気象衛星ひまわりの食とは?
気象庁のサイトで、ひまわり6号の秋季食期間中の観測について、というリリースを見つけた。最近はあまり聞かないが、昔は放送衛星が食の影響で放送を停止するなんてことがあったような気がする。調べてみるとWikipediaに解説が載っていた。なるほど、1997年までは食の影響による放送休止時間があったけど、今はなくなっているようだ。電池性能の向上だろうか?
人工衛星の場合、食とは衛星自身が地球の影に入って太陽の光が当たらなくなる現象で、静止衛星の場合には秋分および春分の前後に起こる。静止衛星は地上が夜の時にはいつでも地球の影にあるのかと思いきや、そんなことはないようだ。
超大雑把に計算してみると、地球の半径が約6400km、静止衛星の高度が地上約35800kmということで、静止衛星から見ると地球は視半径が 8.6度程度となるようだ。太陽は約1/4年(例えば春分から夏至まで)で23.5度傾くので、静止衛星に太陽光が当たらない時間帯が出現するのは、春分および秋分の前後それぞれ 33日間(90×8.6÷23.5)ずつぐらいとなるだろうか。(年間では132日となりそれなりに多いといえば多い)
さて、そんな基礎知識をもとに気象庁のリリースを見ると、
春分及び秋分を中心とした期間には、ひまわり6号、地球及び太陽が同一平面上(赤道面上)に並び、この期間の真夜中前後には、衛星から地球を見た視線の先に太陽が入ることから、太陽光がイメージャに直接入射することを避けるため、昨年6月のひまわり6号の運用開始以後これまで2回の食期間(昨年秋及び今年春)では、太陽光の入射が予測される時間帯の観測・画像の配信を中止していました。とある。なるほど、今のひまわりの場合、食の影響は太陽電池がどうこうではなく、太陽が地球の向こう側にあるために、太陽自身が撮影視野内に入ってくるという問題のようだ。ということで、この問題は「食の影響」そのものではなく、太陽と地球と衛星との位置関係の問題ということになる。今般、太陽光の入射が予測される範囲を除いて観測することにより、イメージャ本体及び画像の品質への影響が回避できることが確認できたことから、今年秋の食期間(8月16日~10月27日)から観測中止回数を少なくすべく以下の方法により観測を実施します。
これにより、観測中止の回数は、昨年秋の300回あまりから40回程度に減少します。
太陽を中心とした視野角5度以内は観測しないという条件で計算すると、別紙に掲載されているようなスケジュールで撮影に影響が出るということらしい。この別紙のイメージ図はわかりやすい。ひまわりから見て、地球と太陽の位置関係がどうなると観測できないのかが一目瞭然である。
例えば秋分の日の場合、真夜中前後は太陽が完全に地球の向こうに隠れてくれるが、むしろ真夜中よりも1~2時間ずれ時刻だと太陽が地球のはじに顔を出すので問題となるだろうし、秋分から1か月程度ずれた時期には逆に真夜中近辺だけが問題となりそうだ。このスケジュール表を改めて見てみると、この予測と大体合っていると言えなくもないのだが、細かく見ると、何故か秋分の日の24時を中心とした対称形になっていなかったり、太陽からの視野角5度を加味すると影響を受ける期間がもっと長期になっても良さそうだ、など説明できない点も多い。。 どうやらもう少しきちんと計算しないと駄目みたいだ。
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