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2006/07/03

岩塩ランプはロハス?

Fujisankei Business i の7/3の記事。岩塩ランプ、静かなブーム “呼吸”で空気浄化 癒やし効果も

 天然に結晶した岩塩の塊をくりぬき、その中に電球を組み込んだ「岩塩ランプ」が隠れたブームになっている。明かりを灯すと岩塩が“呼吸”し、室内の空気を浄化する効果もあるとされるマイナスイオンを発生することから、癒やしや健康と環境にやさしいLOHAS(ロハス)といった時流に乗った商品として注目を集めている。

 岩塩ランプは“世界の屋根”ヒマラヤのふもとの地下1500メートルから掘り出した天然岩塩の商品が主流で、主にインターネットを通じて売り出され、ジワリと人気が広がっている。 (中略)

 岩塩ランプがマイナスイオンを発生するメカニズムは、岩塩が持つ水分を吸収する性質を使って、いったん岩塩に取り込んだ水分を電球の熱で蒸発させ、この働きが循環する過程で水の分子に動きが生じ、マイナスイオンを発生する。

 岩塩ランプはこのほか、オレンジやホワイトといった結晶体そのものの天然の色彩を電球で浮き出すことによる癒やし効果(カラーヒーリング)もあるとされる。オレンジ色はリラクゼーション効果、ホワイトは集中力を増し、赤色は気力回復につながるといった具合で、インテリア性にも富んでいる。 (後略)

ということで、何だか怪しい記事が結構大きく載っている。いまどきマイナスイオンの発生を前面に押し出して売り出すというのもどうかと思うが、それをそのまま記事にする新聞社も、もう少し世の中の動向を勉強した方が良いのではなかろうか?(参考:疑似科学批評(マイナスイオンその他)マイナスイオン定点観測 by「市民のための環境学ガイド」など)

ここでは、岩塩が、塩(塩化ナトリウム)の持つ吸湿性により水分を吸収し、その水分がランプの発熱により蒸発する際にマイナスイオンを発生すると説明しているが、これって単なる蒸発とどこが異なるんだ? 「この過程で水の分子に動きが生じ」って言われても、わからないぞ。。 それにしても、マイナスイオンの発生メカニズムには、放電だとか水破砕とかいくつかあるけど、このメカニズム(?)は新しいものかもしれない。

こんなんでマイナスイオンが出るんだったら、岩塩のようなかたまりの代わりに表面積の大きくな微粉の塩を使い、効率的に吸湿と加熱のサイクルを回すような装置を作ったら、相当多量のマイナスイオンが出せそうだけど、これって単に水を蒸発させたり、洗濯物を乾燥させたりするのとどこが違うと言うのだろう??

「岩塩ランプ」で検索してみると確かに沢山見つかる。全然知らなかったが、岩塩は結構ミラクルな効果が期待されているようで、岩塩サウナなんてのもあるようだ。

ソルトクリスタルランプを見ると、ありがちな比較実験写真付きの説明が載っている。何故か韓国の研究機関の実験というのが興味深い。それにしても「数百年前の天然ヒマラヤ岩塩」から「ナチュラルなマイナスイオン」が発生するなんてすごいことがサラッと書いてある。ついにマイナスイオンもナチュラルじゃなくちゃいけなくなったのか!? もっともこちらの岩塩は何と2億5千万年前のものらしいし、古い方が「良いマイナスイオン」が出るというような実質的な価値があるのだろうか??

