オール磁器製のネジ口ボトル
日経新聞4/4の夕刊の社会面に、「ビンもふたも磁器 ねじ溝で密閉OK」という写真付きの記事があった。ネットでは見つからなかったが、西日本新聞社がネット上に載せていた。磁器のふたに「ねじ溝」 長崎、窯元が加工に成功
長崎県波佐見町の窯元「清山(せいざん)」が磁器のねじ溝加工に成功、ふたも本体も磁器製の密閉容器「Ri・ピート」を開発した。名前の通り「繰り返し(リピート)」使え、環境にやさしい容器と期待されている。日経の記事によると、720ミリリットルサイズの容器、およびこの容器に地元の酒造会社の日本酒や焼酎を入れたものを売り出したとのこと。探してみると、こちらに問題のキャップ部分の断面拡大写真が掲載されている。磁器は乾燥させて焼き上げると約13―14%収縮するため、ねじ溝を彫るのは困難とされてきた。約10年かけて特殊な鋳込み技術を開発し、研磨の精度を上げることで克服。この技術で特許出願中という。
清山の瀬井辰芳社長によると、飲料用などに流通している陶磁器の容器では、ふたの素材は主にコルク。容器本体は廃棄されてしまうことが多い。そこで「ふたも本体も陶磁器製にすれば再利用できる」と考え、開発に取り組んだ。
中の液体が漏れないように密閉しようとすると、パッキンを使ったとしても、ネジの部分にはかなり大きな力が掛かるはずであり、かみ合わせの精密さもさることながら、強度面もポイントとなりそうな気がする。でも結局は、ねじ込んだ時に局所的に大きな力が掛かる箇所ができないように、高い精度の形状を作り上げる必要があるということだろうか。
考えてみると、ガラスビンではネジ口のものが多くあるけれど、いずれも蓋は金属だったり、プラスチックだったりする。陶磁器製のビンでネジ口のものはあまり思い浮かばないけど、今回のものでは「全国初」という表現は見つかるが、「世界初」とは書いてないところを見ると、世界的には前例があるのかもしれない。
特許出願中とのことで、出願人が「清山」の特許を公報テキスト検索で検索してみると、二重構造の焼物容器に関する特許が2件見つかったが、今回のネジ蓋についての特許はまだ公開になっていないようだ。それでも、この二重構造の焼物に関する特許を見てみると、この窯元がなかなか高度な技術力を持っていそうなことが伝わってくる。こういう技術をこういう小さな窯元が開発しちゃうところがすごいな。 もしかしたらこの技術は工業製品などにも応用できるのではないだろうか? (高温でも使用できるネジが必要な装置など)
蓋も本体も陶磁器なので再利用可能という説明は今一ピンと来なかったが、高級感のある容器に安っぽい金属製やプラスチックの蓋では台無しになってしまうし、コルクの蓋だと内容物が染み込んでしまう問題があるだろうから余り再利用したくないかも。ということで、確かに陶磁器製の蓋というのはそれなりの用途が考えられそうだ。まあ、お酒の容器だと再利用と言っても余り用途が思いつかないのだが、日経新聞には
瀬井社長は「陶磁器の容器はデザイン性も高く、香水や化粧水など幅広い用途が考えられる」と話している。とあり、確かに高級品を狙ってみるのも面白そうだ。
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