酸素強化水?を新聞が斬ると
日本経済新聞の4/26夕刊、スポーツ面のからだのお話というコラムに「酸素強化水、商品化続々と、消化器官吸収の効果不明」という記事が載っている。主な酸素強化水という表が掲載されており、OXYGEN O2、酸素プラス、酸素イン、O2 AQUAの4商品についての輸入・販売元、価格、酸素量、特徴が載っている。どうやらいずれもいわゆるミネラルウォーターに後から酸素を加圧溶解させているもののようで、酸素量は1リットル当たり約50~60mgというところのようだ。 それにしても、いつの間にか「酸素強化水」なんて品名ができているらしい。強化っていうと(つい大リーグ強化ギブスを思い浮かべてしまうけど)何かの効果を強めることをいうわけで、これはちょっと違うだろうと思うし、どう見ても単なる酸素富化水だ。
このブログでは、昨年6月に飲む酸素?というエントリーを書いた。その時に扱った商品は、オーツープラス・ダイレクト、AquaO2、飲む酸素 AEROBIC KO7などの濃縮系?の酸素水が中心で、そのまま飲むのはオキシジャイザーというものだけだった。 ということで、去年はこんなに多くの商品はなかったような気がする。。 約1年が経過して、酸素を多く含む水という商品分野が確立したのかもしれないなあ。 NATROMさんのブログでも現代人には酸素欠乏症の方が多いというエントリーで、その宣伝文句のいい加減さを指摘しているのだが、さて新聞はこの商品をどう料理しているかを見てみよう。
この記事では、「スポーツにおける酸素の役割に詳しい東海大学医学部の山村雅一教授」にコメントを求めているので、そのコメント部分を抜出してみる。
水が酸素を含んだ状態で腸まで到達するという条件なら、酸素を含んだ水が腸から吸収され、腸内の毛細血管で赤血球と結びつくことは想定できる。というもので、まあ可もなく不可もなくっていうコメントである。効果はないと思うけど、飲みたければ飲めば? くらいのニュアンスにも感じられる。一方、聖マリアンナ医科大の吉岡利忠客員教授(スポーツ医学)のコメントは、何倍も含ませたといっても水に含まれる酸素量は微量で、1回に飲める水の量にも限界がある。
何もしないより、飲む方がいいだろうが、劇的な効果は期待できないと考えるのが妥当。
分子量が小さいため、腸での酸素吸収率は高いと予想される。しかし、呼吸に比べると微々たる量。むしろ、飲むことでアスリートのメンタル面に好影響が出ることが大きい。ということで、かなりはっきりとプラセボだよと言っていると受け取れなくもない。 また、
ある商品の酸素含有量は水100ミリリットルあたり6ミリグラム。対して、人間が呼吸1回で取り込む酸素は、生物の呼吸メカニズムに詳しい東京工業大学の清水優史教授によると約14ミリグラム。呼吸2回だけで500ミリリットルのペットボトル約1本に相当する。と書かれている。やけに呼吸で取り込む酸素量が少ないように見えるが、なるほど、呼吸で吸い込む空気のうち、実際に体内に吸収される酸素はその程度ということか。
一方、OXYGEN O2の輸入元である協同商事(埼玉県川越市)の朝霧重治副社長の言葉も載っている。
ドイツの大学の論文で、消化器官の酸素吸入がラットの実験で確認された。ということだが、実際にこの商品はドイツ製なのである。どうやら、酸素強化水は日本だけではなく、ドイツでも同じような効能で売られているらしい。
まあ、新聞に商品名を入れた記事を載せるとなると、はっきりと「意味がない」とはなかなか書けないだろうし、こんなところが落としどころかもしれない。けれど逆に、人によっては飲んでみようという気になるかもしれないし、商品の宣伝になっていなくもないような。。
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コメント
読者の方からメールでいただいたコメントを許可をもらって転載します。貴重な情報の提供どうもありがとうございます。
PubMedの検索結果は、上から順にオーストリア、アメリカ、ドイツ、ドイツの大学の研究結果ですから、oxygenated water は世界的に広まっているようです。上の2つの研究では酸素水と通常の水では有意な差は見られなかったという結論のようですが、下の2つでは血中の活性酸素の増加が観測されたとのこと。実際には4つめはアスコルビルラジカル(ビタミンC誘導体)が増えたということで、アスコルビルラジカルは活性酸素とビタミンCが反応してできるもののようなので、活性酸素が増えたことの間接的証拠と考えられるようです。欧米では主として、エクササイズの際のパフォーマンスアップ(持久力アップなど)を期待して売られているようで、日本の宣伝に見られる「酸素不足対策としての酸素水」とはかなり異なっているところなどもなかなか興味深いところです。
投稿: tf2 | 2006/04/27 14:42