また、このランプは数年前からマスコミで紹介されているらしいのだが、最近でもフジテレビ、産経新聞、主婦の友社、ソトコトなどが取り上げているようで、今回のFuji Sankei Business iを加えて、どうもフジサンケイグループが目立つ。「静かなブーム」って書いてあるけど、実はマッチポンプじゃないの? それと、例の「ソトコト」が出てくるのが面白いところ。「ソトコト」については、kikulogで取り上げられたように、「水からの伝言」を肯定的に紹介したり、関連雑誌の「チビコト」が環境省の環境ホルモン幕引き宣言に使われて、その後問題になったりと何かと話題の多い雑誌である。

ロハスの誤解 by「市民のための環境学ガイド」でも指摘されているように、本来はどちらかといえば科学的な概念だったLOHASが、何だか薄っぺらなイメージに変わってしまっていて、それを推進しているのが「ソトコト」という構図のようだ。そういう意味では、この岩塩ランプが「ソトコト」に取り上げられるのも何となく納得できるのだが、ロハスがトンデモの住処になってしまいそうで悲しいものがある。

まあ、ほんのりとした暖かなオレンジ色の光がリラックスに効果がある、というだけの話なら何も問題はないし、ヒマラヤから持ってきた岩塩を原料にしていることに価値を見出すこともありだと思うし、結晶好きなのでそれらしい奴を一個ぐらい持っていてもいいと思うんだけど、やっぱりナチュラルマイナスイオンという説明は駄目駄目だろう。。

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コメント

はじめまして
いつも楽しく拝読しております

我が家にもモンゴルのピンク色した岩塩塊の置物?が有ります。
吸湿性が有るのは判っていたので「袋は破くな」と注意してたの
ですが、オフクロ様がやってしまいました。
で、やってしまったのならと観察することにしました。
岩塩隗を置いてるトレーはジュクジュク状態です、数ヶ月経って
も意外と岩塩隗が消耗する雰囲気は無いです。
で、このジュクジュク水を舐めれば当然しょっぱい!
正規のマイナスイオン出ますね~「Cl-」
でもこれと電球同居させるのは怖いです。

>いったん岩塩に取り込んだ水分を電球の熱で蒸発させ

電気系(熱源)の何処でこの塩分は再結晶するのでしょう
そして今のような梅雨時に湿気でこの塩分が融解したら…

投稿: トレペ | 2006/07/05 02:15

貴重な体験談どうもありがとうございます。塊状の岩塩でもそんなに水を吸ってしまうんですか、それはちょっと予想外でした。点灯させずに置いておくのは問題があるし、点灯し放しだとマイナスイオンも出ないということで、適度にON-OFFを繰り返さないと駄目なのでしょうか(笑)

ちょっと調べてみたら、塩化ナトリウム自身には潮解性はなく、不純物、主として塩化マグネシウム、が潮解性を与えているようです。また、食卓塩の場合には炭酸マグネシウムを添加して固結を防いでいるようですね。

ということで、もしかしたらベタベタにならないように表面加工してあるのかもしれませんが、そうするといよいよマイナスイオンが出なくなりますねぇ。

投稿: tf2 | 2006/07/05 09:52

こんにちは。岩塩ランプで検索してやってきました。大分古い記事へのコメント、失礼します。“ロハス”という概念についてや、マイナスイオンについてなどとても興味深く拝読させていただきました。

実は今、岩塩ランプをネットショップで販売し始めたのですが、岩塩ランプの商品文句みたいなのを書くために情報収集中なんです。このブログでも書かれているように「マイナスイオン」ってすごく怪しいですよね・・・。私自身、マスコミや世間のブームが知識の乏しい消費者に、疑似科学や実証性の乏しいものを押し売りするような商売構図・・・にはしたくないなぁと思って、どう説明文を書けばいいのか悩んでいます。

「天然マイナスイオンです!」

・・・って言ったところで、じゃぁ「天然」ってなんなのか、「マイナスイオン」って本当にいいのか・・・・。人を騙すような記事は書きたくないのでとても複雑ですね。

そうかと思えば、未だに「マイナスイオンが出るドライヤー欲しい~」と言っている友達がいたりして・・・一体世間はどんな意見なんでしょう、という気持ちです。


ちなみに、上記のコメントに対してなのですが(私の調べた限りなのですが・・)、マイナスイオンを吐き出すメカニズムというのは、岩塩の分子構造によるものらしいです。水分子(H2O)が岩塩に取り込まれ、吐き出される際にこのH2Oが岩塩の分子構造により分解されて一部が酸素イオンになり、さらに負の電解質を持つ・・・のだとか。

私自身、理系の人間ではないので細かいことは分かりませんでした。説明文を書くにはもうちょっと勉強しないといけなさそうです><


長文、失礼しました><!

