見えないようだ。むしろアラスカ、シベリア、および南極で冬季の気温が上昇している傾向が見えており、今年の北半球の寒波はまた別の現象と考えた方がよいかもしれない。
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