アルミニウムと水から水素を発生させる燃料電池
西日本新聞のニュース(4/24)から。水とアルミで動く燃料電池 日立マクセルが開発
日立マクセル(東京)は24日、水とアルミニウムから発生させた水素を燃料に使う燃料電池を開発したと発表した。ということで、金属アルミニウムと水から水素を発生させて、その水素で駆動する燃料電池ということらしい。つい最近、金属マグネシウムを水と反応させて水素を発生させたり、反応熱を利用したりするというMAGICエンジンというのがあったが、こっちは金属アルミニウムと水から水素を発生させるらしい。燃料電池用の水素源にも色々なアイデアがあるものだな。。 でも、アルミニウムって、そんなに簡単に水素が発生するんだったかな? 日立マクセルのニュースリリースによると、出力は平均10ワットだが、構造が簡単で低コストで発電できるのが特長。同社は「アルミ廃材のリサイクル利用も期待できる。10-100ワット級の電源として実用化を進めたい」としている。
同社によると、水素と空気中の酸素を燃料とする「固体高分子形燃料電池」の一種で、高さ16センチ、幅10センチ、奥行き6センチ。アルミと水は内部の別々のカートリッジに入っており、水を少しずつアルミに加えることで水素が発生する。20グラムのアルミで、ノートパソコンを4?5時間動かせる。
水とアルミニウムとの反応による水素発生システムは、国立大学法人室蘭工業大学渡辺正夫教授の研究に端を発しておりますが、マクセルはさらなる検討を加え独自のアルミニウム微粒子化プロセス技術の開発に成功しました。これにより、室温で1グラムのアルミニウムから1.3リットルという大量の水素発生が可能となりました。という程度であまり詳しく記載されていない。室蘭工業大学で探してみたが、水素エネルギーの応用部門に少し出てくる程度。渡辺先生は、このニュースによると、2004年6月にハイドロデバイスというベンチャー企業を設立して、水素発生システムを利用した燃料電池を開発しているようだ。
関連ニュースを探してみると、
PC Watch
ASCII24
などが詳しいようだが、金属アルミニウムと水から水素を発生させる反応は、やっぱり単純な Al + 3H2O → Al(OH)3 + 1.5H2 というもののようだ。アルミニウムの原子量が27だから、1gのアルミニウムからは、1/27×1.5=0.0556モルの水素が発生する。これは20℃、1気圧で1.34リットルになるので、なるほど1.3リットルというのは理論値に限りなく近い発生量だ。
ちなみに、Wikipediaにもあるように、通常はアルミニウム表面には水に不溶性の酸化皮膜ができてしまうので、水素を発生させるには酸かアルカリが必要なのだが、アルミニウム粉末のMSDSを見ると、微粒子にすることで、空気中の酸素や水とも激しく反応が進むということらしい。
ASCII24のニュースによると、日立マクセルとしてはこのシステムをモバイル機器の電源に実用化することは当面考えていないようだが、エネルギー密度とか効率とかいう問題とは別に、危険物に該当するような粉体の取扱いにまつわる問題もかなり大きいという気がする。
| 固定リンク
コメント