プラチナスチーム美顔器?
asahi.comの記事(8/24)から。顔の手入れはプラチナの湯気で 松下がスチーム美顔器
顔のお手入れはナノサイズのプラチナ(白金)で――。松下電器産業は24日、プラチナの微粒子を蒸気と一緒に噴き出すスチーム美顔器を10月から発売すると発表した。うーむ。。 これって単なる新製品の紹介記事のように見えるのだが、何故「サイエンス」のカテゴリーに分類されているのだろう? 科学部のちゃんとしたチェックが入っているとは思えないのだが。。 それにしても「プラチナの延べ棒」なんて書いてあるけど、結構リーズナブルなお値段のようだし、一体どんな大きさの「延べ棒」なんだか。。 直感的には、白金のナノ粒子を顔面に吹き付けて安全性の面で大丈夫か? と思うけど、効果の方だってどんなもんなのだか心配だ。抗酸化作用があるとされるプラチナが市販の化粧品に配合されていることに着目。プラチナの延べ棒に5キロボルトの高電圧を当て、直径1~5ナノメートル(1ナノメートルは10億分の1メートル)の微粒子にして、湯気とともに放出する仕組みを開発した。
主なターゲットは肌年齢が気になりだす25~34歳の女性。市場での税込み想定価格は2万円前後。
「抗酸化作用のあるとされるプラチナ」と言えば、このブログでも一昨年にナノコロイド白金入りガムという記事を書いている。改めて東大の宮本教授が関わっている株式会社シーテックを見てみたが、白金ナノコロイドの効果や安全性についての具体的なデータは見当たらないようだ。
ネットを調べてみると、予想通り白金のミラクルな効果を唄った宣伝が色々と見つかる。白金ナノコロイドシャンプーの説明では、「白金ナノコロイドの優れた点は、体内にある11種類すべての活性酸素を取り除く」なんて書いてあるし、プラチナローラーはナノ粒子ではないけど、「プラチナはマイナスイオン伝導率が高い」という素敵な宣伝文句が載っている。。 言いだしっぺの先生には、白金のナノ粒子について何がわかっていて、何がわかっていないのかをはっきりと皆に伝える責任がありそうな気がするけどなあ。。
さて、松下のニュースリリースを見てみると、家電メーカーお得意の新用語が出てきて、何となくクラクラしてくる。。 そもそも商品名には「イオンスチーマー」とあるけど、このイオンというのは何なのだろう、と思いきや、イメージ図によると水の微粒子(?)を「イオンスチーム」と呼ぶようだ。 「プラチナナノ微粒子」というのも、ナノと微をダブらせるのは無駄だから「白金ナノ粒子」でいいだろうと思うが、それよりも「プラチナスチーム」ってのに驚かされた。。 英語でplatinum steam と書けば、白金蒸気のことだと誤解されるだろうと思うし、こういう意味不明のカタカナ用語を使うことで実態が見えなくなってしまう効果がありそうだ。
ちなみに、水蒸気放出に加えて放電と来れば、数年前なら松下的には「マイナスイオン」が多量に出ていても良さそうだが、何故かマイナスイオンは出てこない。さすがに松下も反省したのかと思いきや、ナノイーイオンの説明ではマイナスイオンより優れているなんて宣伝しているから、この商品では本当に(?)マイナスイオンもナノイーイオンも出ていないのかも知れない。。
このリリースには実証データとして、10名の女性が実際に8週間使用した際の、皮膚の吸引高さのグラフが掲載されている。しかし、白金ナノ粒子の放出機能を持たない、従来型のスチーム式美顔器も、それなりの美顔効果を唄っているのだから、白金の効果を示すためには少なくともこの装置と比較する必要があるだろう。そもそも、宮本教授の白金ナノコロイドと松下の開発したプラチナスチームは同等のものかどうかも怪しいし。。
一方、安全性についてはこのリリースや製品紹介、あるいはFAQなども見てみたが、白金ナノ粒子を吸引しても安全なのかどうかについては一切載っていないようだ。 アスベストについてはこれだけ神経質に反応するくせして、白金の微粒子を顔面に噴霧するような装置の安全性にまるで無頓着、という感覚はちょっと不思議だ。。
そういえば、使用するとともに白金電極が減ってきそうなものだけど、その辺の記述も見当たらないし、プラチナスチーム中にはどの程度の量の白金が含まれるのかに関する記述も何故か全く見つからなかった。本当にどの程度の白金粒子が飛び出しているんだろう?
| 固定リンク
コメント