極薄指紋センサーの動作原理は?
NIKKEI NETの記事(7/24)から。エプソンが極薄指紋センサー、カードに搭載で悪用防止
セイコーエプソンは厚さ0.2ミリと紙並みの薄さの指紋認証センサーを開発した。2010年をメドに実用化することを目指し、クレジットカードや超薄型ディスプレーへの搭載を狙う。クレジットカードに指紋認証機能が付けば、紛失した場合でも第三者の悪用をほぼ防げるようになる。ということで、同日の夕刊には1面に写真入りで大きく報道されている。夕刊にはさらに指紋認証センサーは指の表面が発する微弱な電流を読み取ることで、指紋のパターンを認識する。本人の指紋を記録したメモリーや薄型の演算装置とともにクレジットカードに組み込めば、指紋で本人確認しなければ利用できないカードを作れるようになる見込み。
指紋認証センサーは携帯電話やパソコンに使われ始めているが、部品の微細加工に限界があり、カードに搭載できる水準まで薄くするのは難しかった。エプソンは極薄のプラスチック基板上に回路を形成する技術により薄型化を実現した。とある。各種カードや携帯に多くの機能が盛り込まれ、ますます便利になっていくご時世なので、同時にセキュリティ機能の強化が望まれるのは間違いない。価格にもよるが、この手のセンサーが実用化されればカード等に急速に普及していくことになるような気がする。
それにしても、指紋センサーの原理が「指の表面が発する微弱な電流を読み取る」ものであるというのはやや違和感がある。従来のセンサーはどんな原理になっているのかと調べてみると、その名もシーモンという指紋認証専門会社の解説が充実している。
これによると、指を押し当てて指紋を読み取るセンサーには、光学式と非光学式があり、非光学式には圧力、熱像、音波、電荷量などを利用する方式があるとのこと。アメリカに入国する際にイミグレーションで指紋を採られるのだが、あの読取器は赤い光を発しているので、多分光学式なのだろう。一方、携帯やパソコンに積極的に指紋認証を導入している富士通のものは静電容量式を採用しているようだ。
富士通のページの解説図を見ると、静電容量を読み取る方式というのはシンプルでわかりやすいのだが、ではエプソンの指先の電流を読み取る方式というのはどんなものなのだろう? 探してみると、他にもRF磁場方式という真皮細胞の導電性を検知する方式が見つかったが、これはちょっと違うか?
NIKKEI BYTEの特集記事はなかなか良くまとまっているが、ここには新たに電界強度測定方式というのが出てくる。どうやらこれはRF磁場方式と同じもののようで、やっぱり直接電流を読み取る方式というのは見つからなかった。確かに体表面には微弱な生体電流が流れているだろうけど、その電流を指紋を認識するのに直接利用することなんかできるのだろうか? 今のところエプソンのサイトにはこのニュースは掲載されていない。
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