投稿: yuki | 2009/10/14 17:17

yukiさん、コメントありがとうございます。

私自身、久々に読み返してみましたが、あれから3年間も経過したのに、状況があまり変化していないことに驚いています。

もう大手の電機メーカーなどもマイナスイオンが出るエアコンや空気清浄機やドライヤーなどは売っていないのではないでしょうか。過去の振り返りも何もないままに、今度は各社独自の別名(○○イオンとかナノ○○とか)を前面に出して新製品を売り出しているようですが。。 

そうそう、マイナスイオンが出るというドライヤーは、それが本当にマイナスイオンなるものを出しているかどうかは別として、確かに性能はいいらしいという評価を聞きましたから、実際に製品としては良いものだったのではないでしょうか? 岩塩ランプだって、ナチュラルマイナスイオンなるものが本当に出るかどうかと無関係に、いいと思う人にとってはいい製品なんだと思いますよ。

さて、それにしても

>水分子(H2O)が岩塩に取り込まれ、吐き出される際にこのH2Oが岩塩の分子構造により分解されて一部が酸素イオンになり、さらに負の電解質を持つ

はいただけません。どう考えても、吸湿した塩化ナトリウムの結晶を、ランプで加熱して乾燥する際に水分が蒸発するだけですから、そんなことで水から酸素イオンが出てきたりするわけがありません。科学的には全くダメダメの説明ですね。

こんなわかる人にはすぐにウソとばれてしまう、中途半端に科学的に見えるような宣伝文句を考えるくらいなら、単純に「地球の歴史の中で長い年月を掛けて成長してきた、天然の岩塩の結晶を通して広がる柔らかな光で、身も心も癒されます。」のような言葉の方が圧倒的に好感を持てるのですが。。

実際、この前どこかのお店で実物を見て「これ欲しいな」と思いました。もっともナチュラルマイナスイオンなんて得体の知れないものが、もしも本当に出てくるようなものならそれはそれで興味ありますけど、出ていない方が安心して使えていいかもしれませんよね。だって、ナチュラルマイナスイオンなるものが、人体にどんな効果があって、どんな悪影響があるのか、全然明らかになってはいないのですから。

投稿: tf2 | 2009/10/15 01:26

早速のお返事ありがとうございます!!

>どう考えても、吸湿した塩化ナトリウムの結晶を、ランプで加熱して乾燥する際に水分が蒸発するだけですから、そんなことで水から酸素イオンが出てきたりするわけがありません。科学的には全くダメダメの説明ですね。

そうなんですか・・・・(;_;)他社のランプHPに書いてあったことなどをまとめた結果、上記のような理屈になりマイナスイオンが発生・・・というらしいのです。

ただ私自身、ほんっとうに科学系が苦手なので(言い訳にはなりませんね!)、どこを突っ込んで調べたらいいのか分からず、困りますね><。「イオンとは、電解質とは」といった基礎から始めないといけないのか、はたまたtf2さんのおっしゃる通りにマイナスイオンの記載をこの際取り除くか・・・。

・・・悩みます!(苦笑)

ただ、実際に部屋のタバコの臭いが消えたりとかのミラクル現象がうちで起こったので、その効果に疑いはないのですが・・・。それをどう伝える記事にするか。

なんでもかんでも「科学性」を追求するような風潮が行き過ぎると、今回のマイナスイオンなどのように疑似科学やただのブームが真の科学性の信憑性を犯しているような気にもなってしまいますね。

またまた長文・乱文失礼しました。

他の記事も読ませていただきまぁす!

岩塩ランプお求めでしたら、うち安いですよ~(笑)

投稿: yuki | 2009/10/16 17:48

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