工場の排気で風力発電
nikkeibp.jp(1/27)の記事。デンソー、工場から排出される風を利用した風力発電装置の運転を開始
デンソーは愛知県安城市の安城製作所内に、工場から排出される風を利用した風力発電装置を設置。24日から運転を開始した。生産現場での省エネルギーへの取り組みは、既に行き着くところまで行き着いたなどと言われることもあるが、使えるものはとことん利用しようとすると、まだまだやれることはあるということだろうか。この風力発電装置は、安城製作所内のダイカスト工場のスクラバー(排気・浄化装置)から排出される風を利用して発電する。発電に汎用品であるデンソー製のオルタネータ(自動車用発電機)を活用したことにより、発電設備コストを低減できたという。オルタネータを活用した風力発電装置の設置は、昨年2月の善明製作所に続いて2機目。
工場から排出される風を利用することで、常時安定した発電ができる。自然風との併用も可能。発電能力は2kWで、安城製作所では来客ロビーや会議室の照明に利用する。
この技術は、スクラバーからの排気ガスで風力発電をしようというものだが、なかなか面白い着眼点だと思う。考えてみると、スクラバーなどは、わざわざ電気を使ってブロワを回して工場内部のガスを外に排出しているわけで、その排気ガスの持つエネルギーを使って発電機を回してやろうという発想だ。
デンソーのニュースリリースを見ると、風力発電装置の図が載っているが、なんだか今一よくわからない。たかだか 2kW の小さな能力の割には大掛かりな装置であり、ランニングコストはともかく、初期投資は結構大きいものとなりそうな印象だ。
昨年稼動したという善明製作所の風力発電について、こちらに載っているが、なるほど、これだと風力発電装置の概要がわかる。垂直方向の回転軸を持っていて、回転する翼の形状がちょっと変わっているようだ。実物の写真がこちらで見られるが、こんな形状の羽根で効率良く風を受けられるものなんだ。。
工場内には、有害ガスや粉塵などを処理するための局所排気などの吸引設備や、各種装置の排ガスを処理するための排ガス浄化設備が多々設置されている。その機能を十分に発揮するためには、それなりの能力を持った排気設備が必要で、結果として結構な勢いで排気ガスが放出されているはずだ。これを、ブロワの排気抵抗とならないように、うまく受け止めて発電に使用できれば、確かにトータルとしては効率的となりそうだ。
今回のリリースを見ても、発電設備がスクラバーの排気ガスをどのように受け止める構造になっているのかよくわからない。自然風との併用が可能、とのことだが、自然風は時々刻々と方向を変えるわけで、スクラバーの排気との関係はどうなっているんだろう??
今回の設備は発電機を作っている会社が設置したものだから、テスト的な側面や広告的な側面もあり、当面はコストは度外視といったところかもしれない。とはいえ、技術面が進歩して、さらに設置方法などを工夫すれば面白い存在になるのではなかろうか。近い将来の工場では、太陽光発電や風力発電をするのが常識ということになるかもしれない。
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コメント
うーん…。素人考えだと、これって「車のエキパイに風車つけてバッテリーにつなぐ」ってイメージなんですけど、排気抵抗がなかったらそもそも発電にならないような気もしてよく分からないです。マッチポンプを避ける抜け道がたぶんあるんでしょうけど、どういう仕組みなんでしょう???
投稿: ヒスタミン | 2006/01/31 00:33
ヒスタミンさん、コメントありがとうござます。
うーむ、確かに悩ましい感じもしたのですが、私は以下のように考えてみました。
・少なくとも、排気管(いわゆる煙突のようなパイプ)内部に発電タービンを入れて発電するのはほぼ無意味であろうと考えられます。
・例えば、現在必要最低限ギリギリの風量で運転している局所排気設備があるとして、これの能力を増強することは、職場環境の改善につながるとします。この時、ブロワの能力をアップさせると消費電力は増大しますが、同時に排気管からの排風量や風速も増大します。つまり排気の運動エネルギーが増大した状態となるはずです。これを利用して発電することは、その効率はともかくとして可能なように思えます。
・ということで、もちろん排気が持っている運動エネルギーのほんの一部しか回収できないと思いますが、少しは回収可能かな、と判断したのですが。
自信ないです。。
投稿: tf2 | 2006/01/31 00:47