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2006/08/29

ハイブリッド式クレーン

日経BPのニュース(8/28)から。日本郵船、国内初のハイブリッド式トランスファーファークレーン実用実験

日本郵船は、産業機械メーカーのTCMが開発した国内初のハイブリッド式トランスファークレーンの実用実験を同社の東京コンテナターミナルで実施すると発表した。

ハイブリッド式トランスファークレーンは、つり上げたコンテナを下ろす際に発生するエネルギーを蓄電装置に蓄積して再利用するもの。燃料消費量や二酸化炭素排出量を約40%低減できる。また、エンジンと発電機が小型化されており、騒音も低減できる。

実験では、操縦性能や走行性能などを検証。今年9月中旬から12カ月間行う予定。(日経エコロジー)

というもの。トランスファークレーンとはどんなものかというと日本郵船のニュースリリースに写真と解説が載っているが、コンテナターミナルのヤード内でコンテナの積み降ろしをする機械で、ディーゼルエンジンで発電した電力を使用して移動と積み降ろしを行うらしい。

考えてみると、クレーンなどによる荷物の積み降ろし作業というのは、荷物を低い所から高い所へ持上げる場合でも、必ず最高地点から目的場所へ降ろす工程を含むわけで、その際の位置エネルギーを回収しようというアイデアは実に合理的な考え方だ。まして、荷物を高い所に持上げる作業があれば、逆に低い所に降ろす作業もあるわけで、それを考えると今まで誰も実用化していなかったのが不思議という感じもする。

この機器を開発したTCMという会社は知らなかったが、ニュースリリースによると、クレーンの巻き下げ時のエネルギーを電気二重層コンデンサに蓄電し、これをクレーンの巻き上げ時に利用するという方式とのこと。

もしも、トータルの巻き上げ仕事量と巻き下げ仕事量が同じだと仮定して、ロスがなければ、エネルギー使用量はゼロになってしまうわけだけど、実際に40%も省エネルギーとなるとは中々の高性能と言えそうだ。

トランスファークレーンの場合には、どうやら元々電気モーターでクレーンを駆動し、その電気をディーゼルエンジンで発電するという方式のようなので、比較的容易にエネルギー回収が可能だったのかもしれない。一方、一般のクレーン車などでは巻き上げ作業も直接エンジンで行っているような気がするので、ハイブリッド化のハードルは高そうだ。その場合、エンジンとモーターをどのように組合せるか、というシステム設計がキーになりそうだが、いずれにしても今後は様々な重機分野にもハイブリッドシステムが導入されていくのではなかろうか。

ちなみに、ハイブリッドエンジンの応用としては、米海兵隊のハイブリッドエンジン車なんてのも見つかる。これは、危険地域では熱と音を発生するエンジンを使用しないで走れるとか、ハイブリッドエンジンを発電機として利用できるというような理由で採用されたようだ。

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